じゃあっ!僕がお父様を幸せにします!

黄金 

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47 公爵家にご招待

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 ヘミィネは目の前で自分の身支度を手伝う専属侍従を見つめた。
 朝からラニラルの様子がおかしい。やっぱりおかしい!妙にソワソワしていて機嫌が悪い。
 他の人はラニラルの表情の違いを見分けられないけど、僕は気付いたら側にいたくらいなレベルでずっと一緒にいるから分かる!
 最近ずっとこの調子だけど、今日は過去イチおかしい。

「今日は何かあるの?」

 ヘミィネは尋ねた。
 朝から起こしてくれて洗顔身支度とラニラルは手伝ってくれているが、ラニラルはずっと上の空だった。上の空でもちゃんと仕事はしているけど、いつもは僕に向いている注意が今はどこかに行ってしまっている。
 ラニラルは何でもないようにニコリと微笑んだ。

「何もございませんよ。」

 ブラウスのボタンを留めてくれながら、下を向くラニラルは僕の顔を見ない。
 ………絶対に何かある!
 身支度が終わって食堂に向かった。
 僕の両親は仲が良くて、忙しい時は無理だけどなるべく一緒に食事を摂ってくれる。今日は全員集まっていた。

「おはようございます。父上、お父様、ルヌジュ。」

 挨拶をすると、三人は順番に挨拶を返してくれた。僕はラニラルが引いてくれた席に着き、背後にラニラルが立って給仕を始めた。同じようにルヌジュの方はリュハナがいつものように世話をしている。
 食事が始まりいつもの朝の穏やかな食事が始まる。朝はあんまり食欲がないのでチミチミと食べていた。いつもだったらここでラニラルが必要最低限は食べなさいと小皿にいろいろ盛ってくれるのに、今日はボンヤリしている。
 やぁっぱり、変!
 食堂にフブラオ先生も入ってきた。

「公爵様、公爵夫人、今から出てまいります。」

 フブラオ先生は父上とお父様の補佐をしている。ラニラルが忙しい時は僕の勉強を代わりに見たりしてくれる。
 どうやら朝から父上達の用事で外出するらしい。別に珍しいことじゃないのでチミチミ食べながら眺めていたら、背後に立つラニラルがソワソワしているのを感じた。

「どうしたの?ラニラル。」

 振り返って声を掛けると、ラニラルは何でもないとニコリと笑って返す。ヘミィネはジト…とラニラルを見た。僕には分かるもんね。
 ラニラルはフブラオ先生が今から出かける用事が気になっているんだ。

「先生はどこに行くの?」

 先生に聞いちゃおうっと。

「王宮に行ってまいります。昨夜所用で遅くまで滞在していたのですが、やり残したことがありまして。」

 王宮の仕事?
 何だろう。基本父上達は王宮関連はラニラルに任せている。フブラオ先生は公爵領の方を行ったり来たりしていた。その理由はバハルジィ伯爵領の方も気掛けなきゃならないから、先生は伯爵家当主として公爵領のついでに伯爵領も見に行っている。公爵領と伯爵領はすぐ近くにあるから行く時はまとめて仕事を片付けている。
 だからフブラオ先生が王宮に出向くのは珍しい。
 ラニラルの仕事?ラニラルが、何か失敗したとか?ラニラルが?
 ラニラルは完璧主義者だ。ほぼミスをしない。そのラニラルが何をしたんだろう?

「父上……。」

 ラニラルがフブラオ先生に何か言おうとした。でもそれはお父様に止められた。

「僕はフブラオに任せているんだ。君も大人しく待っていよう?」

 優しくお父様はラニラルを制しているけど、どこか怒られているような雰囲気もある。
 ラニラルはお父様関連で何か失敗したの?
 だから朝からソワソワしてたの?

