氷の騎士団長様の悪妻とかイヤなので離婚しようと思います

黄金 

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番外編

83 ドゥノーの優しい風④

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 季節は夏を過ぎ秋になろうという頃、ドゥノーはピンチに陥っていた。
 ここは学院の中で、目の前には青い髪と瞳の美人レナーシュミ・アシュテ伯爵令嬢が取り巻きと共に立っていた。

「私が貴方に劣っているとは思えません。」

 そうハッキリと彼女は告げるのだが、ドゥノーにそれを言われても困る。だいたいドゥノーは将来宰相閣下の下に就く予定なのに、何故こうも敵対視されるのか。
 
「あのね、ルキルエル王太子殿下が誰を婚約者にするかは公表されてないし、殿下が自分で決めることなんだから、僕達がこんなところで言い争ったって無意味だよ?レナーシュミ嬢にしろ僕にしろ、婚約者にしたいんならとっくの昔にお達しがあるんじゃないの?」
 
 ドゥノーは正直に言った。
 人は核心をつかれると逆ギレする。言われたく無かった言葉を正面から言われて、認めたくなければ攻撃してくる。
 ドゥノーは割と正直者で真正面から言ってしまう癖がある為、相手を怒らせることが多かった。
 だから気をつけてはいたのだが、あまりにも頻繁にチクチク言われるし、物は盗られるしこうやって呼び出されて悪口を言われてしまう為、ドゥノーもイライラとしてしまったのだ。

「ーーーーあなたっ!」

 普段は取り巻き達の後ろで静かに事の成り行きを見守っているレナーシュミ令嬢が、ギリィとドゥノーを睨みつけた。
 ドゥノーは内心その顔を見て、うわぁと引いてしまう。普通に怖い。
 逃げようか?そう思った時、ドゥノーの周りに水が現れた。
 ドプンとドゥノーは水の膜に覆われる。

「ーーーーゴポッ……ッッ!?」

 どんなに足掻いても水から抜け出すことが出来ない。ジタバタと足掻いて余計に口から空気が抜けていった。
 ーーーーー苦しいっっ!!
 そういえばレナーシュミ令嬢は水を操るスキルを持っていたのだなと思い出す。学院内で人に攻撃するなんて厳罰ものだが、ドゥノーの言葉に頭に血が昇ったのだろう。
 そうは思っても、宥めることも諭すことも、今は出来ない。

 身体の中の空気が薄れ、力が抜けてくる。
 ドゥノーの首にはめられた首輪の石がチカチカと光りだした。
 ドゥノーは無意識にその石を触った。

 ーーールキ…、殿下ーーーー。

 
 ドゥノーは水の膜の中から消えてしまった。








 

 コポコポとドゥノーは水の中を歩いていた。

「ここは…………、殿下の『絶海』の中?」

 以前ユンネの結婚式の行き帰りに、ルキルエル王太子殿下が『絶海』で送ってくれた時、こんな場所を歩いた。ほんの少し歩いただけでファバーリア侯爵家まで行き来できる便利さに驚いたものだが。

 そういえば危険な時はこのスキル封じの石を使えって言っていたなと思い出す。まさかレナーシュミ令嬢のスキルで使うことになるとは思わなかったけど、命拾いした。

 出口はどこだろうと辺りを見回す。
 確かあの時は明るい方へ歩くといいと言っていたはず…。そう思い、明るくなった方へ歩こうとすると、クンッと手を引っ張られた。

「ん?」

 黒い手が地面から現れていた。
 この手はハンニウルシエ王子のスキルじゃないだろうか?なんでこんな所に?ここは殿下の『絶海』の中だ。
 クンクンと引っ張られる方向は暗い。

「???」

 ついて来いという事だろうか?でも向こう側は暗いなぁ。
 うーんと考える。

「あれ?指輪が…。」
 
 今ドゥノーは右手の中指に指輪をはめている。これはラビノアから皆んなで作った御守りなのだと渡された物だ。なんでも縁結びのお願いが掛けてあるのだとか。
 考えてみれば仲間内ではドゥノー以外皆伴侶が出来てしまっていた。
 これを渡されたのは北離宮に集まってお茶会をしていた時だ。誘われて休日に訪問した時、そこにいたのはユンネ、ラビノア、ミゼミ、そしてなんとハンニウルシエ王子だった。ノルゼもいたが、そこはいつも通りサノビィスが一緒に別の部屋で遊んでいた。
 指輪はシンプルな作りで真ん中にスキル封じの石が付いていた。皆んなで願掛けにスキルを込めたからねっ、とユンネに言われたのだが、何故スキルを込めたら縁結びに繋がるのかが分からず首を傾げながらも有り難く貰った。
 その時は皆んな幸せそうで良かったなぁとか思いながらも深く考えなかったのだけど…。

