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57 嬉しい涙
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るんるんしながらルヌジュ達がいる庭に向かうことにした。お父様と父上は夕食前まで仕事をしなきゃだから、みんなと遊んでおいでと廊下で待っていたリュハナと外に出されてしまった。
フブラオ先生は後で今後の教育日程を教えますねとニコニコ笑いながら言っていた。
嬉しいけど嬉しくない~。
「どこの庭にいるの?」
「裏かな?よくルヌジュが剣術と体術を習っている場所があるんだよ。」
そう言いながら二人で歩いていく。
父上が貸してくれた本三冊はリュハナが運んでいた。表紙を見てリュハナの顔が一緒固まったように見えたけど、スッと笑顔に戻っていた。流石だよね!
ルヌジュの剣術と体術はソヴィーシャが教えているらしい。週に一回しかないのでルヌジュは時間が足りないと行って王宮の横にある騎士団に遊びに行っちゃうんだそうだ。
公爵家にも騎士はいるし訓練場もあるけど、オメガの子息であるルヌジュを、怪我させられないと相手してくれないらしい。
王宮の騎士団に行けばソヴィーシャがいるし、いなくても誰かが相手してくれると飛び出していくんだとリュハナは教えてくれた。本当に剣が好きなんだねぇ。
「あ、あそこ?」
僕達は二階の廊下を歩いていた。廊下は長く外側には半窓が並んでいる。外を見ると綺麗に刈られた芝生の庭が広がっていた。そこでルヌジュはフヒィルと木剣で対戦をしていた。
うわぁ、凄い!いつも騎士団で剣を使った打ち合いはやっているけど、今日は格闘技みたいに殴ったり蹴ったりもしている。実戦~って感じがする。
ルヌジュはまだ十五歳だし身体が細い。身長もフヒィルの方が背が高いので力では負けているように見える。それでもルヌジュは素早い動きでフヒィルと互角に渡り合っていた。
対戦しているルヌジュとフヒィルから少し離れた場所では、ヘミィネとソヴィーシャが何やら喋っている様子が見える。距離があるので何を喋っているのかは聞こえない。どうやらヘミィネはソヴィーシャに何か力説しているように見える。それをソヴィーシャが軽く返事をしながら笑っているような感じだ。
なんだかイチャイチャカップルに見えるなぁ。もうちょっとルヌジュとフヒィルの応援しなよー。
僕は頑張っている二人を応援しよう!
まだ戦っている二人を見ると、最初はお互い木剣を持っていたのに、途中でフヒィルがルヌジュの剣を弾き、ルヌジュも地面に手を付き足蹴でフヒィルの手首を狙って剣を落とさせているのが見えた。
おおっ、すごいっ!
そこからはパンチとキックの応酬になっている。
もっと近くで見たいけど、降りて向かっている間に終わってたら嫌だからここから離れられない!
あ、ルヌジュ負けちゃったかぁ。でもフヒィルは第一隊の副隊長だもんね。
ルヌジュの方は力尽きたのか地面に大の字になって肩で息をしているけど、フヒィルはケロッとしていた。手加減してたのかなって感じがする。
二人の対戦が終わってもまだヘミィネとソヴィーシャは何やら楽しげに喋っていた。
ヘミィネは僕にもよく噛み付いてくるけど、ソヴィーシャにも同じように噛み付くようだ。上から見ていると、顔を赤くしてソヴィーシャに食ってかかっている様子がよく分かる。
「わぁぁ、ルヌジュってあんなに強いんだねっ!」
凄いねぇとリュハナに話しかけた。
リュハナはルヌジュの専属侍従をしているから、きっと自分の主人が褒められたら嬉しいはずー!………と思ったんだけど………。
あ、あれ?…………リュ、リュハナ???
ちょー目が冷たいんですけどぉーーー!?
いつもは穏やかに微笑む緑の目が冷ややかに眼下を見下ろしている。美人が凄むと怖いってホントなんだぁ。
リュハナは一拍遅れて僕の方を見た。
「ん?どうしたの?」
いつものリュハナだ。
「……んーん。ルヌジュ達凄いねって思って。」
「ああ、うん。本当にね。」
そう僕に返事をしながらリュハナはニコッと笑った。
んー?いつものリュハナだ。何でさっき怖い顔して見てたんだろ?
