じゃあっ!僕がお父様を幸せにします!

黄金 

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番外編

79 守られるのはどっち?②

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 松葉杖で歩けるようになってきたので、最近は自分で外に出るようにしていた。
 仕事も休職中となり、数日おきにやってくる助手のエユドと研究について話を進めながら。もう少し動けるようになったら復帰しようかなと考えていた。
 年末になるとアクセミア公爵家は毎年領地に戻り、新年は領地の屋敷でパーティーを開き家臣たちを招いて労いを行い親交を深めている。
 どうにか領地へはついていけそうだ。
 ルヌジュ様も当然帰るだろうし、一緒に行きたい。
 ルヌジュ様は自分自身のことを可愛くないオメガだと思っているようだが、全然まったくそんなことはない。
 家臣の中にも未婚アルファはいるので、気を抜けばそいつらが近寄ってくるだろう。絶対に阻止したい。
 その前に自分の身辺も整理をした。
 今まで付き合ってきたのはベータかアルファの女性ばかりだった。みな友人の延長線上のような付き合いで、元から別れる前提の遊びであることを了承しあって付き合っていた。
 僕から別れを突きつけたことはなかったけど、手紙で今後を考えている人がいることを告げると、全員残念だと綴りながらも応援してくれた。
 ただ問題が一人いた。
 侯爵家の御令嬢で、どうしてあの人はいいのに自分はダメなのかと駄々をこね、家格が上なのをいいことに付き合いを強要された人だ。
 身体の関係はもたないようにした。あとあと揉めそうな気配しかしなかったからだ。
 他の子達と同じように手紙をだし、今後の付き合いには応じることは出来ないとしたためたのだが、返事は拒否だった。
 アクセミア公爵家の屋敷にいる限り、彼女が入ってくることはないだろうけど、仕事に出れば会うこともある。いやむしろ、無理矢理会おうと近づいてくるだろう。そのくらいの行動力を持っていた。
 だがまさか、ここまでやってくるとは思わなかった。
 松葉杖をつきながら廊下を進んでいると、メイドが慌てて呼びにきた。
 公爵家に来客した令嬢が、興奮しているというのだ。対応に出た公爵夫人が僕を呼ぶようにメイドを向かわせたようだった。
 まさかね……。
 嫌な予感がして応接室に向かった。
 扉をノックすると、公爵夫人の冷静な声が返ってきて、入るよう告げた。
 これは……、怒ってる?
 一緒についてきたメイドが開けてくれたので、そろりと中へ入って様子を窺った。
 ルヌジュ様までいたことに驚く。

「リュハナ様っ!」

 侯爵令嬢は立ち上がり、僕に飛びついてきた。ドンと胸に体当たりされて、フラリとよろける。肋骨の骨折はほぼ完治に近かったから良かったものの、これがまだ治っていない時期なら激痛だろうなと思った。
 なんとか松葉杖で体勢を維持して倒れずに済んだ。
 ルヌジュ様が心配そうに立ち上がった。そして急いで僕を支える。

「リュハナはまだ足の骨折で歩けないんだ。急に体重をかけるのはよくない。」

 普段温和で剣を持つ時以外はほわッとしているルヌジュ様の表情が、珍しく厳しかった。
 侯爵令嬢はルヌジュ様を睨みつけた。彼女の家は古くからある由緒正しい家柄だ。だからか貴族の中でも力が強い。そんな侯爵家の一人娘として育った彼女は、とても我儘に成長していた。唯一の汚点はベータとして生まれたことかもしれないが、そんな家は他にもいくらでもあるし、そういったベータの子供しか生まれなかった家は、家格が落ちてもいいのでアルファの婿なり嫁なりを迎え入れる。
 つまりこの侯爵令嬢はアルファである僕と結婚したいということなのだろう。しかも恋愛感情まであるから、彼女の両親はそれに力を貸している。
 ロデネオ伯爵家には僕しか跡取りがいないのに、ずいぶん舐めた態度だ。
 何度も届く釣書は全てお断りの返事を出しているのに諦めない。
 僕と結婚すれば、伯爵家が手に入るし、アクセミア公爵家とも繋がりができると思っているのだろう。

「子供は出てこないで下さいまし。私はリュハナ様と将来を誓い合った仲です。」

 誓ってない!
 すぐに否定しようとしたら、ルヌジュ様が僕と侯爵令嬢との間に割り込んで手を広げた。

「そんなはずないよ。リュハナは恋人全員と手を切るって手紙出したもん。」

 え、なんで知ってるの?手紙は使用人に出させたので見せていないはずなのに。

「私はその方達とは違います。私だけは本物の恋人なのですよ?」

 どうやったらそんな思い込みが出来るんだろう?
 公爵夫人が立ち上がった。

「彼女が急に押しかけてきてね。リュハナに会わせないのは我が家が監禁しているからだと騒いだものだから、一応中に通して話を聞いていたんだ。」

 公爵夫人の顔が笑っているのに笑っていない…。
 迷惑をかけるつもりはなかったのに、手を煩わせてしまった。

「申し訳ありません。すぐに説明して帰らせます。」

 納得してくれるかな。かなり不安。

「お父様、リュハナは迷惑してるよ。」

 ルヌジュ様はずっと僕を庇ってくれている。

「子供は大人の話に入ってこないで。」

 侯爵令嬢は強気だった。ここはアクセミア公爵邸で、目の前にいるのは公爵家の子供なんだけど。

「貴方こそ入ってこないで。そして帰ってよ。」

「まあ、それはリュハナ様が決めることよ?我が家はロデネオ伯爵家に利益をもたらせることができるの。リュハナ様は私と結婚した方がいいのよ。しなければどうなると思うかわかっているのかしら?」

 僕達は全員黙った。
 勿論、あまりの馬鹿さ加減にだ。
 確かにうちは伯爵家。彼女の家より家格は下がるだろう。だけど貴族家としての力は大きいのだ。
 ロデネオ伯爵家はアクセミア公爵家の家臣だ。しかも代々王宮医師を続け、常に王族の専属医師として活躍してきた由緒ある家だった。
 いくら侯爵家相手でも下に見られるような家ではないし、侯爵家の力がなくても全然構わない。
 
「リュハナの家が困ったら、僕の家が助けるから貴方の家はいらないんじゃないの?」

 ルヌジュ様が不思議そうに首を傾げた。
 その通りなので思わずルヌジュ様の頭をヨシヨシと撫でてしまう。
 侯爵家の助けなんか、アクセミア公爵家の助けに比べたら小指の爪ほどの助けにもならない。
 公爵夫人の顔も呆れ顔になっていた。

「それで?リュハナはまさかルヌジュよりも彼女を取るの?」

 ギョッとなった。

「まさかっ!僕の好きな人はルヌジュ様なんですよ?」

 ルヌジュ様がパッと後ろにいる僕を振り返った。

「す、好き?」

 この際、ここで言ってしまおう。
 別に僕はロマンチストじゃない。

「そうだよ。僕はルヌジュ様が大好きで、ルヌジュ様と一緒になりたいんだ。だから恋人は全員清算してるんだよ。だいたい彼女は付き合っていると言えるレベルの付き合いでもなかったんだ。ただしつこそうだったから念の為に手紙で近寄らないように伝えただけだったんだよ。」

 ルヌジュ様の広げていた手が力をなくし、胸の前で手を合わせてモジモジし始めた。

「…そ、そうなの?」

「そうだよ!」

 力一杯肯定する。

「まだ好きって言ってなかったの?」

 公爵夫人から呆れたように言われてしまった。

「そりゃ、ルヌジュ様は純粋で可愛くて、僕が手を出して穢れてしまったらと思うと、躊躇ってしまうんですよ!」

 力説して公爵夫人に説明する。

「え、そんな僕、純粋でもないと思うけど…?」

 ルヌジュ様が困惑していた。

「リュハナ様っ、こんな子供相手に何を言われているのです?いくらオメガでも子供ですよ?しかも男のオメガ!こんな子供の男のオメガに好意を持つわけありません。相手が公爵家だからですよね?無理をしても長続きしませんわよ。」