 指輪の石からハンニウルシエ王子の『黒い手』が出ている気がしてならない。
 ドゥノーは少し考えて、黒い手が引っ張る暗い方向へ歩き出した。
 あの四人が何か考えがあってこの指輪を渡したのだと思ったからだ。

「はあ、面倒事じゃなきゃいいんだけど。」

 溜息を吐きつつドゥノーは歩いていった。








「おい、入っていったぞ。」

「さすがぁ、ドゥノー。思いっきりがいいのは変わらないね。」

 ここは北離宮。予定通りドゥノーが『絶海』の中に入るかを見守っていた面々が揃っていた。
 ルキルエル王太子殿下がドゥノーに送った首輪は、ドゥノーが危機に陥った時自動的に『絶海』へ送ると見たソマルデは、ドゥノーを強制的に『絶海』へ入るよう仕組んだ。
 レナーシュミには事前に交換条件を出したのだ。
 本日北離宮で待機していたのはユンネ、ラビノア、ミゼミ、ハンニウルシエ王子、ホトナル、の五人だ。
 エジエルジーンとアジュソー、ソマルデはルキルエル王太子殿下と共に少し離れた辺境の地に出向いている。ファバーリア領地よりも遠い場所にある為、ドゥノーの『絶海』が動いたと殿下が気付いても、『絶海』を使って帰って来るには一時間は掛かると踏んでいる。ホトナルを外して王都に残したのは態とだ。一緒に連れて行けば『瞬躍』で一瞬で帰ってきてしまう。

 ドゥノーの指輪にはハンニウルシエ王子の『黒い手』が道案内役として入っている。元々王子のスキルは設置型の罠として使っていたスキルなので、用途を指定して指輪の石に入れ込むのは造作もなかった。
 そして石に入るギリギリまで、これでもかとラビノアの『回復』とミゼミの『隷属』も入れてあった。

 ドゥノーが『絶海』に入り『黒い手』に連れられて過去へ向かうのを察知したハンニウルシエ王子は、皆んなに仕掛けが動き出したことを知らせた。
 ユンネは今回自分のスキルが役に立たないことを残念に思っていたが、ドゥノーならば上手くやるだろうと静観することにしている。
 
「確か自分が見ている景色を表に出せるようになりましたよね?」

 ホトナルがハンニウルシエ王子に話し掛け、全員に見せるようお願いした。一人掛け椅子に座っている王子の背後から、首に腕を回してくっ付いている。王子もあまり何も考えてなさそうな顔で頷いた。

「出来る。」

 短く返事をして、皆んなで囲んでいたテーブルの上に手を翳した。テーブルの表面に大きな黒い目が現れる。それが大きく膨らみ水晶のように丸く透明になった。中央に瞳孔らしき黒い丸が入っているが、そこから映像が水晶の表面に映し出された。
 映った映像の中にドゥノーがいる。

「でもこれ殿下の個人的な過去を勝手に見ていることになるのでは?」

 ラビノアが申し訳なさそうな顔をした。ミゼミはラビノアの隣に座って不安気に水晶を覗いている。
 ユンネは細目をええ!?と歪ませた。

「ラビノアの最愛ソマルデさんが調査書にまとめてあることを今から見るんでしょ?紙で見るのと実写で見るのはやっぱ違うと思うんだ!」

 ユンネは興味津々だった。

「ユンネくん……、たんに覗きたいだけなんですね?」

 ラビノアはちょっと呆れていた。

「分かりますっ!大丈夫ですよ~、これはこれでまた殿下の『絶海』で過去に行った場合の検証になりますよ。結果を報告して誤魔化してみましょう!」

 後から全員ルキルエル王太子殿下の怒りを買うのではと思い心配になってラビノアは言っているのだが、ホトナルは気楽だ。
 
「…そうですね。私もお手伝いしてますし、ソマルデさんの役に立ちたいですし、後で皆んなで謝りましょうね。」

 ラビノアはしょうがないですねと言いながら皆んなに言ったのだが……。

「もし怒ったら私は王子を連れて『瞬躍』で飛びます。」

「え?怒るかな?じゃあ俺は旦那様の後ろに隠れようかな?」

「二人は意外と気が合うのだな。」

 ホトナルとユンネの逃げる発言に、これまた意外にもハンニウルシエ王子が感心していて、ラビノアは力が抜けてしまった。








 ドゥノーが歩いて行くと、先の方が明るい場所に出た。出口だろうかとそちらへ向かう。上も横も下も、波が揺らぎチャプチャプと音がしていた。
 少し前にソマルデさんを若返らせると言って数十年過去にラビノアが行った時、かなり荒波になってしまったと言っていたけど、あれから時間が経ち波は落ち着いたらしい。
 
