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6.
しおりを挟む閉店後の掃除を速水くんにひと通り教えながらこなしていく。
受験が終わってすぐにバイト入ってて良かった。何なら春休みの間、週5でバイト入ってて良かった。
そのおかげで今、速水くんに対して物怖じしないでスムーズに教えられる。私、出来る先輩みたいじゃない?
週5でバイトに入っていたことについて伊沢くんにはちょっとクレームを言われた。でもしょうがないじゃん?伊沢くんだって引越があったし、生活落ち着くまで私が会いに行くとか伊沢くんが会いに来るとか難しいし。
予定を空けたところで結局暇になるのは目に見えていた。会いに来れないのに彼氏ヅラされるのも、ちょっと何だかなあ、とか思う私ってひどいのかな。
「速水くん、時間まだいい?」
エプロンを畳んでいる彼に店長が声を掛けた。
「ここは皆、仕事の後にドリンク飲みながらおしゃべりしていくんだ」
え、と一瞬彼の表情が引き攣ったのがわかった。そうだよね。私も最初はさっさと帰りたいとか思っていたよ。
でも案外ね、バイトの後の真夜中のおしゃべりって楽しいんだよ。
店の奥から速水くんが大人しくキッチンに戻ってきた。私はアイスミルクコーヒー氷抜き、速水くんはコーラにレモンスライスを入れた。
今なら速水くんに、お母さんの名前が聞けるかな?
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