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第二章 ダンジョン都市ティリアン
第一話 あ、久しぶり!
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「よし、ついにティリアンだ!」
ティリアンを囲む塀と出入り口の門が見えたことで、思わず叫んでしまった。
ティリアンの塀の高さは五メートルほど、門は七メートルほどで、他の街と比べるとかなり高くなっている。
ティリアンはダンジョン都市として多くの人が集まる為、入るにはそれなりに並ばないといけない。俺は十五分ほど並んでからようやく中に入ることが出来た。
「確かにこれは街じゃなくて都市だな……」
まずは建物。グランでは基本二階建てで、稀に三階建てだった。しかし、ここでは三階建てなんて当たり前、四、五階建ての建物もそれなりにあった。
更に、道幅もグランでは七メートルほどだったが、ここではその倍の十五メートルほどであった。そして、その道もグランでは土を押し固めて作られた道だったが、ここでは石畳で作られた道だった。
「一先ずダンジョンの詳しい情報を集める為に冒険者ギルドに行くか」
親切に門のすぐ横にティリアンの地図が貼られてあった。俺はそれで冒険者ギルドとダンジョンの場所を確認してからそれをもとに冒険者ギルドへ向かった。
「でかいなここの冒険者ギルド」
グランの冒険者ギルドは二階建てだったが、ここの冒険者ギルドは四階建てだった。
俺はドキドキしつつも中に入った。
「なるほど……結構広いな……」
冒険者ギルドの横幅はグランの冒険者ギルドと同じくらいなのだが、奥行きが全然違う。大体三倍くらいはあるのではないだろうか…
そして、その分中にいる冒険者の数も多かった。
「さてと……ダンジョンのパンフレットとかって置いてないのかな?」
そう言いながら辺りを見回していると後ろから声をかけられた。
「お、ユート。お前もここに来てたのか」
振り返ると、そこにいたのはライザ、サルト、ニナの三人だった。三人とはDランク昇格試験の時に一緒に試験を受けた仲で、その時の三人の連係には目を見張るものがあった。
「ライザたちもいたのか。俺はさっきティリアンに来て、今はダンジョンの詳しい情報が欲しくてここに来たんだ」
「そうなのか……だったら俺たちが教えてやるよ。盗賊と戦った時、お前のおかげでみんな無傷で勝つことが出来たんだ。その礼としてタダで教えてやるよ」
と、気前よくダンジョンについて教えてもらうことになった。
「ま、立ち話もあれだし酒場に行くか」
俺たちはライザの言葉に頷くと酒場の席に座り、俺は果汁水を、三人はアルコールが薄めの酒を頼んだ。
足を組みながら酒を飲むというちょっとカッコつけたポーズを取っているライザが、
「では、ダンジョンについて教えてあげよう」
と言ったことでダンジョンについての話が始まった。
数十分で俺はダンジョンについてかなり詳しくなった。長話になってしまったが、聞いたことを要約するとこうだ。
・ダンジョンは下の階層に行くにつれて出てくる魔物も強くなる。
・最下層までたどり着けた人はいないが、現在の到達点は歴代勇者が到達した七十階層である。
・ダンジョンの魔物の死骸は直ぐに塵になってしまう為、取れる素材は魔石しかない。
・ダンジョンには罠がある為、その警戒も必要。
・ダンジョン内で寝る場合は魔物が出現しない階層と階層の間にある階段にすること。
どれも聞いててよかったと思う情報ばかりだ。
ライザたちはさっきダンジョンから出てきたばかりで、これから魔石を売りに行くとのことだ。その際、ライザから「明日一緒に行くか?」と誘われた。戦力としてなら俺一人でも十分なのだが、初めてのダンジョンということで少し不安もあったので一緒に行くことにした。
因みに集合場所はダンジョン前の広場で、集合時間は午前八時だ。
その後、俺はライザたちと別れると冒険者ギルドを出た。
「ん~魔道具の専門店ってここにはないのかな?」
俺が知っているのだと気配を隠す魔道具や通信石という携帯電話みたいな魔道具だ。
何か使えそうなものがあったら買っておきたいと思った俺は道行く人に「ティリアン最高の魔道具屋ってどこですか?」と聞いてみたら、「サラン商会の魔道具専門店だな。この道をまっすぐ進めばあるよ」と丁寧に教えてくれた。それを聞いた俺は礼を言うと小走りで向かった。
(凄いなここ……)
魔道具専門店に入った俺は店内に所せましと並んでいる魔道具をおもちゃ屋に来た子供のようにキョロキョロと見ていた。
暫くしてから俺が目を付けたのは手のひらサイズで、青白く光る魔石のような石だった。
「んーと……気配隠蔽LV.5の魔道具か。値段は……げ、五百五十万セル…」
どうやら魔道具というのは俺が予想していた以上に高いものだった。そう思うと今着ている服は相当安い部類のものだったと思い知らされた。
一応これは気配隠蔽の魔道具の中では一番効果のあるものなのだが、それにしても高い。まあ、実質的にスキルを増やせるようなものなので、この値段でもどこか納得できてしまう自分がいる。
「んー他には……お、これなんか面白そうだな」
俺が次に目を付けたのは身に着けると顔と声を変えることが出来るネックレス型の魔道具だ。
(これがあれば神の涙に見つからないんじゃね?)
過去に神の涙の連中と戦った時は襲われる前に近くにいることに気づいたり、堂々と出て来てくれたから、こっちも態勢を整えて戦うことが出来た。
しかし、人通りの多い場所で殺気を消して近づかれて心臓をぐさりなんてされたらどうやっても勝てない。前に神の涙の連中が使っていた一度だけ攻撃を防ぐやつでもいいのだが、俺の場合何度も襲われているのでそれだと金がもたない可能性が高い。だったらもういっそのこと顔と声を変えて、襲われることそのものをなくしてしまえばいいと思ったのだ。
俺はこの魔道具を七百万セルという大金で買うと早速使ってみた。
ティリアンを囲む塀と出入り口の門が見えたことで、思わず叫んでしまった。
ティリアンの塀の高さは五メートルほど、門は七メートルほどで、他の街と比べるとかなり高くなっている。
ティリアンはダンジョン都市として多くの人が集まる為、入るにはそれなりに並ばないといけない。俺は十五分ほど並んでからようやく中に入ることが出来た。
「確かにこれは街じゃなくて都市だな……」
まずは建物。グランでは基本二階建てで、稀に三階建てだった。しかし、ここでは三階建てなんて当たり前、四、五階建ての建物もそれなりにあった。
更に、道幅もグランでは七メートルほどだったが、ここではその倍の十五メートルほどであった。そして、その道もグランでは土を押し固めて作られた道だったが、ここでは石畳で作られた道だった。
「一先ずダンジョンの詳しい情報を集める為に冒険者ギルドに行くか」
親切に門のすぐ横にティリアンの地図が貼られてあった。俺はそれで冒険者ギルドとダンジョンの場所を確認してからそれをもとに冒険者ギルドへ向かった。
「でかいなここの冒険者ギルド」
グランの冒険者ギルドは二階建てだったが、ここの冒険者ギルドは四階建てだった。
俺はドキドキしつつも中に入った。
「なるほど……結構広いな……」
冒険者ギルドの横幅はグランの冒険者ギルドと同じくらいなのだが、奥行きが全然違う。大体三倍くらいはあるのではないだろうか…
そして、その分中にいる冒険者の数も多かった。
「さてと……ダンジョンのパンフレットとかって置いてないのかな?」
そう言いながら辺りを見回していると後ろから声をかけられた。
「お、ユート。お前もここに来てたのか」
振り返ると、そこにいたのはライザ、サルト、ニナの三人だった。三人とはDランク昇格試験の時に一緒に試験を受けた仲で、その時の三人の連係には目を見張るものがあった。
「ライザたちもいたのか。俺はさっきティリアンに来て、今はダンジョンの詳しい情報が欲しくてここに来たんだ」
「そうなのか……だったら俺たちが教えてやるよ。盗賊と戦った時、お前のおかげでみんな無傷で勝つことが出来たんだ。その礼としてタダで教えてやるよ」
と、気前よくダンジョンについて教えてもらうことになった。
「ま、立ち話もあれだし酒場に行くか」
俺たちはライザの言葉に頷くと酒場の席に座り、俺は果汁水を、三人はアルコールが薄めの酒を頼んだ。
足を組みながら酒を飲むというちょっとカッコつけたポーズを取っているライザが、
「では、ダンジョンについて教えてあげよう」
と言ったことでダンジョンについての話が始まった。
数十分で俺はダンジョンについてかなり詳しくなった。長話になってしまったが、聞いたことを要約するとこうだ。
・ダンジョンは下の階層に行くにつれて出てくる魔物も強くなる。
・最下層までたどり着けた人はいないが、現在の到達点は歴代勇者が到達した七十階層である。
・ダンジョンの魔物の死骸は直ぐに塵になってしまう為、取れる素材は魔石しかない。
・ダンジョンには罠がある為、その警戒も必要。
・ダンジョン内で寝る場合は魔物が出現しない階層と階層の間にある階段にすること。
どれも聞いててよかったと思う情報ばかりだ。
ライザたちはさっきダンジョンから出てきたばかりで、これから魔石を売りに行くとのことだ。その際、ライザから「明日一緒に行くか?」と誘われた。戦力としてなら俺一人でも十分なのだが、初めてのダンジョンということで少し不安もあったので一緒に行くことにした。
因みに集合場所はダンジョン前の広場で、集合時間は午前八時だ。
その後、俺はライザたちと別れると冒険者ギルドを出た。
「ん~魔道具の専門店ってここにはないのかな?」
俺が知っているのだと気配を隠す魔道具や通信石という携帯電話みたいな魔道具だ。
何か使えそうなものがあったら買っておきたいと思った俺は道行く人に「ティリアン最高の魔道具屋ってどこですか?」と聞いてみたら、「サラン商会の魔道具専門店だな。この道をまっすぐ進めばあるよ」と丁寧に教えてくれた。それを聞いた俺は礼を言うと小走りで向かった。
(凄いなここ……)
魔道具専門店に入った俺は店内に所せましと並んでいる魔道具をおもちゃ屋に来た子供のようにキョロキョロと見ていた。
暫くしてから俺が目を付けたのは手のひらサイズで、青白く光る魔石のような石だった。
「んーと……気配隠蔽LV.5の魔道具か。値段は……げ、五百五十万セル…」
どうやら魔道具というのは俺が予想していた以上に高いものだった。そう思うと今着ている服は相当安い部類のものだったと思い知らされた。
一応これは気配隠蔽の魔道具の中では一番効果のあるものなのだが、それにしても高い。まあ、実質的にスキルを増やせるようなものなので、この値段でもどこか納得できてしまう自分がいる。
「んー他には……お、これなんか面白そうだな」
俺が次に目を付けたのは身に着けると顔と声を変えることが出来るネックレス型の魔道具だ。
(これがあれば神の涙に見つからないんじゃね?)
過去に神の涙の連中と戦った時は襲われる前に近くにいることに気づいたり、堂々と出て来てくれたから、こっちも態勢を整えて戦うことが出来た。
しかし、人通りの多い場所で殺気を消して近づかれて心臓をぐさりなんてされたらどうやっても勝てない。前に神の涙の連中が使っていた一度だけ攻撃を防ぐやつでもいいのだが、俺の場合何度も襲われているのでそれだと金がもたない可能性が高い。だったらもういっそのこと顔と声を変えて、襲われることそのものをなくしてしまえばいいと思ったのだ。
俺はこの魔道具を七百万セルという大金で買うと早速使ってみた。
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