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特急あさま号(1984年)

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 幼いころ埼玉県在住の私は、特急ひばり号の乗車経験もあってさらに鉄道オタクになって
いった(というか車も好きでミニカー集めていたから乗り物好きが正確だが)。
 だから鉄道に乗れる機会があれば
「特急列車に乗りたい」
と主張していた。
 自分が6歳のころ、家族で長野に行く機会があり、父親は当初はマイカーで行こうとしたが
私が駄々こねて「特急に乗りたい!」と主張したせいか、珍しく電車で行くことになった(父は
車派)。
 例のごとく大宮駅で今度は上越線・信越線方面(というホームは正確にはなく、同じホームから
両方面の列車が発車していた)。
 新幹線のホームが見えるが見ている限りで
「列車が良く見えない」
だった。
 新幹線にも乗りたいのだが、この時点でまだ機会はなかった。
 列車が動く。
 ボックス型にして家族団らんのひと時だ。

   進行方向左手の彼方に高そうな山地が見える。秩父連山だろう。
 間もなく右手から上越新幹線が近づいてきたのが見えた。
 熊谷に停車する。
 熊谷に停車する特急あさまは少ないのでレアだったのだろう。
 すぐ発車して埼玉県らしい関東平野の只中を突き進む感じだ。
 しかし北上するにつれ山がだんだん近づいてくるような感じで、多分本庄を過ぎたあたりで
あろうか?木や森のような風景も見えてきた。
 右手にも山が遠くに見える。
 今から考えると赤城山であろうか?
 「間もなく高崎に到着します。越後湯沢・新潟方面の上越新幹線の乗り換えの方、あさひ〇〇
 号の新潟行は・・・」
と車内放送が入った。
 高崎あたりで車内販売が回ってきたようだが、親たちはそこでは買わずにいた。
 理由は間もなく分かった。
 高崎を出ると線路はすぐに上越線と別れていく。
 多分標高は上がっていくのであろうが、何となく普通に真っすぐ平たんに進んでいく感じが
した。
 安中や磯部といったところは通過していたはずだ。
 そして横川に着く。
 人々の一部が活気が出てきてホームではカメラを携えた人たちがホームの前のほうに走って
いく。
 そして父が弁当を買ってきた。
 「峠の釜めし」
 だ!しかし味覚が幼稚の私にはシイタケとか食べられない。
 ので私には普通の子供が好きそうな弁当だった。
 峠の釜めしを自分で買って食うのは高校生で一人旅した時が初めてであった。
 横川を出ると列車が特級とは思えない感じでスピードを緩める。
 乗っているだけだと分からない碓氷峠の急勾配だ。
 軽井沢に着く。
 駅の目の前にスキー場のようなものが見える。
 そして反対側の景色には神々しい浅間山の姿もお目見えしてきた。
 
 中軽井沢・小諸と停車したはずだが覚えていない。
 どうやら寝ていたようで、気付いたときには篠ノ井線が近づいてきて篠ノ井駅を通過した
あたりである。
 もう終点長野は近い。
 当時はまだ知識がないから有名な「川中島」あたりを通ったはずだが覚えていない。
 ただ列車がゆっくりになったころ反対側には先頭の顔が突き出している、いわゆるボンネット
型の特急「白山」(のはず)がすれ違っていった。
 終点長野。
 この後は善光寺に立ち寄り、レンタカーで野沢温泉を目指したはずだが後は細かいことは
よく覚えていない。
 

                                 <完>
 
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