25 / 90
24 張り込みだ!
しおりを挟む僕はお父様がゴロゴロしているテントに戻った。
「えっ、どうしたの!」
ヨロヨロしている僕にお父様が走ってきた。
「王太子の威圧を受けました。」
護衛が簡単に説明してくれた。
僕は王太子の前では平気そうに喋って見せたけど、結構頑張ったと思う。本当は具合悪い。
お父様はハーディリを連れてくるよう護衛に命じた。そして僕を椅子に座らせ背中を摩ってくれる。
「こんな小さな子に!」
大人しいお父様が珍しく怒っていた。
「平気です。よっぽど聞かれたくない内容だったんでしょう。」
「何を話してたの?」
僕は王太子妃に過去の狩猟大会で密猟者に捕まった時のことを聞き出したのだと教えた。
「もう……、そんな昔のことをなんで気にするの?」
えー?だって、多分イベントだし?
「疑問に思っちゃったんだもん。実際狩猟大会に参加しておかしいなって思ったんです。ここまで管理されているのに密猟者がいるわけないでしょう?」
「それは……そうだね。密猟者が捕まったのもあの時だけだったんだよ。」
「はい、おかしいです。おかしいと思ったので直接王太子妃から聞き出そうと思ったら王太子が慌てて止めに来たんですよ?」
よっぽど聞かれたくなかったんだろうと思う。
「……何か分かったの?」
お父様も疑問に思ったのか何を聞いてきたのか気になったようだ。
「多分捕まったのは密猟者ではありません。」
「じゃあ?」
「どっかの兵士か騎士でしょう。」
僕の言葉にお父様も驚いた顔をした。
「ヨフミィ様、何を危ないことをされてるんですか?」
テントに入ってきたハーディリが、入って早々注意してきた。だけど今は大人しく聞くつもりはない。
「ハーディリは知ってるんでしょう?」
ハーディリは父上の専属護衛だ。父上の近くにいて知らないとは思えない。
ハーディリは溜息を吐いた。
「何故そんなことが気になるのですか?出来れば危ないので関心を持って欲しくないのですが。」
「じゃあ教えて~。教えてくんなきゃ首突っ込むもん!」
ハーディリは苦々しい顔をした。この顔は絶対知っている顔だ。
「王太子妃を捕まえたのはどっかの貴族家の兵士になるんでしょう?普通は森の中で会っても危ないから帰れって言われるくらいのはずなのに、メイドだった王太子妃が捕まったってことはなんか悪さでもしてたの?」
「どうしてそんなところは冴えてるんですか?まぁその通りです。今でも時々やる参加者はいるんですが、自分の兵士に獲物を獲ってこさせるんですよ。」
ええ~?ズルしてるってこと?ズルしてるところを当時メイドだった王太子妃に見られたから口封じに捕まえたってこと?
お父様も不思議に思ったのか口を挟んできた。
「………じゃあ見られたから捕まってしまい、王太子が探し出したということ?その時の貴族家はどうなったの?」
「地方の貴族でしたので王太子殿下の想い人について知らなかったようです。そのせいで危うく口封じされるところでしたが王太子殿下が情報を掴んで助け出されました。その時の地方貴族は密かに制裁を受けたようです。」
「なんで秘密にしてるの?普通に不正しようとした人を捕まえたって言えばいいんじゃないの?」
「王室行事ですのでそんな不正が行われていると思われるのは外聞が悪いのでしょう。ですので王太子殿下の代わりに処理なさった公爵様もご存知なんですよ。というかほとんど後処理をされたんです。王家の代わりに!」
ハーディリは王家の代わりという部分を強調して言う。
王室行事はクリーンなイメージが大事なのだという。当時王太子が大騒ぎしてしまった為事件が明るみになり、仕方なく密猟者が入り込んだことにしたらしい。どっかのバカな貴族家がやらかしたと言うよりも、悪人を捕まえたと言った方がマシだと判断したというのが事実だった。
王太子は自分の責任もあるのであまりこの話題を出されたくなかったのかぁ。王家の恥ってことかな?だから慌てて止めたわけね。
これ以上騒ぎを起こされると困るので教えるが、大人しくしていて欲しいとハーディリから言われてしまった。
「なぁんだ。なんかつまんないイベント~。」
思わず口に出してしまった。
「そのおかげというかなんというか、それから開催中も自分の配下にやらせようとする者を取り締まるようになったんです。今までは王太子殿下が狩りに参加されて不正者を取り締まれていましたが、今年はレジュノ王子が取り締まりに入られたんですよ。」
ええ!?まだ八歳なのに!?たんに狩猟大会に参加してるのかと思ってた。
危なくない?
