じゃあっ!僕がお父様を幸せにします!

黄金 

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番外編

76 カプっと噛んで①

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 僕達は双子で、僕は兄だった。
 父上似の黒髪に、お父様似の薄紫色の瞳。アクセミア公爵家の公子。それが僕の立場だった。
 物心ついた頃から九つ歳上の侍従がいた。アルファで、物静かで、なんでも出来る優秀な僕の専属侍従。ラニラル・バハルジィは僕の初恋だった。
 双子の弟ルヌジュは、ラニラルのことを怖いと言うけど、僕にはラニラルはとても優しく見える。ルヌジュの専属侍従リュハナ・ロデネオはいつも女の子達を侍らせていて軽そうで、そっちの方が嫌だった。
 僕はお父様似だから、僕もオメガになるんだと思っていた。だから僕はアルファの侍従と恋人になりたかった。
 僕は十歳でオメガと判定された時、全然嫌な気持ちにならなかった。それは、ラニラルと番になれるかもしれないと思うと嬉しかったからだ。
 
「ラニラル、僕ね、オメガなんだよ。」

 判定用紙を見せてラニラルに報告した。
 ラニラルは微笑みながらうなずいてくれたけど、何を考えているのかわからなかった。
 ただその日から、少しだけラニラルがどこか遠くに感じるようになった。

 ラニラルは冬になると公爵領にある湖によく足を運んでいた。僕の前にラニラルが仕えていた僕の兄上が、その湖に沈んでいなくなったからだと聞いていた。
 ラニラルはそのことも、兄上のことも、何も教えてくれない。だからこれは他の人達から聞いて知ったことだった。
 僕は湖の畔で静かに佇むラニラルを、よくこっそりと見ていた。
 寒い中、ラニラルは花束を湖に浮かべて、ジッと湖面を見つめていた。
 僕がそうやってラニラルを追いかけて湖にいる時は、お父様が迎えに来たり、父上が来たり、ソヴィーシャが来たりと、すぐに連れ戻されていた。
 
「ねぇ、兄上ってどんな人?」

 父上もお父様も、この質問には悲しそうな顔をして言葉に出来ない。だからいつもソヴィーシャに尋ねていた。

「変なことばかりしてた。」

 大概返ってくる返事は一言だった。
 一度だけソヴィーシャに兄上のことが好きだったのかと聞いたことがある。
 ソヴィーシャは驚いて、口を閉ざした。
 聞いたらいけない質問だった。
 ラニラルには同じ質問をするのが怖かった。
 小さい頃は、単純に最初に仕えた主人に花を手向けているだけだと思っていた。
 でも僕はオメガになって、成長していくうちに、なんとなく理解した。
 ラニラルは兄上のことが好きだったんだ。
 そうじゃなきゃ、朝早くから夕暮れまであんな寒くて何もない場所に長時間立っていない。

「お父様、兄上は帰ってくる?」

 お父様達がまだ諦めていないことを知っている。
 公爵家には、今でも兄上の情報を集め、自分がアクセミア公爵家の嫡子だと言う人間が訪れては、その人間について調査を繰り返している。
 本物はなかなか現れない。
 屋敷にはヨフミィ兄上の肖像画が飾ってある。忘れないようにってお父様が書かせたものだ。
 父上もお父様もラニラルも、他にもヨフミィ兄上を知る人達は領地の公爵邸を訪れたら、みんなこっそりその肖像画を見にくるのだ。
 お父様とそっくりな真っ白いふわふわの髪の毛。父上と同じ榛色の瞳の可愛い少年の絵だ。
 僕とそっくりだけど、僕とは違う。
 絵の中の兄上は笑っていて、天真爛漫といった感じだ。

「ねぇ、ソヴィーシャ。兄上ってこの絵にそっくり?」

「……ああ、そっくりだ。」

 ふぅん。
 僕の性格は自分でいうのもなんだけど、気が強くて捻くれている。
 きっと兄上は優しくて真っ直ぐな人だったんだろうなと思った。
 みんなが愛するような、愛されて当たり前な人。

