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2:聞いておきたいこと
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いつになく饒舌に喋る彼女。それで不安が紛れるのなら、いくらでも話し続けたらいい。
今の僕には、ただ聞いてあげる事しかできないから。
「そういえば、さ。走馬灯ってあるじゃない? 死ぬ前に印象深い思い出がバアッて頭の中を駆け巡る奴。今の私はそういう状態なのかもしれない。まだ死ぬのには時間があるけれど、そのぶんゆっくりと浮かんでくる。貴方と出会った日、一睡もできなかったこととか、すごい無理して食費までつぎ込んで指輪買ってくれたこととか、まるで昨日のように思い出せるよ」
無理をして楽しい事だけを思い出している。あまりに酷く、悲しい光景だった。
「私が死んだら、貴方は泣いて……あ、ごめんね。すごい無理なこと言っちゃって。でも、今の貴方を見ていたら、どうしても聞いてみたくなったの」
「泣くよ。当たり前じゃないか、夫婦なんだから」
「ありがとう。嘘でも嬉しい、かな。私に明日が無くても、悲しんで泣いて、明日も眠れないような人がいるんだったら、ちょっとはマシだよね」
それは少し皮肉が混じった言葉のように思えた。僕が明日を悲しんでいない事を見透かしているような、そんな雰囲気さえ感じ取れた。
「そろそろ面会時間は終わりです。何か言い残したことがあれば、今のうちに伝えておいてください」
さっきまでずっとドアにへばりついてぴくりとも動かなかった看守が言った。
「ええ、わかりました」
「じゃあ、そろそろ帰るね」
そう言うと、彼女は少しあわてたように見えた。
「あ、ちょっと待って。私、最後に……最後に一つだけ聞いておきたい事があるんだけど、いい?」
「うん、でもその前に僕も聞いていいかな?」
彼女の動きが止まった。もしかしたら、僕が何を聞こうとしているのか察したのかもしれない。視線がピタリと定まる。
今の僕には、ただ聞いてあげる事しかできないから。
「そういえば、さ。走馬灯ってあるじゃない? 死ぬ前に印象深い思い出がバアッて頭の中を駆け巡る奴。今の私はそういう状態なのかもしれない。まだ死ぬのには時間があるけれど、そのぶんゆっくりと浮かんでくる。貴方と出会った日、一睡もできなかったこととか、すごい無理して食費までつぎ込んで指輪買ってくれたこととか、まるで昨日のように思い出せるよ」
無理をして楽しい事だけを思い出している。あまりに酷く、悲しい光景だった。
「私が死んだら、貴方は泣いて……あ、ごめんね。すごい無理なこと言っちゃって。でも、今の貴方を見ていたら、どうしても聞いてみたくなったの」
「泣くよ。当たり前じゃないか、夫婦なんだから」
「ありがとう。嘘でも嬉しい、かな。私に明日が無くても、悲しんで泣いて、明日も眠れないような人がいるんだったら、ちょっとはマシだよね」
それは少し皮肉が混じった言葉のように思えた。僕が明日を悲しんでいない事を見透かしているような、そんな雰囲気さえ感じ取れた。
「そろそろ面会時間は終わりです。何か言い残したことがあれば、今のうちに伝えておいてください」
さっきまでずっとドアにへばりついてぴくりとも動かなかった看守が言った。
「ええ、わかりました」
「じゃあ、そろそろ帰るね」
そう言うと、彼女は少しあわてたように見えた。
「あ、ちょっと待って。私、最後に……最後に一つだけ聞いておきたい事があるんだけど、いい?」
「うん、でもその前に僕も聞いていいかな?」
彼女の動きが止まった。もしかしたら、僕が何を聞こうとしているのか察したのかもしれない。視線がピタリと定まる。
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