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「家族勢揃いね。感動で涙が出そうだわ」
ツッティの質問に応えてくれたのは、山小屋に入って来たウラーラだった。昔と変わらない美しいウラーラにすぐに気づいたツッティが顔を歪めた。
「ウラーラ・・・お前がなぜここに?」
「あら、冷たい言い方ね。せっかく家族で仲良く過ごせるように準備をしてあげたのに」
「早く私を開放しなさいよ!」
「相変わらず自分のことしか頭にない女ね。ここは貴方達の牢屋よ。見張りも手錠もないけどね」
「この森が牢屋ですって?笑わせないで」
「笑っていられるのも今のうちよ。これからは自分のことは全て自分でするの。真面目に働かないと餓死するわよ」
「ふん。こんな場所からさっさと逃げてウェスト国王に帰ってやるわ」
「ウェスト国王に戻れば元国王とザーブルは死刑ね。脱走したのだから」
「そんなこと私には関係ないでしょ」
ツッティがウラーラを睨みつけた。関係ないと言い放ったツッティを驚いた顔で見つめる元国王も気に留めず強気な態度は崩すことはない。
「いくら忌み嫌われても子供を自分達の手で育てていればこんなことにならなかったのよ~」
次に山小屋に入って来たのはアミスティだった。
「あっ!アミスティ様、来るのが遅いですよ。僕が連れて来たのですよ」
「いい子ね、ドッグは」
騎士はしっぽを振っている子犬のようにアミスティに頭をなでられると目を細めた。
「私も褒めてください」
馬車を操縦していたハニーが不貞腐れたようにアミスティに近づくと、アミスティは「ハニーもいい子だったわね」と頭をなでる。
「そういえば、貴方が睨みつけているウラーラはドルトムント一族なの。よくも仲間を薬で洗脳したわね」
「はあ?ウラーラがドルトムント一族ですって?」
国王は思い出したように顔色を悪くしたが、ツッティはドルトムント一族の名前を聞いて初めて態度を軟化させたのだ。半信半疑でウラーラを見つめているが、ツッティも流石にドルトムント一族の噂は知っているようだった。
「侍女として王宮に上がってすぐにベルに薬を盛られたウラーラも未熟だったけど、当時はそんな薬があると思わず此方としてもウラーラの裏切りなのか判断に迷ったわ。でも、ウラーラは正気に戻り全てを知った訳・・・」
「ドルトムント・・・まさかあの悪名高いドルトムント一族の女だったと?」
「そうよ。もちろん私もね」
「ひぃ・・・ドルトムントを見たものは殺される・・・」
「よく知っているわね。殺すことは簡単だけどお母様が貴方達を生かすことを選んだの。喜びなさい。でも、この森は危険な猛獣が多いの。ウラーラが言った通り天然の牢獄と言っても間違いないわ。逃げるなら覚悟をした方がいいわよ。それより大人しく1年間ここで生活してみることね」
ふたりが山小屋に入る前には、ビーストとザーブルも到着をして話を聞いていた。
「母上が何をしでかしたかは知らないが、私には関係ない話だ。私の父はエスト王国のヘキシオ弟陛下だ。ドルトムント一族なんぞ目ではない、父上に言って一族諸共痛い目に遭わせてやる」
ビーストは真っ赤になって怒り出したがその顔は元国王にそっくりだった。ザーブルは何かを感じているのか無言のまま元国王とビーストを観察している。
「貴方にも罪はあるわ。父親の権威を振りかざして侍女達に暴力を振るっていたわよね。処女を奪われて婚約を破棄された令嬢もいたわね。その女性達から貴方に罰を与えるよう嘆願書が届いていたの」
「・・・・・・・」
元国王も初めて見るビーストに自分の面影を感じたのだろう。ツッティが嫁ぎ先で子供を出産したと報告を受け、これでツッティも安泰だと安堵していたが、まさか自分の子供を産んで何食わぬ顔で弟妃の地位に付いていたとは。アミスティが言う通り、地位を捨て家族四人で生活していればここまで大事にはならなかっただろう。
国王という名誉も地位も手放すことができなかった元国王はやっと事の重大さに気づいたのだ。人を欺き他人の人生を翻弄した罪を。その歪な関係は子供達にも悪影響を及ぼし今の状況に至った。元国王は真っ青な顔でビーストを見つめていた。
「では、我々はどうやって生きていけばいいのです?」
何も言われなくとも自分の罪に気づいているのだろう。ベルだけはまだ冷静さを残していた。
「自給自足よ。そこに必要な道具が見えるでしょ。家族揃って協力すれば健康的な生活を送れるわ」
