エロゲの妹キャラ(男)に転生した俺、なぜか主人公(姉)に熱い視線を向けられる

Optimumpride

文字の大きさ
5 / 8

5.ヒロイン登場

しおりを挟む
 ゲームのヒロイン、桜木ゆうきが病室に入った。
 赤いロングヘアにツインテール、まっすぐな目つき。いかにも王道な勝気ヒロインの姿をしている。

「ごきげんよう」
「ご、ごきげん、よう?」

 それに対しお姉ちゃんは生返事してしまった。彼女が来ることを予想できなかったからかな?
 確かゲームだとお姉ちゃんが彼女の容貌に見惚れた描写があるから、それを含めた生返事だろう。
 なに気に顔も赤いし、まさか百合ルートはあり?
 俺も一緒に彼女に挨拶を。

「お世話になりました」

 彼女はゲーム通りに来た。そしてここに来る理由は一つしかない。
 お姉ちゃんは平気な返事をした俺を訝しんで、小声で俺に耳打ちした。

「あんたこの美人知ってんのか?」
「誘拐された子だよ、君が助けただろ?」
「あー、あっそうか! 顔ちゃんと見なかったから一瞬わからなかった」

 知っていることこれだけじゃないけど、面白くなりそうだから伏せといた。
 お姉ちゃんには申し訳ないけど、実は俺エロゲのヒロインと主人公が集合したこの場面に興奮しているんだ。
 ずっと覗きたい風景(パラダイス)が目の前に広がっている、サイドキャラの俺が邪魔してはならないんだ! 静かな壁に変身させてもらうぞ!

「あの、お名前は?」
「わたくしは桜木ゆうきと申します。気軽にゆうきと呼んでください、はるき様」
「よろしく、ゆうきちゃん……ってなんでボクの名前を⁉︎」
「失礼ながら少々調べさせてもらいましたわ」
「調べ、えっ?」
「はい、はるき様だけでなく、すばる様もことも存じております」
「俺も⁉︎」
「はい」

 いやっ財閥の力で英家を調べることは知っているんだけど、まさかここで俺のことを名指すとは思ってもみなかった。
 俺なんかのことよりそこにいる主人公(お姉ちゃん)に構ってくれ!

「そ、そうなんだ。じゃあ改めて、ボクは英はるき、そいつは弟のすばるだ。ボクのことは気軽にはるきって呼んでくれ」
「わかりました。よろしくお願いしますわ、はるき様」
「様付けのままなんだ……」

 挨拶を交わして、桜木は来客用の椅子に座る。
 いいぞお姉ちゃん! 俺のことはどうでもいい、君のコミュ力でヒロインを攻略してしまえ!

「ゆうきちゃん大丈夫だったか? あの変なやつになにかされてない?」
「いえ、はるき様とすばる様が助けてくれたのお陰で、わたくしは無事で済みました」
「そりゃよかった。せっかくのかわいい顔が台無しにされたら堪ったもんじゃないよね」
「かわいい……⁉︎」

 おおっエロゲ名物「主人公とイケメンしか許されない褒め殺し」炸裂だぁああああああああ‼︎
 しかも桜木も桜木で一瞬で顔が真っ赤になりやがった! ヒロインらしくチョロさ半端ねぇ! 
 これ百合ルートいける? いっちゃいます? 

「どうしたんだ、顔赤して? まさか怪我が!」
「いえ、そんなことは断じてありません」
「そっか……」

 きちゃーっ! 主人公特性「鈍感」の発動だっ!
 バッカだなお姉ちゃん彼女は褒められて恥ずかしがってるんだよ!

「すばる様、はるき様はこんいう人なのでしょうか?」
「うん、嘘偽りない本心だから余計に……」
「困ったものですわね」

 わかるよ、わかるぜ桜木。

「あんたたちなんの話⁉︎」
「お姉ちゃんはどうしようもないバカっていう話だよ」
「なんで⁉︎」

 桜木はため息をついて、

「先生たちになにか薬を出させるべきかしら」
 
 と愚痴を漏らした。

「あっ、医者と言えば! さっきから色んなわかんない検査をさせられたけど、もしかしてあんたはなにか知ってるか?」
「知っているとは言えませんが、でも先生たちに貴方の診断を任せたのはわたくしですわ」
「そっか知らないのか」

「やっぱり高いんじゃあ……」とぶつぶつと呟くお姉ちゃん。心配が顔に出てるぞ。
 彼女の顔に気づいて、桜木は不思議そうに続く、

「何事を心配しているのかは知りませんが、我が財閥の名に賭けて、はるき様を困らせることにはさせませんわ」
「財、閥?」
「あら、桜木財閥のことをご存知でない?」

 お姉ちゃんがきょうとんとした。そこもまた原作通りで感動すら思える。
 このままだとかわいそうなので俺は耳打ちした。

「知ってるか、桜木財閥」
「あれだろ、金融とか家電とかやってるあの」
「桜木さんはあそこの経営者の一人娘なんだよ」

 日本を牛耳る桜木財閥の一人娘である超お嬢様キャラ、それが桜木ゆうきだ。
 ストーリー舞台のお嬢様しかいないエトワール女学院の中でもトップクラスの出身で、他の生徒に恐れられている。
 いかにもお嬢様学園物の王道な設定だ。

