じゃあっ!僕がお父様を幸せにします!

黄金 

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66 今度こそ女神様との対話券を!

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 よく観察すると、倒れているのはオメガばかりだった。

「これって、例の薬?」

 ラニラルはうなずいた。

「そうです。」

「知ってたの?」

「はい、予定通りです。」

 予定通りなの?

「大丈夫だよ。リュハナが中和剤も作ってたんだ。効果が出てからでも使える薬を別の飲み物に入れて配ってたから、飲まなかった人だけ倒れたんだよ。」

 お父様が僕に安心するように説明した。
 ということは例の薬と中和剤がそれぞれ何かに入ってるってこと?

「例の薬はダジィル王弟殿下の配下が混ぜたので何に入っているかわかりません。ですから我々は水とジュースに入れることにしました。」

 ジュースって、さっきラニラルが何度も勧めてきたジュース?だから勧めてたの?
 でも納得かもしれない。
 飲み物なら誰でも口をつけるし、オメガはあまりお酒を飲まない人が多い。酔うという症状と発情期の症状が似ている為、本人も含めて周囲が飲ませないようにしていることが多いからだ。飲んでもアルコール度数が少ないものを飲むと聞いたことがある。
 つまり今倒れた人達はお酒を飲んだ人達ってことね。酔っ払いだ。お酒を飲んでも酔い覚ましに水も飲んでたらよかったのにね。

「ラニラル。」

 後ろに立っていたソヴィーシャがラニラルを呼んだ。スッと目線だけで何かを伝えている。ソヴィーシャが示した視線の先にはレジュノ王太子とフヒィルがいた。フヒィルがこっちを見て何か言いたそうにしている。

「王太子の体調がおかしいようだ。」

 僕にはフヒィルが何を言っているのかわからなかった。だけどソヴィーシャはフヒィルが言っていることがわかったらしい。

「………王太子にも?」

 ラニラルが確認の為に尋ねると、ソヴィーシャはうなずいた。

「僕も行く。」

 僕はついて行かないと!
 だってこれってレジュノ王太子が媚薬を盛られたクエストになるんだよね?僕はクエストの答えをフヒィルにした。そしてフヒィルはレジュノ王太子に付き添って廊下へ出て行こうとしている。
 ラニラルはお父様を見た。

「僕達も行こう。廊下に出れば公爵家の護衛が待機している。」

 お父様が許可したことで、僕達は全員でレジュノ王太子の後を追いかけた。
 レジュノ王太子とフヒィルの姿は見えないけど、ソヴィーシャは迷いなく奥へ進んでいく。フヒィルがどこに向かったのか知っているみたい。
 会場の中では騎士以外帯剣を許されていなかった。ソヴィーシャもラニラルも手ぶらだった。廊下に待機していた騎士達が二人に剣を渡していた。
 先頭を歩いていたソヴィーシャが手を上げ立ち止まった。

「剣を抜け。」

 短い指示に全員が剣を抜き構えた。
 ここはまだ会場に近い廊下だった。敵がいるの?

「ラニラルは三人を。」

 ソヴィーシャの言葉にラニラルはうなずく。
 バラっと人の影が増えた。みな黒い服を着て剣を持ち襲いかかってくる。
 僕とヘミィネはプルプル震えてお父様に抱きついていた。僕たち三人は壁際に寄ってラニラルと他の騎士に守ってもらう。
 ソヴィーシャ達が刺客の数を減らしていった。
 ラニラルも近づいてきた敵を容赦なく切り伏せていく。
 
「生きている奴は縛っておけ。それから応援を呼べ。」

 どうやら片付いたらしい。黒い刺客達は地面に転がっていた。それでもこちら側にも怪我人が出ていた。

「大丈夫か!?」

 ようやく第一騎士団が集まり出した。ダノテ騎士団長とキワーレが騎士達と一緒に走ってくる。
 お父様が第一騎士団に怪我人の処置と捕縛を頼み、僕達はレジュノ王太子とフヒィルを追いかけることにした。
 話を聞いてダノテ騎士団長も一緒についてくる。