「子供…。」

 ルヌジュ様が何度も子供と言われてシュンとした。
 この女はここが公爵家の中であり、公爵夫人も男性だということを失念しているようだ。

「僕はルヌジュ様だから好きなんだ。勝手なことを言わないでほしい。」

 はっきりと否定したが、侯爵令嬢は顔を赤らめて怒り出した。
 そしてルヌジュ様は侯爵令嬢とは違う意味で頬を染めている。

「なっ、言いにくいのだろうと思い私がはっきりと告げているのです。私が悪者になってかまいませんから、ここで本心を告げるべきですわ!」

 ここまで思い込みが激しいと疲れてくる。
 僕が疲れて辟易していると、ルヌジュ様が侯爵令嬢をキッと睨みつけた。

「リュハナは僕が好きって言ってるんだよ。早く帰って。リュハナはまだちゃんと治ってないんだ。休ませなきゃならないのに疲れさせないでよ。」

 うう、ルヌジュ様が一生懸命守ってくれようとしている。なんて健気なんだろう。感動してしまった。さすが僕のルヌジュ様!

「貴方には関係のない話です。」

 ルヌジュ様はむぐぅと口を震わせた。

「あるよっ!リュハナは僕と婚約するんだから!」

 えっ!
 
「な、何を突然…。無理矢理公爵家の力を使って婚約を迫るつもりなんでしょう?」

「僕たち相思相愛だから無理矢理じゃない!」

 ルヌジュ様が必死に侯爵令嬢に噛み付いた。
 
「ルヌジュ様…。僕と婚約してくれるの?」

 ルヌジュ様はチラッと振り返った。そしてカアッと顔が一瞬で赤くなる。

「リュ、リュハナは僕が守るんだもん…。」

 え、かわいい。守ろうとしてくれてるんだ。僕がこの女を嫌がっていると感じて、自分が婚約するんだって言って追い出そうとしてくれてる。

「嬉しい。すぐに婚約しよう?」

 僕は目の前の侯爵令嬢なんてどうでもよくなった。早く追い返さなきゃ。そして今のうちに話を進めなくては。

「う、うん。でも待ってね。僕が解決してあげる!」

 うん?
 ルヌジュ様は公爵夫人を見た。そして公爵夫人は待機していた執事に目配せする。
 執事は用意していたのであろう書類をルヌジュ様に手渡した。ルヌジュ様は書類を受け取り、侯爵令嬢の前に広げてみせる。

「はい、読んで。」

「……は?なにを…。」

 侯爵令嬢は不快そうに顔を顰めて、ルヌジュ様が広げる書類に目を通した。一瞬表情が固まり徐々に目が文字を追うように動いていく。
 暫くして顔色を変えた。先程まで怒りて赤くしていた顔が、今は血の気が引いて青くなっている。

「ちゃんと読んだ?」

 ルヌジュ様はニコッと笑って侯爵令嬢に確認している。
 侯爵令嬢はゆっくりとうなずき、ふらっとよろけた。

「貴方の家って今ピンチなんでしょう?だから侯爵は貴方とリュハナの結婚を急いでいる。ロデネオ伯爵家は裕福だし、王宮医師という役職もある。リュハナは薬の開発で儲けてるし、領地もうまくいっている。しかも侯爵家より下の伯爵家だから言いなりに出来るって思ったんだよね?」

 侯爵令嬢は震えながら首を振った。

「ち、違うわ。お父様は私がリュハナ様を愛してるから応援していると……。」

「うーん、リュハナが平民だったら応援しないでしょ?リュハナの家が金持ちだから応援してるんだよ。いい?侯爵家は相次ぐ事業の失敗で没落寸前だよ。このまま見捨ててもいいけど、この契約書にサインしたらちょっとアクセミア公爵家が力になってあげる。」