ハーディリは相手も貴族なので王子に対して無茶はしませんからと言っていた。でも心配だよね。
大会三日目は陽が落ちる前にみんな帰ってくることになっている。帰ってきたら顔を見に行ってみようと思った。
お昼を過ぎた頃からゾロゾロと参加者達がテントに帰って来た。父上も真っ直ぐ公爵家のテントに戻ってきた。
「お疲れ様です。怪我はされませんでしたか?」
お父様はテントの前で父上を待っていて、帰ってきた父上に声をかけていた。
父上は笑顔だ。
「ああっ、怪我も病気もしておらん。何を狩ったか質問してはくれないのか?」
父上の満面の笑顔にお父様は少し面食らっている。父上、上機嫌だもんね。
「何か大物を狩れたんですか?」
父上は汚れた手袋を脱いで控えていた使用人に渡し、お父様の手を取って獲物の方へ連れて行った。
「死体は大丈夫か?」
「……遠目になら。」
うん、矢が刺さったり剣で切られたりしてるもんね。僕も近付きたくはない。
父上が獲った獲物は大きな鹿と猪だった。他にも兎や鳥なんかもいる。猪が大きいとは思ってたけど、鹿もかなり大きい。立派な角があった。
「あの雄鹿を獲るのが一番苦労した。」
「大きいですね。」
お父様がうわぁと感心すると、父上はお父様に狩りの時について話し始めた。
うーん、狩りって興奮するんだねぇ。いつもよりテンションの高い父上に、お父様も合わせている。合わせると言っても嫌な感じではなく楽しそうにしていた。なんだかはしゃぐ子供をあやしているみたいに見える。
二人はそのままテントに入って行くようなので、僕は狩りに参加したソヴィーシャとラニラルを探した。
いつの間にか二人は戻って来ていた。
子供の部は別に獲物を並べて点数をつけている最中だった。
「なんで俺が負けるんだ。」
「単純に数の差ではないですか。」
二人の前には兎やイタチっぽいのが並んでいた。
「お疲れ様~。どっちが勝ったの?」
近寄って話しかけると、二人とも振り返る。
「私ですよ。」
勝ったのはラニラルだった。ラニラルはあまり勝敗に拘らないようだったけど、ソヴィーシャは悔しそうだ。
ソヴィーシャはラニラルより一つ下なんだから構わないと思うんだけどね。負けず嫌いだなぁ。
「次は勝つっ!この獲物はヨフミィ様にあげる。」
ソヴィーシャはそう言うと僕の前に片膝をついて座り、僕の右手を取った。
「私の忠誠心を捧げます。」
うんんんん?突然のパフォーマンスについていけないよ!?
ソヴィーシャの赤い瞳が上目遣いにキリリと見上げてくる。何やら注目を集めてしまい、キャアアと黄色い悲鳴が聞こえてくるよ!?
「早く受け取れよ。」
そんなことには一切気にも留めないソヴィーシャは、早くしろと急かしてくる。
「えぇ?どうしたらいいの?はいって言えばいいの?」
「そうだよ。」
「はい、受け取りました~。」
なんか無理矢理受け取らされた気がする。
ソヴィーシャが立ち上がると何故かラニラルに向かってふふんと笑っていた。ラニラルの表情がスゥと笑顔になる。
「ヨフミィ様、私のも受け取って下さい。」
「え?う、うん。そりゃあ…。」
返事の途中でラニラルも僕の左手を取って片膝をついて座った。またぁ!?これ恥ずかしいんだけど!?
「私のものは全てヨフミィ様のものです。今日の獲物も受け取って下さい。」
また黄色い悲鳴が聞こえてくる。ソヴィーシャのセリフより重たい気がするんだけど?全てってどういうこと?
困っているとラニラルの顔が悲しそうになった。
「私のは受け取ってくださらないんですか…?」
「ええ!?そんなわけないよっ!ありがとう!」
なんかこっちも無理矢理受け取らされた気がするなぁ…?
僕は一気に大量の兎の死体を手に入れた。どうしたらいいの?
三日目に皆んな帰ってくるのは獲物が腐ると困るというのと、安全の為らしい。ここで満足して後はテントで休息を取る人達と、まだ後半日森に入って狩りを楽しむ人達とに別れることになる。
基本子供はここで終了。
そして父上もここで狩りは終了だと言った。お父様と僕を丸々一週間ここに残していくのが心配だったらしい。
獲ってきた獲物の血抜きはしてあるので、後は専門の職人に任せることになっていた。だから僕の兎もお任せした。
二人分の兎と父上の分を合わせてコートか何かにしましょうと言われた。
「ねぇねぇ、ソヴィーシャは知ってた?昔王太子妃が密猟者に捕まったのって実は貴族の兵士だったって。」
ソヴィーシャはええ?と目を見開く。知らなかったかぁ~。人が知らない秘密を教えるのってワクワクするよねぇ。
陽が落ちてテントの外で子供四人集まったので、今日ハーディリから聞いた話を皆んなに教えた。こうやって噂は広がっていくのかぁ。……広げてよかったのかな?
