【急募】バッドエンド

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ヒーロー再び

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 それに高橋さんは由奈と関りが無い人だから、また友だちになっても大丈夫なはず。道端とも友だちになってるし。友だち、だよね……?

「おひょぁあ」

 由奈がいた。

 つい最近もこんなことあった。

 どこにでも現れるの心臓に悪い。

 だからホラーは苦手なんだって!

 どこか隠れる場所は……隠れる方がおかしいか。向こうから歩いてい来る人間を避けるような行動取った方が目立つ。

 今の由奈は俺を知らない。俺はただの通行人Aだ。

 こっちも知らないふり知らないふり。俺たちは地球に住む数十億人の内の一人。出会うはずのない人!

 あと十メートル。

 五メートル。

 一メートル……!




「…………んふぅ」





 緊張のあまり、すれ違う瞬間変な空気が口から漏れた。

 その所為で由奈がちらりとこちらを向いた。

 うおおおおお不審者でごめんなさい今すぐ消えますからぁ!

 一心不乱に般若心経を唱える。五文字目で正しいか分からなくなったが唱え続けた。こういうのは気持ちが大事って言うし。

 そろそろ二人の距離も離れた。ひとまず安心、かな。

 それにしても。

 ………………可愛かったなぁ。

 由奈、黙ってると本当可愛い。スカウトされたことがないって聞いたのが嘘みたいにお人形。

 なんで俺のことを梳きになってくれたんだろうって、付き合い始めの頃はよく思ったな。今でも思う。いくら助けたと言っても、俺は平凡な人間だ。だからあそこまで執着されたのは疑問でしかない。

「わっやだ」

 淡い思い出に浸っていたらそんな声がした。

 恐る恐る振り返る。由奈が野良犬に絡まれていた。

 今時野良犬っているの? よく見たら首輪してる。飼い犬が逃げ出したのか。それなら危なくな、危ないな。

 狂犬病の心配はなくても、噛まれるかもしれない。そこそこ大きいし。わりとトラブルに巻き込まれる体質か。

 でも、厨二よりは脱走した飼い犬の方がマシかな。犬の顔がヘラヘラしてるからじゃれてるだけみたい。

 これなら放っておいていいか。見知らぬ他人を二度も助けるなんて過保護っぷり発揮しなくていいでしょ。ここには道端もいないし――。

「ヘルメット」
「いるぅぅ!!」

――いる!!!

 自分でも信じられないけど、突然道端が現れてヘルメットを渡してきた。

 どこにもいなかったよね。隠れる場所あった? いや、隠れてるのはおかしいか。万が一隠れてたとしてもこの巨体ならすぐ分かる。

 ヒーロー出現を察して現れたの? いっそ道端がヒーローでは? ヒーローを手助けしてるから、ヒーローヒーローか。

 現実逃避をしている場合じゃない。この間もずっとヘルメットを差し出してくる。常にヘルメットを持って徘徊してる妖怪か何かみたい。

「ヘルメット」
「ひゃい……」

 断れるわけもなく、渋々受け取った。またお兄さんのかな、これ。アリガトウゴザイマス。

――これは被らないといけないのかな……。

 こくり。

 何も言わない俺相手に道端が無言の頷きでプレッシャーをかけてきた。

 被ればいいんだろ被れば!

 半ば自暴自棄になりつつ無駄にカッコイイ黒のヘルメットを装着する。ヒーローの誕生だ。

 えー、声はどんな風にしてたんだっけ。ちょっと高めにしてたんだったか。もう適当でいいや。

 こういうのは勢いが大事だ。恥を覚えたら何もできなくなる。じゃれつこうとした犬の前に走り寄り、俺は指を差して言った。

「ワンちゃん! お家へ帰りなさい!」

 ぽっか~~~~~ん。

 全然決まらない科白を投げつけたが、当然敵には響かなかった。犬だからね。

「わんわんッ」
「お姉さんが怖がってるから」
「怖くないですけど」
「そうなの~!?」
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