今まで何も話さず、静かに話を聞いていたザーブルが初めて口を開いた。
「母上。私が全て間違っていました。父上に本当の母親が私が国王になることを望んでいると聞かされ、周りを蹴落としてでも国王になることを夢見た。ただ利用されていただけなのに・・・。それを見抜けなかった私は最初から王の資質がなかった。これから1年間己の罪に向き合い、がむしゃらに生きてみます」
ザーブルはツッティではなくウラーラを母上と呼んだのだ。
「ザーブル・・・なにがあっても生きるのです」
「そうよ~。ウラーラがいなければとっくの昔に貴方達死んでいたわ。ちゃんと反省しなさいね~」
ウラーラ達が山小屋から出るとしばらくの間両親を責めるビーストの声が止むことはなかった。しかし、ザーブルはツッティを責めることなく桶を持って外に出てきた。そして井戸を見つけると初めて自分の手で水を汲む。
ザーブルは自分の足で生きることを始めたのだ。
姿を隠し観察していたウラーラはザーブルの姿を焼き付けるように見つめていた。
「大丈夫よ。落ち着けば非常食にも気づくでしょうし、小屋には自給自足の手引書もあるわ。1年もすれば立派な男になるわよ」
「そうねアンヌ様もショック療法にはなるけど試す価値はあると言っていたものね」
「それよりザーブルが1年間生き延びれたら養子にするって本気なの?あの甘ちゃんがどこまで矯正できるか分からないわよ」
「そう決めたのよ。夫も許してくれているわ」
「ふっふっふ。ウラーラはバッカム卿に愛されているのね~」
***
厳しい冬が過ぎ1年が経つ頃には立派に狩りをするザーブルがいた。体は鍛えられ以前より顔色もよく健康そうだ。ザーブルは憑き物が落ちたように清々しい青年に成長していたのだ。
狩りから戻ったザーブルが山小屋に入るとキッチンに座るウラーラがいた。ザーブルがウラーラに気づくと嬉しそうにお湯を沸かすとカップをウラーラに手渡す。
「もう1年が経たのですね。必死だったので案外早かったです」
「この1年よく頑張ったわね。それに元気そうで良かったわ」
「母上もお元気そうで何よりです」
「貴方が淹れたお茶。とても美味しいわ・・・」
「以前には自分でお茶を淹れるなど考えられませんでしたが、今では洗濯も料理もできるようになりました」
「貴方の兄弟も驚くわね。さあ、一緒に帰りましょう」
「そのことですが、母上には更生の機会を与えていただき心から感謝しています。しかし、私が国に戻るとアティーブルやベガルの足手まといになる。私のことはこの地に捨て置いていただけませんか」
「心配しないで、みんなが貴方を待っているわ」
「アティーブルとベガルが?」
「ええ、ふたりとも会えるのを楽しみにしているのよ」
「・・・・・っく・・・すいません。男の癖に涙が止まらなくって」
ウェスト王国に戻ると兄弟に温かく迎えられ、無事にバッカム侯爵の養子となった。そしてザーブルは兄弟を助けウェスト王国の繁栄を陰ながら支えたのだ。
***
「それで、あの我儘な弟妃のツッティ達はどうなったの?」
アンヌはキースからの報告に耳を傾ける。
「最初に耐えられなくなったのは元国王です。2週間で音を上げましたよ。そしてビースト。ツッティ達はしぶとく生きていましたが、結局3カ月も経たずして生活に耐えられず山小屋を飛び出したようです」
「生きるだけの食料や服も用意していたのに活かせなかったようね」
「ええ、元国王は崖から転落。ビーストは行方不明。ツッティとベルはお互いに罪を擦り合いベルがツッティを絞殺。後悔したベルも川に身を投げました」
「辛い結果だったけどザーブルだけは生き残ったようね。これでウェスト国王とエスト王国の憂いも払拭できたわね。後はミリュー王国を残すばかり・・・キースこれで満足なの?」
「はい。ミリュー王国は暴動が抑えきれなくなっている。王族は後がありませんから必ず何か手を打ってくるはずです。憂いは全て払拭します」
「はあ~。リリアンが好きなくせに妻子がいるなどと嘘をついて・・・我が子なのに生きるのが下手すぎる」
「それは言わない約束ですよ。リリアンはせっかく日の当たる場所に出たのです。私と結婚すればまた陰に戻ることになる。リリアンには幸せになって欲しいのです」
「はい、はい。憂いね・・・もう一層暴動を誘発した方が早いのじゃなくって?」
「駄目ですよ。オッド卿にただの殺人集団に成り下がってはいけないと怒られたでしょう」
