氷の騎士団長様の悪妻とかイヤなので離婚しようと思います

黄金 

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43 それはダメだよ

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 ヒュウゼは男らしくて華のある人間だ。
 学園長の息子という立ち場も、騎士学校の成績も群を抜いて優秀で、誰からも好かれていた。
 なんで俺?
 俺の今の身分は平民だ。顔だってパッとしない。髪が綺麗だとか、学校の成績がいいとか、そういうのもない。
 それをいうならドゥノーの方が綺麗な顔をしている。
 騎士としては弱いけど、頭もいいし優しい人だ。

「ユネ、明日デートしよう。」

 ヒュウゼはそうやってよく誘ってくるようになった。
 何気なく触れてくることも多くなった。
 俺の周りには何故か人が寄り付かないので、一人で苦戦することが多かった。ヒュウゼが助けてくれるのだけど、それがだんだん苦しく感じるようになった。

「ありがとう、ヒュウゼ。」

「お礼は俺が要求したものが欲しい。」

 押しも強かった。
 頭に触れて髪に指を絡めてくる仕草が、計算されたように色気がある。少し吊り目がちな水色の瞳が、窓から入る太陽の光を反射してキラキラと輝いているのが綺麗で、ボンヤリとイケメンだなぁと眺めていた。
 
「ユネ…………。」

 そんなに愛おしそうに見られてドキッとしない人はいないと思う。俺はその瞳に雰囲気に飲み込まれて固まってしまった。
 腰に回ってくる手に気付かず、その瞳に見入ってしまったのだ。
 だってこんな風に誰かに好かれることも、求められることも初めてだった。
 唇に触れる感触に我に返り、俺はあわててヒュウゼの胸を押した。

「ーーーーっっ!?だっっなっ!ヒュウゼ!」

 ヒュウゼは少し顔に怒りを滲ませたが、直ぐに表情を和らげた。

「何?」

「何じゃない!ヒュウゼには婚約者がいるんだぞ!?こんな所で俺なんかに何やってんだよ!」

 俺だって人には言えないけど人妻なのに!どーしよう!?キスしちゃった!
 唇をゴシゴシと手の甲で拭うと、その手をヒュウゼに止められてしまった。

「そんなに嫌か?」

「ヒュウゼのことは友人だと思ってる。ドゥノーもそうだよ。だから二人には幸せになってもらいたい。」

 俺の所為で関係が壊れるんじゃないかと辛かった。
 どんなに拒否してもヒュウゼは俺に近付いてくる。
 ドゥノーとも最近喋れていない。
 
「………じゃあ、ドゥノーとの婚約は解消するから。」

「!」

 何を言ってるのか理解できない。
 ヒュウゼとドゥノーの婚約はお互いにスキルを持つもの同士で結婚して、家同士スキル持ちが産まれる確率を上げたいが為だと聞いていた。
 嫁に出すドゥノーの男爵家はドゥノーが産んだ二人目を養子に迎え入れる。そういう政略結婚だけど、ドゥノーはヒュウゼのことが好きだった。
 そう、ドゥノーから聞いていたのに。

 俺は聞いていられなくて走って逃げた。
 どう言えばいい?どう拒否すれば納得してくれる!?
 悩みながら走っていると、何かに躓き転んでしまう。
 はぁ、鈍臭い。疲れて立ち上がるのも億劫でそのまま倒れていたら、目の前に学生の靴が現れた。
 顔だけあげるとそれはドゥノーだった。
 緑色の少し長めの髪がサラサラと風に揺れている。
 なんでヒュウゼはドゥノーじゃなくて俺なんだろう………。ほんと不思議でならない。

「ほら。」

 ドゥノーが手を差し出してくれた。ハッとして慌ててを手を掴む。最近話してくれなくなっていたのだ。

「ありがと。」

 お礼を言って立ち上がると、「うん。」と短く返事を返して笑ってくれる。ドゥノーはやっぱり優しい。

「ごめん、ドゥノー。」

 ドゥノーの後をついて歩きながら謝った。

「なんでユネが謝るの?悪いのはヒュウゼだよ。それよりなんであんなとこで寝転がってたの?」

「え……。転んで?走ってたら転んだんだ。」

「ええ?なんですぐに立ち上がらないのさ。」

 二人で笑った。久しぶりにドゥノーとのなんの屈託くったくのない自然な会話に、俺は涙が滲みそうになった。


 ドゥノーは俺がヒュウゼから逃げ回っているのに気付いていた。でも嫉妬心があって無視してしまったのだと教えてくれた。

「ユネはファバーリア家と何か関係ある?」

 突然ファバーリア家の名前が出てきて驚く。一度もそんな話をしたことがないのに。

「………なんで?」

 俺が緊張したのがわかったのか、ドゥノーが首を傾げながら教えてくれた。

「最近ヒュウゼがファバーリア侯爵家に出入りしてるんだ。」

 ヒュウゼがファバーリア家の本邸に?騎士学校から本邸まで、馬を使えばそう時間はかからない距離だ。
 ヒュウゼはソフィアーネと会ってるの?ヒュウゼの家はファバーリア侯爵家に仕える家だ。呼ばれれば行くだろうが、現在ファバーリア侯爵は不在だし、侯爵夫人の俺が呼べるわけもない。だから呼びつけているのならそれはソフィアーネだろう。
 ソフィアーネとヒュウゼは何を話してるんだろう?
 俺はドゥノーに話しても良いんだろうか?俺が本当はファバーリア侯爵夫人だということを。

「…………話せないことならいいんだ。ユネもスキル持ちだしファバーリア侯爵家が後ろ盾になってくれてるんじゃない?それならヒュウゼと付き合ってても問題ないと思うし、僕は諦めても…、」

「えっ!違う、違う!」

「いや、本当に……、」
 
 な、なんか勘違いしてる?そうか、平民のスキル持ちであまり裕福でない家の子は、貴族の家に後ろ盾になってもらい身の安全を図ることが多い。自分の人生をその後ろ盾になってくれた貴族家に捧げることになっちゃうけど、連れ去られたり奴隷みたいにこき使われるより、その貴族の家に守ってもらう方がマシなのだ。
 ドゥノーは俺もそういう身の上だと思っていたらしい。
 ここは正直に話しておこう。

 という事で、おれはドゥノーに今までの経緯を話した。

「………ユネは、いや、ユンネ様は侯爵夫人だったの?あれ?でも悪妻の話は最近のもあるけど…。」

 多分パーティー開いて~とか、最近王都から宝石商呼びつけて大量買とかいう話かな?

「それはソフィアーネがやってる。」

「えぇ!?ただの教育係のくせに!?」

「あ、うーん、そう。侯爵様は今戦場に行ってるし、連絡手段が無いんだ。使用人もいつの間にか総入れ替わりしちゃってるし、誰を頼れば良いのか分かんなくて……。」

 ドゥノーが本気で怒っていた。

「侯爵に連絡か……。うちは単なる男爵家だしねぇ。家格に開きがありすぎてうちの親じゃおいそれと近づけないな……。」

 侯爵家はこの国にもいくつかあるけど、ファバーリア侯爵家は別格だもんね。

「うん、無理はしなくていいよ。十八歳まで学校にいれるし、その間は学業に専念するよ。ソフィアーネも領地を潰すつもりはないのかギリギリの散財だし。」

「何言ってるのさ!そのお金はユンネ様のものでしょう!?」

「出来ればただのユネで呼んで欲しいなぁ。」

 俺が様付けを嫌がると、もうっ!と怒られてしまった。



 俺が既に既婚者と知り、ドゥノーは常に側にいてくれるようになった。
 そんなドゥノーをヒュウゼが煙たがるようになってしまい、それが申し訳なかった。

「気にしないで。」

 ドゥノーはいつもそう言って味方になってくれた。
 そんな人間関係だったけど、なんとか一年間通った。
 二年になり、それぞれの特性に分かれて学科を取るようになった。俺とドゥノーは斥候向きだと言われて斥候科に入れられたけど、激しい戦闘は二人とも苦手だからちょうど良かった。

「ユネはスピードがあるから後衛でもやっていけそうだけどね。」

「俺は腕力ないもん。弓引くよりナイフ投げの方がマシ。そういうドゥノーは戦術に行かなかったの?」

「うん、そもそも騎士になりたくて入ったわけじゃないし、どこでも良かったんだ。あと戦術の方はネチネチしたのが多くてやなんだよね。金持ち貴族が多くて威張り散らしてるし。毎週戦術理論で話し合いとかヤダよ。」

 ドゥノーも貴族なのに貴族を嫌っていた。見た目がいいからヒュウゼの婚約者じゃなかったらモテてただろうになと思う。
 斥候なんて人気ない学科なのに、ドゥノーは俺に合わせてくれたんだろう。


