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番外編
83 私は捨て猫ではない!③
しおりを挟む喉の痛みと身体中の倦怠感で目が覚める。あちこち痛い。泣き過ぎたのか瞼は腫れて上手く開かず、起き上がることも出来なかった。
「………………ゴホッ、……………ん、んん。」
水が飲みたくて声を出そうとしたが失敗する。
意味がわからない。
どういうこと?
なんでベータの自分がアルファの騎士団長に抱かれることに?
アルファの性欲が怖い。死ぬかと思った。
いつ終わるのかと本当に恐怖したのだ。しかも気絶した後もやられているような気がする……。腰に感覚がないかもしれない。
噂と違って優しい人徳者なのかと思ったのに、噂通り変人だった。
急に襲うか?
しかも睡眠薬使ってまで!
誰だっ、身体から落とせって教えたのは!
目を瞑ってギリギリと歯を食いしばりながら心の中で文句を言っていたら、ヒョイと抱き抱えられた。
驚いて目を開く。
ダノテ騎士団長が私を抱き上げて、膝の上に座らせていた。
「水だ。それから薬。」
口の中に錠剤が押し込まれ、なんと口移しで水を流し込まれてしまった。
「……っ!?」
文句を言いたいのに、水は何度かに分けて口の中に入ってくる。ついでに分厚い舌まで入ってきて、長くキスが続いて窒息するかと思った。
「………ぷはっ!」
ゼイゼイと息を吐く間、ダノテ騎士団長は静かに私を抱っこしていた。
「大丈夫か?」
背中を撫でながら尋ねられる。
はあぁ?
「んなわけあるか!どういうつもりだ!?」
ダノテ騎士団長の膝に乗ることにより少しだけ私の目線が上にある。見下ろして怒鳴りつけた。
なんで不思議そうなんだ!
「どういうつもりかと言われても、キワーレは俺が拾ったから俺のものだろう。」
「…………………はぁ?」
あまりにも当然だというふうに言われてしまい、間抜けな声で聞き返してしまった。
「ここにいる動物達はみな俺が拾って愛情をもって育てている。死ぬまで俺が責任を持つべきだと思っている。俺の家族だ。彼等の生涯は俺のものということだ。」
ああ、まぁそれは確かにな。そこまで責任を持って保護してあげるのは偉いと思う。素晴らしいよ。
だけど私は人間だ。
「安心しろ。キワーレは人間だからな。私と同列だ。伴侶になってもいいくらいだ。」
伴侶ぉぉぉ?
「…………オメガを娶れ?」
それがなぁ…。とダノテ騎士団長は渋い顔をする。
「俺はオメガに嫌われるんだ。俺のアルファのフェロモンはキツ過ぎるらしい。恐怖を与えるらしくてな?だが性行為中はどうしてもフェロモンはでてしまうんだ。そのせいで相性が合うオメガに出会ったことがない。せいぜいが実の弟のフヒィルなら同じ屋敷内で生活する分には平気なくらいだ。」
だから以前フヒィルに番になれって言ったのか?
「オメガは諦めたんだ。それでもやりたくなったら娼館に通った。」
「…………じゃあ、ベータの女を娶れ?」
ダノテ騎士団長はまたまた渋い顔をした。
「何度かお見合いをしたり付き合いをしたりもしたんだが、どうにも食指が動かないんだ。」
食指?
「好みに合わないってことか?」
騎士団長はうなずいた。
「ベータの女性はフェロモンを感じない所為か、今度は結婚に乗り気になるんだが、どうも愛情が湧かない。」
え………。面倒なやつだな。
アルファの好みは煩い。というかこの人と決めると、その相手しか見れなくなる。
「じゃあどんなのがいいんだ?」
好みの女を見つけてやろうじゃないか!
「こう……、可哀想な感じが好きだ。」
????
何を言ってるんだろう?
「捨てられた子猫のような、涙を溜めた表情がいい。寒空の下、朝日で涙が照らされている姿にはグッときた。」
グッとくるな。いやいや、なんの話だ?
