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メイドに変身

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 翌日、授業とライン様とのトレーニングを終えた私は、あることを実践することにした。

 題して、メイドになって王宮の雰囲気を探っちゃおう。

 私がにこにこして生活していればいいと思ったけど、あまり人に会わないことに気が付いた。沢山の人に会ったのは、せいぜい調理場に行った時くらいかな。セリさんも用事が済んだら部屋から出ていっちゃうし。

 ということで、メイドに変装して王宮をうろちょろする。これなら目立たないから本来の雰囲気を掴めそう。

「セリさん、どうですか?」
「承知しました」

 勝手にやったらまずいと思って昼食後セリさんに相談したら、すぐに了承の返事が返ってきた。

 やった。駄目ですって言われるかと思っていたのに。

「お待たせ致しました」

 すぐにセリさんがメイド服をもってきてくれた。素晴らしい行動力。

「有難う御座います」

 メイド服への着替えと目立たない髪型へのチェンジまで手伝ってくれた。有難すぎて、作業を終えて帰っていくセリさんの背中を思わず拝んでしまった。

「はぁ~、メイドさんっぽい」

 セリさんの技術すごい。一気に妃からメイドになった。メイクは変えていないのに、服と髪型でだいぶ変わるもんだなぁ。

 下の方で結んだだけで、前髪はぴっちり分けられている。ふんわり感ゼロにするとこんな感じか。

 さて、せっかくメイドチャンスの時間になったので、時間を無駄にしないようちゃっちゃと行動しよう。

 誰もいないことを確認してこっそり廊下に出る。なんか緊張してきた。変な汗出てきた。そうだ、いちおう渡されていた眼鏡もしておこう。これなら完璧。

 堂々と歩いて回る。王宮も結構把握してきたので、ちょっと冒険して普段あまり通らないところも行ってみよう。

 大広間の近くまで行くと、掃除をするメイドが何人かいた。やった、この辺りに混ざって王宮の雰囲気を探ろう。

「貴方はここやって」
「はいッ」

 年配のメイドさんに箒を渡される。おお、アイテムゲット。よりメイドっぽくなった。せっかくだから掃除もちゃんとやろう。
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