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【完結】皇帝ペンギン【甘め/微ハーレム】
6*
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落ち着いた声と、背中をとんとんと叩かれるのが心地いい。
先生は俺を抱きしめていた身体を少し離して、頬と頬をくっつけた。そこから直接感じる温もりに胸がじんわりと暖かくなる。
「僕に甘えてください。頼ってください。泣きそうな顔で笑うのを見せられるより、その方が嬉しいです」
こめかみにもちゅ、とキスが落ちてきて、その唇はそのまま頬に降りてきた。俺の涙を掬い取るように何度も優しく口付けられる。
「…そんな、でも、」
滑らかな温もりを感じつつ、残っている理性で否定しようとすると、先生は俺の額に自分の額をくっつけて真剣な顔をして俺を見つめた
「はい、って、言ってください」
優しいような、熱いような視線に言い訳が霧散してしまう。それでも素直になれなくて目を逸らすと、唇が触れ合いそうな距離まで顔を寄せられた。触れてはいないのに、体温を感じる距離。吐息に擽られて、ぞく、と首筋が痺れた。触れるか触れないかの、その熱が欲しくて呼吸が荒くなってくる。
「…お返事は?」
いつもの朝日奈先生のほんわかした温かい声じゃなくて、静かで、低い囁き。
いつの間にか背中をとんとんと宥めてくれていた手は首の後ろを支えるように添えられていて、あとは俺の一言だけなんだということが分かった。
一言で甘い熱が手に入る。
緊張して唾液を飲み込むと、こく、という音が妙に耳についた。
「…は、ぃ…」
言い切るのと同時に、強く唇が押し付けられた。
一度離れて、角度を変えてもう一度。唇同士が何度も重なり合って濡れた音がする。
何度かそうやって、お互いの唇がしっとり湿って来たところで、先生の舌が伺うように俺の唇を舐めた。
入って来たがってる…。
応えるように唇を這う舌をちろりと舐めると、熱い舌がぬる、と口内へ滑り込んできた。
絡め取られて、歯列をなぞられて、唇を柔く吸われてぞくぞくと甘い痺れが走る。
主導権が違うだけで快感の質はこんなに変わってしまうものなのか。
久しぶりのキスは記憶にあったのとは全然違う気持ち良さで、尊重されてるようで、蹂躙されてるようでもあって、身体ごととろりと溶けてしまいそうだった。
「んっ、…んふ…っ」
ほんの少しの息苦しさに、鼻から吐息が漏れる。それが妙に気恥ずかしくて息を詰めると、首筋に添えられた手の指先がするりと生え際を撫でた。
「ふぁっ」
ぞくっと走った痺れに思わず甘い声が出る。それを封じ込めるようにキスが一層深くなった。身体の力が抜けてしまってソファの背もたれに深く身体を預けると、ようやく解放された唇の隙間からどちらのものともつかない唾液が糸を引いて銀色に光った。
「…落ち着きましたか?」
甘いキスに夢中になって、気付けば涙は止まっていた。泣いたことで胸の内も少しすっきりしている。
みっともない泣き顔をじっと見つめられているのが気恥ずかしくて顔を背けると、俺の身体の横に片膝をついて距離を縮めてきた先生が耳にキスをした。ちゅ、という音が耳の中に響く。さっきまでぐずぐず泣いていたというのに、耳から走った快感に肩がぴくんと跳ねてしまった。
耳は、ちょっと、駄目だ。
思わず身を捩る。その反応で察してしまったんだろう、先生はふっと笑って俺の頬と首の後ろに手を添えて逃げれないようにしてから、繰り返しそこにキスをし始めた。
「っ、んっ、…っ、だめ、です…、ふぁあ…っ」
つぅ、と触れるか触れないかの距離で耳の縁を擽るように舐められると、ぞくぞくと背筋に響くような快感が走って、身体を捩らずにはいられない。
「耳、弱いんですね。可愛い」
嬉しそうな声と吐息を吹き込まれてまたぞくんと身体が痺れた。我慢しきれない声が漏れるのが恥ずかしくて手の甲で口を塞ぐのに、耳朶を噛まれてまた「んっ」と声が出てしまう。
泣いたからなのか、羞恥心からなのか、分からないけど頬が熱い。両方かもしれない。
一頻りそこを虐めて俺を悶えさせて満足したのか、朝日奈先生は解放した頬にちゅ、と口付けた。空いた手で俺のネクタイを外しながら、その唇がするすると首筋に降りてくる。
