81 / 131
最終章
最終章-4
しおりを挟む
安蒜の説明に、一瞬、招待客たちは『どういう事だ』と一様にポカンとしたが――直ぐにその言葉の意味を理解し、興奮したように拍手を送った。
「それは素晴らしい! わざわざ来た甲斐があるというものだ!!」
「これ程興奮するショーはない! しかし本当か?」
居並ぶゲスト達の興奮した様子に満足し、安蒜は微笑む。
しかしその時、場に水を差すような大きな音がガタンと鳴った。
髪を七色の派手な色彩に染めた男が、黒服を押しのけるように扉を開けてサロンへ入って来るところだった。
「――お客様、失礼ですが」
制しようとした黒服に取り押さえられながら、男は口を開く。
「オレは、御堂を連れて来た功労者だ! あんな、誰もいない部屋で待ちぼうけを喰らわされるのは約束が違う!」
男の名前は、竹野仁。一応は、モデルの肩書だ。
AHIRUの専属モデルにしてくれと、安蒜のいない東京事務所へ直談判しに来たモデルであるらしい。
彼の誕生には、豊川と安蒜が手掛けるデザイナーベビー・ビジネスが係わっていたこともあり、因縁浅からぬ関係ではある。
――――まぁ、安蒜も豊川も、竹野夫妻の事などとっくに忘れていたが。
しかし、ジンは昔のよしみを強欲にも引き合いに出し、何がなんでも専属モデルを確約してくれと……デザイナーの安蒜昂輝に直接会わせてくれと、かなりしつこく駄々をこねたようだ。
同時期に、豊川の息子を巻き込んだ刃傷沙汰のイザコザも持ち上がり、父親である豊川安生の方も、ジンの要望を断り切れる雰囲気ではなかったようだ。
諦めさせるつもりでリストを渡し、もしもこのリストに載っている何者かの生体データを用意出来るのなら、考えてやってもいいと言い渡したらしいが。
本当にジンは、その条件をクリアしてきた。
そうして、御堂聖を連れてこの島へ辿り着いたわけであるが。
安蒜はそっと豊川へ近付くと、耳打ちをした。
「どうしましょう、豊川さん。あの若者、このままつまみ出しますか?」
「それは素晴らしい! わざわざ来た甲斐があるというものだ!!」
「これ程興奮するショーはない! しかし本当か?」
居並ぶゲスト達の興奮した様子に満足し、安蒜は微笑む。
しかしその時、場に水を差すような大きな音がガタンと鳴った。
髪を七色の派手な色彩に染めた男が、黒服を押しのけるように扉を開けてサロンへ入って来るところだった。
「――お客様、失礼ですが」
制しようとした黒服に取り押さえられながら、男は口を開く。
「オレは、御堂を連れて来た功労者だ! あんな、誰もいない部屋で待ちぼうけを喰らわされるのは約束が違う!」
男の名前は、竹野仁。一応は、モデルの肩書だ。
AHIRUの専属モデルにしてくれと、安蒜のいない東京事務所へ直談判しに来たモデルであるらしい。
彼の誕生には、豊川と安蒜が手掛けるデザイナーベビー・ビジネスが係わっていたこともあり、因縁浅からぬ関係ではある。
――――まぁ、安蒜も豊川も、竹野夫妻の事などとっくに忘れていたが。
しかし、ジンは昔のよしみを強欲にも引き合いに出し、何がなんでも専属モデルを確約してくれと……デザイナーの安蒜昂輝に直接会わせてくれと、かなりしつこく駄々をこねたようだ。
同時期に、豊川の息子を巻き込んだ刃傷沙汰のイザコザも持ち上がり、父親である豊川安生の方も、ジンの要望を断り切れる雰囲気ではなかったようだ。
諦めさせるつもりでリストを渡し、もしもこのリストに載っている何者かの生体データを用意出来るのなら、考えてやってもいいと言い渡したらしいが。
本当にジンは、その条件をクリアしてきた。
そうして、御堂聖を連れてこの島へ辿り着いたわけであるが。
安蒜はそっと豊川へ近付くと、耳打ちをした。
「どうしましょう、豊川さん。あの若者、このままつまみ出しますか?」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
36
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる