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番外編
87 誠心誠意の言葉②
しおりを挟むフヒィルと共にアクセミア公爵邸を訪れた。
リュハナが言っていた通り、公爵家は全員時間を作って今日一日もてなすつもりのようだった。
ヨフミィや公爵夫人はともかく、アクセミア公爵やラニラルまでいるとは思っていなかった。
ヘミィネとソヴィーシャ、ルヌジュとリュハナもいて、本当に公爵家全員がいた。
「珍しいな。」
正面玄関で待っていたラニラルに声を掛けると、作り笑いを返してくる。相変わらず私に対する敵対心が消えない。私もフンと息を吐いて公爵邸に入った。
私の後ろでは「もう少し仲良く!」とヨフミィ達が騒いでいる。
公爵夫妻から昼食を用意していると言われて招かれる。食堂ではなく庭園に案内された。ここでようやく今日が快晴なのだと気づいた。
「おー、美味しそう~。」
一緒に来たフヒィルが私の隣で歓声を上げた。喜んでいるようで良かった。
昼食は進み、和やかに時間は進んでいく。
フヒィルはヨフミィや双子の弟達と楽しげに話していた。
ヨフミィがいなくなってから暗く沈んでいた公爵家は、今やすっかり明るくなっていた。
風が吹いて陽の匂いと美味しそうな食事の匂いに、こんな世界もあるのかと思う。
葉が擦れる音、花の香り、穏やかな笑い声。
たまにこうやって息抜きに来てもいいのかもしれない。
トントンと隣のラニラルがテーブルを叩いた。
「……どうした?」
ラニラルを見ると、いつもは不機嫌そうな目が真っ直ぐに私を見ていた。
「そう羨ましそうな顔をするくらいなら自分で手に入れるべきでしょう。」
喧嘩を売っているのか?
手に入れようとしてヨフミィはお前を選んでしまったじゃないか。
ギロリと睨むと、ラニラルはスッとフヒィルを見た。
「自信がないようならお手伝いしてもよろしいですよ。」
「………っ!…………お前が?」
「なんですか。その不審そうな顔は。安心して下さい。私ではなくソヴィーシャが手伝いますから。」
黙って席について食べていたソヴィーシャが「え!?」という顔をした。その隣のリュハナは「僕じゃないの?」と自分を指差している。
「ソヴィーシャか…。具体的に何を手伝うつもりなんだ?」
「わかりませんが。」
つまりお前はソヴィーシャに丸投げするつもりなんだな?
「まてまて、相変わらず意味不明だな。」
ソヴィーシャは水を飲みながら呆れていた。
ラニラルを頼るよりソヴィーシャの方がマシかもしれない。
私達の話を聞いていた公爵夫人が、笑いながら一旦解散しようと言ってきた。
「みんな、お腹は膨れたかな?夜には晩餐も用意しているから、それまではそれぞれ集まってゆっくり過ごすといいよ。」
つまりヨフミィやフヒィル達はそのまま遊び、私達は別れて話の続きをしたらいいという指示のようだ。
公爵夫人はヨフミィに声をかけた。
「ボロ屋敷に行かない?」
その誘いにヨフミィは飛びついた。
「わぁ、行きます~!」
公爵夫人は使用人達に先に行かせて寛げるよう指示を出し、ヨフミィ達を連れて行ってくれた。
アクセミア公爵はまだ仕事があるからと、執務室に戻って行った。
「バハルジィ伯爵はどうしたんだ?」
ラニラルの両親を今日は見ていない。
「我々全員集まるとなると誰かが動かなければなりません。お気になさらず。リュハナ達の両親もいつもいらっしゃいませんから。」
「王太子殿下の両親だって僕達は滅多に見ないんだから、それと一緒だよ。」
リュハナも口を揃えてそう言った。
私達は四人、そのまま食事を摂ったテーブルで話し込む。
「親はいない方がいいんじゃないか?面倒だ。それより殿下はついに婚約者を迎えるつもりなんだよな?」
婚約者……。
ソヴィーシャから尋ねられてうなずいた。
「ええー。もう決めちゃおうよ。当たって砕けても何度でも!」
「砕けたくはない。」
何故、砕ける前提なんだ。リュハナは可能性が薄いとでも考えているのか?
