29 / 39
二人の旅も折り返し
しおりを挟む
パラダイスに潜入したフローラは、キャサリンがいるという部屋で鉢合わせしそうになる。
「ギャレン様だからですよ~」
フローラはキャサリンの声に首をかしげる。
お姉ちゃんと違うような・・。
姿を見ようとまっているが、おしゃべりしていて一向に入ってくる気配がない。
焦れたフローラは、顔を見ようとテーブルクロスをめくる。
すると、中年の男とキャサリンと呼ばれていた娘の顔が見えた。
・・お姉ちゃんじゃない。
ペタリと、その場にへたり込む。
ドキドキしていた心臓が、ゆっくりとなる。
何のために苦労して潜入したのか?
お金を払って買ったメイド服も、ジャックの苦労も、全部無駄になってしまった。
「ちょっと!何よこれ」
怒りながらキャサリンが、何かを蹴る音に我に返る。そうだ。 桶をおきっぱなしにしていたことを思い出す。
しまった。匂いにつられて忘れてた。 まったく何やってるんだか。これじゃあ、ジャックが心配するのは無理はない。お姉ちゃんじゃないなら、ここにいても仕方ない。さっさと出ていこう。 遅くなるとジャックが心配する。
「ちょっと待ってくださいね。すぐ片付けさせます」
コツコツと言う足音が小さくなっていく。キャサリンは、いなくなったようだ 。残るはもう一人の男。
床とテーブルクロスの隙間から、男の動きを探る。すると靴先が、こちらを向く。来る!
息を殺してテーブルの下で縮こまっていると、男の靴が目の前を横切る。
フローラはそろりと顔だけ出して、男の姿を目で追う。
ごちそうの並んでいるついたての向こうに消えた。大丈夫だ。あそこなら私の姿は見えない。テーブルの下から這い出ると、フローラは立ち上がって桶を持つ。
「失礼します。置き忘れてた桶を回収しに来ました」
ドアの前で 前まで移動すると、大声で一方的に話して返事を待たずに部屋を出る。 その足でトイレに誰かと会わないよくに早足で向かう。
「はぁ~」
とぼとぼとジャックのもとへ歩きながら、フローラはため息をつく。
本当にお姉ちゃんはいないの?
キャサリン違いかもしれない。
どうしても諦めきれなくて、あの後も他のメイドに確かめたが お姉ちゃんはここにいなかった 。
一体お姉ちゃんはどこにいるの?
グリッド村にもいなかった。ここにもいなかった 。
じゃあ、お姉ちゃんは貴族の所?
本当に? 村娘の奴隷をわざわざ自分の村まで連れて帰る?貴族の興味を引くような歌や踊りが 上手いわけじゃない。やっぱり人違いかもしれない。
だけど ・・わずかな可能性はある。
でも・・今回みたいに空振りだったら?
(駄目。駄目!)
首を振って弱気になる自分を振り払う。 私が諦めたらお姉ちゃんはどうなるの?そうでしょ。こうしてる間も、きっと姉ちゃんが悲しくて泣いてる。
お姉ちゃんを助けられるのは私しかいない。諦めたら、そこで終わり。
まだよ。まだ。まだ。スバイア村が残ってる。
両頬を叩いて喝を入れる。
*****
搬入口の近くでジャックは、ぶつぶつ言いながら行ったり来たりする。
建物から異変は感じない。静かで、助けを求めるフローラの声もしない。
大丈夫だ。フローラを信じろ! やればできる子だ。だか、時間がかかってる。本当に大丈夫なのか? 探しに行った方がいいので ?
いや待て。もう少し待とう。様子だけでも見に行った方が・・。しかし・・。
「ジャック」
気を揉んでいたところに、片手を挙げてフローラが明るい顔で小走りにこちらへ来る。無事な姿にホッとしたが、 喜んでいる風でもない。
素直と言うか、子供みたいなフローラは自分の感情を表に出す。
だから、尚更不思議に思う。
「おかえりフローラ。 どうだった? 姉さんだったか」
「違いました」
ふるふると首を横に振る。
だから喜んでなかったのか。しかし、そのわりに 吹っ切れた顔をしている。 「そうか・・」
ジャックは自分の口から出た声の調子に驚く。
フローラは人違いだったと、がっかりしているんだから、悲しまないといけないのに・・。慰めたい気持ちもある。でも、先延ばしになったことを心のどこかで喜んでいる自分がいる。
他人の不幸を喜ぶような男ではなかったはず。 別にフローラのことが嫌いというやけでない。どちらかと言えば好きだ 。
(それなのにどうして?)
