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第二章

14:反響

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【集え】第6回近接術大会実況スレpart2【ツワモノ共よ】


122:名無しがお送りいたします
田中はよく頑張った

123:名無しがお送りいたします
アイツは俺達中年オヤジの希望の星だよ。まあ一瞬で負けてたけど

124:名無しがお送りいたします
試合後、会場の屋台でやけ酒してて草

125:名無しがお送りいたします
ルイン相手は仕方ない。打つ手がないもの

126:名無しがお送りいたします
魔法には魔力で対抗できなきゃ一方的に殴られるだけだしな。実際ルインの魔力を散らせなかったから、氷の弾丸を砕いてたら武器を冷却されて碌に持てなくさせられてたし

127:名無しがお送りいたします
運を味方に付けて勝ち上がっていったようなもんだし、運の余地が介在しない本物の実力者相手ならまあそうなるわなって感じ

128:名無しがお送りいたします
むしろ王竜水の一撃を一回防いだり、ルインの氷の弾丸を何度か防いだりできただけでも褒められるべきだろ

129:名無しがお送りいたします
腕自体は悪くなかったし、スキルが増えたら化けるかもなー

130:名無しがお送りいたします
次は狐面VS竜水か。クッソ楽しみなんだが

131:名無しがお送りいたします
狐面はまだ色々隠し持ってそうなんだよな。

132:名無しがお送りいたします
ルインの時の空中ジャンプは見た時顎が外れたレベルだったわ

133:名無しがお送りいたします
殺傷力も高くて機動力も高いとか、首狩りの異名に適正(適性)在り過ぎて草

134:名無しがお送りいたします
尚本人は微妙な表情の模様

135:名無しがお送りいたします
首狩りって言われる度にしかめっ面してるの分かりやすいな

136:名無しがお送りいたします
流石に王竜水が勝つだろ。アイツ今まで本気を一切出さずに余裕で勝ち上がってきてんだぜ。地力が違い過ぎる

137:名無しがお送りいたします
無所属の冒険者と超有名クランの期待の新人。普通なら勝ち目なんてある訳ないんだが、正直期待してしまうな

138:名無しがお送りいたします
クラン所属のメリットは経験や設備の差だろ?設備は大会には関係ないし、経験も狐面としての功績もあるしちゃんと積んできてる。むしろ王の方は実力にかまけて本気出さずに油断して足を掬われそう

139:名無しがお送りいたします
狐面信者うぜえ。王竜水にはあんなぽっと出野郎とっととぶっ潰して心を折ってほしい。この業界はガキが這い上がっていける程うまくいかないってことをとっとと分からせてやれ

140:名無しがお送りいたします
>139 コンプレックスを前面に押し出す文章、嫌いじゃないけど好きでもないよ
俺の中じゃどっちも五分五分だし、早く試合が見たいよ

141:名無しがお送りいたします
噂じゃあのガキ冒険者始めたのが8月くらいらしい、絶対何か不正してるだろ

142:名無しがお送りいたします
カナメたんをブルーレイクから奪ったクソ野郎に鉄槌を

143:名無しがお送りいたします
カナメって誰だよ

144:名無しがお送りいたします
美少女冒険者パーティーのブルーレイクのマスコットキャラだった女冒険者。辞めて別のパーティーに移籍したが、その移籍先がカミノの所なんじゃないかって噂になってる

145:名無しがお送りいたします
スレチだから他所でやれ。ここは大会の実況用スレだぞ

146:名無しがお送りいたします
カミノ関連のスレでユニコーンが大量に湧いてアンチ活動してて草

147:名無しがお送りいたします
冒険者相手によくやるよ。一歩間違えたら即前科持ちやぞ

148:名無しがお送りいたします
うおおおおカミノ!応援するぞおおお!

149:名無しがお送りいたします
ぽっと出野郎に負けるな王!お前が王だ!

150:名無しがお送りいたします
盛り上がってきたああああああ11

151:名無しがお送りいたします
元ニートが見守ってるぞ、狐面!!!






