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4.
しおりを挟む「知らずに同じ大学の野球部に2人とも入ったんだ」
「それ運命じゃない?」
花音のオムライスがもう残り少ない。食べるの早いな。
「付き合ってんの?」
百永がラーメンを口から吐きかけた。何とか口の中で事件は収められたみたいだけど、ラーメンを吐かないのは女子の意地だよね。
「ちょ、桃歌……」
お水を口にして深呼吸する百永は、息を整えようと試みていた。
「──百永?」
百永の頭上から低い声が降ってきた。皆一斉に見上げると、陽に焼けた長身の、体格の良さそうな男子がそこにいた。彼の姿を視界に入れた百永は再び頬を染めた。さっきよりもより紅く。
「え、永翔くん……」
「今日のミーティング、17時からに変更だって」
「あ、ありがとう」
「お前大丈夫?」
「へっ?」
「さっきラーメン吐きかけてなかった?」
「吐きかけてない!」
「ふーん。じゃな」
私達と同じく数人で行動していたであろう彼は、その集団へと戻っていった。百永に視線を集中している皆のにやにやが止まらない。
「部活の恋かあ。いいなあ」
花音が遠い目をして最後のオムライスを食べ切った。
「花音も何か入ったら?桃歌も」
さっきの赤面はどこに行ったのか。表情を整えた百永が明るく言い放った。亜樹と百永とは違い、花音も私も部活やサークルには無所属だった。
「出会い目的で入るのは、何だかなあって思っちゃうんだよね」
一応私、彼氏いるしね。彼氏いるのに出会い目的って思われるのも今後の大学生活に響きそうだし?
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