349 / 611
【第十二章】大地母神ガイア編
12-34【ミケランジェロとの激戦】
しおりを挟む
サイクロプスのミケランジェロは、よろめきながら立っていた。
血が吹き出した片足を引きずっている。
右足のアキレス腱を俺の一太刀で切られたからだ。
本来ならば立ち上がるのもやっとのはずだろう。
なのにまだ戦う意思がある。
現代格闘技の試合ならば、アキレス健が切れれば戦闘不能である。
片足のバネ無くして運動は出来ない。
それは、巨人だろうと神族であろうと人型である以上は例外ではないだろう。
片足をダラリと下げながらミケランジェロが戦意を告げて来た。
「さあ、続きを始めようじゃあないか、アスラン!!」
俺は黄金剣を肩に担ぎながら面倒臭そうに言い返す。
「やれんのぉ~、ミケランジェロさんよ~。だって片足だよ。機動力がゼロだよ。本当にやれるのぉ~?」
「試して見ろ。まだ私は戦えるぞ!!」
ミケランジェロは両手で持ったスレッジハンマーを頭の高さに振り上げた。
真っ直ぐな姿勢だ。
上段の構え。
左足だけで巨漢を支えて、背筋を伸ばして、両手でスレッジハンマーを振り翳している。
痛々しい姿だな。
それなのに諦めていない。
しかし、俺との距離は遠い。
俺が間合いに踏み込んだらスレッジハンマーを振り下ろすつもりだろう。
もーさー、見え見えだわ。
「はぁ~~……」
俺は肩の力を落としながら溜め息を吐いた。
「やれるって意思は分かるよ。うん、分かるよ……」
「何が言いたい!?」
「でも、待ってるでしょう?」
「待つ……」
「そう、俺があんたの間合いに入るのを待ってるでしょう。俺が間合いに入ったらハンマーを振り下ろすんでしょう。戦う意思はあるけれど、攻める意思はない。むしろ攻められないだろぉ~?」
「ぬぐぐぐぅ……」
ミケランジェロが悔しそうに奥歯を噛み締めている。
図星だね。
俺は嫌らしい笑みを浮かべながらジリジリと後ずさる。
「貴様、逃げるか……」
「今逃げたら追って来ないよね~」
「お、おのれ……」
「でも、逃げないから安心しな」
「なにっ!?」
十分な距離を作ってから俺は武器をチェンジする。
黄金剣を異次元宝物庫に仕舞うと、代わりに魔法のスタッフを取り出した。
【エクスフロージョンスタッフ+2】
爆発系魔法の範囲が向上する。爆発系魔法の破壊力が向上する。
「ス、スタッフだと……。貴様、魔法も使えるのか!?」
「こう見えても俺は魔法戦士でね~」
「それは、困った話だな……」
「食らえ、ファイアーボール!!」
俺の掌から魔法の火球が放たれる。
火球はミケランジェロの上半身に命中すると爆発した。
チュドーーーンと爆音が轟く。
更に俺は爆炎が上がる中に次々と火球を撃ち込んだ。
「ファイアーボール! ファイアーボール! ファイアーボール! ファイアーボール!!」
初弾から含めて計八発の火球が撃ち込まれる。
ラッシュだ。
爆音が轟くにつれて爆炎が大きく膨らんで行く。
魔法を放った俺のところまで爆熱が届いて衣類を靡かせた。
「どうだい、ざま~みろってんだ!!」
徐々に爆炎が収まると、爆煙の中から巨大な人影が姿を現す。
「あら、無事……?」
「うん、無事」
ミケランジェロは直立しながら立ち尽くしていた。
火傷の一つも無い。
その巨漢の前には大きな魔方陣が輝いている。
あの魔方陣で俺のファイアーボールを防ぎやがったな。
「魔法の盾ですか……」
「そう、魔法の盾だ」
「ずっけぇ~……」
「私も防御魔法なら得意でね!」
「そう言うのは先に言ってよ……」
「最初に投擲されたマジックアイテムは意外で防御魔法が間に合わなかったが、次のは別だ!」
「じゃあ、魔法攻撃は効かないの?」
「ほぼ無効だな!!」
「ずっけぇ~……」
「ズルくない!!」
「じぁあさ~」
俺は更に武器をチェンジする。
異次元宝物庫に魔法のスタッフを仕舞うと代わりの武器を取り出した。
「ジャジャ~ン! 次の武器はラージクロスボウ+2でぇ~す!!」
「うわ、ズル~……。そのクロスボウは弾丸が曲がるのかよ……」
「おいおい、早々にアイテム鑑定するなよな……。矢が曲がるのを見て、ビックリするところが見たかったのにさ! もー、台無し!!」
「すまんな、反省している、っぞ!!」
突然だった。
ミケランジェロが手に有るスレッジハンマーを投擲して来た。
「ちょっと!?」
縦に回転しながら飛んで来たスレッジハンマーを俺は半身を返して寸前で躱す。
狙いを外して見送ったスレッジハンマーが俺の後方の地面に突き刺さった。
「危なかった!!」
まさかあちらさんが武器を投げ放って来るとは思わなかったぜ。
そして、俺が振り返り前を向き直すと、そこには巨大な拳が迫っていた。
「えっ!?」
「ぬぅらぁぁあああ!!!」
いつの間にか接近していたミケランジェロが、アンダースローアッパーを打ち込んで来るところだった
「わぉ、躱せない……」
俺はモロに巨拳を食らった。
視界に激しいノイズが走る。
そして、上半身で受けたアッパーに掬われて宙に舞う。
「ぐふぅ!!」
「ぜぇぁあああ!!」
白い世界の中にアッパーカットを振り切ったミケランジェロの姿が見えた。
なに、あいつ?
