121 / 135
神様のいいように
120 可愛い人
サティーカジィの屋敷で抱き合っていると、クオラジュはくたりと電池切れしてしまった。
「あっ、おい?クオラジュ!?」
ずるずると力が抜けて行くので、慌てて抱き止めているが押し負けてしまいそうになる。
「大丈夫か?流石のクオラジュも限界だったな。」
トステニロスが助けてくれた。クオラジュを抱え上げてくれたので俺も立ち上がる。
「もしかして寝てない?」
アオガがほぼ寝ていないと答えた。
「ね、俺運んでみたい!」
なんせ俺の背中には羽が生えていた!これはちょっと試してみたい。ただ高い位置はまだ怖いので低くだ。
トステニロスが大丈夫かなという心配そうな顔でクオラジュを渡してくれた。
「んしょ。」
おおー、持てるし、抱き上げれた!羽スゲー!
童心に戻った気分だ。
「羽を出すということは神聖力を使うことになるからね。自分よりも大きいものや重たいものもある程度は軽く運べるようになるよ。」
トステニロスが教えてくれた。
アゼディムはまだ混乱している町や聖王宮殿内を鎮めるために神聖軍に指示を出しながら出て行ってしまった。
サティーカジィにはイツズによろしくとだけ言って別れ、俺達も帰ることにする。
移動はちょっと無理だったのでトステニロスにおんぶで帰ってもらった。そしてまだ飛ぶのが下手な俺と開羽していないアオガがいるので歩いて帰宅した。
パタパタとヤイネが走ってきた。そして俺を見て驚いている。
「え?あれ?ツビィロラン様だと思いましたのに……?」
神聖力の気配から俺だと思って走ってきたら、別人がいたので驚いている。
「大丈夫、ツビィロランだよ。こっちが本当の姿なんだって。」
アオガがフォローしてくれた。
俺の部屋はヤイネが綺麗に清めてくれていた。前連れ去られた時も綺麗にして待っててくれたんだよなと感謝する。
ヤイネは慌ただしく動き回り、濡れた布や沸かしたお湯、着替えなどを用意し、水や軽食まで持ってきた。
「ヤイネ、あとは俺がやるからアオガのとこ行きなよ。アオガも疲れてたみたいだしさ、これだけあれば明日の朝まで十分だよ。」
「ですが、クオラジュ様は寝ておりますし一人では……。」
「大丈夫、大丈夫。」
心配するヤイネの背中を押してグイグイと外に促した。お、ヤイネより俺デカい?元々の津々木学は身長が高い方だった。さっきアオガと同じくらいかなと思ったのだ。でも抱えたクオラジュの方がやっぱり大きかった。
ヤイネをアオガのもとへ送り出し、俺はベットに眠るクオラジュを見た。
シュネイシロが作った身体は以前のツビィロランの身体より動きやすかった。元の自分の身体ということもあるが、ツビィロランの小柄な身体はやはり非力だったのだ。
神聖力も使えるようになっている。
クオラジュはよく見ると土埃まみれで汚れていた。なので神聖力で一旦綺麗にする。それから濡らした布で顔を拭いてやった。手も拭き身体も拭いてやりながら、やっぱりいい身体してるなと弾力のある肌を撫でて我に返る。
いかん、いかん。
自分もかなり嬉しいのだ。帰って来れて。
忘れないと言っていたのに忘れてしまっていた。思い出せたのはシュネイシロ達のおかげだった。
ちょっと赤くなりながらクオラジュの衣服を整えて自分も着替える。何故かズルズルとした白い服を着ていたので、ヤイネが持ってきてくれた服を着た。
そしてゴソゴソとクオラジュの隣に潜り込む。
「…………………。」
斜めを向いたクオラジュの顔をジッと眺めた。
目の下にはクマが出来、唇は乾燥していた。泣いていたのか目の周りが赤く腫れている。
少し顰めた眉が可哀想で頭を撫でているとゆっくりと元に戻っていった。
「……………あは、可愛いな……。」
クオラジュは綺麗でかっこいい。何でも出来るし強い。だけど今は可愛く見えた。自分を待って泣いていたのだと思うと嬉しいし可愛く思える。
少し考え顔を近付ける。
チュッと軽く音を立ててキスをしてみた。起きないことにホッと息を吐く。ちょっと恥ずかしいからな、と心の中で言い訳をした。
「うう………ん、………。」
クオラジュが唸って転がってきた。
「……っ。」
抱きついてきてギュウと力が入る。片足を乗せてきて、完全に身動き出来ないよう乗ってきた。
寝てる………、よな?
スゥスゥと吐く息に寝ているのを確認する。
寝ててもくっついてくるクオラジュに、重たいなと思いながらもそのままにした。
この重味も暖かさも、とても大切に思えたからだ。
クオラジュの黎明色の髪を手に取ってみると、色がかなり薄かった。神聖力を使いすぎているとトステニロスが言っていたので、髪色が抜けてしまったのだろう。
手の指にクオラジュの髪を絡めながら、クオラジュの中に神聖力を流していった。
黎明色が濃くなり、絡んだ青の髪が透明な艶を取り戻す。向こうの世界では考えられない仕組みだ。
髪を掬い指に絡めてサラサラと落とした。
綺麗な黎明色。
クオラジュの後頭部に手を乗せツビィロランは「ふふ。」と笑う。
やっぱり黎明色は好きだな。
目を覚ますと既にクオラジュが起きていた。
「あれ?もう起きたんだ?」
あの疲労困憊ぶりからよく起きれたなと感心する。
「はい、マナブが神聖力を渡してくれていましたので回復が早かったのですよ。」
どうやら風呂に入ってきたらしい。濡れた髪を拭いていた。手招きすると素直に近寄ってくる。
「俺さ、神聖力使えるようになったんだよな。髪乾かしてみてもいい?」
確か風を吹かせればいいんだよな?クオラジュは頷いてベットにいた俺の隣に座った。
髪を触って風を起こしてみる。ふわっと空気が揺れる感じがした。
面白くて髪を弄りながらやっていると、クオラジュが抱き付いてきた。
「え?ちょ、まだ途中!」
「いいのです。それよりも私はマナブの魂に神聖力があるのが嬉しいのですよ。」
魂に神聖力?
そう言われてハッとした。俺は向こうの世界の人間だったから、俺の魂には神聖力がなかったのだ。だけど今の俺の魂には神聖力がある?
クオラジュの唇が近付いてきた。
重なり少しずつずらしながら舌を入れてくる。
「………んぅ、ん、…ぁっ、あ………ふっ……。」
気持ちが良くてうっとりと堪能していると、クオラジュが唇を離して顔中にキスをしてきた。
「嬉しい…………。これで私達は番になれるのですよ?」
本当にクオラジュは嬉しそうだ。
「う、ん。そーだな…………。」
見つめるクオラジュをチラッと見た。
いつもは冷たく澄んだ氷のような瞳が溶けてしまいそうだ。
「………………やる?」
俺の誘いにクオラジュは満面の笑みになった。
「貴方から誘ってくれるなんて初めてですね。」
スルリと服の中に手が入ってくる。
態々言うなよ。恥ずかしいんだからさ。
「番になるまでしましょうね?」
クオラジュの氷銀色の瞳は水の中に入った氷のように透明なのに、欲がトロリと混ざっていた。
ああっ!!
打ち付け吐き出される精を暖かいと思いながら受け止める。
精神が混ざり番になるとは聞いていたけど、実際それがどんなものかは理解していなかった。
吐き出されるクオラジュの精液が、身体の中に吸い込まれている。揺さぶられながら奥に擦り込む陰茎は、まだまだ硬くギュウーーーとさらに奥に入ろうと押し付けられる。
ビクビクと足が痙攣し、シーツをギュッと握り締めると手を取られてしまった。
「………はぁ……、はぁ、まだ、まだですよ?まだ一回です。」
クオラジュが俺の中に陰茎を入れたまま俺の腹を撫でる。腹の中が暖かい。
「………あ、…な、あ、何で俺、また勃って、んの?」
クオラジュが一回出す間に俺は三回も出されてしまった。それなのにまだ勃ち上がる自分の陰茎に、もう無理だと半泣きになる。
クオラジュの指がツウーと腹を滑り、俺の陰茎の根元まで降りてくる。親指でスリスリと撫でられて、もっと強くして欲しくて腰を擦り付ける。
「は、ぁ…………、きもち…………ぃ、また出そ……。」
息が上がり苦しい。心臓も頭の中もドクドクと脈打ち熱い。
「ええ、……気持ちいい、ですね………。」
「はぁ、は、……ぁ……?………あぁっ、あ、ん、ん!」
クオラジュがまた激しく腰を打ちつける。
あ、やば………、い、………なんか、きそ………!