「どこまで行くの?」

 ドゥノーを引っ張る黒い手に話しかけるが、単なる手なので返事はない。ただ明るい方へ連れて行こうとしているだけだ。
 
 引かれるままドゥノーは光に飲み込まれた。
 一瞬目が眩みドゥノーは立ち止まる。

ーーーうっ………!ーーー

 声が出なかった。
 自分の身体が半透明になっておりドゥノーは驚く。確か『絶海』を使って自分が存在する過去に行けば、未来の自分の身体は半透明になり周りの人達には見えない。そして何かあったとしても、ドゥノーが元の現在に帰れば記憶から消える。
 そう言っていたはず。
 
 光に目がなれ、ドゥノーは目の前の光景にまた驚いた。

ーーーこれはっ!ーーー

 目の前はおそらく王宮の庭園。テーブルにはお茶と美しい造形のお菓子、椅子には幼い少年と少女が一人ずつ座り、周囲を大勢の侍女侍従が囲みその外側にも大勢の護衛騎士達がいた。いたのに誰も動いていなかった。たった今起こったら出来事に息を呑み時間が止まってしまったかのように動きを止めていた。
 少女の口からポタポタと血が流れる。

「毒だっ!誰か医者を!」

 目の前に座った少年がいち早く叫び立ち上がった。
 赤い瞳と銀色の髪。美しい顔立ちは王家特有の見た目をしている。
 年は六歳程度。

「王太子殿下は!?」

 護衛騎士達が王太子殿下と呼んだ少年を囲んだ。この人に何かあってはいけない!その行動からそう読み取れる。

「俺はいい!飲んでいない!紅茶だ、直ぐに調べろ!」

 まだ少年の高い声で周りの大人達に指示を出していく。

 この子ルキルエル王太子殿下だ。なんとなく分かった。ここは過去だ。実際に起こった出来事を、ドゥノーは見ているのだ。

 最近ニジファレル宰相から殿下の過去をよく聞かされていたので、なんとなくどういう状況なのか把握出来た。
 ルキルエル王太子殿下は産まれて直ぐに婚約者が立てられた。侯爵家に産まれた三つ年上の少女で、『治癒』のスキルを持っていたのだ。
 目の前で苦しむ少女は既に亡くなっている。このまま助からず帰らぬ人となるのだ。例え本人に『治癒』があろうと、それを上回る猛毒を飲んでしまえば助からなかった。

 犯人は政敵だった。その家は一家全員投獄され処刑。確かそう聞いている。

 その日の夜、ルキルエル王太子殿下はコッソリ涙を流していた。それはそうだ、六歳になる直前の出来事で、ルキルエル王太子殿下の誕生日に揃える衣装などについて話している時だったらしい。
 まだ二人とも幼く、婚約者というより姉と弟のような存在だったけど、仲は良かったらしい。
 
 すまないと泣く幼い子供が可哀想に見えた。
 ドゥノーは今半透明で、帰り方も分からないのでルキルエル王太子殿下について回っていて、泣いている姿を勝手に見てしまった。
 殿下はドゥノーの存在に気付いていないだろうけど、気不味くて部屋から出ようかと思うのに、なんとなく出れなかった。
 たとえ見えなくても、悲しんでいる子供を放ってはおけなかった。
 
 銀色の小さな頭に手を伸ばす。
 触れないだろうけどと思いながらも、ヨシヨシと頭を撫でた。

ーーー貴方のせいではないよ。ーーー

 聞こえていないだろうけど、ドゥノーは慰めの言葉を掛けながら涙が止まるまで頭を撫でた。





 ふと頭に風が吹くのを感じた。窓も扉もしっかりと閉めさせたはず。王太子の自室に隙間風なんて吹くはずがない。
 なのに風を感じる。
 ベットに潜り込み泣いていると、何故か誰かに優しく頭を撫でられている気がする。
 目を開けても誰もいないのに。
 ルキルエルはその不思議な感覚に戸惑いながらも、頭を撫でる風に目を閉じた。いつもだったらこんな不思議な感覚を感じて、たとえ悪意を感じずとも何かあるのではと思い直ぐに調べるのだが、今は調べようとは思わなかった。
 疲れてしまい、こんな得体の知れない風でも身を任せたかった。
 それくらい幼い身体は疲れていた。













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