「フヒィルはいいと思うぞ。人として信頼出来るし王太子殿下を守ることも出来る。」
「私が守りたいんだが?」
ソヴィーシャは自分の副隊長なのにいいのか?
「贈り物をするのはどうでしょう?」
「城下に遊びに行く?お忍びデート!」
「人がいないところの方が守りやすい。」
三人でそれぞれ提案しだした。
うなずき参考にしながらもコレという案が浮かばない。
「違う、違う。ここはドンっといくんだよ!」
「……ちょ、隠れて聞くんじゃなかったの?」
ギョッと椅子の下を見下ろすと、ヨフミィとヘミィネがテーブルの下に潜んでいた。テーブルクロスをめくって私達を下から見ている。
反対側に座るソヴィーシャとリュハナが立って回り込んできた。
「ヘミィネ様?いつの間に…。いや、行くふりをして残ったんだな?」
ソヴィーシャは座っているヘミィネに手を貸して立ち上がらせた。
ヨフミィの方はラニラルが脇を持ってヒョイと抱えている。
ラニラルの様子を見ると、ヨフミィ達が潜んでいたことに気づいていたらしい。
「ドンとは?まさか押し倒せと?」
「ん~、そうじゃなくてぇ。もっと自信持って口説きにいくの!」
疑問を口にするとヨフミィは否定して自信を持てと言った。大丈夫だからと。
「……フヒィルは何か言っていたのか?」
「ん?………んー…。」
ヨフミィとヘミィネは目を見交わし合って、ふふっと笑い合った。オメガ同士で何か私のことを話したのだろうか。
「僕も大丈夫だと思うよ。殿下が精一杯フヒィルのことを考えてやったことなら、なんでも喜んでくれると思う。」
精一杯考える……。
「わかった。参考にする。」
考えてみると言うと、ヨフミィとヘミィネはにこにこと笑っていた。
この中で一番ヘミィネの言葉が助言になったかもしれない。
公爵邸を訪れた日から、暫く私は考えていた。
まずは好意を伝えよう。そばにいて欲しいと伝えなければならないだろうと思った。
みんなが言っていたように、贈り物とデートの誘いをしてみよう。
私が動くと護衛が大変になるので城下は却下し、私の別荘に招くことにした。
私のバース性がアルファだと判定された時、父上から贈られた別荘だった。
郊外にある広い平原を持つ別荘だ。
馬を飼っているので、フヒィルにそこに行かないかと誘った。夜明け前から遠駆けをして、見晴らしのいい丘に誘おう。
遠駆けと言ってもすぐに着く場所だ。
フヒィルを誘うと驚いていたが、すぐにうなずいてくれた。公爵邸に誘った時とは違い、返事は早く嬉しそうだった。
護衛の関係上馬車移動になった。朝日を見たかったので、前日から向かう。
今まで関係を持ったオメガ達なら、ここでムードを求めてくるのだろうが、フヒィルなら親しい友人のような食事がいいだろうと思い、明るいテーブルに食べ応えのある食事を用意した。
部屋は隣にしたが別々にし、夜明け前から出発するので早めに寝た。
朝起きて玄関に向かうと、すでにフヒィルは乗馬服で待っていた。
服は私の方で用意していた。私から贈る服なので、かなりデザインも凝らせた。
「あ、殿下っ、おは、よう……。」
私に気付いたフヒィルがパッと笑顔で挨拶をしようとして言葉が止まった。
「おはよう。どうしたんだ?」
「え……。いやぁ。えっと、おはようございます!」
うなずき返しながらフヒィルの姿を確認する。うん、よく似合っている。フヒィルの鍛えた身体の線が綺麗に出ていて美しい。
外に出て用意させていた馬に乗り、私の案内で馬を走らせた。
この辺り一帯は私の私有地で、あちこちに監視も置いてあるので護衛は不要だ。見えない位置に待機させておけば問題ない。
今日は大事な日なので、近くにいてほしくない。
目的地の丘に着くと、空は薄っすらと明るくなっていた。
「フヒィル、あそこから太陽が出るんだ。」
馬から降りてフヒィルにも降りるよう促した。二頭の馬はよく訓練をされているから逃げることはない。大人しく草を食んでいる。
指差す方には遠くに山並みが見える。その向こうから赤からオレンジの光が顔を覗かせた。白い筋が光となって眩しく平原を照らし始める。
好きな景色の中の一つだ。
嫌なことも、苦しいことも、この光を浴びると洗い流されるようで好きだった。
ここから始めるのだと希望を持てる。
「感動しますね!」
フヒィルは満面の笑顔だった。金茶色の髪も瞳も光を浴びて綺麗だ。
「この景色が好きなんだ。」
「わかりますっ!清々しいって言うか、新しくなった気分です。」
にぱっと笑うフヒィルを見て、私も笑顔になる。
フヒィルの笑顔は眩しい太陽のようだ。
コレを見せたかった。そして私が思っていることを言おうと決めていた。
「フヒィルに何が似合うのだろうと考えた時、この景色を思い浮かべた。」
「え、そうなんですか?」
そうかなぁとフヒィルは照れくさそうにした。
「明るくて眩しくて、隣にいるときっと私を照らしてくれるだろうと思ったんだ。」
「ちょ、それは過大評価しすぎですよ!」
「そんなことはない。」
フヒィルの手を取った。手を繋いで一つ小さな箱を手のひらに乗せる。
素晴らしい景色とプレゼント。
そして私の誠意を伝えたい。
「私と付き合ってくれないだろうか。突然婚約だとか番になってほしいと言えばフヒィルは困るだろうから、まずは恋人同士から始めないか?フヒィルは騎士だし、嫌だと思えば言ってくれれば諦める。」
フヒィルは他のオメガ達と違って愛を囁かない。触れ合いを求めない。だから私に好意があるのかわからない。
ヨフミィが言う、ドンといけというのはこういうことではないだろうかと、私なりに考えて実践しようと思った。
私から誰かを求めるのは、ヨフミィ以外にはフヒィルで二人目だ。ヨフミィに対しては強引に進めすぎた気がする。ほとんど相手にはされてなかったが、フヒィルにはもっと慎重に向き合いたい。
だから誠心誠意言葉を紡ごう。
「執務室ではなく王太子宮にも来てほしい。回数も、もっとあってもいいと思っている。たまにこうやって二人で出かけたい。もう少しどんな所がいいのか調べておくから。」
自分で言っていて体温が上がる。決して朝日のせいではないだろう。
フヒィルは金茶色の瞳をキラキラさせて私を見ていた。表情からみて嫌がられてはいなさそうだが返事がない。
「フヒィル?」
フヒィルが少し跳ねた。
「あっ、はっ、はいっ!光栄です!」
「光栄と言うことは私の申し出を受けてくれるのか?」
フヒィルはうなずいた。
「はい。俺でよければ…。ですが百戦錬磨の殿下と違って、俺は何もわからないというか…。足手纏いかもしれません。いいんでしょうか。」
「勿論、いいに決まっている。」
むしろ経験豊富よりそちらがいい。
フヒィルは照れくさそうにして、はにかんだ。そして思い出したように手のひらに乗った小箱を見た。
「あ、これは開けてもいいんでしょうか?」
「開けてみてくれ。」
フヒィルは小箱を開けた。中には指輪が入っている。フヒィルなら剣や防具を贈ったほうが喜びそうだと思ったが、初めてのプレゼントはアクセサリーを贈りたかった。
フヒィルがアクセサリー類を何もつけていないことは知っている。案の定、戸惑っていた。
指輪を取り出しフヒィルの左手薬指にはめてやった。
さすがのフヒィルも意味は理解していたらしい。顔を赤くしている。
「ありがとうございます……。」
恥ずかしそうにお礼を言うフヒィルの左手を持ち上げて、はめた指輪の上に口付けを落とした。
「どういたしまして。」
笑って応えると慌てている。
「うわっ、ちょっ、急にそういうことはなしですよっ!」
わーっ、と慌てふためくフヒィルを見て安心した。
「よかった。無反応だとどうしようかと思った。」
「え?殿下からこんなことされて無反応な奴っていますか?」
「…………。」
フヒィルは納得顔で「ああ~……。」とうなずいた。
「俺は嬉しいです。」
素直なフヒィルの言葉に、私は笑顔になる。
「………思った通り、フヒィルは私の輝く希望だ。」
フヒィルは始終、わぁーっっ!と騒いでいた。
俺は殿下から告白されてしまった!