「なるほど、だから桜木って苗字……えぇええええええええええええ⁉︎」

 絵に描いたような驚く反応だな、流石。

「ゆうきちゃん、いやっゆうきさんってそんなにすごい人なんすか⁉︎」
「すごいとは言い切れませんが、我が財閥は貴方たちを全力でサポートしますので、怪我の後遺症はもちろん、医療費なども心配ご無用ですわ」
「医療費が⁉︎」
「もし先生の腕が心配なのでしたらそこもご安心を。わたくしの知っている医者の中でも一番腕利きのいい医者のみに頼みましたから」
「一番の⁉︎」
「もしくは……」
「待ってください! ボクは見ての通りピンピンしてるっすよ⁉︎ そこまでしなくても!」
「そうとはいきません。もし恩人である貴方たちになにかがありましたら、それは桜木財閥の恥になってしまいます。どんな些細なことでも見逃せませんわ」
「そんな……」

 不思議だな、助けられた側が助けられたことに絶望しているのはなんでだろう。うちの姉は不憫であった。

「諦めなお姉ちゃん、金持ちの世界は俺たちのとは違うんだ」
「なんであんたは余裕なんだよ」

 俺はただの壁なので、壁に感情はない。

「もしかして、わたくしの行動はご迷惑だったのでしょうか?」

 お姉ちゃんが余りにも驚いたから、桜木が心配そうに聞いた。

「そうじゃないんすよ、色々が一気に押し寄せてきて、うまく処理できないっていうか」
「ごめんなさい。わたくし、同年代の友人が少ないことを相まって、正しい対応という物には疎く」
「ゆうきさん……」
「もし本当にご迷惑だったとしたらおっしゃってください、今すぐ退院できるように手配しますわ。もちろん後処理もわたくしが責任を取ります」

 桜木は生まれのせいもあって、ただでさえ凡人離れした思考と財力を持っているのに、同じ金持ちでも家の格の違いに怯えて、大部分の人は彼女と友だちになろうとしない。
 その弱みは悲しいことにこの場でバレてしまうことになった。
 俺は恐る恐るお姉ちゃんの方を見る。彼女に桜木の心の底を察して欲しかった。

「あーもう!」

 パチッ!
 お姉ちゃんが自分の頬を叩く音が部屋中に響く。

「はるき様?」
「ゆうきさ、いやっゆうきちゃん! ボクはまだあんたに言ってないことがある!」
「はい?」
「ボクとすばるのことを心配してくれてありがと! あんたの気持ち、めっちゃ嬉しかった!」
「そうなのでしょうか」
「うん! だからそんな寂しいことを言うな! ボクとあんたはもう友だちだ!」
「わたくしと、友人となってくださるのですか?」
「もちろん! なぁすばる!」

 えっ俺⁉︎

「あ、うん! 桜木さんは俺の友だちでもあるのですから!」
「はるき様、すばる様……!」

 やはり我が姉は優しい。ちゃんと桜木のことを察してくれる、ラブコメ主人公の鑑だ。

「わたくしは迷惑をかけてもいいのでしょうか?」
「迷惑だと思ってねぇし、ボクはいつでも歓迎だぜ!」
「はるき様、ありがとうございますわ!」

 ちょっと形は違うけれど、主人公とヒロインが友情を結ぶシーンが目の前で再現されて、ファンとしては感激しかない。
 この世界に転生したことに感謝の極みであります。

「それでしたら、もうひとつだけ迷惑を言わせてください」
「おお! なんでも来い!」

 本能でこれからする話を理解した。
 これは多分俺がずっと待っていた「あれ」のことだ。

「はるき様、エトワール女学院に転入しませんか?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラスで一番人気者の女子が構ってくるのだが、そろそろ僕がコミュ障だとわかってもらいたい

みずがめ
恋愛
学生にとって、席替えはいつだって大イベントである。 それはカースト最下位のぼっちである鈴本克巳も同じことであった。せめて穏やかな学生生活をを求める克巳は陽キャグループに囲まれないようにと願っていた。 願いが届いたのか、克巳は窓際の後ろから二番目の席を獲得する。しかし喜んでいたのも束の間、彼の後ろの席にはクラスで一番の人気者の女子、篠原渚が座っていた。 スクールカーストでの格差がありすぎる二人。席が近いとはいえ、関わることはあまりないのだろうと思われていたのだが、渚の方から克巳にしょっちゅう話しかけてくるのであった。 ぼっち男子×のほほん女子のほのぼのラブコメです。 ※あっきコタロウさんのフリーイラストを使用しています。

距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる

歩く魚
恋愛
 かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。  だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。  それは気にしてない。俺は深入りする気はない。  人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。  だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。  ――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

隣の席のクールな銀髪美少女、俺にだけデレるどころか未来の嫁だと宣言してきた

夏見ナイ
恋愛
平凡な高校生、相沢優斗。彼の隣の席は『氷の女王』と噂のクールな銀髪美少女、雪城冬花。住む世界が違うと思っていたが、ある日彼女から「私はあなたの未来の妻です」と衝撃の告白を受ける。 その日から、学校では鉄壁の彼女が、二人きりになると「未来では当然です」と腕を組み、手作り弁当で「あーん」を迫る超絶甘々なデレモードに! 戸惑いながらも、彼女の献身的なアプローチに心惹かれていく優斗。これは未来で結ばれる運命の二人が、最高の未来を掴むため、最高の恋をする糖度MAXの青春ラブコメディ。

罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。 だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。 それで終わるはずだった――なのに。 ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。 さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。 そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。 由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。 一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。 そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。 罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。 ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。 そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。 これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。

小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!

竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」 俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。 彼女の名前は下野ルカ。 幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。 俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。 だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている! 堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!

友達の妹が、入浴してる。

つきのはい
恋愛
 「交換してみない?」  冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。  それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。  鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。  冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。  そんなラブコメディです。

処理中です...