股を広げて両足で踏ん張ってるじゃあねえか?
アキレス腱はどうした?
切れたんちゃうんか?
なんで両足で踏ん張ってるんね?
俺は5メートルほどの高さから落下して、背中から地面に落ちた。
「受け身っ!!」
俺は地面に激突する寸前に柔道の受け身で衝撃を逃がした。
だが、直ぐには立てない。
拳を食らったダメージが残っている。
胸が詰まる。
頭がクラクラする。
首が痛いわ~……。
あっ、鼻血が出てるやん。
「畜生……」
俺はフラフラと立ち上がる。
手にしていたクロスボウが離れた場所に落ちていた。
ミケランジェロのほうを見たら、右の爪先を地面にトントンとしながら違和感を確認しているようだった。
傷が治っている?
「どうなってるんだ……。アキレス腱を切っただろ……」
ミケランジェロは足首をグリグリと回しながら答える。
「リジェネレーションだ」
「リジェネって、自己再生能力かよ……」
「お前が余裕の態度でチンタラしているから、すっかりアキレス腱も繋がってしまったぞ」
「ずっけぇ~……。そんなの聞いてねぇ~よ……」
「言ってないからな!」
「確かに……」
畜生、まさかまさかの自己再生能力かよ。
これで振り出しに戻っちまった……。
俺は再び異次元宝物庫から黄金剣の大小を引き抜く。
再び二刀流で構えた。
そこにミケランジェロがノシノシと迫って来る。
だが、スレッジハンマーは投擲して無手だ。
素手の間がチャンスかも知れない。
「こうなったら、とことんやるぞ!!」
「同感だ! アスラン、戦いを楽しもう!!」
「おうよ!!」
勝負は更に続く───。
血が吹き出した片足を引きずっている。
右足のアキレス腱を俺の一太刀で切られたからだ。
本来ならば立ち上がるのもやっとのはずだろう。
なのにまだ戦う意思がある。
現代格闘技の試合ならば、アキレス健が切れれば戦闘不能である。
片足のバネ無くして運動は出来ない。
それは、巨人だろうと神族であろうと人型である以上は例外ではないだろう。
片足をダラリと下げながらミケランジェロが戦意を告げて来た。
「さあ、続きを始めようじゃあないか、アスラン!!」
俺は黄金剣を肩に担ぎながら面倒臭そうに言い返す。
「やれんのぉ~、ミケランジェロさんよ~。だって片足だよ。機動力がゼロだよ。本当にやれるのぉ~?」
「試して見ろ。まだ私は戦えるぞ!!」
ミケランジェロは両手で持ったスレッジハンマーを頭の高さに振り上げた。
真っ直ぐな姿勢だ。
上段の構え。
左足だけで巨漢を支えて、背筋を伸ばして、両手でスレッジハンマーを振り翳している。
痛々しい姿だな。
それなのに諦めていない。
しかし、俺との距離は遠い。
俺が間合いに踏み込んだらスレッジハンマーを振り下ろすつもりだろう。
もーさー、見え見えだわ。
「はぁ~~……」
俺は肩の力を落としながら溜め息を吐いた。
「やれるって意思は分かるよ。うん、分かるよ……」
「何が言いたい!?」
「でも、待ってるでしょう?」
「待つ……」
「そう、俺があんたの間合いに入るのを待ってるでしょう。俺が間合いに入ったらハンマーを振り下ろすんでしょう。戦う意思はあるけれど、攻める意思はない。むしろ攻められないだろぉ~?」
「ぬぐぐぐぅ……」
ミケランジェロが悔しそうに奥歯を噛み締めている。
図星だね。
俺は嫌らしい笑みを浮かべながらジリジリと後ずさる。
「貴様、逃げるか……」
「今逃げたら追って来ないよね~」
「お、おのれ……」
「でも、逃げないから安心しな」
「なにっ!?」
十分な距離を作ってから俺は武器をチェンジする。
黄金剣を異次元宝物庫に仕舞うと、代わりに魔法のスタッフを取り出した。
【エクスフロージョンスタッフ+2】
爆発系魔法の範囲が向上する。爆発系魔法の破壊力が向上する。
「ス、スタッフだと……。貴様、魔法も使えるのか!?」
「こう見えても俺は魔法戦士でね~」
「それは、困った話だな……」
「食らえ、ファイアーボール!!」
俺の掌から魔法の火球が放たれる。
火球はミケランジェロの上半身に命中すると爆発した。
チュドーーーンと爆音が轟く。
更に俺は爆炎が上がる中に次々と火球を撃ち込んだ。
「ファイアーボール! ファイアーボール! ファイアーボール! ファイアーボール!!」
初弾から含めて計八発の火球が撃ち込まれる。
ラッシュだ。
爆音が轟くにつれて爆炎が大きく膨らんで行く。
魔法を放った俺のところまで爆熱が届いて衣類を靡かせた。
「どうだい、ざま~みろってんだ!!」
徐々に爆炎が収まると、爆煙の中から巨大な人影が姿を現す。
「あら、無事……?」
「うん、無事」
ミケランジェロは直立しながら立ち尽くしていた。
火傷の一つも無い。
その巨漢の前には大きな魔方陣が輝いている。
あの魔方陣で俺のファイアーボールを防ぎやがったな。
「魔法の盾ですか……」
「そう、魔法の盾だ」
「ずっけぇ~……」
「私も防御魔法なら得意でね!」
「そう言うのは先に言ってよ……」
「最初に投擲されたマジックアイテムは意外で防御魔法が間に合わなかったが、次のは別だ!」
「じゃあ、魔法攻撃は効かないの?」
「ほぼ無効だな!!」
「ずっけぇ~……」
「ズルくない!!」
「じぁあさ~」
俺は更に武器をチェンジする。
異次元宝物庫に魔法のスタッフを仕舞うと代わりの武器を取り出した。
「ジャジャ~ン! 次の武器はラージクロスボウ+2でぇ~す!!」
「うわ、ズル~……。そのクロスボウは弾丸が曲がるのかよ……」
「おいおい、早々にアイテム鑑定するなよな……。矢が曲がるのを見て、ビックリするところが見たかったのにさ! もー、台無し!!」
「すまんな、反省している、っぞ!!」
突然だった。
ミケランジェロが手に有るスレッジハンマーを投擲して来た。
「ちょっと!?」
縦に回転しながら飛んで来たスレッジハンマーを俺は半身を返して寸前で躱す。
狙いを外して見送ったスレッジハンマーが俺の後方の地面に突き刺さった。
「危なかった!!」
まさかあちらさんが武器を投げ放って来るとは思わなかったぜ。
そして、俺が振り返り前を向き直すと、そこには巨大な拳が迫っていた。
「えっ!?」
「ぬぅらぁぁあああ!!!」
いつの間にか接近していたミケランジェロが、アンダースローアッパーを打ち込んで来るところだった
「わぉ、躱せない……」
俺はモロに巨拳を食らった。
視界に激しいノイズが走る。
そして、上半身で受けたアッパーに掬われて宙に舞う。
「ぐふぅ!!」
「ぜぇぁあああ!!」
白い世界の中にアッパーカットを振り切ったミケランジェロの姿が見えた。
なに、あいつ?
股を広げて両足で踏ん張ってるじゃあねえか?
アキレス腱はどうした?
切れたんちゃうんか?
なんで両足で踏ん張ってるんね?
俺は5メートルほどの高さから落下して、背中から地面に落ちた。
「受け身っ!!」
俺は地面に激突する寸前に柔道の受け身で衝撃を逃がした。
だが、直ぐには立てない。
拳を食らったダメージが残っている。
胸が詰まる。
頭がクラクラする。
首が痛いわ~……。
あっ、鼻血が出てるやん。
「畜生……」
俺はフラフラと立ち上がる。
手にしていたクロスボウが離れた場所に落ちていた。
ミケランジェロのほうを見たら、右の爪先を地面にトントンとしながら違和感を確認しているようだった。
傷が治っている?
「どうなってるんだ……。アキレス腱を切っただろ……」
ミケランジェロは足首をグリグリと回しながら答える。
「リジェネレーションだ」
「リジェネって、自己再生能力かよ……」
「お前が余裕の態度でチンタラしているから、すっかりアキレス腱も繋がってしまったぞ」
「ずっけぇ~……。そんなの聞いてねぇ~よ……」
「言ってないからな!」
「確かに……」
畜生、まさかまさかの自己再生能力かよ。
これで振り出しに戻っちまった……。
俺は再び異次元宝物庫から黄金剣の大小を引き抜く。
再び二刀流で構えた。
そこにミケランジェロがノシノシと迫って来る。
だが、スレッジハンマーは投擲して無手だ。
素手の間がチャンスかも知れない。
「こうなったら、とことんやるぞ!!」
「同感だ! アスラン、戦いを楽しもう!!」
「おうよ!!」
勝負は更に続く───。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
53
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる