じゃあっ!僕がお父様を幸せにします!

黄金 

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13 リュハナの誓い

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 ユラユラと揺れる感覚にヨフミィは目を覚ました。
 
「?」

「あ、目を覚ましたかな?」

 ???
 僕は誰かに運ばれていた。声を掛けてきたのは学友三人組より歳上の男子学生だった。なぜ学生と分かるかというと、ここがまだ学院の中だからだ。
 学院は広くて全部を回った訳ではないけど、庭園のだだっ広い景色と煉瓦造りの校舎に特徴があるから分かる。ただここが何処だか全く検討がつかない。
 学院の中にいる子供は生徒しかいない。無関係者が無断で入るには警備が厳しいからだ。だから学生なんだろうけど……。
 それにしてもコイツは誰?馴れ馴れしい。

「降ろして下さい。」
 
 ムスッとして言ったが、降ろしてくれなかった。僕はこの学生に横抱きで運ばれていた。

「もうすぐだから。あんな所で寝たら危ないから安全な場所に運んでいるんだよ。」

 え?運ぶ前に起こせば?
 笑顔で男子学生は言うけどなんだか胡散臭い。近くにはリュハナがいたはずなのに今はいない。僕を抱っこして運んでいる男子学生とは別に、同じ歳くらいの男の子達が沢山ついて来ていた。
 誘拐……、じゃないよね?
 僕がアクセミア公爵家の子供って殆どの人間が知ってるはずだけど。その為に入学早々お茶会を開いたのだから。
 僕の小さな身体では無理矢理降りることが出来ず、仕方なく僕は運ばれていった。そして煉瓦造りの建物の中に入り一つの部屋に連れて行かれた。

「さぁ、ここだ。」

 部屋は割と広い。そしてソファやベッドなどもあるし、大きな机なども置かれていた。家具や照明、壁飾りなど貴族家にありがちな部屋だ。アクセミア公爵家の部屋には大きく劣るけどね。

「なんですか、この部屋?」

「ここは俺の所有する部屋だ。俺の匂いがするだろう?」

 いや、しない。何言ってるの?自分の匂いを嗅がせるとか……。変態?

「俺はアルファなんだ。」

 自信満々に告げられてしまった。

「つまりアルファの匂いを感じないかと?僕はまだ十歳前なので性別判定してませんよ。」

 それにアルファのフェロモンの匂いを感じるのはオメガだけじゃなかったっけ?同じアルファ同士やベータには感じないと聞いているよ?
 あ、威嚇のフェロモンってのがあるんだっけ?それなら性別関係なく相手を威圧出来るって聞いてる!でも今それ必要ないだろうし…。

「十歳前に発現するケースもあるんだ。」

「いやいやいや、僕まだ六歳ですけど?」

 早いったって早すぎでしょ!?
 本当にコイツはアルファ?なんだか僕の学友三人組より程度が低そうというか。

「僕起きたので元のサロンに帰りたいです。」

「何言ってるんだ。ここで寛げばいい。」

 寛げないよ!だってどうみたって歳上男子学生ばかり十人以上はいるのだ。
 
「予定以外のところにいたら皆んなに迷惑をかけます。近くにリュハナ・ロデネオがいたはずですけど。」

「ロデネオ……?あんな奴っ!他の生徒と仲良く喋って公子の世話を放棄していただろう?」

「放棄ではありません。許可しましたもん。」

「バカを言うな。」

 僕の方にガシッと腕が乗せられる。重い、痛い邪魔っ!
 無理矢理ソファに座らせられて、僕の顔に顔を近付けてきた。

「あんな奴らより俺の方が優秀だ。既にアルファと認定されているし、アイツらより公子を守ってやれる。」

 僕はうーんと首を傾げた。

「因みにお父上は何されてるんですか?」

「子爵だ。」

 名前を聞いたけどなんとなーく聞き覚えがある。多分公爵家の家臣かな?

「お父上がアルファですか?王太子妃との面識は?」

「いや、それはないが…?」

 ないかぁー。じゃあダメだね!いや、あったらあったでその当時コイツの父親は妻子持ちだった可能性もある。それはダメだよね。

「それはつまんないですね。貴方は僕の学友に要りません。」

 僕を無理矢理連れてきた男子学生はポカンと口を開けた。

「……なに?」

「出来れば今世を楽しむ為にも乙女ゲーム要素を匂わせる人材がいいんですよねぇ~。」

「いや、何言ってるんだ?」

 ですよねー。何言ってるんだ、ですよね~。でも折角なら知りたいじゃないか!
 既に終わったのだとしても、その痕跡を!
 なんてったって父上以外にも騎士団長ウハン侯爵と王宮医師ロデネオ伯爵が身近にいるんだよ!?探せばもっといるかも?わくわく。でもコイツの親は違うらしいからね。
 もうちょっと色々知ればなんのゲームか漫画か小説かわかるかも知れないし。そしたら役に立つ知識があるかもだし?目指せスローライフ!

