じゃあっ!僕がお父様を幸せにします!

黄金 

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61 リュハナのため!

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 突然ペンダントを投げられたルヌジュは、パシッと上手く受け止めた。僕ならまず無理だなと感心する。

「……これ何?」

 ルヌジュは少しだけ僕を振り向きつつ、前の男達を注意しながら聞いてきた。うん、不思議だよね。僕もそれで何が出来るのか分かんないんだよ。

「えっと、恋の強運ペンダント?」

 僕の返事に、恋の強運ペンダント……?とキワーレが開けた戸板を引き剥がしながら渋い顔をした。
 男達がなんだコイツら?という顔をしている。
 それでもルヌジュは素直に僕が投げて渡した恋の強運ペンダントを首に下げた。なんて良い子なんだろう。感動しちゃうよねぇ。

「リュハナを離せ。」

 ルヌジュは冷静に男達に向かって要求を告げた。

「ルヌジュ………、グゥッ!」

 リュハナが何か言おうと口を開きかけたが、男の一人がリュハナのお腹を蹴った。

「リュハナっ!」

「おっと、来るなよ?なんで貴族の坊ちゃんがこんな所に来たんだ?」

 それは妹女神様のクエストの所為なんだけど、それを知る人は僕しかいない。

「彼を連れ去ってどうするつもりだったんだ?」

 男達の質問を無視してキワーレが尋ね返すと、男達の注意がキワーレの方へ向いた。
 
「頼まれたんだよ。まぁ、お前らもついでにやるしかないけどな。」

 キワーレはふうんと男達を見ている。

「その人達がどんな身分なのか知らないのか?」

「知らねーよ。」

「貴族に手をかければどうなるか知ってるだろう?」

「その分金もらってんだよ。すぐに国を出りゃいい。」

 男達のうち二人がキワーレに襲い掛かった。キワーレはフヒィルに渡された短剣しか持っていない。
 キン、キィンと高い音が何度も響く。石造りの塔の中では金属音が外よりも響いた。

「抵抗すればコイツを殺すぞ!?」

 リュハナに剣を向けていた男がキワーレを止めるために叫んだ。
 僕は何も出来ることがない。
 キワーレが動きを止めて短剣を持ったまま手を挙げた。
 剣も捨てろと言われて下に落とす。
 全員がキワーレの方に注目していた。ルヌジュ以外は。
 ルヌジュはさっと走ってリュハナの側まで近づき、リュハナに剣を向けていた男を切った。男の両腕から血飛沫が飛んで、男が叫び声を上げる。
 リュハナがすかさず自分を捕まえていた男に体当たりをし、キワーレが落とした短剣を拾って別の男に投げた。短剣は男の脇腹に深く刺さる。
 一瞬で辺りは血塗れになり状況が変わるが、まだ無事な男達が二人キワーレの前に残っていた。
 片方の男がリュハナに走り寄り剣を振り上げる。
 ルヌジュはリュハナを縛っていた縄を切っている途中だった。リュハナを庇う為に立ち上がり男の剣を受け止めた。
 ルヌジュは鍛えてはいても身体はオメガでまだ十五歳。身体の線は細く、上から振り下ろされた男の剣に押し負けようとしていた。

「くっ…!」

 顔をしかめるルヌジュの側で、リュハナがふらつきながら立ち上がり、ルヌジュに剣を向けていた男を蹴り飛ばした。
 飛んだ男は壁にぶつかった。壁かと思っていた場所は大きな明かり取りの窓になっていた。板で塞がれていたが、木の板は腐り、男がぶつかった衝撃で脆くぶち抜かれ、ぶつかった男は外に投げ出され落ちていった。
 リュハナの荒っぽい行動は初めて見たので少し驚いてしまう。

「リュハナ、無理しないで。」

 これではどちらがオメガでどちらがアルファなんだか分からない。

「ルヌジュ様こそ……。」

 よろけたリュハナをルヌジュが支えた時、もう一人キワーレの前に残っていた男がクロスボウを構えていた。
 キワーレが倒れた男から短剣を引き抜いて走り、クロスボウを構えた男の背中に突き刺したが、クロスボウからリュハナを狙って矢が飛んでいく。
 ルヌジュが目を見開きリュハナを庇うように飛び出した。ルヌジュの胸に矢が真っ直ぐ飛んで刺さる。

