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第一章 囚われの日々
幕間 久しい仕事
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※カイトが『神の使徒』から情報を抜き出す場面。カイト視点
私はシェルミカ様の監視を終え、殿下の元を訪れた。
「カイト。貴方に頼みたいことがあります」
私以外人がいないため、表情を消していた殿下は私を見てそう言った。私はその内容を尋ねる。
「トアが捕らえた『神の使徒』から、情報を引き抜いて引き抜いてください」
『神の使徒』という言葉はトアから聞いていた。トアはシェルミカ様に媚薬を持った犯人だというバルドと共に奴を捕らえ、今は地下牢に捕らえられていると話していた。その『神の使徒』から情報を引き抜く……つまり、簡単に口を割らない相手の口を割らせるということだ。
殿下の命であれば私は何であれ従う。私は頭を下げて了承の意を示した。
「お任せください、殿下。奴が持つ全ての情報を聞き出してみせましょう」
「頼りになりますね。流石拷問のプロです」
その名称には些か納得がいかない。確かに私は拷問によって囚人等の口を割らせることが得意だが、拷問のプロという程ではないだろう。あと、殿下にも及ばない。
そう思っていた私の内心に気が付いたのか、殿下は怪しい笑みを浮かべた。
「僕は貴方のように拷問を楽しむことはありません。貴方よりまともだという自信はあります」
私がまともでないという意味の言葉を聞いて驚いた。私だって殿下よりもまともな自信はある。しかしここで言い返していたらきりがないし、自分の命は惜しい。殿下を怒らせることは得策ではない。
「それでは早速行って参ります」
「ほら。もう楽しそう」
私は笑みを浮かべ、殿下に頭を下げた。殿下の言葉に賛同するのは心外ではあるが、少しだけ認めよう。私は久しぶりにこういう仕事を与えられて気分が向上している。
地下牢に来た。私は牢番に声をかけて中に入る。ここは変わらず薄暗く肌寒い。牢の中には何人か囚人が入っている。これらの囚人は、スパイや王族殺しを目論んだ者等、重罪人である。
歩みを進めると、牢の中心に部屋がある。ガラス張りなので外からでも中が見える。私はその部屋に入り、机に突っ伏しながらいびきを立てて眠っていた男の肩を揺らした。
「起きてヴィリー。仕事だ」
「……んん」
私よりも少し明るい黒髪の男は目をこすりながら体を起こした。そして彼は猫の様に大きく伸びをする。
「……ふわぁあ。……ん? カイトじゃん。久しぶり」
「久しぶりだね、ヴィリー」
この男はヴィリーという。囚人の監視を行っている監獄騎士だ。囚人達が自害しないように、全ての囚人と契約魔術を結んでいる猛者でもある。誰もが囚人と契約を結びたくないと言う中、彼だけは進んで手を上げた。
彼の趣味は魔術実験で、よく囚人達を相手に実験を行っているらしい。本来人道的に非難される行為だが、如何せん重罪人が相手なので特別に許されている。ちなみに許可を出したのは殿下だ。
「どうしたの、こんなところに来て」
「トアが連れてきた者はどこにいるの? 情報を聞き出すために尋問をしたいんだ」
「拷問の間違いじゃないの。片付けが大変だからできるだけ汚さないようにしてね」
ヴィリーはぼさぼさになった髪をかき混ぜながら立ち上がり、大きなあくびをした。
「ついてきて」
私はヴィリーの後について行く。いくつか牢を超え、ヴィリーが立ち止まった。
「こいつだよ。傷一つない綺麗な状態だ。無駄に傷をつけないのはトアらしいよね。面倒だからさっさと気絶させたのだろうけど」
私は牢の中に目を向ける。拘束具で雁字搦めに拘束された男は、私の存在に気が付いたのか私を強く睨んでいる。ぱっと見た感じ、私よりは年上だけど、三十代にはいかない妙齢な男だ。
ヴィリーが牢の鍵を開けたので私は中に入る。男の鋭い視線を一旦無視してヴィリーに目を向けた。
「ヴィリー。あれ持ってきて」
「自分で持ってきてなかったの? ちょっと待っててね」
ヴィリーは牢の前から姿を消した。私は彼から男に視線を戻す。男は飽きずに私を睨んでいる。気が強そうな男だ。気が強くても、力は弱かったのかもしれないけど。
思わず笑ってしまった私を見て男は人を射殺せそうな目になった。視線だけで人を殺せるのなら、人類は皆サングラスをかける必要があるだろう。
「ねえ君。痛いのが嫌なら最初から君達の情報を離しておいた方が君のためだよ」