ジャックは、自分の心が 変わりそうなことに不安を感じる。
**ちょっと寄り道**
ジャックの提案で、報告も兼ねてグリット村に立ち寄ることになった。
フローラはリンダの家の庭で、ふんふんと鼻歌を歌いながら 桶の中の洗濯物を踏み洗いする、隣ではリンダが自分と同じように洗濯している。目が合うたびにお互いに微笑む。
汗を拭うと手の甲で額をこすると、目の前に雲ひとつない青空が広がっている。今日は天気がいいし、風もある。
洗濯物もすぐ乾くだろう。
その頃ジャックは、事後処理のために居候しているザップと3人でコーヒーを飲みながら、ずり落ちる毛布と格闘していた。
フローラに身ぐるみ剥がされて、今は体一つで心もとない。
「そうか。違ったか。じゃあ、フローラはがっかりしただろう」
「それが、これではっきりしたとスッキリしたようでした」
本音かどうかは分からないが、パラダイスの話はそれきり口にしなくなった。だから俺もあえて聞こうとはしなかった。フローラの中で決着がついていることを 他人の俺がとやかく言うことじゃない。
「フローラは決断力があるからな。このぶんだと尻にひかれそうだな」
「ブフッ」
ジャックは、むせて飲んでいたコーヒーを吹き出す。
「何言ってるんですか」
「 照れるな、照れるな」
ザップがニヤリとして言うと、俺の第10肋骨を小突く。他人事だと思って好き勝手言って。
結婚など、とんでもない。人間のフローラを幸せにできるのは人間の男だ。 これ以上ザップに構っていられないと、話をリンダの父親に振る。
「それで、村の方はどうなんですか?」
「まだまだ時間がかかりそうだが、徐々に日常に戻り始めている」
リンダの父親の言葉に、自分たちがやったことが無駄でなかったと喜ぶ。
***
グリット村を出発して旅も折り返し。 川や湖で体を洗い。宿に泊まれない時は薪を枕に、一枚の毛布を分かち合って寝る。もうすっかり二人旅には慣れた。お互いに役割分担が出来てるから無駄がない。
フローラはジャックより一足先に目を覚ますと、コーヒーポットを焚き火に入れる。
今度こそ会える。
そう思いたいのに、もう一人の自分が期待するなと囁く。
(このまま会えなかったら・・)
姉を探して一生を終える。
そんな自分の人生が容易に想像できる。探すのをやめてしまえば、後悔と後ろめたさが自分を苛む。そうなれば、自分の幸せに影を落とす。
次こそは、次こそはと終わりがない。
諦めることができれば・・。
でも、自分の中の何かが諦めることを許さない。そんな自分を疎ましく思う。私は・・自分の幸せを望むことにためらう。どうして私は不器用なんだろう。
姉の幸せが私の幸せ。
1月前は、その事に何の疑問も持たなかった。
でも、ジャックと出会って、外の世界に触れて、他の幸せがあると知ってしてしまった。
(・・・)
骨を鳴らす音がジャックが 目を覚ましたこと告げる。
立ち上がったジャックが 大きく伸びをして首を回している。 毎朝の光景にフローラは微笑む。
初めは、その音に驚いたけど 今はもう慣れた。
「おはよう」
「んーおはよう」
コーヒーの入ったマグを渡すと、ジャックがあくびをする。
「フローラは、野宿続きなのに元気だな。ベッドで寝たいと思わないのか?」
「それはもちろん寝たいです。でも、ジャックと一緒じゃなきゃ嫌です」
ジャックがコーヒーを飲み干すと新しく注ぐ。朝が弱いらしく何杯も飲む 。「どうして二人に拘る。俺に対して申し訳ないと思っているのか? もし、俺に気兼ねしてるんだったら、無理するな。アンデッドと人間では体のつくりが違うんだから」
気兼ねも、無理もしてない。 一緒にいたいだけ。
ジャックは私にとっては、家族のようなものだもの。ここにお姉ちゃんがいれば完璧なのに・・。
「ところでフローラの姉さんは美人なのか?」
「えっ」
「ギャレン様だからですよ~」
フローラはキャサリンの声に首をかしげる。
お姉ちゃんと違うような・・。
姿を見ようとまっているが、おしゃべりしていて一向に入ってくる気配がない。
焦れたフローラは、顔を見ようとテーブルクロスをめくる。
すると、中年の男とキャサリンと呼ばれていた娘の顔が見えた。
・・お姉ちゃんじゃない。
ペタリと、その場にへたり込む。
ドキドキしていた心臓が、ゆっくりとなる。
何のために苦労して潜入したのか?
