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62 クエスト③終わったぁ〜
しおりを挟む後日、ラニラルが壊したペンダントの代わりだといって新しいペンダントを持ってきてくれた。
リュハナの怪我は完治するまで時間がかかるらしく、その間ルヌジュが看病すると意気込んでいる。
報酬で貰ったペンダントなので弁償はよかったのに、律儀に新しいものを用意してくれた。
恋の強運ペンダントは、クロスボウの矢を防ぐ強運ばかりか、リュハナとルヌジュの恋の応援をしてくれたようだ。
リュハナは前回のクエスト報酬でヘミィネの相手にはならないということになっていた。つまり妹女神様はリュハナには既にヘミィネとは別に好きな人がいるのだと知っていたのだ。だからその恋を今回応援してくれた!?
だから恋の強運ペンダントなんだね!恋が付くだけはある!
一人ウンウンと納得していると、ラニラルが持ってきたペンダントを首にかけてくれた。
「一応身につけておいて下さい。ここを押すと。」
宝石がついたロケットペンダントになっていて、宝石の部分を押すとカチッと開いた。中には薬?
「オメガ用の抑制剤です。白月草を材料に作ったものですので即効性があります。緊急時にはこれを飲んで下さいね。ペンダントは私からです。リュハナが代金を払うと言ったのですが中の抑制剤だけリュハナに用意して貰っていました。怪我する前に頼んでおいて良かったです。」
ラニラルはニコニコしながらペンダントをかけた僕を見ている。ラニラルって僕には優しいのに、他の人間には喧嘩腰だよねぇ。なんでだろう?
「ありがとう~。」
お礼を言うといっそう嬉しそうに微笑んでくれる。ラニラルの笑顔って好きなんだよねぇ。
さてさて、そろそろ本題に入らねば。
「ところでリュハナをさらったのって誰だったの?」
キワーレの予想では、黒幕が治療薬の製作者に接触してくるのを見越して罠を張るはずだと言っていた。
でも実際はそうではなく、リュハナが手荒にさらわれていた。殴られて袋詰めとか、交渉とは言えない。
ラニラルは困ったように口を閉ざした。
「……どうしてヨフはいつも巻き込まれるのでしょうか。」
う……。それは女神様達と関わっているからなんだけど、言えないしねぇ。
それに関わってないとクエストが出てこないかもしれないし、クエストが出ないとヘミィネの番が決定する日が遅くなるんじゃないかなと思う。
既に僕がヨフミィ本人だと気付かれている状況でのんびりと進めていられるとは思えないんだよねぇ。
なるべくみんなに引っ付いておきたい。
あ、でも黒幕ってもしかしたらヘミィネに引っ付いてても勝手に出てくるのかな?この世界はヘミィネに番が出来るストーリーを作った駄女神の小説世界だ。
「ヨフ、聞いていますか?なるべく安全に過ごしてもらいたいのです。」
聞いてる、聞いてる。ラニラルは心配性だなぁ。
僕の心配をする前にヘミィネの今後を心配しないと。
そろそろ秋の舞踏会が開催される。舞踏会でヘミィネは初めての発情期になり、突然やってきた王太子と発情期を過ごしてしまうんだよね。
「……ヨフ?本当に私は無視されているのでしょうか?」
「してない、してない。」
「……返事がある時点で聞いてはいるようですが、私の言うことを聞く気はないのですね。」
「うーん。」
ちょっと待って。今少し閃いたところなんだから!
小説の中のヘミィネは突然発情期になった。そしてレジュノ王太子とやっちゃうわけなんだけど、そこから本格的に話が始まるんだよね。
ヘミィネは侍従のラニラルが好きなのに、発情期を共に過ごしたレジュノ王太子が忘れられなくなる。
いろいろ悩み、四人と関係を持ち、最終的にはレジュノ王太子と番になっちゃう話だった。
なんかそれって例の薬っぽくない?
オメガが番を間違えちゃう違法な薬!