「……必ず連れて戻るので待っていなさい。」

 でもフブラオ先生は怒っている感じじゃない。どちらかと言えば慰めてる?言い聞かせるような話し方はお父様と対照的だ。
 フブラオ先生は挨拶を終えると早々と出て行ってしまった。
 背後のラニラルを見上げれば、ラニラルは静かに宙を見つめているだけだった。




 
 ヨフミィは目が覚めた。
 女神達の夢から覚めると妙に疲れる。話した内容を反芻し、よしっと気合を入れた。
 僕は庭師のヨフを極めてみせる!絶対に誰にもヨフミィと呼ばせないぞぅ!
 ふんむぅ~~~と寝たまま握り拳を作っていたらドアがノックされた。
 慌ててメガネをかけて起き上がると、メイドさん達が入ってきて、何やら身支度をさせられてしまった。


 いくつか服が用意されていたので、ありがたく着て食堂に向かうと、レジュノ王太子が待っていた。

「おはようございますっ!洋服有難うございます~。」

 お礼はちゃんと言わなきゃね!

「その服を選んだのか?」

 僕が選んだのは一番質素なやつだ。と言っても生地は多分すっごく良いやつ。ブラウスとズボンとベストなんだけど、飾りがあんまりついてないのにした。刺繍いっぱいとか、宝石とかね。いらないよ。僕は庭師のヨフを極めなきゃなんだからね!

「ダメですか?」

「もっと飾り立てたいくらいだ。」

 いやいや、ちゃんと見てよ。今の僕を!メガネに長い前髪を垂らして髪はツインテールだよ!?この見た目はヘミィネが番を作るまで変えないと決めたんだ!自分で言うのもなんだけど、この僕を飾り立ててどうするの!?
 あ、でも王太子はツインテール好きだから、この方が好きなのかな?

「いくらツインテール好きと言っても、僕にオシャレは似合わないですよ。」

「誰がツインテール好きだと言った。」

 あれ?違ったんだっけ?

「あ、僕は殿下のポニーテール可愛いと思いますよ。」

「……………。」

 あ、横向いちゃった。褒められて恥ずかしいのかな?
 うわぁ、豪華な朝食ー!そしてやっぱり一口サイズ~。まだあの歯がキラッとした料理人さんいるんだろうなぁ。
 僕が王太子と朝食を摂っていると、側近らしき人がレジュノ王太子の側にやってきて何か囁いていった。
 王太子が溜息を吐いている。

「どうしたんですか?」

 何か急ぎの用事なら僕は帰るけど?というか庭師の僕がここにいるのってかなり変な話だと思うけど。王太子の妃を狙うオメガに命を狙われたらどうしてくれるんだ。

「フブラオ・バハルジィがヨフに用事があるらしい。」

 フブラオ先生っ!昨日の夜、迎えに行きますと言ってくれてたけど、本当に来てくれた!

「あ、僕もフブラオ先生にお話があります。先生と出ても良いですか?」

 クエスト②を進めたいからね!多分報酬も謎だけどヘミィネが誰かと仲良くなるための何かなんじゃないかと思うんだよね!

「私がここに住めば良いと言った言葉は無視か?」
 
 んー……、そんなことも言ってたね。

「僕はたんなる庭師の助手なんです。僕は今の仕事を頑張りたいので、王太子宮では働けません。」

 僕は妹女神様からヨフとして貫けば大丈夫って言われてるからね!転職するつもりはないよ!

「………そういう意味ではない。」

 レジュノ王太子がまだ何か言いかけていたけど、部屋に誰か入ってきて言葉を止めた。

「入室の許可は出していないが?」

 フブラオ先生だった。

「失礼致します。公爵夫人から手紙を預かっておりまして。急ぎといいつかっております。」

 そう言ってフブラオ先生は王太子の側近に手紙を渡した。側近の人がレジュノ王太子に手紙を渡すと、王太子は手紙を出して読み始めた。
 僕は早く朝ごはんを終わらせようと思ってパクパクと食べながらフブラオ先生に手を振った。フブラオ先生はニコリと微笑んでくれる。

