氷の騎士団長様の悪妻とかイヤなので離婚しようと思います

黄金 

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番外編

95 ノルゼの匂いを集めて

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 王都にある貴族学院は基本十五歳から十八歳の間の三年間通うことになる。一年二年ズレるのは家の事情でよくあることなので、必ずしも皆同じ年というわけではない。

 ノルゼ・ファバーリアは十六歳で入学することになった。
 燻んだ金の髪に明るい水色の瞳。目は少し釣り上がった細目だけど、眉が垂れ気味、口は小さく背はひょろっとしているので、どこか頼りなさげな印象がある。
 『風の花』というスキルを持ってはいるけれど、損にも特にもならないようなもので、ノルゼとしてはもっと役立つスキルが良かったなと思っている。
 でもこれは仕方ないことだ。
 ノルゼの実の父親は可愛がってくれるファバーリア侯爵ではない。十歳の頃に産みの親であるユンネ父様から教えられた。
 知らないままでは何かあった時に騙されてしまうかもしれないからと、事実を知っていた方が安全だという理由で教えてくれた。
 黙って育てられるよりはその方が良かったとノルゼも思っている。
 実の父親はもういないということで、詳しくは教えてくれなかったけど、名前を聞いて調べたらだいたいのことを知った。
 それでも愛してるよと言ってくれる両親のことは信じている。
 心には重い石が入り込んだように感じるが、これもまた仕方ないことだ。

 そんなノルゼに寄り添ってくれたのがサノビィス・ボブノーラ公爵だった。
 ノルゼより十一歳年上のサノビィス様はノルゼの婚約者だ。白銀の髪に茶色の落ち着いた瞳と、スラリと背の高い美しい人だ。
 ノルゼが実の親のことを調べて落ち込んでいた時、サノビィス様から力になりたいから婚約者になって欲しいと言われた。

 ノルゼはサノビィス様の良き婚約者である様にと勉強を頑張った。そのおかげで貴族学院にも主席入学することができた。
 人の模範である様に努力してきた。


 ……………………うん、すっごく努力したんだ。

 サノビィス様はいつもノルゼのことを考えてくれる。とっても大切にしてくれる。家族も僕のことを愛してくれるけど、サノビィス様の愛は大きい。

 貴族の入学式は家族や婚約者が参加する場合が多い。なのでファバーリア家の家族は勿論、婚約者のサノビィス様も参加している。
 無事式も終わり、ノルゼは家族とサノビィス様が待つ玄関に出てきた。そして人だかりを見つけて家族の居場所を把握する。
 突撃する?スルーする?
 なにしろファバーリア家はこの国で有数の侯爵家。ルキルエル・カルストルヴィン国王陛下の覚えめでたく、ドゥノー王妃とユンネ父様は親友だ。一目挨拶をしようと集まる者は後を絶たない。

「兄様っ!」
 
 どうしようかと立ちすくんでいると、直ぐ後ろから声がかかった。振り向くと父上にそっくりな弟シェラージェが笑顔で近付いてきていた。

「迎えに行ったのにここにいらしたんですね。」

 父似の天上人を思わせる美麗な顔はそっくりで、まだ成長途中である所為か細身な為、一見すると美少女に見える。ノルゼは今年十六歳になるが、三歳年下のシェラージェは既にノルゼと身長が変わらない。

「兄様、新入生代表の挨拶素晴らしかったです!」

 シェラージェの隣にいる少女は妹ニナーニャだ。現在十歳で、産まれた時にユンネ父様が「泣き方がニャンコみたいで可愛い!」と言ってこの名前になった。父上は何故言いなりになるのか。本人が嫌がっていないことが救いだと思う。
 この弟妹は父上にそっくりなのだ。シルバーアッシュの髪に黒目の美人。通り過ぎる人達の視線が痛い。

「兄様、さぁ帰りましょう。」
 
「そうですわっ!さっさと馬車に乗りましょう!」

 二人が両手を片方ずつ握った。

「あ、う、うん。でも………。」

 サノビィス様と会うのは久しぶりなのだ。つい最近まで王命で外交に出ていたので会えなかった。

「晩餐を一緒に摂るのでかまいません。」

「早く制服を脱がないと。」

 なんで?

「ノルゼっ!」

 何故制服を?と首を傾げていると、目の前に久しぶりに会うサノビィス様が現れた。

「サノビィス様………!」

 サノビィス様が手を広げるので、僕もワッと手を広げて抱きついてしまった。シェラージェとニナーニャがあっ!という顔をする。そして僕もハッと気付く。ここまだ学院の玄関だった。恥ずかし……。
 ちょっと赤くなって離れようとしたらグッと抱かれて動けなかった。

「あの、サノビィス様?」

「久しぶりだね、会えて嬉しいよ。」

 柔らかく微笑まれて僕も嬉しくなった。ポロポロっと小花が散る。嬉しくなるとつい『風の花』で小花が出てしまうのだ。我慢してるのに、失敗してしまった。
 パタパタと花が早く落ちる様に散らしていると、サノビィス様が嬉しそうに微笑んでいた。やっぱりサノビィス様は優しいな。
 肩を抱かれて外に待機されていた馬車にエスコートされた。できた婚約者様だなぁと嬉しくなる。


「また、あの男!」

「兄様、そろそろヤバい!」

 残された弟妹はギリギリと歯を食いしばった。

「もう、サノビィスは婚約者なんだよ?そろそろも、とうとうもないよ。」

 ユンネが二人を落ち着かせる。ブラコンだなぁと心配になる。兄を慕ってくれるのは嬉しいけど、ふわふわとした性格のノルゼにこの二人はベッタリと引っ付いて離れない。学院へ入るのも昼間会えなくなると反対しっぱなしだった。

「とうとうとか言わないで下さい!事後に聞こえるでしょう!?」

「穢される!」

 ヤバい、どう考えても俺の教育が悪いのかな?要らん知識が溢れている。そうユンネは思った。

「ほら、帰ろうか?手を出すにしても今日は馬車の中だけだから大丈夫だろう。」

 旦那様もかなり俺に染まってるよね。
 はい、はい、帰るよ~というユンネの発言に、周りに集まった人々はこれ以上の挨拶を諦めた。






 久しぶりのサノビィスノ様に、ノルゼの心は弾んでいた。

「制服よく似合ってる。」

 今日は代表の挨拶の為に、学院の制服には腰までのマントを羽織っている。飾りも多く式典用の制服だった。本来なら生徒会や役員を務める人しか着ることが出来ないものだ。
 サノビィス様は僕の制服を全て揃えてくれていた。

「ありがとうございます。…………あっ、ごめんなさい。」

 嬉しくて微笑むとまた小花がふわふわと飛んでしまう。掃除が大変になるのに申し訳ない。

「ノルゼの花は可愛いからいいんだよ。とても良い匂いだ。」

 向かい合わせに座っていたサノビィス様が隣に移動してきた。僕の首筋に鼻を寄せ、スンと匂いを嗅がれてしまう。
 
「………っわ、ダメですよ。今日は緊張で汗もかいたんです。」

「そう?花の匂いしかしないよ。」

 腰を抱かれて距離が縮まる。
 サノビィス様はいつも良い匂いだと言ってくれるけど、本当だろうか。

「ファバーリア邸に行く前にお店に寄って良いかな?」

 サノビィス様は本日の晩餐会用の服を作ってくれていたらしい。ついでに明日ある入学式用のパーティー服も作ったから受け取って欲しいと言われた。
 婚約者に服や装飾品を贈るのは普通のことなので、有り難く受け取ることにする。

 今夜の晩餐会にはシックな色のお揃いの服を、明日のパーティー用は昼間なので明るいベージュが基本色の服になっていた。

「サノビィス様も来てくれるんですか?」

「うん、折角だし、私も卒業生だしね。」

 ノルゼの顔がパァと輝く。パラパラと小花が舞っているのにも気付かないくらいお揃いの服に喜んでいた。
 サノビィスは静かに付き従っていた侍従達に花を集めさせた。
 今夜の服に二人で着替えて馬車に戻る。
 
「ねえ、ノルゼはもう私のことをサァノと呼んでくれないの?」

「え?無理ですよ。小さい頃なら兎も角……。ふふ、いつの頃の話ですか?」

 今度は最初から隣に座ったサノビィス様は、僕に覆い被さる様に近付いてきた。
 近過ぎて恥ずかしくなり、僕のお尻は奥へ奥へと下がっていく。壁に肩がついて僕の進行は止まった。

「……………二人きりの時でもいいですか?」

「いいよ。ありがとう。」

 サノビィス様は時々こうやって積極的になることがある。こうされると僕はドキドキが止まらなくなる。
 サノビィス様は大人だから、子供の僕が相手で申し訳なく感じる。
 いっぱい勉強してるけど、勉強したからといって大人になれるわけではない。
 サノビィス様はまだ僕を壁に押し付けたままだ。チラリと上を見上げる。

「!」

 すぐ側にサノビィス様の顔があって驚いたけど、合わさった唇に息が止まってしまった。舌が入ってきてビックリする。

「………ふっ…………ん、んん…………。」

 舌と舌が合わさって気持ち良かった。思わずサノビィス様の服を掴んでしまったけど、震えて指を離すことが出来ない。
 離れたサノビィス様の唇を目で追ってしまった。

「そんな目で見られたら困ってしまうね……。」

 そんなこと言われても、キスは何度もあるけど舌が入ってきたことはなかった。
 大人なサノビィス様に合わせるにはどうしたらいいんだろう?
 僕だっていっぱい困ってるんだ。






 

 サノビィスはノルゼが一歳の頃から知っている。守ってあげるよと誓ったのは、親切心なのか弟分に対するものなのか、はたまたその頃から恋していたのか定かではない。サノビィスだってその頃はまだ十二歳だったのだ。

 ノルゼがサノビィスのことをサァノと呼ばなくなったのは、サノビィスの所為だ。
 いつもはオデコやほっぺにキスをしていたのに、その日は親愛のキスでは無く、欲を持って唇にしてしまった。
 実の父親のことを調べて理解した時、ノルゼは泣いていた。ノルゼはまだ十歳だった。子供だ。サノビィスは既に成人も過ぎた二十一歳だったのに、ノルゼの泣いている姿に欲情してしまったのだ。
 仄かに光る水色の瞳から、ポロポロと涙が出ていた。ノルゼは感情が昂ると『風の花』で小花が舞う。
 舞い落ちる花の中にノルゼはいて、甘い匂いで誘っていた。
 いつも良い匂いだとは思っていた。だけど、その時の香りは誘うかの様に甘く強くサノビィスを捕らえた。
 大丈夫だよと言いながら、助けてあげたいんだと大人の顔をして、ノルゼにキスしてしまった。それ以上に進まなかったのは、ひとえにノルゼが自分を受け入れられないくらい子供だったからだ。流石に理性が働いた。
 あの時のノルゼが今くらいの年齢だったら押し倒していただろう。
 
 もう、これくらいはいいだろう。ユンネ様はわりと緩いのだが、エジエルジーン様の方は厳しい。婚約者になるのは許してくれたが、手を出すのはもう少し待てと言われていた。
 具体的な期間は言われなかったし、婚約者時期に手を出してはいけないとも言われていないので、良いはずだ。

 少し苦しかったのか仄かに水色の瞳が輝き、ハラハラと小花がノルゼの身体に降り積もっていた。

 そんな目で見てはいけないよ。
 私はもういい大人で、ずっと我慢してるんだからね。
 微笑みかけると緊張が解けたのか、ノルゼもふわっと微笑んだ。






 ファバーリア侯爵邸に到着すると、パッと馬車の扉が開かれた。

「ノルゼ兄様!無事ですか!?」

 この弟は相変わらず兄にベッタリだ。

「ん?うん、遅くなってごめんね。着替えてきたんだ。」

「あら、本当だわ。制服はどうされたんです?」

 ニナーニャがひょこっとシェラージェの脇から顔を出してノルゼの服を見ながら尋ねてきた。

「服は大丈夫だよ。」

 すかさずサノビィスが答える。
 シェラージェはサノビィスをキッと睨みつけた。

「また!持って帰ってますよね!?」

「服を贈って引き取る意味が分からないわ。」

 シェラージェとニナーニャが揃って文句を言った。
 折角ノルゼは気付いていなかったのに、シェラージェが余計なことを言ってくれた。
 でも大丈夫だ。ノルゼはこんなこと気にしない。

「制服はサノビィス様が用意してくださったんだし、まだいっぱいあるから大丈夫だよ。」

「論点が違うよっ、兄様!」

 うん、ノルゼはあまり細かいことは気にしないんだ。ふわふわと笑って怒り出したシェラージェを宥めている。

 今日は新入生代表の挨拶をした正装と、大量の小花も手に入ったし、ノルゼのいい匂いが沢山集まった。
 手は出せないのだから、これくらいは見逃してほしいな。







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