「たっ、大変だ!」

 バンッと他の学生が慌てて入ってきた。

「どうした!?」

 全員入ってきた生徒に集中する。

「もう追ってきた!」

 ザワっと全員動揺したのがわかった。僕一人だけキョトンとしているのかも。

「ちっ、入らせるな!」

 僕を連れてきた男子学生…もとい子爵子息が指示したが、ドアはバンっと勢いよく開かれた。

「ここにヨフミィ様がいるよな?」

 ソヴィーシャだ。
 うーん、怒ってる?

「ヨフミィ様っ!」

「あ、ラニラルっ。」

 ソヴィーシャの横をすり抜けて、ラニラルが僕を見つけて走ってきた。
 
「平民がっ!勝手に入るなっ!」

 子爵子息が怒鳴ってラニラルを蹴ろうとした。子爵子息はここにいるどの生徒よりも体格がいい。アルファというのは本当かもしれない。
 学友三人組もアルファになる見込みが高い子達だけど、まだ七歳と八歳だ。体格差は大きい。だけどラニラルは見た目に反して卒なく子爵子息の足を腕で払いのけ、もう片方の足を自分の足で引っ掛けて転ばせた。子爵子息は見事にひっくり返る。

「おお~~~。」

 感心する僕にラニラルは走り寄った。さっき転がした子爵子息は完全無視だ。

「ヨフミィ様っ!大丈夫でしたか?」

 酷く心配している。
 僕は平気だと見せる為にニコリと笑って見せた。

「うん、平気。」

 コクリと頷く僕にラニラルはホッと息を吐いた。ラニラルは心配性だなぁ。先に入ってきたソヴィーシャなんか他の生徒達を殴りつけてるよ?
 喧嘩だ喧嘩。殴り合いとか初めて見たー。ほぼソヴィーシャの一方的な暴力だけど。
 倒れた生徒と逃げた生徒で部屋は静かになった。一方的な殴り合いは終了したらしい。
 ドアからリュハナが入ってきた。

「ヨフミィ様っ!」
 
「あ、リュハナ。ごめん、なんか勝手に寝てる間に連れて来られてたんだよ。探した?」

 声を掛けたらリュハナの翠瞳にジワっと涙が浮かぶ。

「探したぁ~~~。」

 あ、アルファ皆んなが皆んな喧嘩上等じゃないんだね。



 結局のところ、僕を連れ去った子爵子息はソヴィーシャ、リュハナ、ラニラルの三人に嫉妬して事を起こしたらしい。
 家門の一員であり、既にアルファと認められているのに、何故自分が選ばれなかったのかと思ったようだ。
 ソヴィーシャが父親であるウハン侯爵が率いる騎士団に連絡したからか、大きな騒ぎにならずに終了した。アクセミア公爵家内で片付けるんだって言っていた。

「今日は喧嘩を見ました。」

 晩餐の席で僕が椅子に座って足をパタパタさせながら報告したら、父上もお父様も顔を曇らせた。

「家門間の諍いだから秘密裏に終わらせたが、これが他家や他国相手なら裁判沙汰か戦争だぞ?」

「そうだよ。これからは皆んなと必ずいるんだよ?」

 あ、そんな大事だったんだ?ほぼ寝てたし起きたら喧嘩になって即終了だったから子供同士の喧嘩くらいの気持ちだった。

「必ず誰かと一緒にいるようにします。」

 約束するとお父様は微笑んでくれた。帰ってきた時は泣きそうな顔をしていたからもう心配かけないようにしないと!
 父上はまだ執務があると言って仕事場に戻って行ったので、僕とお父様は手を繋いで自分達の部屋に戻ることにした。
 僕達の部屋は父上、お父様、僕と部屋が並んでいる。父上はどーしてもお父様と仲良くなりたいのかすぐ隣に部屋を用意したのだ。
 スローライフが遠のく気がしてならない。

「僕、飼うなら羊と牛がいいです。」

 羊はモコモコして可愛いし、毛が刈れるもんね。それに牛はお肉と牛乳だもんね。

「う、うん?大きな動物が好きなの?猫とか小鳥とかじゃなくて?」

 僕は頷いた。だって猫と小鳥は食べれないもん。あ、鶏ならいいのか?
 むーんと考え込む僕達の側に、リュハナが近付いてきた。リュハナ達は僕達の上の階に部屋がある。

「ヨフミィ様、それって言ってたスローライフの話?」

 あ、ちゃんと覚えてたんだ。

「……スローライフ?」

「そうですよ。畑を作って~、牛飼って~、自分でご飯作るの!」

「ふ、ふーん?」

 お父様の顔が困惑していた。

「ヨフミィ様、今から少しお話ししてもいい?」

 リュハナ達は普段家族と晩餐を摂っている。寝るのはここの屋敷だけど、態々一度自分達の屋敷に戻ってから食べて帰ってきていた。バハルジィ家だけこの屋敷に家族で住んでるけど、こちらも別々だ。

「ゆっくりお喋りしておいで。」

 お父様に見送られて僕とリュハナは僕の部屋に入った。
 僕がソファに座ると、その前にリュハナが立った。

「どうしたの?座らないの?」

 僕の隣をポンポンと叩いたが、リュハナはいつも浮かべている笑顔を引っ込めて真剣な顔を作った。

「僕、謝りに来たんだ。」

 うん?謝罪なら今日いっぱいしてもらったけど?