「え~?じゃあ大人達は知ってるってこと?」
僕から話を聞いたリュハナが興味津々に尋ねてきた。
「たぶん?ソヴィーシャが知らないってことはある程度秘密事項なのかな?レジュノ王子が今年から取り締まりやってるって聞いたよ。今更だけど誰にも言わないでね?」
ちょっと喋り過ぎたかもしれないので口止めしておこう!
僕の返事にソヴィーシャが立ち上がった。
「王子を手伝いに行く。」
「ええ!?」
全員で驚く。
「……あまり首を突っ込むのは良くないのでは?」
ラニラルがすぐに止めようとした。
「第二騎士団も一緒にあたっているはずだ。」
「それはそうでしょう。それが彼らの使命です。」
ソヴィーシャは制止を聞かないつもりだ。
「私はいずれ騎士団に入り父上の後を継ぐ。それなのに何も知らずにいるのは嫌なんだ。」
バッとソヴィーシャは走って行ってしまった。
「ソヴィーシャは熱い男なんだねぇ。」
「ヨフミィ様、何呑気なこと言ってるの!?早く止めないと!」
え?止めれる?僕が?あ、僕が主人だからってことかな?
ソヴィーシャは自分の剣と弓を取って馬に跨り森に入るところだった。あまりの素早さに大人達は誰も気付いていない。
「え、えぇ~?」
ラニラルをチラリと見る。ラニラル、放置するつもりかな?冷めた目で森の中に消えていくソヴィーシャを見送っていた。
「ラニラル……、追いかけよっか?」
ラニラルはキョトンとした。
「追いかけるのですか?公爵様に報告するのが先ではありませんか?」
「………。」
「………分かりました。馬の用意をして来ます。」
ラニラルは走って用意をしに行ってくれた。
「えー?ラニラルが言う通り公爵様に報告した方がいいよ?」
えぇ~?だって言ったらまたテントに待機って言われるもん。ちょっと暇だし。少しだけのぞいてみたいなぁ?
結局森の中に密猟者はいないってことだよね?じゃあ騎士達が警護している森の中なんだし少しだけ入ってみたいかなぁ。結局昼間は王太子妃に呼ばれて入れなかったんだよね。
「ちょっとだけ。追いつけなかったらすぐ戻るよ。」
リュハナと話している間にラニラルが馬を引いて戻って来た。すぐにラニラルとリュハナが僕を馬の背に押し上げてくれる。馬の背が高くて自力は無理。
ラニラルが僕の後ろに軽々と飛び乗ってきた。
最近乗馬の練習したって言ってたのになんでそんな上手なの?
「僕達が森に入ったら父上に報告して!」
僕がリュハナに告げるとラニラルはすぐに馬を走らせた。
森に入る道は人工的に作られていて何本か入り口があった。ソヴィーシャが入った道にラニラルも入って行く。
ビュンビュンと風を切る音が凄くて目が開けられない。結構怖い~。
「私の身体にもたれ掛かって下さい。」
怖いので遠慮なくラニラルに身体を預けた。ラニラルはソヴィーシャに追い付くためにかなりスピードを上げている。
「いました。」
ラニラルの言葉に薄目を開けると、僕達に気付いたソヴィーシャが止まって待っていた。
「なんで来るんだ?」
「ふぇえぇぇ……!」
僕は今喋れません!
「明日の朝に出直してはどうですか?」
代わりにラニラルが答えた。ソヴィーシャは首を軽く振って道の奥を見つめた。
「それはダメだ。狩猟大会の参加者が皆んな引き上げるのが今日の夜だけなんだ。だから今夜が一番怪しい。レジュノ王子の部隊も今夜に集中しているはずだ。」
「……誰もいなくなった森で主人のために狩りをする家門が出てくるということですね?」
「そうだ。だから私も手伝う。」
「……はぁ~…、でも子供が混ざっても邪魔なだけじゃない?」
「そうでもない。」
ソヴィーシャはすぐに否定した。なんで?
不思議になって首を傾げた僕の顔を、ソヴィーシャは見つめてついてこいと手招きする。馬に乗ったまま僕達は森の中に入り込んだ。
水が流れる音が微かに聞こえてくる。
意外と森の中は明るいなと思ったら、ところどころ木が伐採されていた。もっと鬱蒼とした森かと思っていたのに、馬に乗っていても移動しやすい。
狩りの為に管理されているから森の中も移動しやすくしてあるってことか。
月明かりを頼りにガサガサと進んでいく。
ソヴィーシャが手を上げた。ラニラルがすぐに馬の手綱を引いて停止させる。目の前には川が流れていた。
大きな岩がゴツゴツとあり流れが早い。
ちょいちょいと指でソヴィーシャはそっちを見ろと指示してきた。なんだろうとソヴィーシャの向こう側を見る。
「ぉ………。」
思わず喋りそうになって口を閉ざす。
橋だ。人が通れそうな板が置いてあった。
「な?」
ソヴィーシャが振り返って得意満面な笑顔を作る。
な?って言われてもね?なんで目がキラキラしてるの?
