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【完結】物実の鏡【冒険の書続編/甘め】
10*
気付けば口付けていた。
魔王がいつも浮かべている意地悪な表情の奥で、切なげに揺れる目がいじらしくて、そうせずには居られなかった。
この男は、俺に何も悟らせないように振る舞いながら、こんな想いをずっと抱えていたのか。
胸が熱くなって、必死で蓋をしていた感情が溢れてくる。
あぁ、愛しい。
とっくに心も絆されていたんだ。
甲斐甲斐しく世話を焼かれて、気を失うほど激しく愛されて、耳元で熱い声で求められて。
それを認めることがどうしても出来なかった。苗床として扱われるのが辛くて、名も知らぬ事が切なくて。
「…これは、同意と取ってもいいか?」
唇がほんの少しだけ離れて、触れ合うような距離で魔王が囁く。その瞳の奥で切なさの向こうにほんの少しだけ期待の色が見て取れた。
小さく頷く。
次の瞬間、噛みつくように口付けられた。
「んっ…ふ、ぁ…っ」
呼吸を奪うように責められて、たちまちに身体が溶かされる。
とろとろと口の端からどちらのともつかない唾液が漏れて喉を濡らした。
「…はふっ、う」
気付けばベッドの上だった。
魔王は性急に俺の服を脱がせて首筋に噛み付く。甘い痛みに腰がずくんと疼いた。
背に腕を回してシャツをたくしあげる。肌の感触を楽しむように撫で回すと、魔王は起き上がってもどかしげにシャツを脱ぎ捨てた。
「あまり加減が出来んやもしれぬ」
ありありと興奮を湛えた瞳に射すくめられて、期待に身体が高ぶった。
「必要ない」
また深く口付けられてそれを甘んじて受け入れる。
絡めた舌を吸われて、甘噛みされて、頭の芯が痺れた。
「ん、はぁ、…ぁっ」
口付けの合間に吐息が漏れる。
魔王の手が胸を這って、ぷつんと勃った乳首を摘ままれるとそこからもどかしいくらいの熱が広がって身体がぶるりと震えた。
早く欲しい。
身体を溶かす愛撫なんていらない。慣らさなくていい。早く…。
強請るように腰を浮かせて滾った性器を魔王のそれに擦り付けると、魔王はくっと息を詰めて叱るように俺の乳首をつねった。
「あっ、ん…!」
堪らず声が漏れる。感じるのは痛みのはずなのにそれすら気持ちいい。もっとして欲しい。
「…あまり煽ってくれるな」
辛そうに眉根を寄せた表情に俺も煽られて、続けてそこを掌ですりすりと撫で上げる。
いつもするみたいにどろどろになるまで愛してほしい。
感情がどうしようもなく高ぶって、魔王の首に腕を回して抱き寄せて何度も口付けて熱い吐息を交わす。唇を甘噛みして舌先で擽ると、魔王は乳首を捏ねながらはぁっと息をついた。
「本当に、仕様のないやつだ」
下履を脱がされて、すっかり勃ち上がった性器を撫でられると甘い快感が背中まで駆け上がってくる。
堪らない。受け入れただけで快感の質がまったく変わってしまった。甘くて蕩けそうだ。
「ん、あ、んっ」
緩く扱かれてくちゅくちゅと湿った音が漏れて、そこから駆け上がってくる快感に首筋までがゾクゾクと痺れる。
そうやって感じる気持ちよさとは別に腹の奥がずくずくと疼いて、もどかしくて堪らなくなった。
「もう、早く、しろ…」
抱き寄せて耳元で囁くと、魔王は俺の頬に1度口付けてから身体を起こした。
「随分、甘え上手になったではないか。どうして欲しいかちゃんと言ってみろ」
魔王は興奮を隠しもしない荒い息を吐きながらいつもの意地悪な調子で言って、下履の前を緩めて固くそそり立った性器を顕にした。
ごくり、と喉が鳴る。
もう我慢する必要は無い。理性もプライドも関係ない。
「…入れて、奥を突いて、中に、出してくれ…」
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