じゃあっ!僕がお父様を幸せにします!

黄金 

文字の大きさ
55 / 90

54 妹女神様っ!もう少し教えてっ

しおりを挟む

 くるよ、来るよ。絶対来るって!

 僕はそう念じながらお布団にくるまった。
 本日荒らした王妃様のベッド……。ふかふかだったねぇ。でももう十六年も固いベッドで寝てると、こっちの方が落ち着く。そもそも前世も煎餅布団敷いて寝てたんだから、体質的にこっちだよねぇ。
 僕の身体は貧乏で出来ているぅ~………。


 はっ!

 目が覚めると一面咽せ返るような花が溢れていた。前来た時よりも花が多く咲いている。

「うわぁ。」

 場所は以前来た庭園と同じ場所だった。白いテーブルと椅子があり、地面には花弁が降り積もっていた。

「女神様ぁ?」

 あれ?またいない?……と思ったらいた。駄女神の方が。

「あははは、まだ吊るされてるんですかぁ?」

 大木にミノムシ状態で吊るされたままだった。駄女神様はうーっ!うっ!うーーー!!と唸っている。
 紐は太く頑丈で、僕には解けそうにない。解いて欲しそうだけど、駄女神には諦めてもらおう。

「よく来たわね。」

 カチャンと食器が音を立てる。妹女神様が白いテーブルにお盆を置いたところだった。

「いつも急に現れるよねぇ。」

「空間転移で来ているのよ。」

 そんな便利な能力が!

「どうせなら僕も魔法が使いたいです~。」

 手をすりすりしてお願いしたのに、妹女神様が手の指をヒラヒラさせるともう一脚白い椅子が現れ、座るよう指示された。

「座りなさい。お茶にしましょう。」

 妹女神様はコポポポと紅茶を入れてくれた。ふわりと甘い香りがする。
 言われた通り椅子に座り紅茶を飲むことにした。僕がカップを持ち上げコクコクと飲んでいるのを妹女神様は見ている。

「魔法でしたね。あの世界では魔法はまだ無理よ。」

 まだ?

「魔法にしろ化学にしろ、作成者の能力値が必要になるの。優れた世界を作れる上級神にしか成し得ないことなのよ。」

 えーと、確か駄女神が中の下で、妹女神様が中の上?二人で作ったから足して二で割ると中の中ってことなのかな?

「上級神にはなれないんですか?」

 妹女神様はコロコロと笑った。

「まだまだ無理だわ。特にこの世界は半分はお姉様が所持していますもの。仮にわたくしが上級神になったとしても、お姉様が足を引っ張ってしまうの。」

 そりゃ無理そうだね。ミノムシ駄女神じゃあ無理かぁ~。心の中で思ったのに、木に吊るされた駄女神様は睨みつけてきた。

「兎に角神格が足りないわ。おかげで干渉出来る範囲もごく限られたものになってしまうのよ。」

 妹女神様がきたことにより、瀕死状態で呼び出されなくなっただけでもまだマシってことなのかな?

「じゃあ今のうちに訊いてもいいですか?」

 早めに訊いておこう。いつも突然ぐるぐる帰されるからね!
 妹女神様はゆっくりと頷いた。

「クエスト報酬の内容がよくわかんないですけど?」

 チュートリアル報酬のお父様は理解出来た。お父様は僕のクエストについて何も知らなくても手伝ってくれる心強い仲間になってくれた。
 クエスト②のリュハナの信頼は何なんだろう?貰えなかったヘミィネの友情も、もしそっちをとったらどうなってたの?そこんところが分からない。

「……私が出すクエストは、全てヘミィネが番になるまでを促しているわ。」

 うんうん、そこは理解してる。

「ヘミィネが番を得ることが終着点ではありますが、候補は四人よね?」

「うん、レジュノ王太子にラニラルにソヴィーシャにリュハナでしょ?」

 妹女神様は頷く。サラリとエリュシャ王妃と同じホワイトベージュの美しい髪が肩から流れた。同じ桃色の瞳なのに妹女神様はバカに見えないなぁ。あ、それ言うならレジュノ王太子も桃色の瞳だけどいつも険しいかも?色じゃないんだね、色じゃ。

「番うのは誰か一人です。」

 まぁ、それは仕方ないというか?番は一人しか選べないし。

「貴方はヘミィネが番を得た後どうするつもりですか?」

 うん?
 なんか最近も似たような話をしたような…。ラニラルとだけど、好きな人はいないのかとか、番は作らないのかとか。ヘミィネが番を作らないと僕は同じことの繰り返しになると聞いているから、先のことは全然考えていなかった。

「…その後…。」

 と言われても。突然の問い掛けに頭が空っぽになる。
 妹女神様は小さく笑って紅茶を飲んだ。

「クエスト報酬は岐路になるわ。よくこっちを選べばこの人と親しくなるといった枝分かれの道です。」

 ああ、はいはい。つまりクエスト②では三つの枝道があったのか!