「ヨフ?ヨフ?」
つまり、ヘミィネは舞踏会で例の薬を盛られたんだよ!なんならレジュノ王太子も似たような状況だったのかもしれない。
ヘミィネは薬の所為でレジュノ王太子を自分の番だと思い込むくらい忘れられなくなっちゃったんだ。
「ヨフ、大丈夫ですか?そんなに悩んで、後で知恵熱出してしまいますよ?」
「え、どゆこと?僕が悩むと熱出るの?」
パッと顔を上げるとラニラルが覗き込んでいた。顔が真正面にあるし、物凄く近い。あ、メガネをかけてるから表情がわかりにくいのか。
ラニラルの少しひんやりとする手が、前髪を掻き分けてオデコに添えられた。
「少し顔が赤いですよ?」
「ちょ、ちょ、ちょ、ちか、近いってば。」
びっくりした!
慌ててラニラルの身体を押す。ラニラルは心配そうにしながらも少し離れてくれた。
僕が考え事しただけで心配するとは……。どこまで心配性なの?
「何をそんなに悩んでいたのですか?」
「え?……あー、うん。えっとね。」
今思いついたことをどう説明しよう?
ヘミィネに薬が盛られるなら阻止したほうがいいよね?薬で好きな人を誤解するとか可哀想だよ。その所為でヘミィネは物凄く苦しむんだから。
ヘミィネには好きな人と番になって欲しい。ヘミィネの好きな人はラニラルだから、ラニラルと………。
ラニラル、と………。
「本当に熱が出たのではっ……。」
ラニラルの表情が曇った。
僕はプルプルと首を振る。
「んん……。大丈夫だよ。あの、あのね?」
僕が話そうとラニラルを見上げると、ラニラルはフと小さく笑い返し、耳を傾けてくれる。
ラニラルはヘミィネにもこうやって話を聞いてあげてるのかなぁ? だからヘミィネはラニラルが好きなのかな?自分の話を真剣に、優しく聞いてくれるんだよ。
「今度の舞踏会なんだけど、もしかしてそこで例の薬を使ってきたりしないかなと思ってるんだけど。」
舞踏会はもうすぐだ。
今回怪我したリュハナは不参加。リュハナに付き添うと言ったルヌジュも不参加が決まっている。
でもヘミィネはアクセミア公爵家の公子として参加する予定になっている。小説の通りだ。
「……何故そういうところは勘が鋭いのでしょうか。」
ラニラルは顔を曇らせて説明してくれた。
王妃宮の警護を担当する第一騎士団第四隊は、元から王妃様支持派の筆頭メーリュンデ侯爵と何やらコソコソとしていた。
ラニラルが調べていると、どうやら第四隊隊長が誰かに命じられてメーリュンデ侯爵を唆したことが分かった。
メーリュンデ侯爵率いる王妃派閥は、レジュノ王太子の妃にアクセミア公爵家の子供がなることを阻止したかった。
何故ならもしヘミィネ・アクセミア公子が王太子妃になれば、アクセミア公爵家が王家の実権を握ったも同然になってしまうと考えたからだ。
だからと言って、アクセミア公爵家以外のオメガで対抗出来る家門はなかった。
それならばアクセミア公爵家か、王太子妃になるオメガのどちらかを抱き込もうと考えた。
それが今回問題になっている薬の開発だった。
公爵家を思い通りにするのは難しい。だが一人嫁いでくることになるオメガ公子ならば?操ってしまえばいいのでは?
そんな浅はかな考えからオメガを操る薬を作ってしまった。
「ですがリュハナが治療薬の開発に成功しました。被害者もおりますし、早めに治療薬を認可して量産する必要性が出てきました。」
「治療薬が足りないの?」
ラニラルはうなずく。
「ソヴィーシャが民間を調べると言っていましたよね?調べるとオメガで被害に遭っている者が多かったのです。」
「公爵家のオメガを操る為に作ったんだよね?市井に広める必要はないんじゃないの?」
「広めたのは王妃派ではなく、第四隊の後ろについている者です。資金稼ぎに使ったのではないでしょうか。常習性がありますので、資金が潤沢な家を狙って売っているようなのです。」
ソヴィーシャとラニラルは市井に広がった被害状況を調べるのに時間がかかってしまったらしい。
王宮が関わることなので大々的に調査もしにくく騎士団を動かすのも極秘裏にやっていた。
本当は治療薬ももっと後に認可させるつもりだったのに、早く作らなきゃならなくなってしまった。
そうなるとリュハナが表に出てしまう。
リュハナには騎士団の護衛を多く付けていた。それに第一騎士団第四隊を動かしている者が近づいてくるかもという不安もあった。
リュハナには誰かが近づいてきたら用心するように言い、もし何か交渉してきたらひとまず受けるように言っていたのだが……。
「殺しにくるとは思いませんでした。」
ひえっ!さらった理由はこの世からオサラバさせる為だったの!?
「第四隊の後ろにいる者の正体がなかなか出てこず、リュハナに接触してきた者から洗い出そうと思っていたのですが、治療薬の開発者を消そうとするとは…。私の考えの浅さが招いた失敗です。ですが。」
ラニラルは僕の手を取った。
「ヨフのおかげでまた救われました。」
ラニラルの目が輝いているぅー!
そ、そんなキラキラと僕を見ないでぇ~!たんに女神様のクエストをしてるだけなんだよ?女神様の助けがないとなんの解決も出来ない平凡な人間なんだよぉ~!
「何故塔へ行かれようと思ったのですか?あの辺り一帯は王族のみが使える禁止された場所なのですが。」
え!そうだったの?すんなり行けたけど?
ラニラルの説明では塀に囲まれているので門を潜らないと入れない場所だったらしい。たまたまあの時はリュハナをさらった奴等が門を開けていたのだろうけど、無事でよかったとラニラルは言った。
僕にはフヒィルの他に密かに護衛がついていて、彼等は門や僕達が通って来た道すがら第一騎士団の人間を捕らえていた。おかげで塔に入った僕の護衛が薄くなってしまい、塔の外で戦ったフヒィルと共に第一騎士団を抑え込むので精一杯になってしまった。
「フヒィルが幽霊が出るって言ってたよ。」
「幽霊?」
いかにも誰も入らないボロボロの廃れた塔ではあったけど。クエストがなければ存在すら知らなかった場所ではある。
「本当に出るの?」
ラニラルはキョトンとしていた。そして言いにくそうにしている。
「あの場所は……。昔現国王陛下が王妃様とお忍びで使われていた塔だと聞いております。前国王がお怒りになって閉鎖されました。そこまでは知られていませんが、遊びで若者が噂するのでしょう。高い場所からあの塔は見えますから。」
……ああ、うん。ゲームイベントで使われたのかな?女神様の話では教材らしいけど。
そっか、当時はもっと綺麗な塔だったのかもね?
高い位置から見える塔で密会もくそもないと思うんだけど。そりゃー前国王様も怒っちゃうよ。よくあの人国王になれたよねぇ。
「あっ、それでっ!第四隊の後ろにいる奴は分かったの?」
ラニラルは顰めっ面をした。話を逸らそうとしても無駄だからねぇ!
「あそこの門を開けられる者は限られております。そもそも第一騎士団の団長の目を欺き、個人で騎士団の隊を一つ動かせる者は王族だけなのです。継承権を持つ王族なのだろうと予測し目星はつけていましたが、確定させる材料がありませんでした。しかし今回リュハナに危害が及んだ経緯からハッキリとしました。」
「むっ、だれだれ?」
ラニラルはすごーく言いたくなさそうな顔をしていた。
「言わないとみんなに聞いて回っちゃうもんね。」
いいの?
「ダメです。ヨフがそんなことを話してまわっていたら、今度はヨフが何か知っていると思われて殺されるか、利用されかねません。」
じゃあ教えてくれるよね?
僕は期待してワクワクと待った。
ラニラルは溜息を吐いている。
「王位継承権第三位ダジィル王弟殿下です。王妃派を操り違法薬物を使って冤罪をかけようとしたと思われます。王妃様とレジュノ王太子を廃位させ、継承順位を繰り上げようと考えたのでしょう。」
ピロリ~ンと軽快な音が鳴る。
きたきたぁ!
目の前に青いスクリーンが出てきた。
『クエスト、黒幕を暴け!何の目的で薬が作られたのか調べましょう。
正解は王位継承権第三位ダジィル王弟殿下です!報酬、騎士の忠誠を受け取りました!』
やったぁ~~~!ようやくクエストが進んだ!
すごいっ、キワーレが言っていたことって本当だったんだ!
「何故そう大喜びされるのですか?」
ラニラルの仏頂面は置いといて、僕は小躍りした。報酬の騎士の忠誠がなんなのかは分からないけど。
今回は女神様との対話券が貰えるクエストがなかったから詳しく聞けそうにない。
騎士って誰のことだろう?今騎士って言えるのはソヴィーシャかフヒィルになるよね。どっちかの忠誠が貰えるとして、貰ったからといって何が起きるんだろう?
妹女神様の話では、クエストは四人の候補を排除していくものだって言ってたよね?既にリュハナは外れている。てことは今回のクエストでも残りの三人のうち誰かが外れたの?
うぅむむむ。ようやくクエストの黒幕が判明したっていうのに頭が痛いよ。
とりあえず次は舞踏会でヘミィネが薬を盛られないようにしたらいいのかな?
ラニラルに考えてもらおっと!
「舞踏会ではヘミィネに張り付いておけばいいと思う?」
尋ねるとラニラルは違うと否定した。
「利用されている王妃派はヘミィネ様を狙うつもりだったかもしれませんが、彼等も治療薬が開発されたことを知っているはずです。公爵家のオメガを操ることは不可能になりましたので、逆にレジュノ王太子と番にはしないようにすると思います。」
ん、そう言われるとそうか。
「ただ…、ダジィル王弟殿下は違法薬を広めて王妃様を失脚させるよう動くと思います。舞踏会で貴族に盛る可能性も考えられます。そうですね……、例えばなんの力も後ろ盾もない、すぐに消し去ってしまえるような家のオメガに薬を与えてレジュノ王太子と番の契約をさせる。そして薬の存在を明らかにして王妃様とレジュノ王太子を廃位させ、自分は手柄を立てる。とかでしょうか。」
アホな王妃派を片付けたと思ったら、今度はそっちなんだね?
「でも国王陛下は?知らないの?」
レジュノ王太子も一緒に動いてるんだよね?
「陛下もご存知ですが、薬を作ったのはマヌケなメーリュンデ侯爵なのです。貴族達が集まる舞踏会で大々的に冤罪をかけられるような状況を作られると、ダジィル王弟殿下が犯人だと示す確かな証拠がない限り覆せない可能性があります。国王陛下とはいえ独裁政治は認められませんので。」
それはそうだねぇ。暴君なんてゴメンだよね。
でも僕はわかったよ。これはもうレジュノ王太子を見張っとくってことだよね?
ヘミィネと王太子がいい感じになるかどうかはその時になって考えよう。
そう考えていた時、ピロンと電子音がした。
『クエスト④狙われた王太子を救え!
舞踏会で媚薬を飲まされたレジュノ王太子。彼の心を救えるのは誰か!
1・ヘミィネ
2・フヒィル
3・キワーレ
報酬、王太子の本心。』
青いスクリーンに写る文字。
媚薬って……。いや、それよりもこのメンバーなのはいったい。ヘミィネが入るのは当たり前だとして、フヒィルもまぁ、オメガだし?でもキワーレはいらないんじゃ?
「はっ、でも大博打っ!大穴狙いでまさかキワーレとか?」
ええ~っ!悩むぅ~!
「何故突然キワーレの名前を?」
ラニラルが今日一番の不機嫌顔になった。
そろそろご機嫌とっとこう。考え事に夢中になり過ぎて無視してたような気もするし。
「う、うーん。あ、そだっ、舞踏会は一緒に行こう~。」
どうせならラニラルの側にいようかな。何かあったらすぐ分かるだろうし、レジュノ王太子を守る時もラニラルがいてくれたら安心っ!
舞踏会は小さい頃に出た記憶しかないから、どういったものだったかあまり覚えていない。
「……っ。それはパートナーということですよね?参加します。」
ラニラルは僕の手を両手で握りしめた。ぎゅうっと掴まれる手には力が入っている。
ラニラルの蒼い瞳が輝いていた。
パートナー……。そういや夜会だしダンスもあるからパートナーいるんだっけ?あれ、いなくてもいいんだっけ?深い理由もなく僕から誘った形になったけどよかったのかな……。
「うん、僕でいいの?」
ラニラルは伯爵子息なのに。今の僕は平民だよ?
「勿論です。この上なく光栄です。衣装は合わせましょう。先日オーダーメイドした衣装から私が合わせますね。公爵夫人が舞踏会用にと注文されていましたので。」
あ、そうだったんだ。助かるぅ。
「うん、頼んでもいい?僕、分からないんだ。そういうの。」
「お任せ下さい。」
ラニラルがすっごく嬉しそう~。
とりあえずラニラルの機嫌が直って良かった良かった。
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