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ナンパ・出会い系ツール編

今だから言える海外での経験 その②

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 スズランを連れてその街の中では大きめな店の感じの土産物屋っぽいとこに
入る。
 質はともかく日本人からすればとにかく安い。
 私はスズランを連れてとりあえずデートできればよかったので彼女の手を
引いてあちこち見るがスズランは目を輝かせて色々見ている。
 幾つか欲しそうにも見えるが彼女のほうから決して俺のほうにおねだりす
る様子などは見せない。
(ひょっとして家族とか大事な人のために欲しいのかな?)
 スズランはどう見ても男をひっかけるようなそういう系の少女にも見えず、
素朴で普通の女の子に見える(可愛いけど)。
 だからゼスチャーで
「何か買っていいよ」
と伝えたが、最初はうまく伝わらず困惑していたみたいだ。
 欲しいけどお金を持っているわけでもないし、俺が買ってくれるなんて
思わなかったのであろう。
 そういう俺の意思が拙い英語などでようやく通じたが、遠慮がちに首を
横に振っている。
 しかし俺はスズランの欲しそうなものを自分で幾つか手に取ってレジに
行く。
 最初の遠慮がちであったスズランは驚いた感じからやや興奮気味に、そし
てあってから初めて見る喜色満面の顔で俺にお礼をいい、さっきよりぐっと
体を寄せて恋人のようにしながら店の外に出た。
 そして俺に話しかけてきた。
 最初はわからなかったが
「私の家に来て」
という意味のようだ。
 ここから歩いていける距離らしいのでOKする。
 そこから10数分歩くと、日本で言うやや高床式で脇にちょろちょろ小川
が流れている家に着いた。
 付近はやや離れて似たような家が見えるさっきの町の郊外でいかにも
農業か何かで生活を営んでいる感じのところでのどかさを感じる。
 家の近くの小川には日本では見ることのないメダカ程度の大きさだが
宝石のような色合いの熱帯魚が泳いでいた。
 さっきから10数分手を握ったり腕を組みながら仲良く歩いてきた。
 すれ違う人は珍しい男女のカップルに目をやる人もいる。
 ずっと見ているが見れば見るほどスズランは可愛い女の子だ。
 

 勿論俺は「(欲情対象になる)異性」として既に見ている。
 こんな可愛い外国の女の子とあっさり仲良くなれたのはジャパンマネーの
威力があってこそかもだが、別にここまではデート代だけのはずである。
 で、家に先にスズランが入り、家族に何か言ったようだが、俺のお土産
が聞いたのであろう。スズランの両親らが笑顔で歓待して家に入れてくれ
た。
 応接間と思えるところで両親スズランと俺で話すがもちろん言葉は伝わ
らず、僅かな英語と日本語(日本人や中国人がよく尋ねるアジアの観光地
では幾ばくかの中国語や日本語は伝わる。日本の漫画のドラえもんやドラ
ゴンボールは知られていた)でスズランを介しながら話をする。
 そのうち両親が俺に何か質問する。
 スズランが通訳して
「あなたの職業は?収入は?家族は?」
 などと両親が聞いてくることを言うから俺はそれに適当に答えると両親
は満足したようにうなずいてにこやかになりながらやがて次の質問をする
とスズランのほうが恥ずかしそうにしているのが俺にも分かった。
 やがてスズランがもじもじしたように
「私のこと気に入ってるのか?と親が聞いています・・・」
と俺に言った。
 俺は即答で
「可愛い女の子で凄く気に入っている」
 と答えるとスズランは真っ赤になってから嬉しそうな様子でそれを親に
通訳すると親も満足したように頷いて納得したように笑みを浮かべた。
 そしてスズランに何か言いつけるとスズランは頷いて立ち上がり部屋か
ら出て行った。
 奥の方では小さい女の子の姿が見えた。
 スズランの妹であろう。
 やがてスズランが俺を別の部屋に案内する。
 スズランの部屋なのか?
<中略>
 どうやら俺にそこでスズランと二人で寝て泊まって良いということの
ようだ。
 さっきから両親はまるで俺を婿のような扱いで電話番号を聞いたり結構
なプライベートなことを聞いている。
 話を思い出した。
 アジアの人々の中には日本人への印象が非常に良いのだ。
 裕福で男は勤勉であり娘を嫁に出したい外国の男では人気ナンバーワン
と、中国や韓国人は評価が割れるらしい、日本人が人気ナンバーワンで
あると。
 そして一部のアジア諸国の田舎の方では娘の嫁入り年齢は当時(2003
年頃)でも15歳とかで普通であり、16歳でもう赤ちゃんを産んでいるの
も珍しくない。
 また日本のように女の子も平等に学歴社会に混じって自立して高い収入
を得て男に頼り、自由恋愛するでなく、親が決めた男に娘は黙って従って
嫁に出される日本で言えば明治や大正の頃の田舎の農村みたいな風習も
残っていると聞いたこともある。
 ということは実際には13歳や14歳で嫁がせていることもあろう。
 日本なら中学生くらいだし、いくら発展途上国だとしても当時の世界の
国々の(紛争とか超貧しい国でない限り)中学生くらいの年齢までは義務
教育とかあるのではないか?
 その辺の詳しいことはわからなかったが、兎に角個々の両親には既に
この俺に娘を嫁としてあげることを認めたかの感じにすら写る。
 少なくとも個室でスズランと床を並べて泊まってもいいということは
むしろ両親は積極的に・・・俺の男としての欲情を応援していることに
なるのだ。
 スズランもそういうの、わかっているのか??
 だが俺はこの積極的過ぎる展開に逆に困った。
 本音では勿論スズランも俺のこと好きになってくれて自由恋愛から
肉体関係を結べるのならそれが本望だ。
 しかし風呂もシャワーもあるのかないのかわからないし、まだ見知らぬ
外国の家のなかで夜を過ごすのは性欲以上に怖いものがある。
 そこで話を付けて
「スズランと俺の今夜予約しているホテルで過ごしたい」
と伝えると最初は意味が伝わらなかったのか父親は渋い表情を数度見せた
が、やっと意味が解ると何か要求した。
 いくばくかのお金だ。
 向こうからすれば娘を初対面の外人の男のほうに夜預けるのだ。
 保証金と言うか、そういうのも必要だろう。
 日本円に直してたった300円程度である。
 ちなみにこの国のもっと大きな町の繁華街や外人観光向け風俗では日本人
に吹っ掛ける値段は3000円とか5000円とか10000円である。
 ここに来てからスズランのデート代とこれからの連れ出し料は全く持って
悪質な風俗プロ業者とは違う。
 勿論日本人にはたった200円や300円でも彼らにはその数倍から10倍く
らいの感覚かもしれないがそれでもスズランとこの家族は全く持って娘を
使って性的サービスによる商売をしている人には見えない。
 スズランは俺に連れられてホテルで一晩過ごすと知ってちょっと緊張した
ようである。
 そもそも親から日本人の男と一晩添い寝することを承諾してるくらいだか
ら今日過ごしたこの日本人男性と肉体関係を持つくらいのことは予想して
いるのではないか?俺はそう受け止めていた。
 でもスズランのことを可愛いと思い、素朴で日本ではもう見ることのでき
ない気質の美女と思ったから絶対に乱暴に扱うつもりも向こうからそう思わ
れることもするまいと思っていた。
 スズランの年齢を親に聞けばよかったが彼女の年齢は不明で処女かどうか
もわからないが多分処女であろう。
 子の国とか周辺のアジア諸国では嫁に出す前の10代の女の子はみだりに
夫になる男以外に処女を捧げることは忌みされている風潮もあり、女の子も
バージンを大事にする。
 一方で売春業に娘を売ってしまった貧しい人たちもいるのが現実でそれは
非常な世界的な人権問題だ。
 豊かではないかもしれないがスズランの家はその日食うにも困るほどの
感じではなかった。
 さてスズランをホテルに連れてきたが、ここに来るまでの彼女の足どりは
さっき買い物したり彼女の家に帰るまでの様子に比べたら明らかに重い。
 俺は気になったが黙って手をしっかり握って連れてきた。
 宿に着くと俺らを見たホテルの従業員はニヤッと笑ったりしている。
 どうやら日本人が好みの女の子を買ってきてとよろしくやるつもりかとで
も思ってるのであろう。
 スズランはホテルの部屋に入るとその部屋の綺麗さとか清潔さ、それに
外から見える景色(そろそろ夕暮れに近い)などに感心したか、部屋に入り
ちょっとうれしそうな表情などを見せたり声を発した。
 俺はどのタイミングで男女関係をもっと親密にしていくか段取り考えながら
セブンアップという炭酸飲料で乾杯した。

                           <続く>
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