「分かった。ただ私も行こう。」

「承知しました。おそらくそうなるだろうと思っておりました。」

 なんの話だか分からないけど、僕は朝ごはんを急かされて王太子とフブラオ先生と共に馬車の中に詰め込まれてしまった。
 


 よく分からないまま連れられて行った場所は、王都にあるアクセミア公爵邸だった。
 ふぉおぉぉ~、懐かしい~。
 でも小さい頃の記憶だからちょっと薄れてる。長期休みに入ったら領地に帰ってたしね。でもなんとなく覚えてるなぁ。
 …………なんでここに来たんだろ?
 フブラオ先生を見たらニコッと笑い返されてしまった。んん?
 僕、公爵邸に来たら駄目じゃないかな?
 ちみぃ、ヨフミィでしょーーって言われるかぁ!?あは。
 
「って、言われたらダメだぁ~~~!」

「落ち着け、ヨフ。」

 隣に座ったレジュノ王太子に宥められてしまった。混乱しちゃったよ。

「あの、僕お腹痛くなってきちゃった。帰ろうかな。」

 顔を青くして言ったら、フブラオ先生は馬車の扉を開けた。

「もう到着しましたのでお手洗いに案内しましょうか?」

 逃げ損ねたぁ!
 さあ、さあ、と先生に手を引かれて玄関に到着した。どうしよう?バレる?でもお父様には会いたい。お父様のご尊顔を拝見したい。絶対お父様はイケた美父になっているはず!でも会えば思わずお父様に抱き付きそうで自分の行動が怖いっ!
 
「うわっ、葛藤するっ!」

「ヨフ?大丈夫ですか?」

 身悶えていたらラニラルがいつの間にか隣にいた。あれ?ラニラル?見上げると前髪の隙間からラニラルの綺麗な蒼い瞳が覗き込んでいる。
 ………ってそんな近距離ダメじゃん!!
 慌てて前を向き直したら目の前に綺麗な妖精さんが見つめていた。

「のわぁあぁぁぁーーーっ!」

 叫んだら目の前で薄紫の瞳を見開いてビックリしていた。
 お、お、お父様!?お父様だっ!歳とっても相変わらずお肌が綺麗でぇーーー!
 白い長髪は後ろでゆったりと結えて、背は僕と同じくらいだった。昔は抱っこしてくれていたお父様が、今は同じくらい。でも首を傾げた姿は可愛い!
 ど、ど、ど、どーしよう?
 お父様見て叫んじゃった……。お父様怒る?悲しむ?こんな新緑溢れる樹々の下で動物や小鳥と竪琴弾いて清涼なマイナスイオンを振り撒く妖精のごときお父様に向かって叫ぶなんてぇぇぇぇ!!

「ぼぼぼ僕呪われるぅ~~~!?!?!!」

 お父様は僕の肩にポンと手を置いた。

「大丈夫。呪わないから落ち着こうね?」

 すこーんと意識が戻る。

「………あい。」

 混乱してスミマセン。

 




 僕は今、公爵邸の貴賓用の応接室でジュースをいただいているよ。ジュース、美味しいよねぇ。
 ずずずずー。

「美味しい?もっとあるから遠慮せず飲んでね?」

 真横に座ったお父様に、これもどうぞとケーキを差し出される。あ、チーズケーキ!チーズケーキ好きなんだぁ~。
 
「ビスケット生地が下にあるものが好きなんですよね?バターもたっぷりですよ。」

 うう、口の中に涎がぁ……。
 ラニラルが素早く給仕をしてくれるし、隣にはいい匂いのお父様…。おかしいな、オメガ同士匂い感じたっけ?
 もうこれお父様のマイナスイオンかも。癒される~。
 お父様はチーズケーキを食べる僕を眺めてフフフフと笑っている。

「そんなに好きならお土産に持たせるね。」

「用意させましょう。」

 お父様とラニラルはウンウンと頷き合っている。
 僕が午前のティータイムをご馳走になっていると、部屋にヘミィネとルヌジュが入ってきた。二人と一緒にソヴィーシャとリュハナも入ってくる。一緒にいたんだ?