お金を払って買ったメイド服も、ジャックの苦労も、全部無駄になってしまった。
「ちょっと!何よこれ」
怒りながらキャサリンが、何かを蹴る音に我に返る。そうだ。 桶をおきっぱなしにしていたことを思い出す。
しまった。匂いにつられて忘れてた。 まったく何やってるんだか。これじゃあ、ジャックが心配するのは無理はない。お姉ちゃんじゃないなら、ここにいても仕方ない。さっさと出ていこう。 遅くなるとジャックが心配する。
「ちょっと待ってくださいね。すぐ片付けさせます」
コツコツと言う足音が小さくなっていく。キャサリンは、いなくなったようだ 。残るはもう一人の男。
床とテーブルクロスの隙間から、男の動きを探る。すると靴先が、こちらを向く。来る!
息を殺してテーブルの下で縮こまっていると、男の靴が目の前を横切る。
フローラはそろりと顔だけ出して、男の姿を目で追う。
ごちそうの並んでいるついたての向こうに消えた。大丈夫だ。あそこなら私の姿は見えない。テーブルの下から這い出ると、フローラは立ち上がって桶を持つ。
「失礼します。置き忘れてた桶を回収しに来ました」
ドアの前で 前まで移動すると、大声で一方的に話して返事を待たずに部屋を出る。 その足でトイレに誰かと会わないよくに早足で向かう。
「はぁ~」
とぼとぼとジャックのもとへ歩きながら、フローラはため息をつく。
本当にお姉ちゃんはいないの?
キャサリン違いかもしれない。
どうしても諦めきれなくて、あの後も他のメイドに確かめたが お姉ちゃんはここにいなかった 。
一体お姉ちゃんはどこにいるの?
グリッド村にもいなかった。ここにもいなかった 。
じゃあ、お姉ちゃんは貴族の所?
本当に? 村娘の奴隷をわざわざ自分の村まで連れて帰る?貴族の興味を引くような歌や踊りが 上手いわけじゃない。やっぱり人違いかもしれない。
だけど ・・わずかな可能性はある。
でも・・今回みたいに空振りだったら?
(駄目。駄目!)
首を振って弱気になる自分を振り払う。 私が諦めたらお姉ちゃんはどうなるの?そうでしょ。こうしてる間も、きっと姉ちゃんが悲しくて泣いてる。
お姉ちゃんを助けられるのは私しかいない。諦めたら、そこで終わり。
まだよ。まだ。まだ。スバイア村が残ってる。
両頬を叩いて喝を入れる。
*****
搬入口の近くでジャックは、ぶつぶつ言いながら行ったり来たりする。
建物から異変は感じない。静かで、助けを求めるフローラの声もしない。
大丈夫だ。フローラを信じろ! やればできる子だ。だか、時間がかかってる。本当に大丈夫なのか? 探しに行った方がいいので ?
