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無理やり ★

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しばらく沈黙が流れる。彼は私の頭を撫でながら言った。

「ゆかりさん、ここで何してるんですか?」

もう一度聞かれたので、正直に答えようと思った。でも、いざ話そうとすると言葉が出てこない。

「……それ、見たんでしょう? やっぱり僕、嫌われちゃいましたよね。僕のこと……怖いですか」
「きゃっ!!」

私が何も言えずにいると、彼はいきなり、私を押し倒し覆い被さってきた。両手を押さえつけられて身動きが取れなくなる。必死に抵抗するけれどびくともしない。
彼は悲しそうな顔をしていた。今にも泣き出してしまいそうな、そんな顔だ。それから、ごめんなさいと言った。続けて、好きだと言い続ける。何度も何度も繰り返した。
それでも私は抵抗し続けた。

「や、やめてよ黒太郎くん!」
「嫌ですよ。やめたらどうせ逃げるんでしょう?」

逃げようとすればするほど、強い力で押さえつけられる。力の差がありすぎて全く歯が立たない。
やがて諦めて大人しくなると、ようやく解放された。……これから何をされるんだろう。そう考えるだけで恐怖で体が震えてくる。彼は優しく微笑んだあと、再び私を強く抱き締めてきた。

「ゆかりさんには優しくしたかったけど……。バレちゃったなら仕方ないですね。僕から離れられないようにしないと」
「やっぱり、ストーカーの正体は黒太郎くんなの?」
「……そうですよ。思ったより早くバレちゃったけど。……もっとゆかりさんと恋人でいたかったな」

そう言うと、彼は私の首筋に噛みついてきた。鋭い痛みが走る。噛まれている部分が熱い。痛いのと怖くて涙が出てきた。でも、泣いても許してくれなかった。さらに深くまで歯を突き立てられる。

「痛っ!」

あまりの痛さに思わず叫ぶと、彼は口を離してくれた。私の首から滲み出た血を舐め取られる。傷口に舌先が触れるたびに、ぴりっとするような痛みを感じる。そのまま彼は私の首元を吸い上げた。
唇を塞がれ、生温かい感触とともに鉄のような味が広がる。

キスされている。
そう理解するまで時間がかかってしまった。彼の胸を叩いて抵抗したが、無駄だった。息ができなくて苦しい。頭がぼうっとしてくる。やっと解放されると、今度は服の中に手を入れられた。

「やっ、やだ!」
「なんで嫌なんですか? 昨日はあんなに甘えてくれたのに」

彼の手が止まる気配はない。下着の上から、やわやわと胸を揉まれる。なんとかして止めさせようと身を捩るが、まったく効果はなかった。そのうちに、背中の方へ回った手にブラのホックを外されてしまった。緩くなった隙間から彼の大きな手が入り込んでくる。直接触れられ、敏感になった先端を摘ままれた。

「いや! やめて……!」
「そんなに嫌がられると僕も悲しいんですけど。……どうせこうなるなら、あの時さっさと犯しとけばよかった」
「あの時……?」

聞き返すと、彼は急に表情を変えた。どこか遠くを見つめるような目つきになる。何かを思い出したのか、小さく笑みを浮かべた。そして私の頬に触れながら言った。その瞳には狂気じみた光が宿っているように見えた。

「覚えてないですか? ゆかりさんが僕を助けて泊めてくれた最初の夜、僕あなたのこと襲おうとしてたんですよ。途中で僕が怖気づいちゃって失敗したけど」

最初の夜……って、私が変な夢を見た日のことだ。黒太郎くん相手にあんな夢を見てしまって申し訳ないなんて思ってたけど、じゃあつまり、あれは夢じゃなくて現実だったってこと? ……信じたくない。だって、あの時の黒太郎くんはいつも通りの優しい彼だったはずだ。こんなことをする人だとは思わなかった。

「でも、今度こそちゃんと孕ませれば、嫌でもゆかりさんは僕から離れられなくなりますよね」

彼は平然と言ってのけた。その言葉に背筋が凍る。私は必死に首を横に振った。しかし、彼は止まってくれない。スカートの裾に手をかけ、一気に捲り上げる。露わになった太腿に指先を這わせながら、ゆっくりと上に上がっていく。内腿にまで触れたところで、彼は動きを止めてこちらに視線を向けた。私の反応を楽しむかのように口元に弧を描く。

「や、やめて……」

そしてショーツの端を掴むと、一思いに引き下ろした。慌てて脚を閉じるが、間に割り込むようにして入ってきた彼に阻まれてしまう。そのまま膝の裏を抱えられたかと思うと、ぐいっと持ち上げられて大きく開かされた。恥ずかしいところが全部丸見えになってしまう。
必死に抵抗するけれど、びくともしない。それどころか、もっと強く押さえつけられた。

「やだ! やめて! お願いやめて!」

私が懇願しても、彼は聞く耳を持たない。冷たい目で見下ろしてくるだけだ。それから彼は、私に見せつけるように自分のベルトをカチャリと外した。ズボンの前を寛げて、すでに硬く張り詰めた彼自身を取り出す。私は恐ろしくなって目を逸らした。すると、いきなり秘部に熱いものが押し当てられる。驚いて見下ろすと、いつの間にか彼が覆い被さってきていた。
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