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54 妹女神様っ!もう少し教えてっ
しおりを挟むくるよ、来るよ。絶対来るって!
僕はそう念じながらお布団にくるまった。
本日荒らした王妃様のベッド……。ふかふかだったねぇ。でももう十六年も固いベッドで寝てると、こっちの方が落ち着く。そもそも前世も煎餅布団敷いて寝てたんだから、体質的にこっちだよねぇ。
僕の身体は貧乏で出来ているぅ~………。
はっ!
目が覚めると一面咽せ返るような花が溢れていた。前来た時よりも花が多く咲いている。
「うわぁ。」
場所は以前来た庭園と同じ場所だった。白いテーブルと椅子があり、地面には花弁が降り積もっていた。
「女神様ぁ?」
あれ?またいない?……と思ったらいた。駄女神の方が。
「あははは、まだ吊るされてるんですかぁ?」
大木にミノムシ状態で吊るされたままだった。駄女神様はうーっ!うっ!うーーー!!と唸っている。
紐は太く頑丈で、僕には解けそうにない。解いて欲しそうだけど、駄女神には諦めてもらおう。
「よく来たわね。」
カチャンと食器が音を立てる。妹女神様が白いテーブルにお盆を置いたところだった。
「いつも急に現れるよねぇ。」
「空間転移で来ているのよ。」
そんな便利な能力が!
「どうせなら僕も魔法が使いたいです~。」
手をすりすりしてお願いしたのに、妹女神様が手の指をヒラヒラさせるともう一脚白い椅子が現れ、座るよう指示された。
「座りなさい。お茶にしましょう。」
妹女神様はコポポポと紅茶を入れてくれた。ふわりと甘い香りがする。
言われた通り椅子に座り紅茶を飲むことにした。僕がカップを持ち上げコクコクと飲んでいるのを妹女神様は見ている。
「魔法でしたね。あの世界では魔法はまだ無理よ。」
まだ?
「魔法にしろ化学にしろ、作成者の能力値が必要になるの。優れた世界を作れる上級神にしか成し得ないことなのよ。」
えーと、確か駄女神が中の下で、妹女神様が中の上?二人で作ったから足して二で割ると中の中ってことなのかな?
「上級神にはなれないんですか?」
妹女神様はコロコロと笑った。
「まだまだ無理だわ。特にこの世界は半分はお姉様が所持していますもの。仮にわたくしが上級神になったとしても、お姉様が足を引っ張ってしまうの。」
そりゃ無理そうだね。ミノムシ駄女神じゃあ無理かぁ~。心の中で思ったのに、木に吊るされた駄女神様は睨みつけてきた。
「兎に角神格が足りないわ。おかげで干渉出来る範囲もごく限られたものになってしまうのよ。」
妹女神様がきたことにより、瀕死状態で呼び出されなくなっただけでもまだマシってことなのかな?
「じゃあ今のうちに訊いてもいいですか?」
早めに訊いておこう。いつも突然ぐるぐる帰されるからね!
妹女神様はゆっくりと頷いた。
「クエスト報酬の内容がよくわかんないですけど?」
チュートリアル報酬のお父様は理解出来た。お父様は僕のクエストについて何も知らなくても手伝ってくれる心強い仲間になってくれた。
クエスト②のリュハナの信頼は何なんだろう?貰えなかったヘミィネの友情も、もしそっちをとったらどうなってたの?そこんところが分からない。
「……私が出すクエストは、全てヘミィネが番になるまでを促しているわ。」
うんうん、そこは理解してる。
「ヘミィネが番を得ることが終着点ではありますが、候補は四人よね?」
「うん、レジュノ王太子にラニラルにソヴィーシャにリュハナでしょ?」
妹女神様は頷く。サラリとエリュシャ王妃と同じホワイトベージュの美しい髪が肩から流れた。同じ桃色の瞳なのに妹女神様はバカに見えないなぁ。あ、それ言うならレジュノ王太子も桃色の瞳だけどいつも険しいかも?色じゃないんだね、色じゃ。
「番うのは誰か一人です。」
まぁ、それは仕方ないというか?番は一人しか選べないし。
「貴方はヘミィネが番を得た後どうするつもりですか?」
うん?
なんか最近も似たような話をしたような…。ラニラルとだけど、好きな人はいないのかとか、番は作らないのかとか。ヘミィネが番を作らないと僕は同じことの繰り返しになると聞いているから、先のことは全然考えていなかった。
「…その後…。」
と言われても。突然の問い掛けに頭が空っぽになる。
妹女神様は小さく笑って紅茶を飲んだ。
「クエスト報酬は岐路になるわ。よくこっちを選べばこの人と親しくなるといった枝分かれの道です。」
ああ、はいはい。つまりクエスト②では三つの枝道があったのか!
「その枝道はどれを選べば正解だったの?」
「正解はありません。必ず誰かに繋がっているの。」
「え?報酬に絵心もあったけど?」
「それを選ぶことによって誰かに繋がったのよ。絵心でも。勿論報酬が下級なら絵心は上げてあげのだけども。」
ふぅーん?ふむぅ。なかなか妹女神様は考えてクエストを作ってるのかな?
「貴方はリュハナの信頼を選び、リュハナは貴方に本心を語りました。」
うん、リュハナは僕のところに来て話をしていった。好きな人がいるんだと教えてくれた。そして最後よくわかんなかったけど、自分自身を見て欲しいと言っていた。
それが報酬で、誰かに繋がっている?
「じゃあリュハナの好きな人はヘミィネで、二人の距離が近付いたとか?」
そう答えたら、妹女神様はふふふと笑い出した。
「まぁ…、ふふ、違うのよ。報酬は報酬。貴方への報酬。ゲームをしているのは貴方。ヘミィネではないわ。でも貴方が報酬を選び取ることによりヘミィネもどこかの道へと進み始めているのよ。貴方が選ぶ道がヘミィネの道。」
え?ええ?ちょっと、ナゾナゾなの?
「え?え?分かんない。じゃあ僕がリュハナの信頼を選んだから僕も誰かに近付いたってこと?まさかその人と仲良くなってきてるってこと?」
乙女ゲームのように?
妹女神様はにっこりと笑っている。うーん、そういうの好きなんだねぇ。
「誰に近付いたか訊いていい?」
気になるぅぅ~!ヘミィネを四人の中の誰かにくっ付けるクエストしてるつもりだったのに、まさかの僕も!?
妹女神様は頷いた。でもちょっぴり得意気に見える。
「近付いたのではなく、クエスト②は候補を消す報酬だったのよ。」
こ、候補を消す??乙女ゲームは普通親密度とか好感度とかハートを上げるもんじゃないの?
「一つ一つクエストを終わらせるたびに、候補が減ったり愛情が増えたりするのよ。」
「はぁ…。」
「上級のリュハナの信頼を得た貴方は、リュハナとの親交が深まり、リュハナのヘミィネに対する好意が親愛で止まることになります。ヘミィネはリュハナと番うことはありません。」
……えっ?
「中級のヘミィネの友情ならば、貴方はヘミィネと仲良くなりヘミィネはラニラルを諦める結果が待っています。その場合ヘミィネはラニラル以外と番になることになるでしょう。下級の絵心ならば現状維持。誰とでも可能性を残しますが、番まで行くのに時間がかかってしまいます。」
………つまり、僕は上級褒美取ったから、ヘミィネはリュハナ以外の人と番になるってこと?これからレジュノ王太子かラニラルかソヴィーシャが候補に残ったということ?
「待って、そんな乙女ゲーム聞いたことない!」
攻略対象者のイケメンを一人ずつ落として、最後に残った人と結ばれるってこと?
まって、まって、じゃあこのままクエスト進めていけば、最後の一人になるんだよね?
「簡単ではありませんか?進めていけば必ず一人残るのよ?」
「か、簡単…。うん、簡単っちゃ簡単……?」
えっと気を取り直してクエスト③の報酬について考えてみよう。確か報酬は騎士の忠誠というやつだった。クエスト②から考えると……。
「これって、騎士はソヴィーシャのことだよね?ソヴィーシャも落第!?」
「あら、ほほほほ。」
ほほほほ、じゃないっ!ちゃんと説明してーーー!
「クエストは進めてちょうだいな。その方が展開が進み早くヘミィネは番を得ることが出来るようになるのだから。それに必ず落第ばかりではないのよ。」
「へ?どういうこと?」
妹女神様はにっこりと笑った。
「いいこと?クエストはヘミィネの番を作る為にやってはいても、これは貴方の為のクエストなの。」
えっと、うん…?うーん、そこが謎っていうか?何で僕まで?
ぽりぽりと頭をかいたら、グラッと視界が揺らぐ。ハッとして妹女神様を見た。
「ちよっ、ちょっと待ってっ!もう!?」
「ごめんなさい?貴方を連れて来れる時間はそうないのよ。神格が低いものだから。」
あ、それで短いの?
も、もうちょっとっ!
視界がぐるぐると回り始める。
「頑張ってね。」
妹女神様はバイバイと小さく手を振っていた。
ぐるぐる、ぐるぐると目が回る。
あ、待って、つまりソヴィーシャとはどうなるのか教えてーーーー!
叫び声は虚しく散っていった。
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