 俺がずっとドゥノーと一緒にいるのを嫌がっていたヒュウゼは、科が離れたことにイラついていた。

「ユネ!俺が掛け合うから前衛に来いっ!」

 第一日目の学科説明が終わり、帰ろうとしていたらヒュウゼに捕まった。

「え!?俺の実力じゃ無理だよ!」

 前衛は長剣を使う騎士希望には花形の学科だ。俺が入れば誰かが抜けることになるし、もう決まっている学科分けを覆せるはずがない。
 
「ヒュウゼっ!いい加減にしなよ!君がそんなじゃユネが困るだろう!?」

 ドゥノーが間に入って止めようとしてくれる。

「うるさいっっ!!」

 突き飛ばされたドゥノーが壁に激突した。
 入学から一年経つと、俺達の中で一番成長したのはヒュウゼだ。元々体格が良かったから身長も伸びて筋肉もついてきた。
 俺とドゥノーはあまり変わっていない。
 だから簡単に弾き飛ばされてしまう。

「ドゥノー!!」

「来いっ!」

 ドゥノーを置いて俺は引き摺られるように教室を出た。
 ズンズンとヒュウゼは進んでいく。進む方向から学園長室だと気付いた。

「待ってっ!俺は斥候で良いんだ!前衛なんて無理だよっ!」

「俺が守るから大丈夫だ。」

 はあぁ!?騎士学校なのに守られててどうするんだよ!?
 俺は一生懸命止めようとした。
 ヒュウゼは抵抗する俺を一瞥して、急にどこかの教室に入った。

「なんでいつもドゥノーといるんだ?ドゥノーのことが好きなのか?」

 ヒュウゼが俺の腕を掴んだまま低く問い掛ける。
 その威圧にビクリと震えたが、今説得しないと本当に学科を変更されかねない。

「ドゥノーは友達だよ?それに俺は斥候でいいんだ。」

 ヒュウゼの表情が怖い。
 カーテンが閉められた教室は薄暗く、水色の瞳が光っているように見えた。
 なんで俺なの?

「ユネは俺の側にいた方がいい。そうしたらファバーリア侯爵が帰ってきても俺が守ってやる。」
 
 息が止まるかと思った。
 知ってるんだ。本邸に行っていたのは、俺のことを何か話してたの?

「なんで………。」

 掠れた声で問い掛けた。兎に角ヒュウゼが何を知っているのか聞かないと。
 俺が侯爵夫人だと知られるのは構わないけど、それを周りに広められてソフィアーネがどう動くのかわからなかった。
 漫画では最終的に俺は命を狙われて死んでいる。狙った理由はファバーリア侯爵と仲良くなってきたからかなと思う。
 ソフィアーネの狙いが侯爵夫人の椅子だったから、離婚されたユンネは放置されていたけど、こっそり侯爵に近付いていたから殺されたんだ。
 今殺されない理由は?スキル?そうだ、スキル持ちは死亡したり行方不明になったら国が動く。一度異変がないか調査が入ると聞いた。
 漫画の中のソフィアーネは、出来ればそこら辺で勝手に死んで欲しいと考えたのかもしれない。悪妻ユンネとして。
 あからさまな刺客を差し向けたのは、もうソフィアーネ自身に後がなかったから?ユンネを殺す理由がはっきりと描かれていたわけではないので分からない。でも命を狙われたのは確かだ。
 だからこそ、ソフィアーネとヒュウゼが関わっている理由が分からなかった。
 
 ヒュウゼは悠然と片膝をついて俺の前に跪き、俺を見上げた。
 取られた片手が震える。

「置いていった夫など信じる必要はない。」
 
 そうかもしれないけど、俺はまだ信じたい。ファバーリア侯爵がそういう非情な人ではないと知っているから。十八歳が過ぎたら結婚式をあげようと言ってくれた言葉を信じたい。
 俺は、騎士学校を卒業したら王都に行って、ファバーリア侯爵を訪ねるつもりだ。

 漫画の中で幸せがわからないと泣いた人に、ちゃんと幸せになって欲しいから、主人公ラビノアとは幸せになれなくても、何か幸せになる手伝いをしたい。
 ソフィアーネのやった事を最初から説明して、早めに領地を安定してもらう。

 俺はゆるゆると首を振った。握られた手を取り戻そうと引っ張ったけど、痛いほどに掴まれて離れない。

「俺は…侯爵を、信じるって決めてるんだ。」

 ヒュウゼの瞳がゆらりと動く。
 その迫力に俺は掴まれた手も忘れて後ずさろうとしたが、何が起きたか理解出来ない速さで宙にぶら下げられていた。
 
「…………うっ……!」

 ヒュウゼの手が俺の首を掴んで持ち上げていた。




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