「その枝道はどれを選べば正解だったの?」

「正解はありません。必ず誰かに繋がっているの。」

「え?報酬に絵心もあったけど?」

「それを選ぶことによって誰かに繋がったのよ。絵心でも。勿論報酬が下級なら絵心は上げてあげのだけども。」

 ふぅーん?ふむぅ。なかなか妹女神様は考えてクエストを作ってるのかな?

「貴方はリュハナの信頼を選び、リュハナは貴方に本心を語りました。」

 うん、リュハナは僕のところに来て話をしていった。好きな人がいるんだと教えてくれた。そして最後よくわかんなかったけど、自分自身を見て欲しいと言っていた。
 それが報酬で、誰かに繋がっている?

「じゃあリュハナの好きな人はヘミィネで、二人の距離が近付いたとか?」

 そう答えたら、妹女神様はふふふと笑い出した。

「まぁ…、ふふ、違うのよ。報酬は報酬。貴方への報酬。ゲームをしているのは貴方。ヘミィネではないわ。でも貴方が報酬を選び取ることによりヘミィネもどこかの道へと進み始めているのよ。貴方が選ぶ道がヘミィネの道。」

 え?ええ?ちょっと、ナゾナゾなの?
 
「え?え?分かんない。じゃあ僕がリュハナの信頼を選んだから僕も誰かに近付いたってこと?まさかその人と仲良くなってきてるってこと?」

 乙女ゲームのように?
 妹女神様はにっこりと笑っている。うーん、そういうの好きなんだねぇ。

「誰に近付いたか訊いていい?」

 気になるぅぅ~!ヘミィネを四人の中の誰かにくっ付けるクエストしてるつもりだったのに、まさかの僕も!?
 妹女神様は頷いた。でもちょっぴり得意気に見える。

「近付いたのではなく、クエスト②は候補を消す報酬だったのよ。」

 こ、候補を消す??乙女ゲームは普通親密度とか好感度とかハートを上げるもんじゃないの?

「一つ一つクエストを終わらせるたびに、候補が減ったり愛情が増えたりするのよ。」

「はぁ…。」

「上級のリュハナの信頼を得た貴方は、リュハナとの親交が深まり、リュハナのヘミィネに対する好意が親愛で止まることになります。ヘミィネはリュハナと番うことはありません。」

 ……えっ?

「中級のヘミィネの友情ならば、貴方はヘミィネと仲良くなりヘミィネはラニラルを諦める結果が待っています。その場合ヘミィネはラニラル以外と番になることになるでしょう。下級の絵心ならば現状維持。誰とでも可能性を残しますが、番まで行くのに時間がかかってしまいます。」

 ………つまり、僕は上級褒美取ったから、ヘミィネはリュハナ以外の人と番になるってこと?これからレジュノ王太子かラニラルかソヴィーシャが候補に残ったということ?

「待って、そんな乙女ゲーム聞いたことない!」

 攻略対象者のイケメンを一人ずつ落として、最後に残った人と結ばれるってこと?
 まって、まって、じゃあこのままクエスト進めていけば、最後の一人になるんだよね?
 
「簡単ではありませんか?進めていけば必ず一人残るのよ?」

「か、簡単…。うん、簡単っちゃ簡単……?」

 えっと気を取り直してクエスト③の報酬について考えてみよう。確か報酬は騎士の忠誠というやつだった。クエスト②から考えると……。

「これって、騎士はソヴィーシャのことだよね?ソヴィーシャも落第!?」

「あら、ほほほほ。」

 ほほほほ、じゃないっ!ちゃんと説明してーーー!

「クエストは進めてちょうだいな。その方が展開が進み早くヘミィネは番を得ることが出来るようになるのだから。それに必ず落第ばかりではないのよ。」
 
「へ?どういうこと?」

 妹女神様はにっこりと笑った。

「いいこと?クエストはヘミィネの番を作る為にやってはいても、これは貴方の為のクエストなの。」

 えっと、うん…?うーん、そこが謎っていうか?何で僕まで?
 ぽりぽりと頭をかいたら、グラッと視界が揺らぐ。ハッとして妹女神様を見た。

「ちよっ、ちょっと待ってっ!もう!?」

「ごめんなさい?貴方を連れて来れる時間はそうないのよ。神格が低いものだから。」

 あ、それで短いの?
 も、もうちょっとっ!
 視界がぐるぐると回り始める。

「頑張ってね。」

 妹女神様はバイバイと小さく手を振っていた。
 ぐるぐる、ぐるぐると目が回る。
 あ、待って、つまりソヴィーシャとはどうなるのか教えてーーーー!
 叫び声は虚しく散っていった。