「……羨ましい。」

 僕がポツリと漏らしたら、ソヴィーシャがハッとした。
 そして頭を優しく撫でてくれた。
 僕ね、知ってるんだよ。
 ラニラルは僕を見ながら僕を見ていないことを。
 僕の顔は兄上そっくりだ。だからきっと、ラニラルは僕を見ながら、兄上を見ている。
 僕の初恋は叶わない。
 だから兄上が戻ってきたら、僕はラニラルを兄上に返そうと思ってるよ。
 
 十五歳のある日、とても変な庭師が現れた。
 最初はルヌジュから聞いていただけだったけど、王宮について行って喋ったら、本当に変な庭師だった。
 しかもその変な庭師相手に、周り全員が変になった。
 まるで伝染病みたいだ。
 ラニラルも変だ。そわそわして、落ち着かない。いつもは張り付けたような笑顔のくせに、庭師が現れてからは頬を染めてなんでもない時に笑っている。
 不気味だ……。
 気づいたらお父様達までなんだか落ち着かない様子になった。
 そわそわ、そわそわ。
 全員、頭おかしくなったんじゃないかな?
 比較的リュハナは落ち着いているけど、僕はリュハナとはあまり喋らないんだよね。リュハナはいつも仕事か恋人かルヌジュの相手をしているから。
 だからソヴィーシャに尋ねてみようと思ったんだけど…。
 ソヴィーシャもやっぱり変なのかな?
 無口だったのに、庭師のヨフのペースに巻き込まれている。
 そういう僕もヨフ相手だと冷静になれない。
 なんて奴だ。人を混乱させる天才なの?

「最近ソヴィーシャはよく喋るようになったね。」

 ソヴィーシャの副隊長フヒィル・クゼラが公爵邸に来たので、ルヌジュが対戦を申し込んで戦っていた。
 僕はその観戦に付き合わされてしまい、何気なくソヴィーシャに尋ねてみた。

「ん?……ああ、そうか?」

 うん、だって表情も違うと思う。明るくなったんじゃないかな。

「ヨフと喋ってる時は特にね。」

 そのせいか、僕相手でも口数が増えたと思う。

「……あ~。ヨフには注意しておかないと余計なことに首を突っ込むからな。」

 それはなんとなくわかる。言わなくていいことを言っているというか。行ったらダメな所に行くというか。

「それでラニラルもヨフに構うのかな…。」

 ラニラルがヨフに構う理由ってそれなのかな?
 僕が考えていると、ソヴィーシャが頭をポンポンと撫でた。
 
「何すんの?」

 ペンっと弾く。

「あのな、落ち込んでるのかと思って慰めようとしているだけだ。」

 そういえば前にも兄上の肖像画の前でこうやって撫でてくれたなと思い出した。そのことがふと引っかかる。
 そわそわして浮かれているラニラル。よく喋るソヴィーシャ。楽しそうにしているお父様。
 詳しくは知らないけど、王太子と一緒に重大な犯罪を調べているはずなのに、みんな明るい。
 僕の疑問は大きくなり続ける。
 ラニラルは絶対に誰ともダンスをしない。
 どんなに頼まれても、圧力をかけられても、逆に相手を潰す勢いで拒否するので、誰も言わなくなった。
 それなのに舞踏会でラニラルはヨフと踊っていた。
 僕の時とは違う、とても幸せそうな笑顔で。
 その理由を聞いたことはないけど、多分兄上がらみなんだろうなと思っている。
 舞踏会ではラニラルはずっとヨフと一緒にいた。
 危ないことにあっている時も、王弟殿下が捕まった時も、帰る時も。
 僕の方はソヴィーシャが騎士団を使いながら気にかけてくれたから大丈夫だったけど、ラニラルの視界に僕は入っていない。
 舞踏会の帰り道、お父様は僕に言った。

「ヘミィネ、今後ラニラルにはヨフの教育をやってもらうことになるからね。」

 柔らかく伝えられたけど、これは絶対だと感じた。
 ヨフを見て笑顔になるラニラル。
 ヨフは平民なのに、伯爵子息のラニラルを専属でつけようとするお父様。
 誰もそれをおかしいとは言わない。
 ……なんで僕に教えてくれないの?
 僕、性格がいいとは言えないけど、我儘言ってないし、勉強だって頑張ってるし、教えてくれたっていいんじゃないの?
 ヨフが何者なのかって。
 僕は答えを出したよ。
 次の日、朝からラニラルからも専属侍従から離れることを伝えられた。