一応忠告をしておく。男は今猿轡を噛まされているので話すことはできないが、私を睨む目の意志の強さから、簡単に口を割らないということは分かった。意志が強い者ほど、口を割らせたくなるのが私の悪いところだ。
「持ってきたよ。じゃあ、猿轡外すね」
ヴィリーが戻って来た。彼は私に鞭を手渡し、男の傍に寄った。私が鞭の感触を確かめている間にヴィリーは男の猿轡を外す。
「この人とても怖いから、早く全部話しちゃった方が君のためだよ」
ヴィリーが男にそう話しているのが聞こえる。私が先程した忠告とよく似た内容だ。しかし私が怖いというのはどういうことだ。私はこんなにも優しいのに。
「それじゃあ、終わったら呼んでね」
ヴィリーは軽く手を振り、そのまま牢を出て部屋に戻て行った。私は彼を見送ってから男に向き合う。
「何か話してくれることはある?」
「お前に話すことなどない」
男は端的にそう言って黙り込んだ。私は優しく微笑む。試しに鞭を一振りすると、地下牢に鋭い音が反響した。鞭を持ったのも久しぶりだけど、これほど手に馴染む武具はない。これを持って魔導騎士大会に参加したら、アルビーにも勝てたかもしれない。まああれは剣で戦う大会だから持って入れないけれど。
「悲鳴を聞くのは嫌いだけど、痛み付けるのは嫌いじゃない。さあ、君が持っている情報、早く話してね」
私は殿下を真似るように笑みを深め、男の前に立った。
「あれ。もう終わったの?」
「案外簡単に吐いたよあいつ。慣れてなくて痛みに弱かったのだろうね。あーあ、なんだか物足りないな……」
私は前髪をかき上げようとして、手が血で汚れていることに気が付いた。服も拷問用のものに変えておいてよかった。かなり返り血が付いている。はやく洗い流したい。
「お疲れ様。聞き出した情報は?」
「全部覚えているよ。明日の朝一番に殿下に報告する」
奴が持っていた情報は全部聞き出したけど、奴が下っ端だったせいで碌な情報はない。『神の使徒』とかいう変な名前の組織の目的は、神を降臨させ荒廃した世界を作り直すこと、だとか言っていたっけ。そんなわけあるまい。殿下なら鼻で笑って否定しそうだ。私も鼻で笑ってしまったけど。
「じゃあ、もう帰るね」
「うん。またいつでも遊びに来てね。拷問してほしい相手は結構多いから、カイトがやってくれると助かるんだ」
ヴィリーの言葉に苦笑いしつつ、私は地下牢を後にする。そして鉄の匂いが気分を害すので、誰とも会わないように立ち回りながら真っ先にシャワー室に向かった。
私はシェルミカ様の監視を終え、殿下の元を訪れた。
「カイト。貴方に頼みたいことがあります」
私以外人がいないため、表情を消していた殿下は私を見てそう言った。私はその内容を尋ねる。
「トアが捕らえた『神の使徒』から、情報を引き抜いて引き抜いてください」
『神の使徒』という言葉はトアから聞いていた。トアはシェルミカ様に媚薬を持った犯人だというバルドと共に奴を捕らえ、今は地下牢に捕らえられていると話していた。その『神の使徒』から情報を引き抜く……つまり、簡単に口を割らない相手の口を割らせるということだ。
殿下の命であれば私は何であれ従う。私は頭を下げて了承の意を示した。
「お任せください、殿下。奴が持つ全ての情報を聞き出してみせましょう」
「頼りになりますね。流石拷問のプロです」
その名称には些か納得がいかない。確かに私は拷問によって囚人等の口を割らせることが得意だが、拷問のプロという程ではないだろう。あと、殿下にも及ばない。
そう思っていた私の内心に気が付いたのか、殿下は怪しい笑みを浮かべた。
「僕は貴方のように拷問を楽しむことはありません。貴方よりまともだという自信はあります」
私がまともでないという意味の言葉を聞いて驚いた。私だって殿下よりもまともな自信はある。しかしここで言い返していたらきりがないし、自分の命は惜しい。殿下を怒らせることは得策ではない。
「それでは早速行って参ります」
「ほら。もう楽しそう」
私は笑みを浮かべ、殿下に頭を下げた。殿下の言葉に賛同するのは心外ではあるが、少しだけ認めよう。私は久しぶりにこういう仕事を与えられて気分が向上している。
地下牢に来た。私は牢番に声をかけて中に入る。ここは変わらず薄暗く肌寒い。牢の中には何人か囚人が入っている。これらの囚人は、スパイや王族殺しを目論んだ者等、重罪人である。
歩みを進めると、牢の中心に部屋がある。ガラス張りなので外からでも中が見える。私はその部屋に入り、机に突っ伏しながらいびきを立てて眠っていた男の肩を揺らした。
「起きてヴィリー。仕事だ」
「……んん」
私よりも少し明るい黒髪の男は目をこすりながら体を起こした。そして彼は猫の様に大きく伸びをする。
「……ふわぁあ。……ん? カイトじゃん。久しぶり」
「久しぶりだね、ヴィリー」
この男はヴィリーという。囚人の監視を行っている監獄騎士だ。囚人達が自害しないように、全ての囚人と契約魔術を結んでいる猛者でもある。誰もが囚人と契約を結びたくないと言う中、彼だけは進んで手を上げた。
彼の趣味は魔術実験で、よく囚人達を相手に実験を行っているらしい。本来人道的に非難される行為だが、如何せん重罪人が相手なので特別に許されている。ちなみに許可を出したのは殿下だ。
「どうしたの、こんなところに来て」
「トアが連れてきた者はどこにいるの? 情報を聞き出すために尋問をしたいんだ」
「拷問の間違いじゃないの。片付けが大変だからできるだけ汚さないようにしてね」
ヴィリーはぼさぼさになった髪をかき混ぜながら立ち上がり、大きなあくびをした。
「ついてきて」
私はヴィリーの後について行く。いくつか牢を超え、ヴィリーが立ち止まった。
「こいつだよ。傷一つない綺麗な状態だ。無駄に傷をつけないのはトアらしいよね。面倒だからさっさと気絶させたのだろうけど」
私は牢の中に目を向ける。拘束具で雁字搦めに拘束された男は、私の存在に気が付いたのか私を強く睨んでいる。ぱっと見た感じ、私よりは年上だけど、三十代にはいかない妙齢な男だ。
ヴィリーが牢の鍵を開けたので私は中に入る。男の鋭い視線を一旦無視してヴィリーに目を向けた。
「ヴィリー。あれ持ってきて」
「自分で持ってきてなかったの? ちょっと待っててね」
ヴィリーは牢の前から姿を消した。私は彼から男に視線を戻す。男は飽きずに私を睨んでいる。気が強そうな男だ。気が強くても、力は弱かったのかもしれないけど。
思わず笑ってしまった私を見て男は人を射殺せそうな目になった。視線だけで人を殺せるのなら、人類は皆サングラスをかける必要があるだろう。
「ねえ君。痛いのが嫌なら最初から君達の情報を離しておいた方が君のためだよ」
一応忠告をしておく。男は今猿轡を噛まされているので話すことはできないが、私を睨む目の意志の強さから、簡単に口を割らないということは分かった。意志が強い者ほど、口を割らせたくなるのが私の悪いところだ。
「持ってきたよ。じゃあ、猿轡外すね」
ヴィリーが戻って来た。彼は私に鞭を手渡し、男の傍に寄った。私が鞭の感触を確かめている間にヴィリーは男の猿轡を外す。
「この人とても怖いから、早く全部話しちゃった方が君のためだよ」
ヴィリーが男にそう話しているのが聞こえる。私が先程した忠告とよく似た内容だ。しかし私が怖いというのはどういうことだ。私はこんなにも優しいのに。
「それじゃあ、終わったら呼んでね」
ヴィリーは軽く手を振り、そのまま牢を出て部屋に戻て行った。私は彼を見送ってから男に向き合う。
「何か話してくれることはある?」
「お前に話すことなどない」
男は端的にそう言って黙り込んだ。私は優しく微笑む。試しに鞭を一振りすると、地下牢に鋭い音が反響した。鞭を持ったのも久しぶりだけど、これほど手に馴染む武具はない。これを持って魔導騎士大会に参加したら、アルビーにも勝てたかもしれない。まああれは剣で戦う大会だから持って入れないけれど。
「悲鳴を聞くのは嫌いだけど、痛み付けるのは嫌いじゃない。さあ、君が持っている情報、早く話してね」
私は殿下を真似るように笑みを深め、男の前に立った。
「あれ。もう終わったの?」
「案外簡単に吐いたよあいつ。慣れてなくて痛みに弱かったのだろうね。あーあ、なんだか物足りないな……」
私は前髪をかき上げようとして、手が血で汚れていることに気が付いた。服も拷問用のものに変えておいてよかった。かなり返り血が付いている。はやく洗い流したい。
「お疲れ様。聞き出した情報は?」
「全部覚えているよ。明日の朝一番に殿下に報告する」
奴が持っていた情報は全部聞き出したけど、奴が下っ端だったせいで碌な情報はない。『神の使徒』とかいう変な名前の組織の目的は、神を降臨させ荒廃した世界を作り直すこと、だとか言っていたっけ。そんなわけあるまい。殿下なら鼻で笑って否定しそうだ。私も鼻で笑ってしまったけど。
「じゃあ、もう帰るね」
「うん。またいつでも遊びに来てね。拷問してほしい相手は結構多いから、カイトがやってくれると助かるんだ」
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