じゃあっ!僕がお父様を幸せにします!

黄金 

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番外編

85 小さなお家②

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 テフベル卿はよく自宅の食事に誘ってくれるようになった。僕が独り身でいつも食事は適当だと言ったからかもしれない。
 両親はいるが領地は遠いので一人暮らし。ここ数年会っていないと教えると、たまには帰ったほうがいいと諭された。テフベル卿も仕事が忙しくてずっと会わないうちに、お母さんが亡くなってしまったらしい。
 うなずくと優しく微笑んで頭を撫でられた。
 完全に子供扱いだ。
 年齢的には間違いではない。だけど本当の親でもない。優しくされて嬉しいのに、子供扱いは嬉しくなかった。
 食事のお礼をしたいと言うと、今度爵位を新たに叙爵されるので、その時に何を着たらいいのか教えてほしいと言われた。
 テフベル卿は元々平民で、僕は子爵家だ。僕も裕福な貴族家の出身ではないけど、テフベル卿よりは知っている。困っているんだろうなと思って快諾した。 
 テフベル卿は名称そのままに子爵位に陞爵することになっていた。王宮庭園総管理人という管理職に伴い与えられていた男爵位を子爵位に上げて、王妃宮庭園の管理も行うことになっている。
 本人は机仕事が増えて土いじりが出来なくなるとガッカリしていた。
 元々王妃宮の白月草を管理していたフォブルス伯爵は爵位返上と王都追放を言い渡されていた。王妃様にくっついていたメーリュンデ侯爵も同じように処罰されている。
 王妃様は周りに侍る貴族が減ったからか、社交的なテフベル卿をすぐに気に入って頼りにしているようだった。昔からの知り合いらしいのだが、テフベル卿の表情は困っているようだった。
 その理由はキワーレが書いたという本を読んで知った。
 アクセミア公爵夫妻の過去を題材にして書かれたらしい恋物語だった。そこに少し名前を変えて王妃様も登場する。よくこんな話を出せたなと感心するが、どうやら公爵家が公認しているらしい。でないとすぐに差し止めにされていることだろう。
 そこらへんの事情はよくわからないが、理解出来たのは話の中に出てくる庭師がテフベル卿なのだということだった。

「……………はぁ。」

 ため息が出る。
 つまりテフベル卿は昔、王妃様がメイド時代の頃に好意を寄せていたということだった。他にもそんな人達は大勢いたようだし、主役のアクセミア公爵様だってそうなのだ。庭師の存在なんてほんの少し出てくる脇役。特に何かがあったわけではないらしいのだけど……。
 でも、好きだったのは事実。……ということだよね?
 今日は作業部屋で一人白月草の下処理を行い、時間が空いたのでその本を読んでいた。
 一度読んで、もう一度テフベル卿のところだけ拾っていく。
 
「くくくく、つまり気になるんだな?」
 
「ふわぁん、久しぶりに来てみたら、進展しちゃってたりして?」

 ビクッと肩が震えた。

「だだだっ!誰!?」

 驚いて振り返ると、僕の背後には作者のキワーレとヨフミィ公子がいた。
 二人に会うのはかなり久しぶりだった。
 
「お茶くれー。」

「僕もぉ~。あ、茶葉とお菓子は持参したよ?」

 やや図々しい二人の為にお茶を淹れる。
 キワーレは確かクゼラ侯爵と結婚したし、ヨフミィ公子は現在ラニラル・バハルジィ伯爵子息と婚約中だったはずだ。結婚しても伯爵家ではなくアクセミア公爵家を継ぐ為に、伯爵子息の方が公爵家に入るのだと聞いている。
 つまり二人の身分は僕より上!
 いいんだけどね……。ほとんど僕の地位なんて平民みたいなものだしね。田舎の子爵家なんてそんなものだもんね。

「久しぶりに外に出た気がするなぁ。ヨフミィに頼んで正解だった。」

「まさか軟禁状態とか思わないでしょう?意外と騎士団長って変態…。あ、変態か!」

 二人は好き勝手に喋っている。
 …………ダノテ・クゼラ第一騎士団長ってそっち系だったんだ。番を監禁するタイプは苦手だ。

「キワーレってオメガ?」

 なんか違う気がしたけど。

「私はベータだ。」

 キワーレに即答されて、騎士団長の性格がますます苦手に感じた。

「ジールさんとは仲良くしてる?というかジールさんはどこに行ったの?」

 ヨフミィ公子達はテフベル卿に会いに来たらしい。

「……王妃宮の栽培の様子を確認しに行ってる。」

 向こうの白月草の庭園の方が規模は大きい。その代わり発育状態が悪かったらしく、今はテフベル卿が庭師の育成を兼ねて、数人部下を連れて庭園の整備を行っている。ここと同じように地下にあるらしく、僕は王妃宮の白月草が採れるようになったら行く予定になっていた。

「王妃様……。」

 ヨフミィ公子が険しい顔をしている。

「あ~、だからその本読んでたのか。私の調べでは特に何もなかったらしいよ?」

 キワーレの言葉に安堵したものの、やっぱり気になる。

「エユドはアルファ嫌いなんだよね?」

 別に嫌いってわけではない。ただアルファが苦手なのだ。強すぎる気配と匂いが近寄りがたくて、近くにいると緊張してしまう。

「ジール・テフベル子爵は平気ってことだよな?」

 確認されて、僕はコクンとうなずいた。
 アルファでもテフベル卿の気配は穏やかだった。フェロモンの匂いも全く感じさせない。地下の白月草を育てている狭い部屋に二人きりでいたって、全く感じることはないし緊張することもない。アルファ用の抑制剤を使っているとは思うけど、本人もフェロモンが漏れないよう気をつけてくれているのだろうと思う。
 僕に触れないように気をつけてくれているし、話しかける時も穏やかで明るい。
 そんな気遣いのできる人だった。
 少なからず意識してしまうけど、テフベル卿はかなり歳上だし、僕なんかが相手になれるわけがないと思っている。
 お茶を飲みながら僕の前でヨフミィ公子とキワーレは目を見交わしていた。

「引っかかってるのは年齢差かなぁ?」

「どっちも押しが弱いとこだと思うけど。」

 ……この二人は何をしに来たんだろう?

「ここは偵察に行くべきだよ!」

「同感っ!王妃様は国王陛下という番がいるんだし、敵にもならない。」

「ええ……?」

 突然何を言い出すの?

「さあっ、しゅっぱあ~つ!」

「なにか事件でも起きないかなぁ~。痴話喧嘩でもいいけど。」

 えええ………?
 僕は二人にズルズルと引き摺られていった。





 本当に王妃宮にやって来た。
 どこにいるのかなと聞かれたので、地下の庭園ではないかと答えると、じゃあ行こうと言われる。
 一応僕は関係者扱いで許可をもらっているので、見張りの兵士とは顔馴染みだった。彼等は今僕が白月草を下処理している作業部屋の警護も担当してくれている騎士達だ。入ってもいいかと尋ねると、笑顔でお疲れ様ですと言いながら道を開けてくれた。
 ヨフミィ公子とキワーレも顔が知られているので、なんの抵抗もなく三人で来てしまったけどいいのだろうか。
 キワーレが警護の騎士に何か伝えていた。
 地下の部屋には何度か来たことはある。ただ現在はまだちゃんと運用される段階ではないから僕は来ていないだけで、道は覚えていた。
 歩いているとグイッと引っ張られる。

「……な、なに?」
 
 びっくりして問いかけると、ヨフミィ公子が口に指を一本立てて、しーと身振りで黙るよう指示してきた。
 物陰に隠れて奥の方を指さしている。
 その指差す方を見ると、テフベル卿が作業中だった。しかも王妃様もいる。
 何か話しているようだった。

「………ね?私が悪いの?」

「いいえ、そんなことはないでしょう。」

「ジールはいつも優しいのね。」

「ははは。」
 
 なんの話かはわからないけど、二人は親しげだった。あまりこういう場面は見たくなかった。王妃様がテフベル卿の背中に手をかけて話しかけている姿にチクリと胸が痛む。

「………浮気っ…。」

 え?
 ヨフミィ公子の呟きは唐突で、何を言っているのか理解出来なかった。

「浮気発言はまだ早いんじゃあ。」

 キワーレは、ふむ…と思案顔で観察しながら返事をする。そしてくるんと僕を見た。

「安心して。」
 
 ………えっと?何を安心すればいいのかわからないんだけど?
 暫くテフベル卿と王妃様の会話は続き、僕達は欠伸をしながらそれを聞いていた。内容はたいしたものではなく、王妃様の愚痴に近い。作業しながらテフベル卿は相槌を打ち、相手をしてあげているようだった。
 暇なので地下庭園の中を観察していると、前来た時より白月草の葉が減っている気がする。というよりほとんどない?
 まさか全部枯れたとか言わないよね?
 テフベル卿が自ら世話をしているのにそんなはずはないと思いながら、まだ喋っている二人を見る。テフベル卿は喋りながらも手は止めずに王妃様の相手をしていた。正直に言うと王妃様は邪魔ではないかなと思ってしまう。
 三人で物陰にしゃがんでいると、入り口から王太子殿下が入って来た。
 チラッと座る僕たちを見て呆れた顔をしている。好きでここに座っているわけじゃないんだけど…。
 ヨフミィ公子も王太子殿下に気づいてヒラヒラと手を振っていた。
 王太子殿下は僕達には近づかず、真っ直ぐ王妃様の方へと向かう。

「私が呼んだんだ。」

 さっきキワーレが騎士に話しかけていたのは、王太子殿下を呼ぶためだったらしい。
 何故王太子殿下を呼んだのかわからないが、殿下を見送り眺めていると、殿下は王妃様とテフベル卿をベリっと剥がした。
 
「まあっ、レジュノ…!」

 王妃様は驚いていた。

「母上、テフベル子爵と旧知の仲だというのは存じ上げていますが、相応の距離をとってください。」

 スンと王太子殿下は冷たい顔で王妃様に注意を始めた。

「どうしてかしら?ジールとは友達よ?」

 王太子殿下は溜息を吐いている。
 テフベル卿はそんな親子の会話を困った顔で見ていたが、奥から覗いていた僕達に気づいてしまった。
 少し気まずくて慌ててしまう。

「っ!どうしてここに…。」

 テフベル卿は僕達の方へ歩いて来た。手を布で拭きながら真っ直ぐ来たのは僕の前だった。
 あ、あれ、ヨフミィ公子に話しかけたんじゃなかったの…?
 と思ったらヨフミィ公子とキワーレはいつの間にかレジュノ王太子殿下の方に行ってしまっていた。
 普段はのんびり動くくせに、こういう時は早い!

「あ、あの……。お邪魔してすみません……。」

「怒っているわけじゃないんだ。その…。」

 テフベル卿は迷うような顔をしていた。話そうかどうしようか…。そんな顔だ。
 
「もしかして白月草は枯れたんですか?」

 だったら非常事態だ。無事な白月草は僕が使っている作業部屋の方にしかないことになってしまう!

「ああ……、違うんだ。しょうがないな…。完成したら見せようと思っていたのに。ヨフミィ達が連れて来たんだな?」

 その通りなのでうなずくと、こっちに来てくれと言われた。テフベル卿は地下庭園から出て、王妃宮を出ると隣の建物に入って行った。
 王妃宮とは繋がっていない独立した建物だった。
 どんどん中へ進むと、この建物にも地下が作られていた。

「こっちだ。」

 地下とはいっても、階段の上には明かりとりの窓がついており明るい。夜は壁に取り付けられた燭台を灯せるよう、既に蝋燭が立てられていた。

「ここは何ですか?」

 下まで降りると扉があり、キィとテフベル卿は開いた。
 中から涼やかな空気が流れてきた。空調が効いているのか、緩やかな風が吹き新鮮な空気が循環している。水が流れるサラサラとした音が心地よい。
 森の中のように木々が植えてあり、小道が縦横無尽に作られていた。そして木々の下には白月草が生えている。

「え……、ここって。」

「新しい白月草の為の庭園なんだ。今までは鉢植えを使っていただろう?より自然に近い状態で植えてみたらどうかと思って試しにやったら繁殖力が増したんだ。それで庭園自体をこっちに移したんだよ。」

 確かに白月草の白い葉は、今までのものより瑞々しく大きかった。これは期待できる材料になりそうだと思いドキドキとする。
 テフベル卿は凄い!
 口をポカンと開けて眺めている僕の手を握って、テフベル卿はこっちだと更に奥へと案内した。

「……あっ。」

 扉を開けるとなんとなく見知った部屋があった。
 すこし狭くて小さな家具。隣にはキッチンまであった。
 
「俺が作ったんだ。」

「………テフベル卿の家と似てますね。」

 雰囲気がそっくりだった。あちこちに鉢植えがあり、天井からも吊るされている。青い葉と花々。少し土の匂い。

「そうだろう?地下は寒いから暖炉もついている。換気にも気をつけたし、隣の部屋は作業部屋だ。こっちは休憩部屋だな。」

「わぁ……。」

 ここで生きていけそうな気がする。地下だけど天井に近い部分には窓があって空が見えた。半地下になっているのかもしれない。

「せっかくだから気にいるようにと思って作ってみたんだ。」

 なんでわかったんだろう?
 僕はテフベル卿のあの小さな家が好きだった。狭いけど、落ち着いていて、草花に囲まれていて、陽の匂いと美味しいご飯が似合う家。

「ただ、ここは仕事部屋だから、ちゃんと暮らすのは地上でだ!」

 釘を刺された。
 
「ふふ、こんなに素晴らしい部屋を用意されると説得力ありませんね。」

 おかしくなって笑ってしまう。
 テフベル卿も笑っていた。

「……その、出来れば俺の家じゃなくて、俺の側にいることを気に入って欲しいんだがな。」

 え?
 目を見開いて驚いてしまう。
 ええ?

「歳は多分エユドのご両親より上だと思うんだが、出来ればいい関係を作りたいというか…。恋人に…。」

 こ、恋人…!

「あ、項は、噛まない方がいいと思っている、んだ。歳が離れすぎてるしエユドは若いからな。俺の方がどうやっても先に…。」

「長生きしてください!」

 思わず叫んでしまう。
 テフベル卿は僕の珍しい大声に目をパチクリとさせていた。

「ぼ、僕は誰とも付き合うつもりがありませんでしたし、たぶん…、このチャンスを逃すと一生恋人出来ません。」

 ボソボソと言い訳のように伝える。だから貴方だけなんですと。
 テフベル卿はフハッと笑った。

「ありがとう。そこらへんはゆっくり考えていこうか。ひとまず…、俺のことはジールと呼んでくれないか?」

 優しい手のひらが背中に回される。
 だから僕も同じように広い背中に腕を回してうなずいた。
 勿論、貴方の家だから小さな家が好きなんですよと答えながら。








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