「ルヌジュ様っ!」

 矢は勢いがあり、ルヌジュが後ろによろけ壁にドンッと当たった。グラリとルヌジュの身体が傾き、先ほどぽっかりと開いた窓部分に倒れていく。
 近距離で放たれた矢の衝撃で、ルヌジュは気を失ったのか意識が飛んでしまっているようだった。
 リュハナが落ちようとするルヌジュの手を掴み抱き止めようとした。

「………っ!」

 二人の身体が茜色の空の中、黒い影となって重なり窓の外に消えていく。
 僕は叫ぶことも出来ずにその一連の流れを見ていた。
 キワーレが走って窓から外を見下ろすよりも先に、ガザザザッという木々が擦れる音と、ドスンという鈍い音が耳に届く。
 僕も走ってキワーレの隣から外を見た。
 既に外は暗くなり始めている。塔の下は自然に育った木々と草で、落ちていった二人の姿は見えなくなっていた。

「大丈夫か!?」

 フヒィルが階段を上がってきた。下にいた騎士達を全部倒してきたんだろう。でももう遅い。

「王宮医師とルヌジュ様が落ちた!」

 キワーレの叫び声にフヒィルは状況を察してまた下に駆け降りていった。

「ヨフ、私達も降りよう。」

 僕は下に落ちた二人が心配でドクドクと心臓が鳴り足元がふらついた。

「う、うん…。」

 キワーレが震える僕を気遣って手を握ってゆっくり階段を降りてくれる。
 塔から出ると騎士服を着た人間が増えていた。到着したばかりなのか、倒した第一騎士団の人間を縛り始め、塔の中に入って倒れている男達を捕まえだしていた。
 ラニラルとソヴィーシャもやってくる。

「ヨフっ、大丈夫ですか!?」

 ラニラルがすぐに僕に駆け寄って無事を確認してきた。

「う、うん。僕は…。それよりルヌジュとリュハナが塔から落ちたんだよ。」

 僕がラニラルに話している間に、落ちた二人を確認に行ったフヒィルがソヴィーシャを見つけて報告していた。ソヴィーシャ達は騎士を連れて雑木林の中に入っていく。
 しばらくすると雑木林の中からぐったりとして意識のないリュハナと、泣いてついてくるルヌジュが救出された。
 二人のそばに駆け寄ると、リュハナは真っ青な顔で血を吐いていた。
 
「骨折している。すぐに運ぶぞ。馬車を持ってこい。」

 ソヴィーシャが騎士達に命じて馬車を手配し、応急処置を始めた。ラニラルも手伝い出し、僕は泣いているルヌジュに近寄る。

「ルヌジュ。ルヌジュは大丈夫だったの?」

 見たところ擦り傷はいっぱいあるけど大きな怪我はしていなさそうだ。

「僕は平気…。リュハナが庇ってくれたから……。」

 大粒の涙を流してボロボロとルヌジュは泣いている。

「矢は?胸に矢が刺さったでしょ?」

 ルヌジュは泣きながら首に下げたペンダントを持ち上げた。
 あ、恋の強運ペンダント!
 恋の強運ペンダントは中央にある素材がなんなのか分からないガラスっぽい部分が割れていた。
 まさかこのペンダントに当たったの!?まさに強運!でもなんで恋がつくんだろ?謎だよ。