「ついにこの時が来たか…!」

 響き渡る大声援の中、ユーゴは身を乗り出して眼下の舞台に上がった一人の少年に注目していた。

「志島押しの大門寺弘雷、ヴォルフ押しの篠藤、ルーファ押しのルイン…後は我覇真さん押しの王竜水を倒すだけだぞ!ここまで来たら俺にとことんマウントを取らせてくれよ、坊主!」
「性格わっる…」
「楽しそうで結構だなー」
「はあ…この人のこういう所、苦手だなぁ…」

 ルーファが思わずキャラを崩してぼそりと呟き、ヴォルフは特に気にした様子もない。志島はげんなりした表情でため息を零した。

「ふっ、確かにユーゴの言う通りあの男は目を見張る才を持っている…だが、正直言って竜水に届くかと言われたら首を傾げざるを得ないぞ、ユーゴ」
「殺し合いは総合力だ。アイツの打開力なら必ず勝機を見出すはずだぜ?」
「ならばそれすらも上回るのが竜水という男だ!」
「何ぃ?いやいや坊主はそれすらもだな!」
「当然、竜水はそれすらも!」

 志島が思わず腰を浮かせた。

「やめてくださいよちょっと!一応オンオフ出来るとはいえマイクあるんですよ!?一級の貴方達が世間に醜態を晒してどうするんですか!ルーファさんもそろそろ何か言ってくださいよ!」
「知りませんよ。私には関係なき事です。諫めたければご自分でどうぞ。私はルインが負けてなんだかやる気無くしちゃいましたので後はお任せします」
「…えっ…?」

 拗ねてる?まさかの事態に志島は固まって、そして涙目になった。

「あの、一応これお金貰って仕事してる状況なのですが…マジで何なのこの人達…」
「あっはっは!お腹いてー!」
「引き受けなきゃよかった…」

 志島は肩を落としたが、しばらくして口を開いた。

「篠藤君も下した彼…やはり気になりますか?」
「んー?まあ気になるっちゃ気になるな。ただ、私はお前やルーファみたいに篠藤にそこまで入れ込んでなかったから、そういう意味では特に気にしてないぞ。篠藤は最後に明らかに弱体化したからなぁ。実力が安定しない奴は正直扱いきれないし、興味は失せたな」
「カミノ選手はどうです?機動力も高く、殺傷能力も非常に高いのです。実力はかなり高いのでは?」
「おう。だからこそこの試合だ。実力は十分、戦闘センスも一品級…最後に、格上を相手にどう攻略するのか…見せてもらおうじゃねえか」

 気が付けば騒動も終わり、誰もが注目していた。




14:反響




「ようやく君と戦えるね。この時をどれほど待ち望んでいた事か」

 会場に上がった俺は、向かいから上がってきた優男にそんな言葉を投げかけられていた。

 王竜水。糸目の男は余裕を感じられる表情でその場に立っていた。客席からの黄色い声援も、実況の声ももう届いていないように見える。その目はただひたすらに俺をまっすぐ見据えていた。

 会話をするのも対面するのも初めてだ。しかし彼は意気込みを語った時と変わらず、俺に対してフレンドリーに接してくる。

 思わず怪訝な顔をしてしまう。

「どうして俺にそこまで期待を?」
「どうしてか…君が、他の選手が持っていない何かを持っていると感じたから、かな」

 俺が無言で続きを促すと、王は笑みを浮かべる。

「本気度って言うのかな。何か目指すものがあって、それを叶えるための手段の一つとしてこの大会に出ている。そう感じたんだ」
「なるほど?」
「ほら、そういう人って強いだろ?大門寺さんしかりルインさんしかり…それで、僕にとって強さってのは結構重要なものなんだよ。だって、強い奴と戦う方が楽しいし、強い奴に負けた方が悔しい。そして、強い奴に勝利したらさらに嬉しい!」

 王竜水は背中からシミターを逆手で抜いて、それを曲芸のように回して順手で構えた。背筋を伸ばした堂々たる構えだ。

「過分な評価痛み入るが…勝つのは俺だ」
「いいね…顔に似合わず好戦的で結構…!」

 糸目が見開かれて、俺を見据える。だが、俺はふと思い出して口を開いた。

「戦う前に質問してもいいか?」
「ん?なんだい?」
「変な事聞くようで悪いけど…前世の記憶とかってあったりする?」
「はははっ。おおっと、それは予想外な質問だね。うーん、そうだな…もし君が僕に勝てたら、その時に答えよう。そっちの方がやる気出るだろ?」
「…上等」

 俺は口角を上げて、刀を抜いて構えた。
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