何か睨み付けるようなものでもあったのかな?
もう一度下を見てみた。
「ん?」
下にいた四人の側に誰かもう一人近づき話し掛けていた。
「そういえばヨフはまだ彼に会ったことがないんだよね?」
リュハナは知っている人らしい。
その人は真っ白な髪をしていた。瞳は茶色っぽいように見える。ちょっと距離があるので分かりにくい。顔立ちは可愛らしく見えた。というか似てる?お父様とか、ヘミィネに似てる。てことは僕の素顔にも似ているってことだ。
「誰なの?」
尋ねるとリュハナはチラッと僕を見た。迷うような表情をしている。
「彼はヨフミィ・アクセミアかもしれないと言われている人物だよ。」
ええーーーー!?僕ー!?僕はここにいるのにアソコにも僕!んなわけないか。偽物さんだね。
「本物だとは思ってないよ。ちょっと訳があって屋敷に客人として滞在させているんだ。」
「訳って?」
「…………僕達の所為ではあるんだけどねぇ。」
???
「身代わりです。」
横からいきなり声が掛かった。
「わっ、びっくり!」
ラニラルだった。全く気配を感じさせず近くにいたので驚いてしまった。
「身代わりって?」
「あの方はジュヒィー公爵夫人の遠縁の方です。顔立ちが似ているのはその所為なのですが、訳あって屋敷に滞在していただいているのです。」
「ふぅーん?で、訳って?」
だから、その訳って何ぃ?言いたくないの?
じーとラニラルの顔を見つめるとショボンとした。なぜ?僕の目はメガネと前髪で見えないんだと思うんだけど、睨みつけた訳じゃないよ?
「ふふふ、ラニラルは怒られたんだよ。」
リュハナがラニラルの顔を見ておかしそうに笑っている。
「え?ラニラルが?誰に?」
それこそビックリ!
「公爵夫人にだよ。僕達って幼馴染でしょう?しかも身分は高くいずれ爵位を継承する者ばかり。しかもヨフミィ・アクセミア公子を皆慕い帰ってくるのを待っているのだと殆どの貴族は知っているんだ。それがある日を境に一人のオメガの周りを彷徨けば、そりゃあ目立つよね?」
…………それは、そうだねぇ。ただでさえ皆んなイケメンアルファ。それが我先にと一人のオメガの周りをウロチョロしたらね?そのオメガの人を奪い合いしてるってことなんでしょ?そりゃあ注目の的だ!
「うんうん、それは目立つねぇ。オメガの人も大変だ。」
「ヨフだけどね?」
「でえぇぇぇーー!?」
僕ぅーーー!?
「庭師の青年オメガはもしやヨフミィ・アクセミアなのか……。なぁんて騒がれ始めたから、ヨフミィ様似の子を屋敷に滞在させて視線を分散させようってことになったんだ。もともとヨフミィ様かもっていう疑いのある者をよく滞在させてたから不思議ではないんだよ。」
僕の周りに王太子をはじめラニラル達がいつもいるものだから、お父様が派手に動きすぎだと注意したらしい。
そこで頻繁に誰かがいてもおかしくない状況を作った。それが公爵家が後援者になることだった。
結構無理矢理だなぁとは思ってたけど、そんな理由があったんだ?クエスト進めるのにちょうど良かったから言われた通りに動いてたけど。
「ヨフミィ様を名乗る者達は全員帰したのですが、あの者だけ暫く屋敷に置く必要があります。」
あ、そうなんだ?何だか複雑。僕が本物ではあるんだけど、本物のヨフミィだとは言えない状況で、偽物ヨフミィを立てて誤魔化してくれるのは助かるんだけど、本物ヨフミィの身としては全然気付いてもらえてなかったのかと思うと寂しい。
自分が黙っているくせに我儘な考え方だよね。
黙り込んだ僕の手をラニラルが握った。
「……ヨフの為なんです。公爵夫人は庭師のヨフを守りたいとお考えです。貴族に注目されれば平和に暮らすことが難しくなります。自分達に無理矢理引き入れようとする者も現れるでしょう。だからヨフミィ様かもしれないと思わせる者を滞在させているのです。」
「そうだよ。公爵家はヨフのことを我が子として扱いたいんだ。」
我が子として…?でも、どうして?僕の後援者となったのもそうだし、理由を聞かなくてもお父様は手伝ってくれる。
顔を、お父様は僕の顔をはっきりと見た。でも僕のことをヨフと呼ぶ。
僕のことをヨフミィだと気づいてくれないのかと少し思った。考えないようにしていたけど。
「僕は医師をしているから確認したいんだけど、ヨフは小さい頃の記憶がないと聞いているんだけど……。」
リュハナが遠慮がちに尋ねてきた。
記憶…、記憶っ!そうだっ!僕は記憶喪失設定でいたんだった!
「申し訳ありません。テフベル卿に確認したのです。」
ラニラルも僕の手を握ったまま申し訳なさそうに言った。
あっ……と、僕は何となく理解してしまった。
記憶っ!記憶ねっ!すっかり忘れてた!
つまりお父様達は僕がヨフミィ本人だと思う、もしくは疑っているけど、僕に記憶がないと思ってるからさりげなく僕を保護しようとしてくれてるってことね!
なんか理解が一致した!
記憶がない状態のヨフミィかもしれない僕を守る為に、偽物を立ててまで公爵家で預かってくれようとしているってことなんだね?
もしかしたら僕が最初ジールさんに貴族は嫌だって言ったことも知られてるとか?それで変装してるって思われてるとか?
凄く申し訳ない気持ちになり冷や汗が出る。
じゃあさっき父上が執務室にある僕の為に買い集めたという本も、僕がヨフミィだと思うから貸してくれたってことだよね?
皆んなの思いやりが心に痛い。特にお父様っ!
こ、これは大変だ。
皆んなに気付かれているけど、時間が巻き戻ってないから神様ルールにはまだ適用されているってことだ。バレてても社会的にヨフだからセーフになってるってことだ。
この綱渡りをヘミィネが番を得るまでやりこなせと………。なかなかしんどいですね?
うん、これまでもヨフミィだとバレてる?って思うことは何度かあったよ?でも誰も何も言わないし、大丈夫なんだろうなぁって思ってたんだよぉ~~。
本当はヨフミィかもって思ってたんだ……。気の所為じゃなかったんだ…。
ちゃんと気付いてくれてたんだ。
「ひーん。」
皆んなが気付いてくれていた嬉しさと、正直に言えない苦しさで心がいっぱいになって涙が出てきた。
「ヨ、ヨフ?どうか泣かないで下さい。」
ラニラルがオロオロしている。
「あれれ、泣いちゃった…。ごめんね。記憶がないかなんて聞かれたくなかったね。」
リュハナが勘違いして謝ってきた。泣いた理由は違うけど、勘違いさせたままにしなきゃ。
でも涙が止まらない。
平気だと思ってたのに。ヨフミィだと知られなくても大丈夫だって思ってたのに。
気付かないうちに寂しかったみたいだ。本当は皆んなに帰ってきたよって言いたかったんだ、僕。
ラニラルがソッと抱き締めてくれた。
ラニラルの匂いが包み込んでくる。
「ふぇぇ……。」
「大丈夫ですよ。いつか記憶は戻りますよ。それまで側にいますから、安心して下さいね。」
ラニラルが優しい。昔も今もラニラルはずっと優しい。
「ラニラル、とりあえずヨフが落ち着くまで側にいてやって?僕は下が騒がしいから止めてくるよ。」
「……ヘミィネ様もいらっしゃいますね。お任せしても大丈夫ですか?」
「ソヴィーシャもいるから大丈夫だよ。」
二人に迷惑をかけている。だけど涙が止まらない。
はい、これ、と言って持っていた本をラニラルに渡し、リュハナは僕を気にしながら下を向かって行った。
「さぁ、そこの部屋に入りましょう。客室なので少し休んでも大丈夫ですよ。」
ラニラルが肩を抱いて部屋の中へ促してくれた。
涙でメガネの内側は濡れて部屋の様子はわからない。でもラニラルはゆっくりと僕を誘導してソファに座らせてくれた。
ハンカチを渡してくれて、少し待っていて下さいねと言って本をテーブルに置いて部屋を出ていった。すぐに戻ってくると手にはグラスを持っている。
グラスは一旦テーブルに置き、ラニラルは僕の隣に座って軽く抱き締めてくれた。
「突然尋ねられて驚いてしまいましたね。」
僕はスンスンと鼻を鳴らしながらメガネの内側にハンカチを突っ込んで涙を拭いていた。
ラニラルはポンポンと軽く背中を叩いてくれる。その振動が心地よい。
ラニラルの匂いに安心する。
「ヨフは今のままでも良いのです。」
ゆっくりと優しく囁く声が気持ちいい。
そうやって暫くラニラルは僕を慰めてくれていた。
眠たくなってくる。だって今日は朝早くから買い物をした。いっぱい連れ回されて疲れちゃった。
瞼が重たい。
「少し疲れましたね。水を持ってきたので口に入れて下さい。」
ラニラルがグラスを持って口につけてくれた。ゆっくりと傾けて水を飲ませてくれる。
ラニラルも気付いてたんだ。僕がヨフミィかもって思うから、側に来てくれたんだ。
いつから気付いてたんだろう?
ああ……、尋ねたいなぁ。
「少し眠って下さい。後で起こして差し上げますよ。」
「うん……。」
ラニラルに甘えちゃったなぁ。……だって優しいんだもん。
小さな頃と同じように、……ラニラルは優しい。
華奢な身体から力が抜けて、ラニラルの腕の中で僅かに重みを増した。
起きないように身体を抱き上げて自分の膝の上に乗せる。
細く柔らかな身体。温かい体温。微かに感じる鼓動。
胸に寄りかかる頬に涙の跡が残っている。自分の手よりも遥かに小さい手には、渡したハンカチが握りしめられていた。
まだ性別も分からないうちに消えてしまった自分の大切な主人。
オメガらしくその指は細く、男性なのに身体は華奢で頼りない。
ハンカチをゆっくりと抜き取り、頬についた涙を拭いてあげた。
「夢のようです…………。」
抱き締めると小さなスウスウという寝息が耳に心地よく響いてくる。
生きている。
生きて、動いて、いる………。
どんなに待ち焦がれただろう。貴方の痕跡を探して、湖に幾度となく足を運んだ。
父上達は自分の為に生きなさいと言ったけど、貴方が息をし吐いた痕跡を感じる限り、どうして自分の為だけに生きれるのかと思った。
もしかしたら同じ空の下で同じ大気を吸っているかもしれないのに。貴方が目にしていた物全てがここにあるのに、目を閉じることなんて出来なかった。
リュハナが代わりに公爵家に残るから、探しに行ってもいいんだと言ったけど、それすら出来なかった。
足が動かなかった。
もし貴方がひょっこり帰ってきたら?
『ラニラルっ!』と何でもないように笑って帰ってきたら?行き違いなんて笑えない。
貴方が帰ってくる場所はアクセミア公爵家しかない。貴方なら大好きな『お父様』の側に必ず帰ってくる。
そう信じて待っていた。
自分の胸に寄りかかった所為でメガネがズレていた。長い前髪が流れて僅かに濡れた睫毛が見える。
真っ白な雪ような睫毛が……。
震える手でメガネを外した。緊張で震えるなんていつぶりだろう?もしかしたら初めてかもしれない。
綺麗な顔がスヤスヤと眠っていた。
泣いたからか目元が赤くなっている。白い頬は滑らかで、ジュヒィー・アクセミア公爵夫人にそっくりだった。
ハンカチで軽く目元を拭いてあげる。
「ここに、いる……。」
自分まで泣いてしまいそうだ。
生きて自分の腕の中で眠っている。
細くしなやかな手を取り口つげをした。指に、手のひらに、手首に。唇を当てて確かに血が流れているのを感じて感極まる。
生きている。
あの日離れた手がここにある。
冬の湖の水は冷たかっただろうに。よく無事に生きていてくれたと神に感謝した。
公爵夫人は神様が連れて行ったのだと神すら呪いそうな顔をしていたが、私は神に毎日のように祈っていた。
私の主人を返して下さいと。
次は離さないようにしよう。もう、二度と。後悔のないように……。
貴方の為に生きると、全てをあげると誓ったのに、どうか置いて行かないで下さい。
フブラオ先生は後で今後の教育日程を教えますねとニコニコ笑いながら言っていた。
嬉しいけど嬉しくない~。
「どこの庭にいるの?」
「裏かな?よくルヌジュが剣術と体術を習っている場所があるんだよ。」
そう言いながら二人で歩いていく。
父上が貸してくれた本三冊はリュハナが運んでいた。表紙を見てリュハナの顔が一緒固まったように見えたけど、スッと笑顔に戻っていた。流石だよね!
ルヌジュの剣術と体術はソヴィーシャが教えているらしい。週に一回しかないのでルヌジュは時間が足りないと行って王宮の横にある騎士団に遊びに行っちゃうんだそうだ。
公爵家にも騎士はいるし訓練場もあるけど、オメガの子息であるルヌジュを、怪我させられないと相手してくれないらしい。
王宮の騎士団に行けばソヴィーシャがいるし、いなくても誰かが相手してくれると飛び出していくんだとリュハナは教えてくれた。本当に剣が好きなんだねぇ。
「あ、あそこ?」
僕達は二階の廊下を歩いていた。廊下は長く外側には半窓が並んでいる。外を見ると綺麗に刈られた芝生の庭が広がっていた。そこでルヌジュはフヒィルと木剣で対戦をしていた。
うわぁ、凄い!いつも騎士団で剣を使った打ち合いはやっているけど、今日は格闘技みたいに殴ったり蹴ったりもしている。実戦~って感じがする。
ルヌジュはまだ十五歳だし身体が細い。身長もフヒィルの方が背が高いので力では負けているように見える。それでもルヌジュは素早い動きでフヒィルと互角に渡り合っていた。
対戦しているルヌジュとフヒィルから少し離れた場所では、ヘミィネとソヴィーシャが何やら喋っている様子が見える。距離があるので何を喋っているのかは聞こえない。どうやらヘミィネはソヴィーシャに何か力説しているように見える。それをソヴィーシャが軽く返事をしながら笑っているような感じだ。
なんだかイチャイチャカップルに見えるなぁ。もうちょっとルヌジュとフヒィルの応援しなよー。
僕は頑張っている二人を応援しよう!
まだ戦っている二人を見ると、最初はお互い木剣を持っていたのに、途中でフヒィルがルヌジュの剣を弾き、ルヌジュも地面に手を付き足蹴でフヒィルの手首を狙って剣を落とさせているのが見えた。
おおっ、すごいっ!
そこからはパンチとキックの応酬になっている。
もっと近くで見たいけど、降りて向かっている間に終わってたら嫌だからここから離れられない!
あ、ルヌジュ負けちゃったかぁ。でもフヒィルは第一隊の副隊長だもんね。
ルヌジュの方は力尽きたのか地面に大の字になって肩で息をしているけど、フヒィルはケロッとしていた。手加減してたのかなって感じがする。
二人の対戦が終わってもまだヘミィネとソヴィーシャは何やら楽しげに喋っていた。
ヘミィネは僕にもよく噛み付いてくるけど、ソヴィーシャにも同じように噛み付くようだ。上から見ていると、顔を赤くしてソヴィーシャに食ってかかっている様子がよく分かる。
「わぁぁ、ルヌジュってあんなに強いんだねっ!」
凄いねぇとリュハナに話しかけた。
リュハナはルヌジュの専属侍従をしているから、きっと自分の主人が褒められたら嬉しいはずー!………と思ったんだけど………。
あ、あれ?…………リュ、リュハナ???
ちょー目が冷たいんですけどぉーーー!?
いつもは穏やかに微笑む緑の目が冷ややかに眼下を見下ろしている。美人が凄むと怖いってホントなんだぁ。
リュハナは一拍遅れて僕の方を見た。
「ん?どうしたの?」
いつものリュハナだ。
「……んーん。ルヌジュ達凄いねって思って。」
「ああ、うん。本当にね。」
そう僕に返事をしながらリュハナはニコッと笑った。
んー?いつものリュハナだ。何でさっき怖い顔して見てたんだろ?
何か睨み付けるようなものでもあったのかな?
もう一度下を見てみた。
「ん?」
下にいた四人の側に誰かもう一人近づき話し掛けていた。
「そういえばヨフはまだ彼に会ったことがないんだよね?」
リュハナは知っている人らしい。
その人は真っ白な髪をしていた。瞳は茶色っぽいように見える。ちょっと距離があるので分かりにくい。顔立ちは可愛らしく見えた。というか似てる?お父様とか、ヘミィネに似てる。てことは僕の素顔にも似ているってことだ。
「誰なの?」
尋ねるとリュハナはチラッと僕を見た。迷うような表情をしている。
「彼はヨフミィ・アクセミアかもしれないと言われている人物だよ。」
ええーーーー!?僕ー!?僕はここにいるのにアソコにも僕!んなわけないか。偽物さんだね。
「本物だとは思ってないよ。ちょっと訳があって屋敷に客人として滞在させているんだ。」
「訳って?」
「…………僕達の所為ではあるんだけどねぇ。」
???
「身代わりです。」
横からいきなり声が掛かった。
「わっ、びっくり!」
ラニラルだった。全く気配を感じさせず近くにいたので驚いてしまった。
「身代わりって?」
「あの方はジュヒィー公爵夫人の遠縁の方です。顔立ちが似ているのはその所為なのですが、訳あって屋敷に滞在していただいているのです。」
「ふぅーん?で、訳って?」
だから、その訳って何ぃ?言いたくないの?
じーとラニラルの顔を見つめるとショボンとした。なぜ?僕の目はメガネと前髪で見えないんだと思うんだけど、睨みつけた訳じゃないよ?
「ふふふ、ラニラルは怒られたんだよ。」
リュハナがラニラルの顔を見ておかしそうに笑っている。
「え?ラニラルが?誰に?」
それこそビックリ!
「公爵夫人にだよ。僕達って幼馴染でしょう?しかも身分は高くいずれ爵位を継承する者ばかり。しかもヨフミィ・アクセミア公子を皆慕い帰ってくるのを待っているのだと殆どの貴族は知っているんだ。それがある日を境に一人のオメガの周りを彷徨けば、そりゃあ目立つよね?」
…………それは、そうだねぇ。ただでさえ皆んなイケメンアルファ。それが我先にと一人のオメガの周りをウロチョロしたらね?そのオメガの人を奪い合いしてるってことなんでしょ?そりゃあ注目の的だ!
「うんうん、それは目立つねぇ。オメガの人も大変だ。」
「ヨフだけどね?」
「でえぇぇぇーー!?」
僕ぅーーー!?
「庭師の青年オメガはもしやヨフミィ・アクセミアなのか……。なぁんて騒がれ始めたから、ヨフミィ様似の子を屋敷に滞在させて視線を分散させようってことになったんだ。もともとヨフミィ様かもっていう疑いのある者をよく滞在させてたから不思議ではないんだよ。」
僕の周りに王太子をはじめラニラル達がいつもいるものだから、お父様が派手に動きすぎだと注意したらしい。
そこで頻繁に誰かがいてもおかしくない状況を作った。それが公爵家が後援者になることだった。
結構無理矢理だなぁとは思ってたけど、そんな理由があったんだ?クエスト進めるのにちょうど良かったから言われた通りに動いてたけど。
「ヨフミィ様を名乗る者達は全員帰したのですが、あの者だけ暫く屋敷に置く必要があります。」
あ、そうなんだ?何だか複雑。僕が本物ではあるんだけど、本物のヨフミィだとは言えない状況で、偽物ヨフミィを立てて誤魔化してくれるのは助かるんだけど、本物ヨフミィの身としては全然気付いてもらえてなかったのかと思うと寂しい。
自分が黙っているくせに我儘な考え方だよね。
黙り込んだ僕の手をラニラルが握った。
「……ヨフの為なんです。公爵夫人は庭師のヨフを守りたいとお考えです。貴族に注目されれば平和に暮らすことが難しくなります。自分達に無理矢理引き入れようとする者も現れるでしょう。だからヨフミィ様かもしれないと思わせる者を滞在させているのです。」
「そうだよ。公爵家はヨフのことを我が子として扱いたいんだ。」
我が子として…?でも、どうして?僕の後援者となったのもそうだし、理由を聞かなくてもお父様は手伝ってくれる。
顔を、お父様は僕の顔をはっきりと見た。でも僕のことをヨフと呼ぶ。
僕のことをヨフミィだと気づいてくれないのかと少し思った。考えないようにしていたけど。
「僕は医師をしているから確認したいんだけど、ヨフは小さい頃の記憶がないと聞いているんだけど……。」
リュハナが遠慮がちに尋ねてきた。
記憶…、記憶っ!そうだっ!僕は記憶喪失設定でいたんだった!
「申し訳ありません。テフベル卿に確認したのです。」
ラニラルも僕の手を握ったまま申し訳なさそうに言った。
あっ……と、僕は何となく理解してしまった。
記憶っ!記憶ねっ!すっかり忘れてた!
つまりお父様達は僕がヨフミィ本人だと思う、もしくは疑っているけど、僕に記憶がないと思ってるからさりげなく僕を保護しようとしてくれてるってことね!
なんか理解が一致した!
記憶がない状態のヨフミィかもしれない僕を守る為に、偽物を立ててまで公爵家で預かってくれようとしているってことなんだね?
もしかしたら僕が最初ジールさんに貴族は嫌だって言ったことも知られてるとか?それで変装してるって思われてるとか?
凄く申し訳ない気持ちになり冷や汗が出る。
じゃあさっき父上が執務室にある僕の為に買い集めたという本も、僕がヨフミィだと思うから貸してくれたってことだよね?
皆んなの思いやりが心に痛い。特にお父様っ!
こ、これは大変だ。
皆んなに気付かれているけど、時間が巻き戻ってないから神様ルールにはまだ適用されているってことだ。バレてても社会的にヨフだからセーフになってるってことだ。
この綱渡りをヘミィネが番を得るまでやりこなせと………。なかなかしんどいですね?
うん、これまでもヨフミィだとバレてる?って思うことは何度かあったよ?でも誰も何も言わないし、大丈夫なんだろうなぁって思ってたんだよぉ~~。
本当はヨフミィかもって思ってたんだ……。気の所為じゃなかったんだ…。
ちゃんと気付いてくれてたんだ。
「ひーん。」
皆んなが気付いてくれていた嬉しさと、正直に言えない苦しさで心がいっぱいになって涙が出てきた。
「ヨ、ヨフ?どうか泣かないで下さい。」
ラニラルがオロオロしている。
「あれれ、泣いちゃった…。ごめんね。記憶がないかなんて聞かれたくなかったね。」
リュハナが勘違いして謝ってきた。泣いた理由は違うけど、勘違いさせたままにしなきゃ。
でも涙が止まらない。
平気だと思ってたのに。ヨフミィだと知られなくても大丈夫だって思ってたのに。
気付かないうちに寂しかったみたいだ。本当は皆んなに帰ってきたよって言いたかったんだ、僕。
ラニラルがソッと抱き締めてくれた。
ラニラルの匂いが包み込んでくる。
「ふぇぇ……。」
「大丈夫ですよ。いつか記憶は戻りますよ。それまで側にいますから、安心して下さいね。」
ラニラルが優しい。昔も今もラニラルはずっと優しい。
「ラニラル、とりあえずヨフが落ち着くまで側にいてやって?僕は下が騒がしいから止めてくるよ。」
「……ヘミィネ様もいらっしゃいますね。お任せしても大丈夫ですか?」
「ソヴィーシャもいるから大丈夫だよ。」
二人に迷惑をかけている。だけど涙が止まらない。
はい、これ、と言って持っていた本をラニラルに渡し、リュハナは僕を気にしながら下を向かって行った。
「さぁ、そこの部屋に入りましょう。客室なので少し休んでも大丈夫ですよ。」
ラニラルが肩を抱いて部屋の中へ促してくれた。
涙でメガネの内側は濡れて部屋の様子はわからない。でもラニラルはゆっくりと僕を誘導してソファに座らせてくれた。
ハンカチを渡してくれて、少し待っていて下さいねと言って本をテーブルに置いて部屋を出ていった。すぐに戻ってくると手にはグラスを持っている。
グラスは一旦テーブルに置き、ラニラルは僕の隣に座って軽く抱き締めてくれた。
「突然尋ねられて驚いてしまいましたね。」
僕はスンスンと鼻を鳴らしながらメガネの内側にハンカチを突っ込んで涙を拭いていた。
ラニラルはポンポンと軽く背中を叩いてくれる。その振動が心地よい。
ラニラルの匂いに安心する。
「ヨフは今のままでも良いのです。」
ゆっくりと優しく囁く声が気持ちいい。
そうやって暫くラニラルは僕を慰めてくれていた。
眠たくなってくる。だって今日は朝早くから買い物をした。いっぱい連れ回されて疲れちゃった。
瞼が重たい。
「少し疲れましたね。水を持ってきたので口に入れて下さい。」
ラニラルがグラスを持って口につけてくれた。ゆっくりと傾けて水を飲ませてくれる。
ラニラルも気付いてたんだ。僕がヨフミィかもって思うから、側に来てくれたんだ。
いつから気付いてたんだろう?