「会場はどうなったの?」

 僕はキワーレに尋ねた。

「ああ、すぐに医師が駆けつけて治療薬だという薬を飲ませて会場は落ち着いてきていた。オメガが発情したようだからすぐにアルファ達も退室させたし手際良かったな。」

 予測して事前に打ち合わせしてたのかな?
 後はレジュノ王太子を保護し、黒幕であるダジィル王弟殿下を捕まえることが出来れば解決しそう。
 
「急ぎましょう。」

 ラニラルが走り出した。
 僕も必死について行く。遅れ気味になるとラニラルに抱っこされてしまった。楽ちんなので大人しく抱っこされておく。

「会場の騒ぎをレジュノ王太子の所為にするつもりなんだろう。」

 キワーレが教えてくれた。

「ええ?どうやって?」

「王太子の部屋から薬が出たとか、今日の衣装に入れとくとかかな。偽の証人をたてるのもある。王太子に指示されましたって給仕をした使用人か料理人をでっち上げる。」

 キワーレが話しているとお父様も混ざってきた。

「こんな時にレジュノ王太子まで薬を使って享楽に耽っていた。…なんて現場を抑えられる前に僕達が先に二人を見つけなきゃなんだよ。」

 だからさっき黒服の刺客が邪魔しに来たんだね。
 そして前後不覚になった王太子を引っ張って会場に連れて行き、王太子が犯人だとダジィル王弟殿下は吊るし上げしようってことなんだね。

「させないんだけどね。」

 お父様はにっこりと笑った。

「……つまり?」

「ラニラルに任せたんだよ。」

 ???
 お父様が楽しそう。ラニラルに何を任せたんだろう。
 ところで僕は抱っこされてるから普通に喋れるけど、みんな走ってるのに息切れしないのね…。


 ソヴィーシャの先導で目的地に到着した。そこは休憩室用の大部屋で、扉は全開で開き、中から騒音が聞こえる。
 下ろしてもらった僕はひょいとラニラルの背後から覗き込んだ。

「おおっ。」

 びっくり。レジュノ王太子とフヒィルが剣を持って戦っているよ!
 ……なんで?

「てっきり濡れ場かと思ってたのにね。」

「予想外。」

 お父様とキワーレがとっても残念そうにしていた。ヘミィネは剣を持つ二人の気迫に圧倒されて声が出ていない。
 レジュノ王太子は赤い顔でフウフウと荒く息を吐いていた。

「それ以上は部屋に近寄るな。二人とも発情のフェロモンが出てるんだ。抑制剤を飲んでいてもあてられるぞ。」

 ソヴィーシャが僕達に注意した。
 
「ということは二人とも発情してるの?」

 剣を持って激しく戦ってるのに?
 剣と剣が合わさる重い音が響いてくる。

「王太子は媚薬を飲まされたのでしょう。それによって発情していますが、フヒィルまでアルファのフェロモンにあてられて発情したのだと思います。中に入るのは危険そうですね。」

 二人の戦闘はなかなか迫力があった。
 部屋は広く、大きなソファやテーブルがいくつも並んで、複数のグループが談話出来るような部屋だった。
 レジュノ王太子とフヒィルは椅子や机に乗り上げ遠慮なく飛ぶように渡り歩きながら剣で攻撃している。
 
「わぁ~、王太子のあんな鬼気迫る顔初めて見たぁ。」

 すごぉいと感心していたら青ざめたヘミィネから嫌な顔をされてしまった。
 フヒィルは長椅子の背もたれに片足を乗せて上に飛び上がり、テーブルを挟んで反対側の椅子に立っていたレジュノ王太子に蹴りを入れようとしていた。
 その足を王太子は掴み引っ張ると、フヒィルは体勢を保てずテーブルに叩きつけられそうになった。
 フヒィルは片手をテーブルについて自分の身体を勢いよく回転させた。そして足の甲を王太子の脇のあたりに引っ掛け、剣を構えていた王太子の体勢を崩した。
 体勢を崩した二人はバッと離れて地面に足をつけ、すぐに剣を構える。
 剣と剣が何度も高速で打ち合い火花が散っていた。