殿下の私有地にある別荘に泊まって、夜明け前から遠駆けして、綺麗な朝日を見て指輪をもらった。
用意されていた乗馬服なんて、少しだけデザイン違いのお揃いだった!
信じられない!
まさか俺に!?
「あっ、来たぁ~!」
「ご苦労さん。どうだった?」
騎士団本部に出勤すると、ヨフミィ様達が待っていた。ソヴィーシャ隊長とその婚約者ヘミィネ様までいる。
レジュノ王太子殿下と休日に出かけるのだと言っていたので、どうなったのか聞くつもりなのだろう。
「あ、指輪もらったの?」
目敏くヘミィネ様が薬指の指輪に気づいた。指輪は仕事の邪魔にならないよう、飾りの少ないシンプルな指輪だった。
「あー、うん。もらった。」
指輪を擦りながら照れてしまう。
三人は上手くいって良かったと喜んでくれた。実は何かとみんな相談に乗ってくれていた。
ちょっとしたきっかけからレジュノ王太子殿下のことが気になりだし、かといって相手は王族。王太子殿下。俺はオメガではあるけど剣の腕前ばかり鍛えてきたような人間で、普通のオメガのように社交や屋敷の管理なんてしたことがない。
望みの薄さを感じて、せめて近くにいて守ることだけを考えようと思っていた。
そんな俺の変化を何故気づかれたのかわからないが、ヨフミィ様達は励ましてくれていた。
それでも気持ちが落ち着かず、悩むなんて自分らしくないと感じて、告白して気持ちをスッキリさせると宣言すると、それは時期尚早だと公爵夫人に止められた。この前公爵邸に遊びに行った日のことだ。
もう少し待て。
その指示はまるで軍神のようで、コックリとうなずいてしまった。
待っていると殿下から別荘に誘われて、告白された。公爵夫人はこうなるとわかってたのだろうか。
「あ、そういえばさ…。ヨフミィ様って殿下に告白されたことがあるのか?」
「告白?……ないけどキスはある。」
ヨフミィ様はサラッとこたえた。
キスされたのか?全員で顔が引き攣る。
「あ、あるの?」
代表してヘミィネ様が聞き返した。
「うーん。……あるけど子犬が戯れてきたようなものだよ。」
あっけらかんとヨフミィ様は言った。
「子犬っ!」
あの王太子殿下を子犬……!
「哀れ。」
ソヴィーシャ隊長が悲しそうな顔をした。
「子犬は可哀想だよ。幼馴染なんでしょ?弟くらいにしとけば?」
「ああっ、そっか!でも王太子の方が歳上だよ~。」
ヘミィネ様とヨフミィ様の会話に、少し殿下に同情した。
ヨフミィ様は本当に殿下のことをなんとも思っていないんだなと改めて実感する。
殿下はまだヨフミィ様のことを好きなんじゃないかと気になっていたのだが、殿下は俺に告白してくれた。俺のことを輝く希望だって!
思い出すとかぁぁと顔が赤くなる。
そんな俺の様子にソヴィーシャ隊長はおかしそうに笑った。
「王太子殿下のことだからクサいセリフでも吐いたんだろう?」
「いや、クサくは…。」
クサいのかな?
揶揄ってきたソヴィーシャ隊長だが、幼馴染なだけあって王太子殿下のことを心配しているようだ。
指輪を擦って殿下の笑顔を思い出す。
殿下は俺の笑顔を眩しいと言ったけど、俺にだけ見せる殿下の笑顔は無邪気で綺麗でカッコいい。俺が笑うとお返しのようにあの笑顔が返ってくるんだから、別にクサくてもいいんだ。
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