ああ……、尋ねたいなぁ。
「少し眠って下さい。後で起こして差し上げますよ。」
「うん……。」
ラニラルに甘えちゃったなぁ。……だって優しいんだもん。
小さな頃と同じように、……ラニラルは優しい。
華奢な身体から力が抜けて、ラニラルの腕の中で僅かに重みを増した。
起きないように身体を抱き上げて自分の膝の上に乗せる。
細く柔らかな身体。温かい体温。微かに感じる鼓動。
胸に寄りかかる頬に涙の跡が残っている。自分の手よりも遥かに小さい手には、渡したハンカチが握りしめられていた。
まだ性別も分からないうちに消えてしまった自分の大切な主人。
オメガらしくその指は細く、男性なのに身体は華奢で頼りない。
ハンカチをゆっくりと抜き取り、頬についた涙を拭いてあげた。
「夢のようです…………。」
抱き締めると小さなスウスウという寝息が耳に心地よく響いてくる。
生きている。
生きて、動いて、いる………。
どんなに待ち焦がれただろう。貴方の痕跡を探して、湖に幾度となく足を運んだ。
父上達は自分の為に生きなさいと言ったけど、貴方が息をし吐いた痕跡を感じる限り、どうして自分の為だけに生きれるのかと思った。
もしかしたら同じ空の下で同じ大気を吸っているかもしれないのに。貴方が目にしていた物全てがここにあるのに、目を閉じることなんて出来なかった。
リュハナが代わりに公爵家に残るから、探しに行ってもいいんだと言ったけど、それすら出来なかった。
足が動かなかった。
もし貴方がひょっこり帰ってきたら?
『ラニラルっ!』と何でもないように笑って帰ってきたら?行き違いなんて笑えない。
貴方が帰ってくる場所はアクセミア公爵家しかない。貴方なら大好きな『お父様』の側に必ず帰ってくる。
そう信じて待っていた。
自分の胸に寄りかかった所為でメガネがズレていた。長い前髪が流れて僅かに濡れた睫毛が見える。
真っ白な雪ような睫毛が……。
震える手でメガネを外した。緊張で震えるなんていつぶりだろう?もしかしたら初めてかもしれない。
綺麗な顔がスヤスヤと眠っていた。
泣いたからか目元が赤くなっている。白い頬は滑らかで、ジュヒィー・アクセミア公爵夫人にそっくりだった。
ハンカチで軽く目元を拭いてあげる。
「ここに、いる……。」
自分まで泣いてしまいそうだ。
生きて自分の腕の中で眠っている。
細くしなやかな手を取り口つげをした。指に、手のひらに、手首に。唇を当てて確かに血が流れているのを感じて感極まる。
生きている。
あの日離れた手がここにある。
冬の湖の水は冷たかっただろうに。よく無事に生きていてくれたと神に感謝した。
公爵夫人は神様が連れて行ったのだと神すら呪いそうな顔をしていたが、私は神に毎日のように祈っていた。
私の主人を返して下さいと。
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