「いいよ。お父様から聞いてる。使用人はいっぱいいるし、明日からヨフをお願いね。」

 決めてたんだ。
 帰ってきたら返すって。
 微笑んだら、ラニラルも優しく微笑んでくれた。まるで聞きわけのいい教え子に微笑むみたいに。
 この笑顔と、ヨフに向ける笑顔が別物だって理解している。
 とても悲しいけど、これは仕方ないことだと理解している。
 僕は兄上に敵わない。
 ラニラルはヨフミィ兄上しか目に入っていない。
 二人が炎の中に向かうのを見て、僕はポロポロと涙が出た。
 
「う~………。」

 ソヴィーシャに悟られないように、小さく嗚咽を漏らす。

「……………ヘミィネ様。」

 涙を堪えるのに一生懸命で、いつの間にか炎から遠去かり、馬は立ち止まっていた。
 ぎゅっと唇を噛む。

「ヘミィネ様、唇が切れる。」

 そう言ってソヴィーシャは僕の唇に親指を当てた。無理矢理歯をこじ開けられる。

「何すんのっ!」

 悲しみと怒りでポロポロと涙が落ちる。

「あの二人の間に割って入ることは出来ない。」

「知ってるよ…。」

 ヨフがヨフミィ兄上だと気づいた時点で諦めてるよ。…ううん、違う。もっと前から諦めてた。だってラニラルはヨフミィ兄上しか見てないんだから。
 ラニラルだけじゃない、父上もお父様も、ソヴィーシャだってそうじゃないか!あのレジュノ王太子ですらヨフミィ兄上を目で追いかけていた。
 みんな兄上しか見てないんだ!

「……ヘミィネ様、私はヨフミィ様に忠誠は誓っても、恋愛感情はないんだ。」

 嘘だよ。ソヴィーシャも兄上を見ていた。
 ソヴィーシャは僕を片手で抱きしめた。

「私は心配してただけだ。記憶がないヨフミィ様と、期待と不安で不安定なラニラルが心配だっただけだ。」

 僕は静かに泣いていた。
 兄上は記憶がなかったの?だからみんなヨフミィ兄上を公爵家に連れ戻さず守ってたの?
 でも、だからなんだっていうの。好きなだけ心配したらいいよ。

「ヘミィネ様のことも心配してたんだ。」

 今更?とってつけたみたいに言わないでよ。

「本当だ。ヘミィネ様はいつもいない兄に劣等感を持っていただろう?ラニラルがヨフミィ様ばかり追うのを辛い目で見てただろう?」

「……バカみたいだよね。」

 ソヴィーシャはくしゃくしゃと僕の頭を撫でて、僕の頭の上に自分のおでこをコツンと当てた。

「なんで?バカじゃないだろう。ヘミィネ様は真っ直ぐなだけだ。しかも今は二人のために身を引いてるし、邪魔する気もない。良い子だよ。」

「うー………。ぐすっ、ぐすん。」

「よしよし。ラニラルなんかさっさと切り捨てろ。あいつのこと好きだって言って失恋したやつは大量にいるんだぞ?しかもラニラルはそんな人間の感情なんて全く気にしないんだ。本当にヨフミィ様しか見えていない。」

 ほんと、そうだよ。
 僕は泣きながらコクコクとうなずいた。
 きっと僕が好きなこともサラッと流されるんだよ。

「どうせ僕は子供だし、発情期も来てないようなオメガだし…。ぐす…、ふぇ、えーん。」

 ソヴィーシャが本格的に泣き出した僕に慌て始めた。

「ああっ、ほら、お前は十分魅力的だ!ラニラルじゃなかったらヘミィネ様に好かれてると知ったら誰だって嬉しいし好きになるって!」

 後ろのソヴィーシャを顔だけ振り返って見上げる。

「下手な同情はやめてよね。」

「…………。」

 なんで今度は黙るの?
 ソヴィーシャは口をきゅっと結んで僕を見下ろしていた。

「ソヴィーシャ?」

 ソヴィーシャは一度目を閉じて、真面目な顔で僕を真っ直ぐに見た。ソヴィーシャの赤い瞳は真剣で、僕は口を閉ざしてしまう。

「?」

「ヘミィネ様はラニラルのどんなところが好きなんだ?」

 ラニラルの好きなところ?

「……いつも僕をお世話してくれる。一緒にいてくれる。」

 でも一緒にいるだけじゃダメなんだってわかってる。

「じゃあ私が一緒にいるって言ったら?」

 えっ……?
 目を見開きバッとソヴィーシャを見上げた。ソヴィーシャの目はまだ真剣に僕を見下ろしていた。

「……兄上じゃなくて、僕だよ?」

「ヘミィネ様だろう?私がヘミィネ様を心配する理由は聞かないのか?」

 僕を心配する理由?
 首を傾げるとソヴィーシャは溜息を吐いた。

「まぁ、いい。」

 僕を見ていたソヴィーシャの視線が外れると、途端に不安になった。
 ソヴィーシャの腕に手をかけて、必死に問いかける。

「…ね、ねぇ。なんでそんなこと聞くの。なんで心配だったの?」

 馬をゆっくり歩かせながらソヴィーシャはすっと一瞬だけ僕を見た。

「さあ…、どうしてだろうな。」

 答えてくれないソヴィーシャに苛立つ。

「心配する理由を聞いたら、一緒にいてくれるの?」

 ソヴィーシャは馬の手綱を引いて立ち止まらせた。

「それを言うってことは私と一緒になる気があるってことか?」

 いつもと違うソヴィーシャの様子に不安になりつつも、迷いながらうなずく。一緒にいてくれるなら、ソヴィーシャならいいかなと思うから。
 ラニラル以外を考えたことはなかったけど、ソヴィーシャもずっと小さな頃から相手をしてくれた人だった。知らないアルファと一緒になるより、ソヴィーシャの方がいいに決まっている。
 うなずく僕を見て、ソヴィーシャはふぅんと笑った。

「後悔するなよ。」

 …え?
 ソヴィーシャの手が僕の頭の上に乗った。グイッと前を向かせられ下に押しつけられる。
 ええ…?
 馬の首を見させられる意味がわからず、何の抵抗もしなかった。
 
「!」

 首に熱い息がかかる。
 ガブっと噛まれた。

「ひっ!!」

 ぞわぞわぞわっと身体が震える。項を噛まれた!噛まれたぁぁぁぁ!
 ベロッと舌で舐められ思わず目を瞑る。

「仮契約だよ。」

「かかか仮契約??」

「発情期がきたら私のものってこと。私よりアルファ性の強い奴なら上書き出来る。甘噛みだし発情期中でもないから番にはなっていない。普通の傷と同じように時間が経てば消える。強いマーキングだと思えばいい。」

 パクパクと陸に上がった魚みたいに口は動くけど声にならない。
 ソヴィーシャを見ても平然としている。
 
「ヘミィネ様は私のそばにいなよ。」

 まさかソヴィーシャがこんなことするとは思っていなかった。
 しかもこんな時に。
 進む先から馬が走ってくるのが見えた。かなりの数にソヴィーシャと二人で待っていると、来たのは父上達だった。お父様まで単身騎乗している。

「お父様!」

「ヘミィネっ、無事?」

 馬を止めてお父様は僕とソヴィーシャに尋ねてきた。お父様は馬車も連れてきたから乗って帰るよう指示してきた。
 僕がいても邪魔なので大人しく帰ることにする。
 お父様達はソヴィーシャと一緒にヨフミィ兄上達のところに行く話をしていた。

「待って。」

 ソヴィーシャに馬から降ろしてもらい馬車に向かおうとしていると、お父様が自分も馬から降りて僕に近づいてきた。

「どうしたの?」

 急いでヨフミィ兄上のところに行くんじゃないの?
 お父様は僕の背後に回り、僕の服の後ろ襟を引っ張った。
 ハッとする。
 か、噛まれた跡を見られた!
 僕は固まってお父様の反応を待った。僕は噛まれたのはわかっても、首の後ろなのでどうなっているのかまだ確認できていない。

「ソヴィーシャ……。」

 お父様の声が低い。

「……はっ。」

「帰ったら聞くから。」

「承知しました。」

 会話はそれだけで、お父様は僕に何も言わず僕に騎士をつけて帰してくれた。
 気づけば燃え盛っていた炎は消えて、上空に不思議な火の塊が浮かんでいた。まるで女の人の影のように見えて不気味だった。






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