「もう十分だよ?」

 リュハナはプルプルと首を振った。

「もっといろいろ伝えておこうと思って……。」

 どうやら真面目な話らしい。これは僕も真剣に聞いてやらないと!

「ん、じゃあ聞くよ。」

 僕が膝を揃えて手を腿に乗せて聞く体勢をとると、リュハナは苦笑した。

「僕の独り言みたいなものだから気楽に聞いてて。」

 あのね…、とリュハナは話し出す。

「僕って小さい頃はもっと小柄で可愛らしかったんだ。今のヨフミィ様みたいに。」

 今もまだ八歳だから小さくない?と思ったけど真剣な話の途中なので黙っておく。

「絶対オメガだって言われて、どっちかといえば去年までオメガらしい教育を受けてたんだよ。」

「オメガらしい教育?」

「うん、家を継ぐことはないから後継者教育じゃなくて、屋敷の管理とかオメガの社交についてとか、マナーとかかな?」

「お~。」

 そういえば僕の教育にも入ってる!でも後継者教育も入ってるんだよねぇ~。アルファとオメガどっちになるかわからんないからって二倍勉強させられてんの!
 早く十歳にならないかな?そんでできればベータになる!そうすれば公爵家継がなくていいし、絶対アルファと結婚とか言われて結婚に縛られることもないよね?ベータの方が自由じゃない?

「僕もそうだと思ってたんだ。自分はオメガで、いつかアルファと結婚して番になるって思ってたんだよ。」

「………でもリュハナはアルファみたいになってきたってこと?」

 リュハナは頷いた。

「そう……。身体も能力もいきなり伸びてきて、去年からアルファ向けの学習に切り替わったんだ。だけど僕、アルファの中…ていうか男の子の中かな。に入っていけなくて……。」

 あ~、だからいつも女の子達といるんだ?たんなるタラシじゃなかったんだ?

「公爵家次期当主の学友になれって言われたし、僕には荷が重いというか…。本当はなりたくなかった。」

 お、おお~。なんか告白してないのにフラれたような気分?お前とは友達になりたくないと言われてショック受けたような気持ちになってしまった。

「あ、ヨフミィ様が嫌いとかじゃないよ!?たんに自信がないだけ。」

「うーん…、でもまだ八歳だし、そんなもんじゃないの?自信満々より普通だよ。」

「でもソヴィーシャなんか一つ歳下なのに自信ありそうだよ?ラニラルだって平民なのに僕達の中に入って堂々としてるもん。」

 あの二人は確かになんか別枠かもねぇ。
 ソヴィーシャは深く考えてないって感じだし、ラニラルはフブラオ先生の教えを忠実に守ってる真面目ちゃんって気がする。

「そんな深く考えないでいいんじゃない?まだ判定も受けてないし。大人になってから決めたらいいよ。そもそも僕がアルファかオメガになるって決まってないんだしね!できればベータって言われても友達でいて欲しい!」

 だってリュハナはいつか王宮医師になるって言ってた。病気の時に相談できるもん~。
 へへへと笑いながら希望を言っておく。

「ああ、スローライフ?」

「そーだよ。その時は風邪ひいたら診てほしい!」

「そのくらいでいいの?忠誠を誓えとか、王宮じゃなくて公爵家の専属医師になれとかあるよ?」

 リュハナも笑い返しながら冗談みたいに揶揄ってきた。

「そんな重たく考えないでよ。僕だって先がわかんないのに。」

 それもそうかとリュハナは納得した。ヨフミィに合わせればいいのだ。
 アルファならば忠誠を、オメガならばその心を、ベータならば友情を。

「分かった。じゃあ保留中ということで。もしヨフミィ様がベータでスローライフを送る時は、家畜の受診もやってあげる。」

「え?本当?やったぁ~!」

 喜ぶヨフミィをみて、リュハナも嬉しくなった。そんなことで喜んでくれるならいくらでもやってあげる。
 喧嘩も政略も苦手だけど、好きなことなら手伝える。

「う~ん、じゃあ今は人間相手の知識しか学んでないから獣医師の分野も学ばないと…。」

「ちょっと見てくれるだけでいいよ?」

「やるなら徹底的にやるよ?任せてね。じゃあ今日は有難う。そしてごめんね。次からは足を引っ張らないよう頑張るから。」

 リュハナは手を広げてソファに座る僕を抱きしめた。そっとした優しい抱擁はお父様とは違う気持ち良さがある。
 お休みと言ってリュハナは出て行った。
 
 ふむぅとヨフミィは考える。
 医術を学ぼうとする強い意思も、去り際の流し目もどこからどう見てもアルファという風にしか見えない。
 あんまり悩まなくても十分そうだけどねぇとヨフミィは思ったのだった。














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