「お客様ってヨフだったんだ?」

「わぁ、ヨフ~~、なんでいるの?」

 ヘミィネはストンと僕の隣に座り、ルヌジュは僕の対面にテーブルに手をついて身を乗り出し話しかけてきた。

「ん~~~、よくわかんない。」
 
 まぁ、わかんない。さっぱりと。ついつい美味しいジュースとケーキに惑わされてたけど、なぜ僕はここに?
 お父様に会えばすぐに身バレするかと思って距離置いたのに?

「僕が招待したんだよ。」

 代わりにお父様が答えてくれた。そうだったんだ。この場には父上にお父様、フブラオ先生に、ラニラルとレジュノ王太子殿下、リュハナとソヴィーシャに、双子の弟達が集まった状態になっていた。
 ……あれ?これ、大丈夫かな?
 急に心配になってきた。

「どうしてですか?」

「うん、実はね、今公爵家が主となって調べている問題があるんだ。ちょっと怪しい薬なんだけどね。調べていくうちにヨフが火事に巻き込まれるし昨日は怪しい人物を取り押さえるのにも巻き込まれたと聞いてね。今日はお詫びを兼ねて我が家に招待したんだよ。」

 あ、そうだったんだ。僕って巻き込まれたの?火事はたまたまと言うか、女神のチュートリアル通りに動いただけと言うか……。
 でも怪我も何もしてないけどね?
 
「そうなんだ?ヨフ、災難だったね。」

 ルヌジュがしょんぼりと見つめてきた。

「そんな問題が?ヨフは大丈夫ですか?」

 ヘミィネはお父様に尋ねている。この双子ってほんと性格違うねぇ。

「うん、それでね。ヨフには護衛をつけるつもりだよ。」

 お父様の言葉に僕の斜め前に座って紅茶を飲んでいたレジュノ王太子が何か言いたそうに口を開けた。
 お父様がチラリと王太子を見ると、レジュノ王太子は溜息を吐いて黙った。
 なんだろう?
 よく分かんないけど、僕は危険なのかな?あまりそんな感じしないけど。

「出来れば我が家に滞在してもいいんだけどね?」

 お父様が僕の顔を覗き込んで尋ねてきた。
 そんなに心配してくれてるんだ?公爵家に滞在?うーん、そうなるとヘミィネの番作りはしやすくなるのかな?でも流石に近すぎて素顔隠すの大変だよね?
 それに妹女神様は庭師のヨフを貫けって言ってたし……。

「僕は庭師として王宮で働いてます。ジールさんからもいっぱい仕事を教えてもらってるし、僕はジールさんのもとで頑張りたいんです!」

 うん、これが正解だよね!
 お父様はガッカリしたみたいだ。うっ、心が痛い!

「そうか…。うん、仕事があるものね。ただ護衛は近くにつけるからね?」

「えっと、はい。ありがとうございます。」

 たんなる庭師の助手なのに護衛とか申し訳ないなぁ。
 お父様はいいんだよと優しく微笑んでくれている。

「昼食も食べていくの?僕の部屋に行こうよっ!」

 ルヌジュが早速遊ぼうと言い出した。

「ルヌジュ、ヨフはお父様のお客様として来てるんだよ?」

 ヘミィネが注意している。

「いいよ。ヨフは昼食を食べて行ってね。用意が出来たら呼ぶから双子の相手をして貰えるかな?」

 双子の相手はいいけど、僕、今日も仕事だったんだけど…。

「ジール・テフベル卿には連絡しておきましたよ。夕方までには戻ると伝えてあります。」

 フブラオ先生が笑顔で教えてくれた。
 じゃあ、いいのかな?
 僕は双子に連れられて二人の部屋に案内された。













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