「これね、ありがと…。壊れちゃったけど、後で弁償するね。でもリュハナが僕を庇ってぇ~……。」

 リュハナは落ちる時、ルヌジュを抱えて自分が下になるように落ちたらしい。
 ルヌジュはメソメソと泣き出した。

「ああっ~~……、ほら、とりあえず帰ろう?それの弁償はいらないから。ルヌジュも怪我の手当しないと!」

 ルヌジュはプルプルと首を振る。

「リュハナのそばにいる………。」

 うう、だよねぇ。リュハナはルヌジュの専属侍従で小さい頃からそばにいた人だ。しかも自分を庇ってくれたのだ。心配だよね。

「ひとまず手当は済みました。馬車が到着したので公爵邸に運びます。」

 ラニラルがハンカチで手を拭きながら近付いてきた。ルヌジュはラニラルに飛び付く。

「リュハナは!?大丈夫なの!?」

「命には別状はありません。ただ怪我の状態が酷いので、すぐに治療が必要です。」

 ラニラルは僕とルヌジュを促し、急いで戻ると告げた。
 
 アクセミア公爵邸に運ばれたリュハナは駆けつけた医師達に治療された。リュハナの父親であるロデネオ伯爵も真っ青な顔で駆けつけていた。リュハナの父上、久しぶりに見たなぁ。
 僕はリュハナが目を覚ますまで公爵邸に泊まることにした。
 そしてリュハナが目を覚ましたのは二日後だった。

「ふぇぇぇん、リュハナ~~っ!」

 目覚めたリュハナは骨折だらけで起き上がれない状態だった。小さい頃に僕も駄女神の所為で骨折だらけになった記憶が蘇る。結構辛いんだよねぇ。

「……ルヌジュ様は怪我しなかった?」

 リュハナが真っ先に尋ねたのがルヌジュの安否とは……。やっぱりリュハナの好きな人ってルヌジュだよね?
 
「僕はリュハナが抱きしめててくれたから大丈夫……。」

 リュハナが目を開けたことに安堵したのか、ルヌジュはまた泣き出した。
 リュハナは困った顔をしている。

「ルヌジュ様が泣くなんて小さい頃ぶりだね。」

 ルヌジュは寝ているリュハナにすがりついて泣いていた。

「う、う、だって、僕……、強くなろうって思って……。泣く男は弱いもん。ぐすん。」

 泣いて顔を布団に伏せているルヌジュの頭に手を乗せて、リュハナはよしよしと撫でていた。

「そうだね……。だからソヴィーシャから剣を習うって頑張ってるんだもんね。ルヌジュ様は強くなってるね。」

「でもリュハナを助けられなかったよ……。」

 リュハナは笑いながら助けてもらったよとルヌジュを慰めている。そしてルヌジュはもっともっと強くなるよう頑張ると宣言していた。

「…………ソヴィーシャみたいになりたいの?」

「うん、なりたいよ。」

 リュハナはルヌジュの返事に少し残念そうな顔になった。その表情を見てルヌジュは首を傾げる。

「あんまり僕が強くなるの嫌?」

 ルヌジュは少し緊張しながら聞いている。

「そうではないけどね。僕はソヴィーシャとは完全に真逆だし…。」

 あぁ~~~と思わずリュハナを心の中で応援してしまう。
 ルヌジュはソヴィーシャのことが好きだもんね。でもリュハナは身を挺してルヌジュを庇って大怪我したんだし、ここは強気にいってもいいと思うんだけどね。まぁ、元々はルヌジュの方が攫われたリュハナを助けにいったしクロスボウからも守ったわけだけど。