「本当に堅物なのだから・・・誰に似たのかしら」
ツッティの質問に応えてくれたのは、山小屋に入って来たウラーラだった。昔と変わらない美しいウラーラにすぐに気づいたツッティが顔を歪めた。
「ウラーラ・・・お前がなぜここに?」
「あら、冷たい言い方ね。せっかく家族で仲良く過ごせるように準備をしてあげたのに」
「早く私を開放しなさいよ!」
「相変わらず自分のことしか頭にない女ね。ここは貴方達の牢屋よ。見張りも手錠もないけどね」
「この森が牢屋ですって?笑わせないで」
「笑っていられるのも今のうちよ。これからは自分のことは全て自分でするの。真面目に働かないと餓死するわよ」
「ふん。こんな場所からさっさと逃げてウェスト国王に帰ってやるわ」
「ウェスト国王に戻れば元国王とザーブルは死刑ね。脱走したのだから」
「そんなこと私には関係ないでしょ」
ツッティがウラーラを睨みつけた。関係ないと言い放ったツッティを驚いた顔で見つめる元国王も気に留めず強気な態度は崩すことはない。
「いくら忌み嫌われても子供を自分達の手で育てていればこんなことにならなかったのよ~」
次に山小屋に入って来たのはアミスティだった。
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「いい子ね、ドッグは」
騎士はしっぽを振っている子犬のようにアミスティに頭をなでられると目を細めた。
「私も褒めてください」
馬車を操縦していたハニーが不貞腐れたようにアミスティに近づくと、アミスティは「ハニーもいい子だったわね」と頭をなでる。
「そういえば、貴方が睨みつけているウラーラはドルトムント一族なの。よくも仲間を薬で洗脳したわね」
「はあ?ウラーラがドルトムント一族ですって?」
国王は思い出したように顔色を悪くしたが、ツッティはドルトムント一族の名前を聞いて初めて態度を軟化させたのだ。半信半疑でウラーラを見つめているが、ツッティも流石にドルトムント一族の噂は知っているようだった。
「侍女として王宮に上がってすぐにベルに薬を盛られたウラーラも未熟だったけど、当時はそんな薬があると思わず此方としてもウラーラの裏切りなのか判断に迷ったわ。でも、ウラーラは正気に戻り全てを知った訳・・・」
「ドルトムント・・・まさかあの悪名高いドルトムント一族の女だったと?」
「そうよ。もちろん私もね」
「ひぃ・・・ドルトムントを見たものは殺される・・・」
「よく知っているわね。殺すことは簡単だけどお母様が貴方達を生かすことを選んだの。喜びなさい。でも、この森は危険な猛獣が多いの。ウラーラが言った通り天然の牢獄と言っても間違いないわ。逃げるなら覚悟をした方がいいわよ。それより大人しく1年間ここで生活してみることね」
ふたりが山小屋に入る前には、ビーストとザーブルも到着をして話を聞いていた。
「母上が何をしでかしたかは知らないが、私には関係ない話だ。私の父はエスト王国のヘキシオ弟陛下だ。ドルトムント一族なんぞ目ではない、父上に言って一族諸共痛い目に遭わせてやる」
ビーストは真っ赤になって怒り出したがその顔は元国王にそっくりだった。ザーブルは何かを感じているのか無言のまま元国王とビーストを観察している。
「貴方にも罪はあるわ。父親の権威を振りかざして侍女達に暴力を振るっていたわよね。処女を奪われて婚約を破棄された令嬢もいたわね。その女性達から貴方に罰を与えるよう嘆願書が届いていたの」
「・・・・・・・」
元国王も初めて見るビーストに自分の面影を感じたのだろう。ツッティが嫁ぎ先で子供を出産したと報告を受け、これでツッティも安泰だと安堵していたが、まさか自分の子供を産んで何食わぬ顔で弟妃の地位に付いていたとは。アミスティが言う通り、地位を捨て家族四人で生活していればここまで大事にはならなかっただろう。
国王という名誉も地位も手放すことができなかった元国王はやっと事の重大さに気づいたのだ。人を欺き他人の人生を翻弄した罪を。その歪な関係は子供達にも悪影響を及ぼし今の状況に至った。元国王は真っ青な顔でビーストを見つめていた。
「では、我々はどうやって生きていけばいいのです?」
何も言われなくとも自分の罪に気づいているのだろう。ベルだけはまだ冷静さを残していた。
「自給自足よ。そこに必要な道具が見えるでしょ。家族揃って協力すれば健康的な生活を送れるわ」