「ベータなら入れるんじゃないの?」

 お父様は一緒に来ていたダノテ騎士団長に尋ねた。

「ここにいるベータでは下手に介入すると怪我を負います。どちらかが倒れるなりして動きが止まるのを待ってから取り押さえましょう。」

 そう、騎士団長が説明する間も二人の激しい戦いは続いている。
 発情してるのに元気だなぁと眺めていたら、ピロンと電子音が鳴った。
 目の前に青いスクリーンが広がる。

『ダジィル王弟殿下が逃げようとしているよ!急いで捕まえよう!
1・ダジィル王弟殿下の書斎
2・ダジィル王弟殿下の謁見室
3・ダジィル王弟殿下の寝室
報酬、女神との対話券』

 対話券きたー!
 これは貰うべきでは?最近のクエスト報酬の意味もよくわからないし。一度聞いておきたい。
 でもその前にレジュノ王太子達を止めないと誰も動かないだろうと思う。僕一人じゃダジィル王弟殿下の私室なんてどこにあるのかわからないし。それに急に僕がダジィル王弟殿下が逃げようとしているなんて言っても信じてもらえない。
 
「早く二人を止めよう!」

 僕はラニラルを急かした。ラニラルはキョトンと僕を見返している。い、いきなりすぎた?

「承知しました。」

 ラニラルはあっさりとうなずいた。
 
「抑制剤を。」

 いつの間にか駆けつけていた医師達から抑制剤を受け取る。抑制剤は一口で飲めそうな量の液体が入った瓶だった。ラニラルはなんの躊躇いもなく部屋に入っていく。

「あ、おい……。」

 ソヴィーシャが慌てて止めようとしていた。
 部屋の入り口横には花が生けられた花瓶が置かれていた。それをガッと掴み取る。
 レジュノ王太子はちょうどフヒィルを捕まえたところだった。フヒィルは腕を掴まれテーブルに押し付けられている。
 ラニラルは花瓶で何をする気?
 ハラハラと見ていると、ラニラルは後ろ向きになった王太子に声をかけた。

「レジュノ王太子殿下。」

 そして遠慮なく花瓶を王太子の頭に叩きつけた。

「ええーーーーー!?」

 全員で驚愕する。
 腕を掴まれのし掛かられていたフヒィルの拘束が緩み、フヒィルは王太子の身体の下に足を折り曲げて差し込み思いっきり上に蹴り上げた。
 しかもラニラルがテンポ良く上に飛んだレジュノ王太子の身体を下から蹴り上げ窓の外に吹き飛ばした。
 ガッシャァァァーン!!
 ガラスと共に王太子が外に放り投げられる。

「あわわわわわ……!」

「気絶したようですよ?」

 ラニラルってば、国の王太子を雑に気絶させたよ!?
 ラニラルは抑制剤を一つフヒィルに渡して外に出て行った。ガラスの破片と一緒に地面に伸びているレジュノ王太子の口に瓶の中身を無造作に流し込む。そして吐き出さないようにレジュノ王太子の口を手で塞いだ。
 無理矢理飲まされた抑制剤は無事嚥下され、ゲホゲホと咳込みながらレジュノ王太子は目を覚ました。頭から血を流している。
 ギロリとレジュノ王太子はラニラルを睨み上げた。
 廊下から一部始終を見ていた面々は唖然とするしかなかった。

「王太子殿下をお助けしろ!」

 ダノテ騎士団長がいち早く気付いてベータ性の騎士と医師に入るよう命じていた。
 自分で抑制剤を飲んだフヒィルはフラフラと部屋から出てくる。
 ダノテ騎士団長がフヒィルを受け止めた。

