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まくし立てる金髪男ダッシュに、はあ、と俺達はうなづいた。
「……空間管理局?」
話の途中で耳栓を取った佐久田は、どうやら胡乱な単語を聞き取ったらしい。
眼鏡の奥の瞳が訝しげに光る。
俺も耳栓を外した。
どうやらこの男の言葉が聞き取れないのは、耳栓のせいだけじゃなさそうだ。
「や、実はワタシ、違法に惑せい体を作る連中を摘発する係なんです。アナタ方の言葉では『おまわりさん』です。何ですかまあ、最近ギャンブル目的で使われることが多くて、困ったもんですよ」
「……だからそれ、何だってんだよ!」
相手の口調があまりにも脳天気なことに俺は苛立った。
「ソレとは何ですか」
「聞き取れない所が多い」
佐久田は補足する。
あー、と金髪男ダッシュは納得した様に首を縦に振る。
「それに惑せい体、というのは惑星・体なのか? 惑・生体なのか?」
低く、そして冷静に佐久田は問いかける。
奴は怒っている。
いや当然か。
すると相手は口元をにっと上げると小首を傾げた。
こいつがやっても可愛く無い。
「詳しく言うと長くなりますが」
「じゃあ短く!」
俺は叫んだ。
「短く言うとあなた方には理解できないかと」
「どっちでもいいからさっさと言え!」
とうとう切れた佐久田に、ははははははは、と金髪男ダッシュは笑った。
「では手短に」
「……一言でもいい」
俺は佐久田の肩をぽんぽんと叩く。
「ではまずアナタ方の最大の心配ごとから」
こほん、と咳払い一つ。
「アナタ方は、もう戦う必要はありません」
「え、本当?」
思わず俺は身体を乗りだした。
「はい、犯人は捕まりましたし」
「犯人」
だからその「犯人」は何処から出てくるんだ。
事情を最初から説明する様に佐久田は低い声で促す。
自称「おまわりさん」は、そうですね、と前置きをして話し出した。
「そもそも惑せい体は、許可申請を出した実験施設か、農産物等の生産にしか使ってはいけない筈なのですよね。内部での知的生命体の進化は***法によって***に****で**に禁じられています。と言ってもやる輩が多いからワタシの様な者が居るのですがねー」
はははははは。
だからその惑せい体って。
「ともかく戦う必要ナシ。こっちも事件解決。良かったですねー」
確かにそこは。
解決か。
俺は胸を撫で下ろす。
「あ」
思い出した様に金髪男ダッシュは腕に付けられた冊子らしきもののページを繰る。
何となく腕そのものからめくっている様にも見える。
そして再び両手を挙げた。
「すーいーませんー」
「……今度は何だ」
佐久田の眼鏡がぎらりと光る。
まさかこいつ、そこにレーザーでも仕込んでいないだろうな。
「えー、申し訳ないことに、アナタ方はどーも解決はしても元の惑せい体には戻れないようですー」
「は?」
俺達の声が揃った。
「……空間管理局?」
話の途中で耳栓を取った佐久田は、どうやら胡乱な単語を聞き取ったらしい。
眼鏡の奥の瞳が訝しげに光る。
俺も耳栓を外した。
どうやらこの男の言葉が聞き取れないのは、耳栓のせいだけじゃなさそうだ。
「や、実はワタシ、違法に惑せい体を作る連中を摘発する係なんです。アナタ方の言葉では『おまわりさん』です。何ですかまあ、最近ギャンブル目的で使われることが多くて、困ったもんですよ」
「……だからそれ、何だってんだよ!」
相手の口調があまりにも脳天気なことに俺は苛立った。
「ソレとは何ですか」
「聞き取れない所が多い」
佐久田は補足する。
あー、と金髪男ダッシュは納得した様に首を縦に振る。
「それに惑せい体、というのは惑星・体なのか? 惑・生体なのか?」
低く、そして冷静に佐久田は問いかける。
奴は怒っている。
いや当然か。
すると相手は口元をにっと上げると小首を傾げた。
こいつがやっても可愛く無い。
「詳しく言うと長くなりますが」
「じゃあ短く!」
俺は叫んだ。
「短く言うとあなた方には理解できないかと」
「どっちでもいいからさっさと言え!」
とうとう切れた佐久田に、ははははははは、と金髪男ダッシュは笑った。
「では手短に」
「……一言でもいい」
俺は佐久田の肩をぽんぽんと叩く。
「ではまずアナタ方の最大の心配ごとから」
こほん、と咳払い一つ。
「アナタ方は、もう戦う必要はありません」
「え、本当?」
思わず俺は身体を乗りだした。
「はい、犯人は捕まりましたし」
「犯人」
だからその「犯人」は何処から出てくるんだ。
事情を最初から説明する様に佐久田は低い声で促す。
自称「おまわりさん」は、そうですね、と前置きをして話し出した。
「そもそも惑せい体は、許可申請を出した実験施設か、農産物等の生産にしか使ってはいけない筈なのですよね。内部での知的生命体の進化は***法によって***に****で**に禁じられています。と言ってもやる輩が多いからワタシの様な者が居るのですがねー」
はははははは。
だからその惑せい体って。
「ともかく戦う必要ナシ。こっちも事件解決。良かったですねー」
確かにそこは。
解決か。
俺は胸を撫で下ろす。
「あ」
思い出した様に金髪男ダッシュは腕に付けられた冊子らしきもののページを繰る。
何となく腕そのものからめくっている様にも見える。
そして再び両手を挙げた。
「すーいーませんー」
「……今度は何だ」
佐久田の眼鏡がぎらりと光る。
まさかこいつ、そこにレーザーでも仕込んでいないだろうな。
「えー、申し訳ないことに、アナタ方はどーも解決はしても元の惑せい体には戻れないようですー」
「は?」
俺達の声が揃った。
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