「もっと感じてください。僕が倉木さんを目一杯愛して、甘やかしてあげます」
甘い囁きにぶるりと身体が震えた。
先生は俺を抱きしめていた身体を少し離して、頬と頬をくっつけた。そこから直接感じる温もりに胸がじんわりと暖かくなる。
「僕に甘えてください。頼ってください。泣きそうな顔で笑うのを見せられるより、その方が嬉しいです」
こめかみにもちゅ、とキスが落ちてきて、その唇はそのまま頬に降りてきた。俺の涙を掬い取るように何度も優しく口付けられる。
「…そんな、でも、」
滑らかな温もりを感じつつ、残っている理性で否定しようとすると、先生は俺の額に自分の額をくっつけて真剣な顔をして俺を見つめた
「はい、って、言ってください」
優しいような、熱いような視線に言い訳が霧散してしまう。それでも素直になれなくて目を逸らすと、唇が触れ合いそうな距離まで顔を寄せられた。触れてはいないのに、体温を感じる距離。吐息に擽られて、ぞく、と首筋が痺れた。触れるか触れないかの、その熱が欲しくて呼吸が荒くなってくる。
「…お返事は?」
いつもの朝日奈先生のほんわかした温かい声じゃなくて、静かで、低い囁き。
いつの間にか背中をとんとんと宥めてくれていた手は首の後ろを支えるように添えられていて、あとは俺の一言だけなんだということが分かった。
一言で甘い熱が手に入る。
緊張して唾液を飲み込むと、こく、という音が妙に耳についた。
「…は、ぃ…」
言い切るのと同時に、強く唇が押し付けられた。
一度離れて、角度を変えてもう一度。唇同士が何度も重なり合って濡れた音がする。
何度かそうやって、お互いの唇がしっとり湿って来たところで、先生の舌が伺うように俺の唇を舐めた。
入って来たがってる…。
応えるように唇を這う舌をちろりと舐めると、熱い舌がぬる、と口内へ滑り込んできた。
絡め取られて、歯列をなぞられて、唇を柔く吸われてぞくぞくと甘い痺れが走る。
主導権が違うだけで快感の質はこんなに変わってしまうものなのか。
久しぶりのキスは記憶にあったのとは全然違う気持ち良さで、尊重されてるようで、蹂躙されてるようでもあって、身体ごととろりと溶けてしまいそうだった。
「んっ、…んふ…っ」
ほんの少しの息苦しさに、鼻から吐息が漏れる。それが妙に気恥ずかしくて息を詰めると、首筋に添えられた手の指先がするりと生え際を撫でた。
「ふぁっ」
ぞくっと走った痺れに思わず甘い声が出る。それを封じ込めるようにキスが一層深くなった。身体の力が抜けてしまってソファの背もたれに深く身体を預けると、ようやく解放された唇の隙間からどちらのものともつかない唾液が糸を引いて銀色に光った。
「…落ち着きましたか?」
甘いキスに夢中になって、気付けば涙は止まっていた。泣いたことで胸の内も少しすっきりしている。
みっともない泣き顔をじっと見つめられているのが気恥ずかしくて顔を背けると、俺の身体の横に片膝をついて距離を縮めてきた先生が耳にキスをした。ちゅ、という音が耳の中に響く。さっきまでぐずぐず泣いていたというのに、耳から走った快感に肩がぴくんと跳ねてしまった。
耳は、ちょっと、駄目だ。
思わず身を捩る。その反応で察してしまったんだろう、先生はふっと笑って俺の頬と首の後ろに手を添えて逃げれないようにしてから、繰り返しそこにキスをし始めた。
「っ、んっ、…っ、だめ、です…、ふぁあ…っ」
つぅ、と触れるか触れないかの距離で耳の縁を擽るように舐められると、ぞくぞくと背筋に響くような快感が走って、身体を捩らずにはいられない。
「耳、弱いんですね。可愛い」
嬉しそうな声と吐息を吹き込まれてまたぞくんと身体が痺れた。我慢しきれない声が漏れるのが恥ずかしくて手の甲で口を塞ぐのに、耳朶を噛まれてまた「んっ」と声が出てしまう。
泣いたからなのか、羞恥心からなのか、分からないけど頬が熱い。両方かもしれない。
一頻りそこを虐めて俺を悶えさせて満足したのか、朝日奈先生は解放した頬にちゅ、と口付けた。空いた手で俺のネクタイを外しながら、その唇がするすると首筋に降りてくる。
「もっと感じてください。僕が倉木さんを目一杯愛して、甘やかしてあげます」
甘い囁きにぶるりと身体が震えた。
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