いや待て。もう少し待とう。様子だけでも見に行った方が・・。しかし・・。
「ジャック」
気を揉んでいたところに、片手を挙げてフローラが明るい顔で小走りにこちらへ来る。無事な姿にホッとしたが、 喜んでいる風でもない。
素直と言うか、子供みたいなフローラは自分の感情を表に出す。
だから、尚更不思議に思う。
「おかえりフローラ。 どうだった? 姉さんだったか」
「違いました」
ふるふると首を横に振る。
だから喜んでなかったのか。しかし、そのわりに 吹っ切れた顔をしている。 「そうか・・」
ジャックは自分の口から出た声の調子に驚く。
フローラは人違いだったと、がっかりしているんだから、悲しまないといけないのに・・。慰めたい気持ちもある。でも、先延ばしになったことを心のどこかで喜んでいる自分がいる。
他人の不幸を喜ぶような男ではなかったはず。 別にフローラのことが嫌いというやけでない。どちらかと言えば好きだ 。
(それなのにどうして?)
ジャックは、自分の心が 変わりそうなことに不安を感じる。
**ちょっと寄り道**
ジャックの提案で、報告も兼ねてグリット村に立ち寄ることになった。
フローラはリンダの家の庭で、ふんふんと鼻歌を歌いながら 桶の中の洗濯物を踏み洗いする、隣ではリンダが自分と同じように洗濯している。目が合うたびにお互いに微笑む。
汗を拭うと手の甲で額をこすると、目の前に雲ひとつない青空が広がっている。今日は天気がいいし、風もある。
洗濯物もすぐ乾くだろう。
その頃ジャックは、事後処理のために居候しているザップと3人でコーヒーを飲みながら、ずり落ちる毛布と格闘していた。
フローラに身ぐるみ剥がされて、今は体一つで心もとない。
「そうか。違ったか。じゃあ、フローラはがっかりしただろう」
「それが、これではっきりしたとスッキリしたようでした」
本音かどうかは分からないが、パラダイスの話はそれきり口にしなくなった。だから俺もあえて聞こうとはしなかった。フローラの中で決着がついていることを 他人の俺がとやかく言うことじゃない。
「フローラは決断力があるからな。このぶんだと尻にひかれそうだな」
「ブフッ」
ジャックは、むせて飲んでいたコーヒーを吹き出す。
「何言ってるんですか」
「 照れるな、照れるな」
ザップがニヤリとして言うと、俺の第10肋骨を小突く。他人事だと思って好き勝手言って。
結婚など、とんでもない。人間のフローラを幸せにできるのは人間の男だ。 これ以上ザップに構っていられないと、話をリンダの父親に振る。
「それで、村の方はどうなんですか?」
「まだまだ時間がかかりそうだが、徐々に日常に戻り始めている」
リンダの父親の言葉に、自分たちがやったことが無駄でなかったと喜ぶ。
***
グリット村を出発して旅も折り返し。 川や湖で体を洗い。宿に泊まれない時は薪を枕に、一枚の毛布を分かち合って寝る。もうすっかり二人旅には慣れた。お互いに役割分担が出来てるから無駄がない。
フローラはジャックより一足先に目を覚ますと、コーヒーポットを焚き火に入れる。
今度こそ会える。
そう思いたいのに、もう一人の自分が期待するなと囁く。
(このまま会えなかったら・・)
姉を探して一生を終える。
そんな自分の人生が容易に想像できる。探すのをやめてしまえば、後悔と後ろめたさが自分を苛む。そうなれば、自分の幸せに影を落とす。
次こそは、次こそはと終わりがない。
諦めることができれば・・。
でも、自分の中の何かが諦めることを許さない。そんな自分を疎ましく思う。私は・・自分の幸せを望むことにためらう。どうして私は不器用なんだろう。
姉の幸せが私の幸せ。
1月前は、その事に何の疑問も持たなかった。
でも、ジャックと出会って、外の世界に触れて、他の幸せがあると知ってしてしまった。
(・・・)
骨を鳴らす音がジャックが 目を覚ましたこと告げる。
立ち上がったジャックが 大きく伸びをして首を回している。 毎朝の光景にフローラは微笑む。
初めは、その音に驚いたけど 今はもう慣れた。
「おはよう」
「んーおはよう」
コーヒーの入ったマグを渡すと、ジャックがあくびをする。
「フローラは、野宿続きなのに元気だな。ベッドで寝たいと思わないのか?」
「それはもちろん寝たいです。でも、ジャックと一緒じゃなきゃ嫌です」
ジャックがコーヒーを飲み干すと新しく注ぐ。朝が弱いらしく何杯も飲む 。「どうして二人に拘る。俺に対して申し訳ないと思っているのか? もし、俺に気兼ねしてるんだったら、無理するな。アンデッドと人間では体のつくりが違うんだから」
気兼ねも、無理もしてない。 一緒にいたいだけ。
ジャックは私にとっては、家族のようなものだもの。ここにお姉ちゃんがいれば完璧なのに・・。
「ところでフローラの姉さんは美人なのか?」
「えっ」
0
あなたにおすすめの小説
【完結】奇跡のおくすり~追放された薬師、実は王家の隠し子でした~
いっぺいちゃん
ファンタジー
薬草と静かな生活をこよなく愛する少女、レイナ=リーフィア。
地味で目立たぬ薬師だった彼女は、ある日貴族の陰謀で“冤罪”を着せられ、王都の冒険者ギルドを追放されてしまう。
「――もう、草とだけ暮らせればいい」
絶望の果てにたどり着いた辺境の村で、レイナはひっそりと薬を作り始める。だが、彼女の薬はどんな難病さえ癒す“奇跡の薬”だった。
やがて重病の王子を治したことで、彼女の正体が王家の“隠し子”だと判明し、王都からの使者が訪れる――
「あなたの薬に、国を救ってほしい」
導かれるように再び王都へと向かうレイナ。
医療改革を志し、“薬師局”を創設して仲間たちと共に奔走する日々が始まる。
薬草にしか心を開けなかった少女が、やがて王国の未来を変える――
これは、一人の“草オタク”薬師が紡ぐ、やさしくてまっすぐな奇跡の物語。
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
冷遇妃マリアベルの監視報告書
Mag_Mel
ファンタジー
シルフィード王国に敗戦国ソラリから献上されたのは、"太陽の姫"と讃えられた妹ではなく、悪女と噂される姉、マリアベル。
第一王子の四番目の妃として迎えられた彼女は、王宮の片隅に追いやられ、嘲笑と陰湿な仕打ちに晒され続けていた。
そんな折、「王家の影」は第三王子セドリックよりマリアベルの監視業務を命じられる。年若い影が記す報告書には、ただ静かに耐え続け、死を待つかのように振舞うひとりの女の姿があった。
王位継承争いと策謀が渦巻く王宮で、冷遇妃の運命は思わぬ方向へと狂い始める――。
(小説家になろう様にも投稿しています)
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜
美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?
冷徹宰相様の嫁探し
菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。
その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。
マレーヌは思う。
いやいやいやっ。
私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!?
実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。
(「小説家になろう」でも公開しています)
婚約破棄を申し入れたのは、父です ― 王子様、あなたの企みはお見通しです!
みかぼう。
恋愛
公爵令嬢クラリッサ・エインズワースは、王太子ルーファスの婚約者。
幼い日に「共に国を守ろう」と誓い合ったはずの彼は、
いま、別の令嬢マリアンヌに微笑んでいた。
そして――年末の舞踏会の夜。
「――この婚約、我らエインズワース家の名において、破棄させていただきます!」
エインズワース公爵が力強く宣言した瞬間、
王国の均衡は揺らぎ始める。
誇りを捨てず、誠実を貫く娘。
政の闇に挑む父。
陰謀を暴かんと手を伸ばす宰相の子。
そして――再び立ち上がる若き王女。
――沈黙は逃げではなく、力の証。
公爵令嬢の誇りが、王国の未来を変える。
――荘厳で静謐な政略ロマンス。
(本作品は小説家になろうにも掲載中です)
さようなら、お別れしましょう
椿蛍
恋愛
「紹介しよう。新しい妻だ」――夫が『新しい妻』を連れてきた。
妻に新しいも古いもありますか?
愛人を通り越して、突然、夫が連れてきたのは『妻』!?
私に興味のない夫は、邪魔な私を遠ざけた。
――つまり、別居。
夫と父に命を握られた【契約】で縛られた政略結婚。
――あなたにお礼を言いますわ。
【契約】を無効にする方法を探し出し、夫と父から自由になってみせる!
※他サイトにも掲載しております。
※表紙はお借りしたものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる