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ヒロインよ、王太子ルートを選べ!~本編~
王太子様に操られています!①
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七歳の時に王太子であるレオナルド=ブランデール殿下と婚約してから、早くも八年が経ちました。
殿下は外国に留学していたので、八年間ずっと一緒にいたわけではありませんが、時々王宮に呼び出されてはシメられ、ヤキを入れられ、私は完全にあの男のアンダーコントロール状態なのでございます。
外面は天使、本性はヤクザ。
二年前に先に学園に入学した組長……もとい、レオナルド殿下は、お得意のキラキラパワーを生かして生徒会長としてご活躍中。
私ももうすぐ入学ですので、これまで以上に殿下と顔を合わせることが増えるでしょう。何故だか体が震えるんですけど……地震かしら?
エリオット様との距離は相変わらず縮まりません。ジェレミーお兄様とは仲良くされてるのですが、やはり私のことはそもそも視界に入っていない様子です。あの時、湖に落ちた私のことはすぐに見つけてくれたのに、地上にいると見えないみたい。
……不思議です。いえ、不可思議です。
少しでも彼の視界に入りたくて、この八年努力してきました。長くツヤのある黒髪を少しカールさせて。トレーニングだって欠かさず、食事にも気をつけてきました。
どこから見ても完璧な悪役令嬢です!
乙女ゲーム『ムーンライト・プリンセス』では、まずは王太子ルートを選ぶのが定番。初心者が脱落しないよう、攻略難易度も低く設定されています。チョロいルートって事です。
今のあの殿下を見る限りチョロい感じは全くしないんだけど、そこはヒロインの魅力でカバーして頂けるものと思います。
私、コレット=リード公爵令嬢の未来も描かれていないくらい情報量が少ないシンプルな王太子ルート。せめて既に分かっているイベントだけは、失敗なきよう進めていかないといけません。
そしてその前提として、ヒロインには必ず王太子ルートを選択して頂かなくては。他のルートを選ばれると、下手したら私すぐにお陀仏ですので。
攻略対象であるその他の四人、
ジョージ=ローリング
アラン=ゴールドウィン
マティアス=ベルラント
エリオット=スペンサー
この方たちとは絶対に出会いイベントが起こらないように、何とか私が立ち回って防ごうと思います。
心配の種は、もちろんレオナルド殿下。殿下は、実際にゲーム通りのことが起こるのかを、ワクワクしながら待っています。冷たい目と悪魔の微笑みを浮かべた口元で、
「そろそろかな。ヒロインが現れるの。楽しみだなあ……」
って呟いてます。ヒロインと結ばれる気満々なのは良いことですが、あの冷たい目線から発せられるビームが怖いのなんのって。
前世で、虫眼鏡で日光を集めた時のことを思い出してしまいます。
それはさておき、このゲームにはもう一つ重要な要素があります。ゲームの題名にもなっている『ムーンライト』。これは、グランジュール王国に伝わる昔話に由来しています。
一年に一度、夏至の夜にだけ花を咲かせる『ムーンライトフラワー』を一緒に見た恋人同士は、必ず結ばれるという伝説。
この花をあらかじめ探しておいて、夏至の日の夜に殿下とヒロインをその場所に誘き出せばいいと思うんです! 私、すごい! 賢い!
実はこのムーンライトフラワー。既にマティアス=ベルラントと組んで、調査を始めています。マティアスを覚えていますか? 私、コレット=リード公爵令嬢に密かに想いを寄せる、インテリ系貴族のマティアスです。
想いを寄せられている事を知りながら利用していいのか、ですって? 私を誰だと思っているの?
悪役令嬢コレット=リードですわ!
他人を自分の都合で振り回すのなんて、お手のものです。普段はあのヤクザに振り回されているので、少しくらい他人を振り回したって、私許されるんじゃないかと思うのですが……ダメですかね?
マティアスは普段から書物ばかり読んでいますし、学園の図書館に篭りきりです。こういう調べ物は得意なんですよ!
