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17 瓶に入れられやってきたペット
「えっ、知らなかったのアリサ嬢さん?」
メイドの中でも夫人付きの何人かが今更、とばかりに笑った。
「あー、やだ、どうしたの、手の甲が青くなってるじゃない」
「扉に叩きつけられたから……」
「あー…… 嫌なタイミングだったのねえ、ほら、あのでかい壺、瓶だっけ? あれが来たじゃない」
「ええ」
「あの中に、綺麗な子供を一人入れていたのよ」
「は?」
「いや、実際のところ私達も判らないわよ。でも、言われて洗わされたのよ。黄色い肌の男の子」
「黄色なの?」
「褐色じゃないわね。それに目も細いし。チャイナじゃない?」
よく知らないけど、と彼女は付け加えた。
「ベッドに居たけど」
「あはは、そりゃあペットだからベッドに居たんでしょうねえ」
私は無言で顔をしかめた。
少年をペットにするって。
しかもベッドの中で。
父は知ってるのだろうか?
「いや、そんな顔しないの」
「でも、何を」
「何って言うか…… 洗えと言われたから、洗ったんだけど、まあ肌が綺麗よね! きめ細かいのよ! 男の子だっていうのに、何なのあのしっとりした肌! それに、ほら、私達の知ってる子供達より大人しくって、何でも言うこと聞くみたいな。そういうのをどっかからか手に入れて、……っての、ちょいちょい話に聞くのよ。うちにも来てたなんてびっくりだったけどね」
「ちょっとハッティ、喋りすぎ!」
「別にいいじゃないロッティ。たまたまアリサ嬢さんは知らなかっただけで、そのうち目にすることはあるだろうし。ああ、でも洗わせるのは無いと思うわ」
「どうして?」
「歳があまり変わらないから」
「え?」
「向こうの子って何か、こっちと全然身体の育ちが違うんだって。それに、その中でもまた大きくなりにくい男の子もいるって噂。噂よ」
ああそうか。
メイド情報網だ。
「あの、じゃあ、あちこちの家でそういう噂は立ってるってこと?」
「そらそうよ。でも知らないことにしているだけ。アリサ嬢さん色々知りたいこと多そうだけど、何かあったら聞いておくよ」
「だからハッティったら」
「いいじゃんロッティ」
「じゃあ、昔のおかしな頃のハイロール男爵家を知ってるひと居ないか、って」
「何それ。おかしな頃?」
「おかしな嬢さん。でもいいわ。それだけで流せば、何か流れてくるよ」
ありがとう、と私はハッティとロッティに言った。
そうだ、こっちの情報網もあったんだ。
私は思い出した。
自分がメイドだという意識と、「嬢さん」という意識とがぶつかりあって、こちら側のことまで頭が回らなかった。
メイド達がそれぞれの家に関する噂話をしあうのはよくあることだ。
それが手紙だったり、注文を取る店ごしだったり手段は様々だが、ともかくその量はなかなか膨大なものがある。
曖昧でぼんやりとした疑問に、果たしてどれだけ食いついてくれるか。
私はあまり期待はせず、それでも流してみた。
メイドの中でも夫人付きの何人かが今更、とばかりに笑った。
「あー、やだ、どうしたの、手の甲が青くなってるじゃない」
「扉に叩きつけられたから……」
「あー…… 嫌なタイミングだったのねえ、ほら、あのでかい壺、瓶だっけ? あれが来たじゃない」
「ええ」
「あの中に、綺麗な子供を一人入れていたのよ」
「は?」
「いや、実際のところ私達も判らないわよ。でも、言われて洗わされたのよ。黄色い肌の男の子」
「黄色なの?」
「褐色じゃないわね。それに目も細いし。チャイナじゃない?」
よく知らないけど、と彼女は付け加えた。
「ベッドに居たけど」
「あはは、そりゃあペットだからベッドに居たんでしょうねえ」
私は無言で顔をしかめた。
少年をペットにするって。
しかもベッドの中で。
父は知ってるのだろうか?
「いや、そんな顔しないの」
「でも、何を」
「何って言うか…… 洗えと言われたから、洗ったんだけど、まあ肌が綺麗よね! きめ細かいのよ! 男の子だっていうのに、何なのあのしっとりした肌! それに、ほら、私達の知ってる子供達より大人しくって、何でも言うこと聞くみたいな。そういうのをどっかからか手に入れて、……っての、ちょいちょい話に聞くのよ。うちにも来てたなんてびっくりだったけどね」
「ちょっとハッティ、喋りすぎ!」
「別にいいじゃないロッティ。たまたまアリサ嬢さんは知らなかっただけで、そのうち目にすることはあるだろうし。ああ、でも洗わせるのは無いと思うわ」
「どうして?」
「歳があまり変わらないから」
「え?」
「向こうの子って何か、こっちと全然身体の育ちが違うんだって。それに、その中でもまた大きくなりにくい男の子もいるって噂。噂よ」
ああそうか。
メイド情報網だ。
「あの、じゃあ、あちこちの家でそういう噂は立ってるってこと?」
「そらそうよ。でも知らないことにしているだけ。アリサ嬢さん色々知りたいこと多そうだけど、何かあったら聞いておくよ」
「だからハッティったら」
「いいじゃんロッティ」
「じゃあ、昔のおかしな頃のハイロール男爵家を知ってるひと居ないか、って」
「何それ。おかしな頃?」
「おかしな嬢さん。でもいいわ。それだけで流せば、何か流れてくるよ」
ありがとう、と私はハッティとロッティに言った。
そうだ、こっちの情報網もあったんだ。
私は思い出した。
自分がメイドだという意識と、「嬢さん」という意識とがぶつかりあって、こちら側のことまで頭が回らなかった。
メイド達がそれぞれの家に関する噂話をしあうのはよくあることだ。
それが手紙だったり、注文を取る店ごしだったり手段は様々だが、ともかくその量はなかなか膨大なものがある。
曖昧でぼんやりとした疑問に、果たしてどれだけ食いついてくれるか。
私はあまり期待はせず、それでも流してみた。
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