「うん、リュハナがソヴィーシャと真逆なのは知ってるよ?」

 ルヌジュはリュハナが何故そんなことを言うのか分からないといった顔をしていた。

「こんなことなら僕も剣術くらい習っておけば良かったかな…。」

 目を瞑って溜め息混じりに呟くリュハナの顔を、ルヌジュはキョトンとした顔で近づいて見下ろしていた。

「いいよ、リュハナはお医者様なんだから。その代わり僕が強くなるから。」

 リュハナが目を開ける。

「いや、でもね……。」

「リュハナの為に頑張ってるんだから、僕が強くなれば良いんだよっ!」

 ルヌジュはニコーと笑って言い切った。

「…………。」

「僕、勉強より剣の方が向いてるし。最初は医術とか薬学とか学ぼうかなって思ったんだけど、難しすぎるし。」

 えへへ~と笑うルヌジュをリュハナは目を見開いて見つめていた。

「…………剣を習う理由って。」

「うん?リュハナを守る為だよ?リュハナ弱いし。」

 リュハナはルヌジュからハッキリと弱いと言い切られてしまった。

「あれ?ソヴィーシャみたいに……?」

「うん、ソヴィーシャみたいに強くなればリュハナを守れるでしょう?」

「…………そうだね。」

「そうだよっ!」

 なんだ、そうなんだ、とリュハナはぶつぶつ呟いている。

「ルヌジュ様はソヴィーシャのことを好きなのかと思っていたんだけど…。」

「うん、好きだよ?ソヴィーシャみたいに強くなりたいもん!あ、でも、最近はフヒィルがオメガって聞いてフヒィル目指したい。凄いんだよっ!剣だけじゃなくて身体いっぱい使って戦うんだ!」

 そこからルヌジュはフヒィルから聞いた身体の鍛え方を話し始めた。
 少し離れて二人の会話を聞いていた僕達は、そっと外に出ることにした。
 素晴らしい行き違いをみた。眼福だ!もしやこれ両片思いってやつか!?
 キワーレっ!キワーレはどこに!?

「いいな…。アルファの医師が幼い頃から見守っていた幼いオメガの主人が、実は自分の為に腕を磨いていたとかっ……。メモメモ。」

 いたのかっ!
 しっかり廊下でメモっていた。どこで聞いてたのさ?
 
「…………お二人は急に仲良くなりましたね?」

 実はラニラルも一緒にいた。僕が黙って観賞していたのでラニラルもずっと無言だった。

「お堅い侍従様には理解できない共通の趣味があるからね。」

 キワーレがラニラルに喧嘩を売っている。

「趣味とはあの本のような?」

「あれ?そういえばあの本どこにいったの?」

 僕持って帰ったっけ?

「私が預かっております。必要な教育を分野別に順序立てて教えて差し上げようと思いまして。」

 まさかあの本の内容を分析してるみたいなこと言わないよね?

「はあ?書いた本人がいるんだから私に聞けよ。」

「必要ありません。」

 二人は仲悪いの?あれ、ラニラルって仲良い人いるんだっけ?リュハナは仲良いかな?

「エロい部分はどうするのさ?そこも教材集めるつもりかぁ?」

 キ、キワーレぇ?

「貴方が知る必要はありません。」

 ラ、ラニラルぅ?

「ははっ、お前アルファのくせに童貞だろう?どうやって教えて……。」

 あばばばば……。ラニラルの瞳孔がギュウーと縮まり絶対零度の眼差しがキワーレを見下ろしているぅぅーーー!
 キワーレの顔色が悪い。
 僕もプルプルしちゃうよ?
 険悪な空気が流れる中、リュハナの部屋の扉がバンっと勢いよく開いた。
 ルヌジュが真っ赤な顔で出てくる。

「どうしたの?」

 ルヌジュは赤い顔で瞳を潤ませ、プルプルと震えていた。どう見ても僕の恐怖のプルプルとは違うプルプルだ。

「リュハナが………。」

 ルヌジュの瞳からウルッと涙がぁ!?

「うんうん、リュハナが?」

「痛いから、きききキスしてくれたら、よくなるって……。」

 リュハナでもそんな古臭い手を使うんだ?

「したの?」

 ルヌジュは小さく頷いた。
 したの!?

「お、オデコだよ!?ちょっとだよっ!チョンだよ!リュ、リュハナのばかぁーーーーーっ!」

 首も手も全身真っ赤にしてルヌジュは走って逃げて行ってしまった。

「ふおぉぉぉ、可愛いー、ルヌジュ可愛いー。ピュアだー。感動ぉー!」

 恥ずかしがり屋さんめっ!
 開きっぱなしの扉の向こうでは、リュハナが顔に片手を当てて赤くなっていた。もう片手は折れてるもんね。

「抱き寄せられないんだから仕方ないんだよ。」

 という呟きに、これしばらく動けないからとか言いながら真っ赤なルヌジュにいろいろさせるつもりか?という予感がして僕は想像を膨らませてしまった。









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