とは言え、マティアスとヒロインの出会いイベントは、この図書館。ヒロインが入学する年までには、マティアスも引き上げてもらわなければいけませんね。
さて私はこれから、国王陛下に学園入学前のご挨拶をし、デビュタントのドレスを殿下と一緒に選びに行く予定です。
控えめに言って吐きそうな一日。
デビュタントの時にはエリオット様にもお会いできるでしょうから、その時のことを妄想して耐え忍びます。
殿下は外国に留学していたので、八年間ずっと一緒にいたわけではありませんが、時々王宮に呼び出されてはシメられ、ヤキを入れられ、私は完全にあの男のアンダーコントロール状態なのでございます。
外面は天使、本性はヤクザ。
二年前に先に学園に入学した組長……もとい、レオナルド殿下は、お得意のキラキラパワーを生かして生徒会長としてご活躍中。
私ももうすぐ入学ですので、これまで以上に殿下と顔を合わせることが増えるでしょう。何故だか体が震えるんですけど……地震かしら?
エリオット様との距離は相変わらず縮まりません。ジェレミーお兄様とは仲良くされてるのですが、やはり私のことはそもそも視界に入っていない様子です。あの時、湖に落ちた私のことはすぐに見つけてくれたのに、地上にいると見えないみたい。
……不思議です。いえ、不可思議です。
少しでも彼の視界に入りたくて、この八年努力してきました。長くツヤのある黒髪を少しカールさせて。トレーニングだって欠かさず、食事にも気をつけてきました。
どこから見ても完璧な悪役令嬢です!
乙女ゲーム『ムーンライト・プリンセス』では、まずは王太子ルートを選ぶのが定番。初心者が脱落しないよう、攻略難易度も低く設定されています。チョロいルートって事です。
今のあの殿下を見る限りチョロい感じは全くしないんだけど、そこはヒロインの魅力でカバーして頂けるものと思います。
私、コレット=リード公爵令嬢の未来も描かれていないくらい情報量が少ないシンプルな王太子ルート。せめて既に分かっているイベントだけは、失敗なきよう進めていかないといけません。
そしてその前提として、ヒロインには必ず王太子ルートを選択して頂かなくては。他のルートを選ばれると、下手したら私すぐにお陀仏ですので。
攻略対象であるその他の四人、
ジョージ=ローリング
アラン=ゴールドウィン
マティアス=ベルラント
エリオット=スペンサー
この方たちとは絶対に出会いイベントが起こらないように、何とか私が立ち回って防ごうと思います。
心配の種は、もちろんレオナルド殿下。殿下は、実際にゲーム通りのことが起こるのかを、ワクワクしながら待っています。冷たい目と悪魔の微笑みを浮かべた口元で、
「そろそろかな。ヒロインが現れるの。楽しみだなあ……」
って呟いてます。ヒロインと結ばれる気満々なのは良いことですが、あの冷たい目線から発せられるビームが怖いのなんのって。
前世で、虫眼鏡で日光を集めた時のことを思い出してしまいます。
それはさておき、このゲームにはもう一つ重要な要素があります。ゲームの題名にもなっている『ムーンライト』。これは、グランジュール王国に伝わる昔話に由来しています。
一年に一度、夏至の夜にだけ花を咲かせる『ムーンライトフラワー』を一緒に見た恋人同士は、必ず結ばれるという伝説。
この花をあらかじめ探しておいて、夏至の日の夜に殿下とヒロインをその場所に誘き出せばいいと思うんです! 私、すごい! 賢い!
実はこのムーンライトフラワー。既にマティアス=ベルラントと組んで、調査を始めています。マティアスを覚えていますか? 私、コレット=リード公爵令嬢に密かに想いを寄せる、インテリ系貴族のマティアスです。
想いを寄せられている事を知りながら利用していいのか、ですって? 私を誰だと思っているの?
悪役令嬢コレット=リードですわ!
他人を自分の都合で振り回すのなんて、お手のものです。普段はあのヤクザに振り回されているので、少しくらい他人を振り回したって、私許されるんじゃないかと思うのですが……ダメですかね?
マティアスは普段から書物ばかり読んでいますし、学園の図書館に篭りきりです。こういう調べ物は得意なんですよ!
とは言え、マティアスとヒロインの出会いイベントは、この図書館。ヒロインが入学する年までには、マティアスも引き上げてもらわなければいけませんね。
さて私はこれから、国王陛下に学園入学前のご挨拶をし、デビュタントのドレスを殿下と一緒に選びに行く予定です。
控えめに言って吐きそうな一日。
デビュタントの時にはエリオット様にもお会いできるでしょうから、その時のことを妄想して耐え忍びます。
応援ありがとうございます!
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