今まで何も話さず、静かに話を聞いていたザーブルが初めて口を開いた。
「母上。私が全て間違っていました。父上に本当の母親が私が国王になることを望んでいると聞かされ、周りを蹴落としてでも国王になることを夢見た。ただ利用されていただけなのに・・・。それを見抜けなかった私は最初から王の資質がなかった。これから1年間己の罪に向き合い、がむしゃらに生きてみます」
ザーブルはツッティではなくウラーラを母上と呼んだのだ。
「ザーブル・・・なにがあっても生きるのです」
「そうよ~。ウラーラがいなければとっくの昔に貴方達死んでいたわ。ちゃんと反省しなさいね~」
ウラーラ達が山小屋から出るとしばらくの間両親を責めるビーストの声が止むことはなかった。しかし、ザーブルはツッティを責めることなく桶を持って外に出てきた。そして井戸を見つけると初めて自分の手で水を汲む。
ザーブルは自分の足で生きることを始めたのだ。
姿を隠し観察していたウラーラはザーブルの姿を焼き付けるように見つめていた。
「大丈夫よ。落ち着けば非常食にも気づくでしょうし、小屋には自給自足の手引書もあるわ。1年もすれば立派な男になるわよ」
「そうねアンヌ様もショック療法にはなるけど試す価値はあると言っていたものね」
「それよりザーブルが1年間生き延びれたら養子にするって本気なの?あの甘ちゃんがどこまで矯正できるか分からないわよ」
「そう決めたのよ。夫も許してくれているわ」
「ふっふっふ。ウラーラはバッカム卿に愛されているのね~」
***
厳しい冬が過ぎ1年が経つ頃には立派に狩りをするザーブルがいた。体は鍛えられ以前より顔色もよく健康そうだ。ザーブルは憑き物が落ちたように清々しい青年に成長していたのだ。
狩りから戻ったザーブルが山小屋に入るとキッチンに座るウラーラがいた。ザーブルがウラーラに気づくと嬉しそうにお湯を沸かすとカップをウラーラに手渡す。
「もう1年が経たのですね。必死だったので案外早かったです」
「この1年よく頑張ったわね。それに元気そうで良かったわ」
「母上もお元気そうで何よりです」
「貴方が淹れたお茶。とても美味しいわ・・・」
「以前には自分でお茶を淹れるなど考えられませんでしたが、今では洗濯も料理もできるようになりました」
「貴方の兄弟も驚くわね。さあ、一緒に帰りましょう」
「そのことですが、母上には更生の機会を与えていただき心から感謝しています。しかし、私が国に戻るとアティーブルやベガルの足手まといになる。私のことはこの地に捨て置いていただけませんか」
「心配しないで、みんなが貴方を待っているわ」
「アティーブルとベガルが?」
「ええ、ふたりとも会えるのを楽しみにしているのよ」
「・・・・・っく・・・すいません。男の癖に涙が止まらなくって」
ウェスト王国に戻ると兄弟に温かく迎えられ、無事にバッカム侯爵の養子となった。そしてザーブルは兄弟を助けウェスト王国の繁栄を陰ながら支えたのだ。
***
「それで、あの我儘な弟妃のツッティ達はどうなったの?」
アンヌはキースからの報告に耳を傾ける。
「最初に耐えられなくなったのは元国王です。2週間で音を上げましたよ。そしてビースト。ツッティ達はしぶとく生きていましたが、結局3カ月も経たずして生活に耐えられず山小屋を飛び出したようです」
「生きるだけの食料や服も用意していたのに活かせなかったようね」
「ええ、元国王は崖から転落。ビーストは行方不明。ツッティとベルはお互いに罪を擦り合いベルがツッティを絞殺。後悔したベルも川に身を投げました」
「辛い結果だったけどザーブルだけは生き残ったようね。これでウェスト国王とエスト王国の憂いも払拭できたわね。後はミリュー王国を残すばかり・・・キースこれで満足なの?」
「はい。ミリュー王国は暴動が抑えきれなくなっている。王族は後がありませんから必ず何か手を打ってくるはずです。憂いは全て払拭します」
「はあ~。リリアンが好きなくせに妻子がいるなどと嘘をついて・・・我が子なのに生きるのが下手すぎる」
「それは言わない約束ですよ。リリアンはせっかく日の当たる場所に出たのです。私と結婚すればまた陰に戻ることになる。リリアンには幸せになって欲しいのです」
「はい、はい。憂いね・・・もう一層暴動を誘発した方が早いのじゃなくって?」
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