【完結】優しくしないで

にゃーつ

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【第一部】 4章

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空の大学に行った日から仕事が忙しくなって、あまり空との時間を過ごせていない。


俺が夜遅く帰って来て朝早く出るからだ。
でも空は夕飯作って何時になっても待っててくれる。
夕飯は一緒に食べよ?と言って。

だから俺もどんなに忙しくても空の朝ごはんとお弁当だけは毎日欠かさず作っている。

今日は火曜日。空は14:30で学校終わる。火曜日は司法修士生としての仕事も休みの日だから俺はこの日に休みとることが多かった。空とゆっくりできるから。でもここ1ヶ月はそんな余裕もないほど忙しい。

「はぁ~!ひと段落した。若、次の案件は?」

「千秋、お前最近ろくに休み取れてねえだろ?今日はもういいぞ。空、今日大学早い日だろ?」

え、もうあがっていいってこと?

時計を見ると14時ぴったり!
今から大学行けば空のこと驚かせられる!

ちょっと怖いけど、空はきっと今日も俺は仕事で遅いって思ってるから、驚かせてデートも誘ってみよ!

「若!ありがとうございます!!」

「おう、デートでもしてこい。」

「はい!してきます!!」

「千秋、本当によく笑うようになりましたね。幸せそうでよかったです。ほら、急がないと間に合いませんよ?」

「はい!いってきます!」



空の大学。14:15空に会いたくて急ぎすぎた。あと15分もあるじゃん。

今日は前より人いっぱいいる。

ちょっと日差しも強いから影で待ってよっと。

あ、女の子がこっち見た。え、なんか驚いて電話かけてるんだけど、俺なんか変??
気のせいかな??

5分後

女の子5人くらいに囲まれた。
こないだいた子達だと思う。多分。


「ねぇ!あなた空くんのなに!!」

「この間手繋いで、空くんに抱きしめてもらってたでしょ!!なんなのよあんた!」

どうしよう、怖い。
女の人が怒鳴ってる。次は殴るんだ。

---ドンッ

ほらね。思いっきり押されて尻餅をついてしまった。
手のひらも擦りむいた。

「なんとか言いなさいよ!!」

「ねぇこいつ、震えてない?ださっ男のくせに!」

俺だって極道だ。この子達よりは強い。でも、一般人に手なんか出しちゃダメだし、なにより、お母さんとかぶる。怖いよ、空

「どこの誰か知らないけど、空くんと釣り合ってないじゃない!私ずっと空くん好きなのに、急に出て来て取らないでよ!男のあなたなんて、空くんと結婚も、子どもだって無理じゃない!!空くんの幸せ奪わないでよ!!」

知ってるよ。空の普通の未来を奪ってしまっていることなんて、そんなの最初から知ってる。

知ってるから一度空から逃げたんだ。

「あんたみたいなのと空くん、全然釣り合ってないわよ!空くんに捨てられちゃえばいいのに!あんたなんかいらないじゃない!!」


あ、いらない、捨てる、、、、

捨てる、捨てられる、捨てられた。

そうだよ、俺捨てられたもんね、お母さんに、捨てられた。

いらないって言われた。あんたなんて生まれなければよかったって。
生まれなきゃよかった俺なんて、捨てられる?

空に?

空に捨てられるの?

どうしたら捨てられない?

謝ればいいの?

「・・・・ぃ」

「なんか言ってるんだけど、なによ!聞こえないわよ!」

あ、蹴られた。痛くはないけど、やっぱり俺は、こういうのが似合うんだよね。

「・生まれてきてごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。」

苦しい。

呼吸が苦しい。

空。あ、空はダメ。捨てられちゃう。頼ったらダメ。

苦しい。

「なにそれ、頭おかしいよこいつ」

「ほんとそれ!生まれてきてごめんなさいだって!
こいつのこんなとこ見たら誰だってドン引きよね。」

知ってる。

「ほんとよね!なんで空くんに付き纏ってんのよ、全然釣り合わないのに」

知ってる。

「こんなやつすぐに空くんが」




「僕が何?」





「「「「「空くん!?????」」」」」



「ねぇ、僕の大事な人になにしてんの?」



「こ、これは、この人が勝手に転んだのよ!」

「ふーん。転んだ人を蹴る趣味あるんだ。変わってるね。」

「そ、それは」

「そ、空くんとこの人!どういう関係なの!!この間手繋いでたし!!」

「恋人だけど何?君たちに関係ある?」

「ぜ、全然釣り合ってないじゃん!なんか生まれてきてごめんなさいとか言い始めたし、この人おかしいよ!」

その子がその言葉を発してすぐに空が女の子をどかして俺に駆け寄った。

「ちー、ちー!もうそれ言っちゃダメだよ。ね?帰るよ。」

そう言ってその場から動けなくなってた俺を空は抱きかかえた。

「そこどけよ。だいたいお前ら誰だ?ちーにこんなことして、タダで済むと思うなよ?僕の外見しか見てないくせに。僕が武田組若頭の息子ってことも知らないくらい薄っぺらいことしか知らないんだろ?」

武田組。その言葉を出すと女の子たちは怯えていた。

そんな彼女たちを無視して俺を抱きかかえてタクシーに乗せた空。

まだ、苦しい。
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