 ルヌジュ様がなんの書類を掲げているのか不思議になり、前に回って覗き込んだ。
 事業契約書だ。それと侯爵家の財政状況を示した書類だった。ルヌジュ様が言う通り、過去十年でかなりの損害を出している。しかも余計な支出が多い。
 事業契約書には技術提供と出資金を申し出る内容が書かれていた。責任者はルヌジュ様だ。事業で技術提供を行う共同経営者を、侯爵令嬢の婿として迎えて共に事業回復に努めるよう書いてある。
 共同経営者の名前は僕でも知っていた。貴族としての家格は低いが、経営手腕に長けている。歳は少々上だが、独身だし、これだけ負債を抱えているのならいい条件だ。
 
「提案したのは僕だけど、みんなに確認してもらったからかなり自信あるよ!黒字が出るまでは待っててあげる。その代わり黒字が出たら二割もらうね!」

 ルヌジュ様はニコニコと笑いながら説明しているが、侯爵令嬢は話についていけず困惑していた。

「わ、私がそんなこと…。お、お父様は誰の助けも必要ありません。」

 侯爵令嬢はルヌジュ様の提案を拒否しているが、内容が分からない為、だんだん声が小さくなっていく。

「じゃあ写しをあげるから、今日は帰って貴方のお父様に聞いてよ。きっと喜ぶよ。」

 ルヌジュ様が書類を下ろすと、執事が待っていたように写しを侯爵令嬢に渡した。
 写しを受け取った侯爵令嬢は口を開いては何かを言おうとするが、手が震えて落ち着かず、結局何も言えずに口を閉じる。
 公爵夫人がゆっくりと近づき侯爵令嬢に話しかけた。

「君はまず自分の家がどんな状態なのかを知るべきだよ。そしてここで不可能な話を恥ずかしげもなく話すのではなく、家に帰って自分が何をすべきか自覚しなさい。」

 静かな公爵夫人の声に押されて、侯爵令嬢はふらりと僕達から距離を置いた。
 執事が待ち構えたように扉の外へ案内する。
 侯爵令嬢はふらふらとよろけながら、僕の顔を見ることなく出て行ってしまった。
 部屋の中には僕達三人が残る。

「…………リュハナ?」

「あ、はい。」

 公爵夫人の静かな声にビクッと肩を跳ねさせ返事をする。

「リュハナが優しいのは理解しているけど、守るべき時はちゃんとやろうね。」

「……はい。」

 どうやら僕が女の子達と手を切ろうとしていることを知られていたらしい。自分では後腐れなくやっていたつもりだし、侯爵令嬢さえいなければ無事解決していたわけだけど、最終的に公爵家に迷惑をかけてしまったので反省する。

「お父様っ、僕がリュハナを守れればいいんだよ!」

 ルヌジュ様がパッと僕を庇った。

「リュハナは僕が守るんだからねっ!」

「ルヌジュ様っ…!」

 感動~!

「…………うーん。」

 公爵夫人が顎に手をやり困った顔をしている。

「ねね、聞いてっ! リュハナが困ってるみたいだから僕が調べて考えたの。資金とかは父上に出してもらったけど、配当から返していくんだよ。ちゃんと元は取れるように考えてね~、この技術も隣国の技術を導入してみたらどうかなって調べて、技術者を引っ張ってきたんだよ!」

「え…、ルヌジュ様が?」

 驚いた。一人でほとんど考えていたらしい。こんな才能があったなんて。

「ルヌジュは興味がないとやらないだけで、能力は高いからね。」

 そうなのか…。いつの間にかこんなに成長してたんだ。寂しいような誇らしいような、複雑な気持ちが湧いてくる。

「僕はリュハナが仕事を頑張れるように手助けするよ。リュハナは弱いし優しすぎるから、リュハナが出来ないことを僕がやってあげるね!」

 じーーーん。感動した。

「ありがとう、ルヌジュ様。」

「えへへ、僕に任せてね!」

 あまりの嬉しさに僕はルヌジュ様を抱きしめた。

「………うん、いいんだよ。それでもね。」

 何か言いたげに公爵夫人が呟いているけど、ルヌジュ様って公爵夫人に似てるんだねぇ。
 守ることばかり考えていたけど、僕は守られていたんだね。
 うん、僕はそれでも幸せさ。






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