「……ああ、なるほどですね。ここから持ってくるかもってことですか?」
ラニラルには分かったらしい。
ソヴィーシャの笑顔がぱあっと明るくなる。
「そう思うだろ?話聞いてピンときたんだ。絶対ここから獲物持ってくるって!張り込むしかないだろう?」
ソヴィーシャが嬉々として提案した。
え?今からここで張り込みするの?
1,325
あなたにおすすめの小説
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
「『お前に書く手紙などない』と言った婚約者へ、私は7年間手紙を書き続けた——ただし、届け先は別の人でした」
歩人
ファンタジー
辺境伯令嬢リゼットは、婚約者に7年間手紙を書き続けた。返事は一度もなかった。
「お前に書く手紙などない。顔も覚えていない」——婚約破棄。しかしリゼットは
泣かなかった。手紙の本当の届け先は、最初から別にあったから。前世の情報分析
能力で辺境の異変を読み解き、暗号として織り込んだ7年分の手紙。それを受け取り
続けていたのは第一王子。リゼットは誰にも知られず、王国を守っていた。
婚約破棄の翌朝、王子からの手紙が届く。「7年間、ありがとう。迎えに行く」
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*本編完結しました
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
キュートなモブ令息に転生したボク。可愛さと前世の知識で悪役令息なお義兄さまを守りますっ!
をち。「もう我慢なんて」書籍発売中
BL
これは、あざと可愛い悪役令息の義弟VS.あざと主人公のおはなし。
ボクの名前は、クリストファー。
突然だけど、ボクには前世の記憶がある。
ジルベスターお義兄さまと初めて会ったとき、そのご尊顔を見て
「あああ!《《この人》》、知ってるう!悪役令息っ!」
と思い出したのだ。
あ、この人ゲームの悪役じゃん、って。
そう、俺が今いるこの世界は、ゲームの中の世界だったの!
そして、ボクは悪役令息ジルベスターの義弟に転生していたのだ!
しかも、モブ。
繰り返します。ボクはモブ!!「完全なるモブ」なのだ!
ゲームの中のボクには、モブすぎて名前もキャラデザもなかった。
どおりで今まで毎日自分の顔をみてもなんにも思い出さなかったわけだ!
ちなみに、ジルベスターお義兄さまは悪役ながら非常に人気があった。
その理由の第一は、ビジュアル!
夜空に輝く月みたいにキラキラした銀髪。夜の闇を思わせる深い紺碧の瞳。
涼やかに切れ上がった眦はサイコーにクール!!
イケメンではなく美形!ビューティフル!ワンダフォー!
ありとあらゆる美辞麗句を並び立てたくなるくらいに美しい姿かたちなのだ!
当然ながらボクもそのビジュアルにノックアウトされた。
ネップリももちろんコンプリートしたし、アクスタももちろん手に入れた!
そんなボクの推しジルベスターは、その無表情のせいで「人を馬鹿にしている」「心がない」「冷酷」といわれ、悪役令息と呼ばれていた。
でもボクにはわかっていた。全部誤解なんだって。
ジルベスターは優しい人なんだって。
あの無表情の下には確かに温かなものが隠れてるはずなの!
なのに誰もそれを理解しようとしなかった。
そして最後に断罪されてしまうのだ!あのピンク頭に惑わされたあんぽんたんたちのせいで!!
ジルベスターが断罪されたときには悔し涙にぬれた。
なんとかジルベスターを救おうとすべてのルートを試し、ゲームをやり込みまくった。
でも何をしてもジルベスターは断罪された。
ボクはこの世界で大声で叫ぶ。
ボクのお義兄様はカッコよくて優しい最高のお義兄様なんだからっ!
ゲームの世界ならいざしらず、このボクがついてるからには断罪なんてさせないっ!
最高に可愛いハイスぺモブ令息に転生したボクは、可愛さと前世の知識を武器にお義兄さまを守りますっ!
⭐︎⭐︎⭐︎
ご拝読頂きありがとうございます!
コメント、エール、いいねお待ちしております♡
「もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!」書籍発売中!
連載続いておりますので、そちらもぜひ♡
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
番解除した僕等の末路【完結済・短編】
藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。
番になって数日後、「番解除」された事を悟った。
「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。
けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。
2026/02/14 累計30万P突破御礼バレンタインSS追加しました
2026/02/15 累計いいね♡7777突破御礼SS 19時に公開します。
様々な形での応援ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる