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焦り 宗二side
しおりを挟む「まだ見つからないのか!!!」
「申し訳ございません。全力で捜索しているのですが、家の近くで誰かの車に乗ったところから行方が掴めていません。」
あの汚らしい子供。
我が家の子でありながらΩという落ちこぼれとして生まれてきた出来損ない。
だが私は優秀なαだ。だからあいつの利用方法を考えつき実行していた。
勝俣という男、あいつは前妻に惚れていたからな。顔の似ているあいつを嫁にやると言えばホイホイと資金援助してきた。
他の取引先もだ。あいつを抱かせてやれば私に良いように話が進んだ。
優秀な私だからこそ、あいつを利用できているんだ。
だが会社はなぜか傾く一方だ。
南財閥に援助を申し出たいがコネがない。その次に大きい北野財閥にもだ。
そんな私に良い話が舞い込んだ。蓮見コーポレーションを経営する蓮見幸也からあのΩを引き取りたいと申し出があったのだ。蓮見幸也といえば歪んだ性癖で有名な男。何人もの人間ペットを飼っていると噂のある男だ。あの屋敷に行けば2度とまともな人間として生きていくことができないという噂だ。
だがその分の報酬もでかい。
これまでとは比べ物にならないほどの金が私の元へ入ってくる。
なのにだ!話が進み始めた段階で逃げ出しやがった。
今日まで食わして生かしてやったっていうのに恩を仇で返すとはこのことだ。
見つけたらまず最初に躾をせんといかんな。
「見つけ次第連れてこい。」
「はい。かしこまりました。それと、明日のパーティーですが南財閥、北野財閥共に参加決定されたようです。」
「本当か!では蓮見の方は保留にして一旦そちらに話を通してみるか。」
南財閥や北見財閥ほど大きな財閥にあいつを送り込み弱みを握ればこれほど私が優位に立てることはない。
「・・・周様は亡き奥様との御子息です。まだ16歳、結婚してすぐに旦那様が捕まりまだ精神的にも落ち着いてないのでは?」
「なんだ、私に意見するのか?・・・お前は前妻の頃から仕えているからあいつに情でも湧いたか?」
「い、いえ、」
「私に逆らうな。逆らえばどうなるかわかっているだろう?」
「はい。申し訳ございません。勝手が過ぎました。」
「わかったならば下がれ。はやくあの出来損ないを見つけてここへ引っ張ってこい」
「・・・失礼いたします。」
私の周りは頭の悪い奴らばかりで困る。
息子の剛は少し前から様子がおかしいしな。あいつには私の跡を継いでもらわなければならないというのに。
あいつの結婚相手も探さなければならないな。
優秀であるが故にやることも多くて疲れが溜まる。
明日のパーティーまではしっかりしなければ。南財閥に北野財閥、私の掌の上で転がして見せる。
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