熱い。身体が熱いのに、すごく心地いいっ!
「あぁ…………、混ざり合う………!」
クオラジュが呟いた。
混ざる?
?
あ、……あ、あっ!
声にならない叫びをあげて口を開けると、クオラジュが口付けてきた。深く舌を絡めて腰を打ちつけてくる。
苦しいのに、気持ちいい!
クオラジュの身体に腕を回し足を絡ませた。ギュウと抱き付く。
あぁ、本当に、混ざっているーーーー。
涙がボロボロと流れてきた。魂が混ざる。心が混ざる。一つになるのだと身体が、精神が歓喜している!
「…………くぅーー………っ!」
クオラジュの精が放たれる。
「ああっっ!あーーーーーーー!」
頭の中がジンッ……として震えた。目がチカチカと弾き涙が落ちる。
痙攣が止まらない。
………これ、どうやったら止まんの………?
「……ふ、ふふ、ねぇマナブ、繋がりましたね?」
クオラジュが嬉しそうに目を輝かせていた。
俺はまだちょっと元に戻れそうにないから返事が出来ない。心臓の脈打つ音がまだ身体中に鳴っている。
「……ぁ、はぁ、はぁ、……う、ん………。」
なった。なれた。番になったのだと俺もわかったよ。
「あぁ…………っ!マナブ、可愛いです!愛しています!」
うん、俺もお前が寝てる時は可愛いなぁって思ったよ。てか今も可愛いな?凄く喜んでる。好きな人が喜ぶのって嬉しいな?
返事が出来ない代わりに俺が微笑むと、クオラジュは「マナブっ!」と言って抱き付いてきた。
俺も抱き返してきてポンポンと背中を軽く叩く。
うん、うん、嬉しいな!
でも抜け!
まだ何で入ったままなんだよ!
クオラジュが身体を少し離して俺の顔を覗き込んできた。その瞳にはまだまだ足りないと欲が揺れている。
「……………………つがい、はぁ…、なったぞ……?」
うん、やっぱりこのパターンなのか…。
クオラジュが笑顔ながらも懇願してくる。
「………マナブ、もう一回、ね?」
「……………っ。」
お願い、と無言の瞳で見つめてくるな!うん、ってしか言えねーだろ!
あなたにおすすめの小説
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
「お前を愛する事はない」を信じたので
あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」
お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。
運命の番は僕に振り向かない
ゆうに
BL
大好きだったアルファの恋人が旅先で運命の番と出会ってしまい、泣く泣く別れた経験があるオメガの千遥。
それ以来、ずっと自分の前にも運命の番があらわれることを切に願っていた。
オメガひとりの生活は苦しく、千遥は仕方なく身体を売って稼ぐことを決心する。
ネットで知り合った相手と待ち合わせ、雑踏の中を歩いている時、千遥は自分の運命の番を見つけた。
ところが視線が確かに合ったのに運命の番は千遥を避けるように去っていく。彼の隣には美しいオメガがいた。
ベータのような平凡な見た目のオメガが主人公です。
ふんわり現代、ふんわりオメガバース、設定がふんわりしてます。
完結しました!ありがとうございました。
『お前の針仕事など誰でもできる』——なら社交界のドレスの裏地を、めくってごらんなさい
歩人
ファンタジー
「地味な針仕事しかできない令嬢は要らない」——公爵家の嫡男にそう言い渡された伯爵令嬢ティナは、
裁縫道具だけを持って屋敷を出た。その翌週、社交界が凍りつく。王妃の夜会服も、公爵令嬢の舞踏会
ドレスも、第一王女の外交用ローブも——仕立てた職人が消えたのだ。しかもティナが十年かけて縫った
全てのドレスの裏地には、二重縫いで隠された署名が残されていて——。
辺境の小さな仕立て屋で穏やかに暮らすティナの元に、王都から使者がやってくる。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!