しおりを挟む
感想 493

あなたにおすすめの小説

私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。

小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。 「マリアが熱を出したらしい」 駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。 「また裏切られた……」 いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。 「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」 離婚する気持ちが固まっていく。

「『お前に書く手紙などない』と言った婚約者へ、私は7年間手紙を書き続けた——ただし、届け先は別の人でした」

歩人
ファンタジー
辺境伯令嬢リゼットは、婚約者に7年間手紙を書き続けた。返事は一度もなかった。 「お前に書く手紙などない。顔も覚えていない」——婚約破棄。しかしリゼットは 泣かなかった。手紙の本当の届け先は、最初から別にあったから。前世の情報分析 能力で辺境の異変を読み解き、暗号として織り込んだ7年分の手紙。それを受け取り 続けていたのは第一王子。リゼットは誰にも知られず、王国を守っていた。 婚約破棄の翌朝、王子からの手紙が届く。「7年間、ありがとう。迎えに行く」

番に見つからない街で、子供を育てている

はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。 異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。 現世の記憶は失われているが、 この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。 街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、 ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。 だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。 再会は望まない。 今はただ、この子との生活を守りたい。 これは、番から逃げたオメガが、 選び直すまでの物語。 *本編完結しました

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。

私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました

放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。 だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。 「彼女は可哀想なんだ」 「この子を跡取りにする」 そして人前で、平然と言い放つ。 ――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」 その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。 「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」

キュートなモブ令息に転生したボク。可愛さと前世の知識で悪役令息なお義兄さまを守りますっ!

をち。「もう我慢なんて」書籍発売中
BL
これは、あざと可愛い悪役令息の義弟VS.あざと主人公のおはなし。 ボクの名前は、クリストファー。 突然だけど、ボクには前世の記憶がある。 ジルベスターお義兄さまと初めて会ったとき、そのご尊顔を見て 「あああ!《《この人》》、知ってるう!悪役令息っ!」 と思い出したのだ。 あ、この人ゲームの悪役じゃん、って。 そう、俺が今いるこの世界は、ゲームの中の世界だったの! そして、ボクは悪役令息ジルベスターの義弟に転生していたのだ! しかも、モブ。 繰り返します。ボクはモブ!!「完全なるモブ」なのだ! ゲームの中のボクには、モブすぎて名前もキャラデザもなかった。 どおりで今まで毎日自分の顔をみてもなんにも思い出さなかったわけだ! ちなみに、ジルベスターお義兄さまは悪役ながら非常に人気があった。 その理由の第一は、ビジュアル! 夜空に輝く月みたいにキラキラした銀髪。夜の闇を思わせる深い紺碧の瞳。 涼やかに切れ上がった眦はサイコーにクール!! イケメンではなく美形!ビューティフル!ワンダフォー! ありとあらゆる美辞麗句を並び立てたくなるくらいに美しい姿かたちなのだ! 当然ながらボクもそのビジュアルにノックアウトされた。 ネップリももちろんコンプリートしたし、アクスタももちろん手に入れた! そんなボクの推しジルベスターは、その無表情のせいで「人を馬鹿にしている」「心がない」「冷酷」といわれ、悪役令息と呼ばれていた。 でもボクにはわかっていた。全部誤解なんだって。 ジルベスターは優しい人なんだって。 あの無表情の下には確かに温かなものが隠れてるはずなの! なのに誰もそれを理解しようとしなかった。 そして最後に断罪されてしまうのだ!あのピンク頭に惑わされたあんぽんたんたちのせいで!! ジルベスターが断罪されたときには悔し涙にぬれた。 なんとかジルベスターを救おうとすべてのルートを試し、ゲームをやり込みまくった。 でも何をしてもジルベスターは断罪された。 ボクはこの世界で大声で叫ぶ。 ボクのお義兄様はカッコよくて優しい最高のお義兄様なんだからっ! ゲームの世界ならいざしらず、このボクがついてるからには断罪なんてさせないっ! 最高に可愛いハイスぺモブ令息に転生したボクは、可愛さと前世の知識を武器にお義兄さまを守りますっ! ⭐︎⭐︎⭐︎ ご拝読頂きありがとうございます! コメント、エール、いいねお待ちしております♡ 「もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!」書籍発売中! 連載続いておりますので、そちらもぜひ♡

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

番解除した僕等の末路【完結済・短編】

藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。 番になって数日後、「番解除」された事を悟った。 「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。 けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。 2026/02/14 累計30万P突破御礼バレンタインSS追加しました 2026/02/15 累計いいね♡7777突破御礼SS 19時に公開します。 様々な形での応援ありがとうございます!

処理中です...