「それなら貴族で女でベータで可哀想な人を探してくるから。」
だから私はやめとけ、な?
「キワーレは以前も舞踏会に入れなくて困っていただろう?人間で二度も助けることが出来たなんて運命だと感じた。」
オメガは困っているからと助けても逃げていくし、ベータの女は気持ち悪いくらいに擦り寄ってくるから自分が避けるし、二度も遭遇する奴はいないんだと力説される。
「運命が欲しいなら演出してやる。可哀想な適齢期の女を見つけてくる。」
「もう目の前にいるから大丈夫だ。」
私は運命じゃない!
「こんな捨てられた子猫みたいに泣かれたら手放せないじゃないか。」
私は捨てられた猫じゃない!
話が通じないーーー!
「私は泣いてない!」
「おかしいな…。俺の下で悦んで泣いてたじゃないか。」
うぎゃぁあぁぁぁ!
誰かこいつを止めてーーー!
それから定期的に襲われるようになった。断じて私から誘ったことはない。
年が明け、騎士団長が油断した隙に自分の家にこっそり戻ってみた。
既にこの世を去った家族達から盗られたお金も戻ってきたし、着替えを纏めたら逃げようと思ったのだ。
植木の垣根を越えて家に入り、バックに着替えを詰めて正面玄関から出ようとした。
目の前の光景に愕然とする。
「………門はっ!?」
門がない!
確かにあったはずなのに!
目の前には壁しかなかった。
「門なら閉じた。」
ビクッと肩が震える。
なんでダノテ騎士団長がここに?
「どうか逃げないでくださいませ。ダノテ様を受け止めてあげられる人間はキワーレ様しかおりません~。」
老執事まで……。
一緒に来た使用人達が私のバックをそっと握った。
「いや……。騎士団長は当主なんだから、後継作ろう?ベータの男は産めないんだぞ?」
「そこはどうとでもなるだろう。」
「そうでございます。我々に人間の奥方を与えてくださいませ~。」
哀れっぽく老執事は私に縋る。
ところで人間の奥方とは…?
奥方ってのは人間にしかなれないもんじゃないのか?
「執事、よく考えろ。女に直系を産んでもらうのが一番いいはずだ。」
老執事の動きが止まった。
「キワーレ様こそ、よぉぉくダノテ様の性格を観察してくださいませ。拾ってこられるのは犬猫ばかり。人を拾ってきたのはキワーレ様が初めてで御座います。ダノテ様は騎士でありながら、人に対して冷めておられます。ようやく人間を拾ってこられたのですよ!」
パチパチパチパチ。
使用人達が無表情に拍手をした。
「さあ、もう貴重品はないな?」
帰ろうかと腰を抱かれる。
…………ぐすん。私は他人を観察するのは好きでも、観察される側は嫌いなんだ。
「キワーレぇぇぇ~~~!」
「ヨフミィ!」
天の助け!
眼鏡を外したヨフミィの素顔は、直視するのも眩しいほどキラキラしている。
「もうっ、どこにいるのかと思ったよぉ~。騎士団長のお世話になってたんだねぇ。はい、これはお土産っ!」
アクセミア公爵領地のお土産を渡された。まだまだあるようで、ヨフミィの婚約者が使用人達に運ぶよう指示している。まだ侍従をしているのか?
「戻ってきたんだな。誰に聞いたんだ?」
「お父様。キワーレはクゼラ侯爵家の屋敷に住んでるって。あ、おめでとう!」
おめでとう?
「なにもめでたいことはないけど?」
ヨフミィはキョトンとした。
「え?」
あれぇ? とヨフミィは首を傾げる。
あ、なんか嫌な予感がする。
「まって、ちょっと引っかかってることがあったんだ。でも考えたくなくて知らないふりしてることがあるんだ。聞いたらダメな気がする。言わないでほしい。」
手を前に突き出してそれ以上喋るなと拒否する。
「ん。でも、お父様からちゃんとお祝いは言いなさいって言われたし。あとどんな様子か見てくるように言われたし。」
そこでハッとする。
騎士団長に余計なことを言った人物が誰なのかを察した。そして自分とダノテ騎士団長の様子を知りたがっているのだ。公爵夫人は!
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「そだ、お父様は二人にお揃いのガウンを買ってたよ!」
「うわぁぁぁぁーーー!」
絶対そうだ!
「傍観者気取って離れた位置から他人を見ているからです。見られる側に立つ気分はいかがでしょう。」
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こ、こいつーーー!
「僕は知らなかったよ。まさかキワーレと騎士団長が結婚しちゃうなんて!」
ヨフミィの言葉にふらっと立ちくらみがする。
「ああ……………。聞いちゃいけない言葉をとうとう聞いてしまった………。」
「聞いてないからと言って、無かったことには出来ないと思います。」
わかってるわ!
家族に盗られた現金の分が罪に加算されていた時点で不思議に思ったのだ。大きな罪はクゼラ侯爵家所有の家を勝手に売り払った罪だろうけど、キワーレのお金を使い込んだのもしっかり罪状に入っていた。
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だがしっかり載っていた。つまり、私の家族は公爵夫人の私財を盗んだということだ。婚姻届を出して、しこたま使い込んだところを捕まえたのだ。
「い、いつから婚姻関係に……。」
恐ろしい事実に震えが止まらない。
「こちらに引き取られた翌日だと聞いております。」
「おめでとう!」
ガクーと地面に膝をついた。
ああ、怖い。変人変態の行動力が怖い。そしてそんな騎士団長に絶対服従している屋敷の使用人達が恐ろしい。
遊びに来てくれた二人は、何かあったら公爵家においでねと言って帰っていった。
春になり、床に敷いたカーペットの上で犬猫達と一緒に眠っていた。
暖炉の火はもういらない。暖かい布団は気持ちが良く、動物達の体温で充分に暖かかった。
ふと目が覚めて、隣にいる人物を寝ぼけ眼で見つめる。
「…………。」
なんでこの人がここに。
ダノテ騎士団長がいつ帰ってきたのか知らないが、一緒に布団に入って寝ていた。どうりでぬくぬくすると思った。
モゾっと動くと騎士団長の目が開く。
「おはよう。」
先に目覚めた自分より、つい今しがた目覚めたダノテ騎士団長の方が先に挨拶をした。
「…………うん。」
遅くまで書き物をしていたので、まだ眠たい。
「面白いものを書いているな。」
「…………うん。」
むにゃ、としながらぼんやり返事をする。
騎士団長は苦笑しながら私のボサボサになった髪を手で梳いた。
「勝手に読んだんだが…、これは本にするつもりか?」
うーん、どうしよう。むしゃくしゃして書いたものの、アクセミア公爵家には頼みづらい。
ぼーと高い天井を見上げて考えた。流石侯爵家のお屋敷だ。犬猫の部屋なのにいい部屋だなぁ。
もういいや。私は開き直ったのだ。
目の前の男が勝手に婚姻届を出していたことも、いつの間にか王族や公爵家が証人になっていたことも、屋敷の老執事と使用人達がここ数ヶ月私が逃げないように見張っていることも。
なんかもう慣れた。
むしろこの屋敷を離れたら生きていけないくらいにダラダラと過ごしている。
保護された猫同然だ。
横に寝そべり私の様子を見ている騎士団長は、何が楽しいのか嬉しそうに私のお腹をポンポンと撫でている。
その顔を眺めながら、私は我儘を言うことにした。
今までは逃げる為に我儘を言わず、隙を見つけようと様子を窺っていたけど、もう止めようと思う。
諦めてここで飼い猫のように暮らすのも悪くない気がしてきた。
「出して。」
「ん?」
「それ、本にして。」
騎士団長は私の頼みを聞くと言ってくれている。聞いてもらおうじゃないか。
「そうか。わかった。」
案の定、騎士団長は笑って軽々と引き受けてくれた。
ふふふふふ。
これが売れたら困るがいいさ。
春が過ぎ、初夏の季節。
外に出ない僕に会いにアクセミア公爵夫人がやってきた。手には一冊の本。
「僕がパトロンなのにどうしてクゼラ侯爵家から出したの?」
「名前を変えろって言われるかと思って。」
「わかっててやったんだね?」
怖いからウチの旦那様に隠れよう。
うん、騎士団長はいい盾になっているな。
「この本売れてるねぇ。でもアクセミアをアクセニアにしたり、お父様をユヒィにしたり、父上をリウーテにしたりしたのはなんで?」
そりゃあ、やられたらやり返したいから?
私を騎士団長に引き渡したのは公爵夫人だろうし。
「言っておくけどね?クゼラ騎士団長がキワーレに惚れたのは偶然なんだよ。生涯養いたいと言うし、騎士団長の結婚は難しいという問題は聞いていたし、独り身よりはベータ男性でも好きになった人が側にいるのはいいことかなと思ったんだよ。」
「だからって私の意思は?」
つい反論してしまう。
おかげて私はこの屋敷からほぼ出られないのだ。
「いや、まぁ…。ここまで執着深いアルファとは知らなかったんだよねぇ………。」
目を逸らさないで。
「え?キワーレの結婚ってお父様が考えたの?」
ヨフミィは全く気づいていなかった。相変わらず鈍い奴だな。
「アクセミア公爵夫人。内容が過去のアクセミア公爵の醜聞に近い内容だが、本はすごぶる売れている。感謝している。」
公爵夫人の顔が引き攣る。
普通に感謝しているのか、わざと神経逆撫でしているのかダノテ騎士団長の表情からは全く読み取れない。
「この本読んだけど面白かったよぉ。すごいねぇ。過去のこと調べたの?」
「まぁ、少しは。後は想像で付け足していったんだけど、わりと的を射ていると思うよ。」
特にヨフミィのおかげで王宮の中に密会する塔があったこととかいいネタになったし。
「キワーレには少し申し訳ない気持ちがあったから許すけど、もう我が家を題材にするのは禁止だよ。」
公爵夫人から怒られてしまった。最後にここにサインを書いてと書かされたけど。
公爵夫人とヨフミィが帰宅し、騎士団長と一緒に犬猫部屋に戻った。
「これで気が済んだのか?」
入って早々、床に敷いたカーペットの上に転がった私の上に、ダノテ騎士団長が乗っかってきた。
この人なにかと私を組み敷くのが好きだな…。
「当の本人にはどうやってやろうかとまだ考え中なんだ。」
最近、我儘を言ってみているのだが、どんなに高価なものも、入手困難なものも、時間がかかっても手に入れてくれる騎士団長の忍耐強さに諦めかけている。
元々変な噂がある人物なので、何を言われようと平気みたいだ。
「……まだ俺から逃げたいのか?」
「…………。」
あれ、いつもと少し違う。
いつもは何を言われても平気そうなのに、少し、なんだろう。怖がってる?
天下の騎士団長さまが?
「キワーレが猫と違うのは理解している。人格があり、嫌なものは嫌だと言える人なのはわかっている。」
金茶色の瞳が揺れている。そこにあるのは、不安。
「…………出て行きたいのか?」
息が詰まった。
「……出て、行かない。」
なんでか否定してしまった。
ダノテ騎士団長が安堵した顔をしたのを見て、自分も安堵してしまった。
悲しい顔を見たくなかった。
その気持ちに気づいて一気に体温が上がる。
ダノテ騎士団長は私の片足を持ち上げた。スルリと腿の内側を撫でられる。
「…っ、ちょ…、こんな昼間からやらないぞっ!」
お尻を持ち上げられズボンを引き下ろされてしまう。
片手で私の片足を掴んで軽々と持ち上げるとかやめてほしい。馬鹿力なんだよ!
「嬉しいんだ。」
率直な言葉に何も言い返せない。
私がどこにも行かないと知って、騎士団長は喜んでいるのだ。頬を染めて、口元を綻ばせて…。
そんなに嬉しいんだったら、養われてやってもいい気がした。
だから出て行かないだけだ。
この顔に絆されただけだ。
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