「大丈夫か?」

「あー……、大丈夫。」

 よく見るとフヒィルは傷だらけだった。

「なんで戦ってたんだ?」

 ソヴィーシャが尋ねる。
 そうだよね。みんなこんな場面は想像してなかったと思うよ。

「それが、多分王太子は媚薬を飲まされて意識が朦朧としてたんだろうけど、俺に襲いかかってきたんだ。」

 うんうん、フヒィルはオメガだもんね。十分にありうるよ。

「ムカついて殴った。」

 殴ったんだ…。さっきは蹴られたし、レジュノ王太子の傷も酷いことになってそうだよね。

「俺が抵抗してたらなんでかお互い剣を抜いていて興奮して止まらなかったんだよ。」

 剣は何かあった時のためにと、この部屋に隠してあったらしい。だから薬を盛られた王太子を助ける必要性を感じて、剣があるこの部屋に連れてきたのに、王太子が発情してしまい戦闘になったと、フヒィルは説明した。

「……くそっ、勝てなかった!」

 フヒィルがすっごく悔しそう。

「王太子は鍛えているからな。」

「いやいや、守られるべき奴がなんで鍛えるんだよ。」

 納得いかないと、フヒィルは疲れた顔をしていた。

「ね、ね、ところでこの後どうなるの?」

 早くダジィル王弟殿下を捕まえに行かないと逃げちゃうよ。
 僕がソワソワと焦っていると、部屋から戻ってきたラニラルが医師から抑制剤をもらって飲んでいた。部屋の中にはまだフヒィルのオメガフェロモンが残っていた。
 飲んだ瓶を医師に戻しながらラニラルは僕に話しかけてきた。

「王弟殿下にも同じようなものを差し上げました。」

「同じもの?」

「はい。王妃か王太子に薬を盛るだろうと思いましたので、同じように薬を盛って差し上げました。」

 差し上げたと言う割には、やっている行動に敬う気持ちは皆無だね。
 じゃあ、今ダジィル王弟殿下もレジュノ王太子みたいに凶暴になっているってこと?
 でもクエストには逃亡するようなことが書いてある。

「配下が安全のために連れ出すでしょうから捕らえて参ります。」

 サラッと告げるラニラルに、慌てて僕はラニラルの手をつかんだ。

「僕も行く!」

 ラニラルは困った顔をした。

「遊びに行くわけではありません。危険ですのでここで騎士達とお待ち下さい。」

 それは困るっ!
 女神様との対話券は欲しい!

「だめっ!書斎か謁見室か寝室のどこかを一つ選んでいくんだからねっ!」

「なんで隠し通路がある場所を知ってるんだ…?私達でも最近ようやく調べ上げたのに。」

 ソヴィーシャが「どういうことだ」と言っているけど無視しとこう。

「あ、前に言ってたクイズか?たまにここぞという時に出すよな。」

 フヒィルは医師に連れて行かれるのを拒否しながら、僕達の話を聞いていた。
 フヒィルには過去に二回も正解を当ててもらった。

「フヒィルっ、正解は?」

「え、また俺?どこって言った?」

「まず書斎です。」

 ラニラルが代わりに答えてくれた。

「書斎かあ。ダジィル王弟殿下はあまり真面目じゃないって聞いた。書斎で執務をやってるイメージないな。」

「次は謁見室です。」

「謁見室ねぇ。偉そうだから大したことない話でも使ってそう。」

「最後に寝室です。」

「うーん、今は王太子を陥めようって大事な時だから流石に寝てないよな。」

 もっともなフヒィルの意見が返ってきた。

「さあっ、どれ!」

「滅多に使わない書斎と見せかけての謁見室だな!偉そうにふんぞり返って一番使用頻度高そうだから使い慣れてるはず!」

 何故かみんなで感心した。
 そして僕達はダジィル王弟殿下の謁見室に向かった。











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