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【完結】部屋とワセリンと鋏【甘め/鏡】
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「や、みるな、…ぁんっ」
慌てて顔を隠しても、枕程全部を覆ってくれるわけでもない腕ではただ自分の視界を遮っているだけにしかならなくてあまりにも心許ない。
おまけに口を塞ぐものもなくなってしまったことで自分のあられもない声が明確に耳に響いてきた。
耳を塞ぐか、顔を隠すか…。
どちらも選べなくて、及川の手を止めるという第三の選択を選んだ俺は縋るように及川の袖を掴んだ。
「それ、誘ってるのか?」
それに気を良くしたらしい。及川は「ふ」と嬉し気な吐息を漏らしてから、俺の尻に埋めている指をぬくぬくとゆっくり前後に抽挿させ始めた。
指先のぎりぎりまで引き抜かれて、それを追いかけるみたいにきゅぅっと締まったのを割り開くようにまた中に潜り込んでくる。
ぬるりとした感触と僅かに感じる摩擦に縁を擦られて、ぞわぞわともどかしいような痺れが込み上げてきた。擦られているのは尻のはずなのに、なぜだか性器の内側を擽られているような…。
指が蠢く度に、体温ですっかり緩んだワセリンがにちゅっ、ちゅぷっと濡れた音を響かせる。
まるで自分が女の子のように濡らしてしまっているような錯覚を覚えて音に犯されている耳が熱くなった。
その音、やだ…っ
悶えている内に徐々に抽挿が速まってきて、浅く、速く、ぬちゅぬちゅと粘着質な音を漏らしながら縁を擦られる。
「や、っん!ッあ!やだっ」
少し節ばった長い指が、出たり入ったり、縁を擦られる度にそこからじりじり性器を内側からあぶるような熱が込み上げてくる。なぜだかまだ触られてもいない奥の方がきゅぅ、と疼いた。
初めて感じる未知の感覚に思考が追い付かない。
まるで自分の身体を作り替えられてしまっているかのような恐怖を感じて及川の袖に縋る手に力が籠る。
籠るのに、怖気づく理性とは別の所でもっと先を期待している自分がいるのに気付いてしまった。
繰り返し擦られる縁はすっかり痺れてしまってじんじんと辛いくらいに疼いているのに、くちゅくちゅと抜き差しされる指はともすれば単調で、じわじわともどかしさが込み上げてくる。
「ぁっ、も、やっ…ッ、あっ…!!」
こんな、尻擦られるのが、気持ちいいなんて…っ
認めたくない。認めたくないけど、擦られて感じているのは間違いなく快感で、疼く身体は理性とは裏腹に「もっと」と言うように及川の指をひくひくと締め付けた。
かと言ってそんなこと口が裂けても強請れない。
理性と衝動に板挟みにされる辛さに縋るように見上げれば、熱っぽく歪んだ視線と目が合って、どきっ、と心臓が跳ねた。
「…やらしい顔。指、増やしてもよさそうだな」
初めて見るその表情にどくどくと鼓動が高まる。
お前こそ、やらしい顔してる…。
いつも余裕そうな微笑みをたたえてる目尻は余裕なさげにちょっと鋭く細められて、ほんのり赤く染まって興奮をありありと俺に伝えてきている。
緩く開いて少し荒い吐息を漏らす口元にさっきされたキスを思い出して、口の中にとろとろと涎が溢れ出してきた。
中を一層割り開かれて感じるだろう快感への期待と、フィードバックしたキスの快感にぞくりと背筋が痺れて思わず身を捩ってしまう。
口端から零れそうなくらい込み上げてきた涎を飲み下して、言葉にできない代わりに腰を少しだけ上げた。
慌てて顔を隠しても、枕程全部を覆ってくれるわけでもない腕ではただ自分の視界を遮っているだけにしかならなくてあまりにも心許ない。
おまけに口を塞ぐものもなくなってしまったことで自分のあられもない声が明確に耳に響いてきた。
耳を塞ぐか、顔を隠すか…。
どちらも選べなくて、及川の手を止めるという第三の選択を選んだ俺は縋るように及川の袖を掴んだ。
「それ、誘ってるのか?」
それに気を良くしたらしい。及川は「ふ」と嬉し気な吐息を漏らしてから、俺の尻に埋めている指をぬくぬくとゆっくり前後に抽挿させ始めた。
指先のぎりぎりまで引き抜かれて、それを追いかけるみたいにきゅぅっと締まったのを割り開くようにまた中に潜り込んでくる。
ぬるりとした感触と僅かに感じる摩擦に縁を擦られて、ぞわぞわともどかしいような痺れが込み上げてきた。擦られているのは尻のはずなのに、なぜだか性器の内側を擽られているような…。
指が蠢く度に、体温ですっかり緩んだワセリンがにちゅっ、ちゅぷっと濡れた音を響かせる。
まるで自分が女の子のように濡らしてしまっているような錯覚を覚えて音に犯されている耳が熱くなった。
その音、やだ…っ
悶えている内に徐々に抽挿が速まってきて、浅く、速く、ぬちゅぬちゅと粘着質な音を漏らしながら縁を擦られる。
「や、っん!ッあ!やだっ」
少し節ばった長い指が、出たり入ったり、縁を擦られる度にそこからじりじり性器を内側からあぶるような熱が込み上げてくる。なぜだかまだ触られてもいない奥の方がきゅぅ、と疼いた。
初めて感じる未知の感覚に思考が追い付かない。
まるで自分の身体を作り替えられてしまっているかのような恐怖を感じて及川の袖に縋る手に力が籠る。
籠るのに、怖気づく理性とは別の所でもっと先を期待している自分がいるのに気付いてしまった。
繰り返し擦られる縁はすっかり痺れてしまってじんじんと辛いくらいに疼いているのに、くちゅくちゅと抜き差しされる指はともすれば単調で、じわじわともどかしさが込み上げてくる。
「ぁっ、も、やっ…ッ、あっ…!!」
こんな、尻擦られるのが、気持ちいいなんて…っ
認めたくない。認めたくないけど、擦られて感じているのは間違いなく快感で、疼く身体は理性とは裏腹に「もっと」と言うように及川の指をひくひくと締め付けた。
かと言ってそんなこと口が裂けても強請れない。
理性と衝動に板挟みにされる辛さに縋るように見上げれば、熱っぽく歪んだ視線と目が合って、どきっ、と心臓が跳ねた。
「…やらしい顔。指、増やしてもよさそうだな」
初めて見るその表情にどくどくと鼓動が高まる。
お前こそ、やらしい顔してる…。
いつも余裕そうな微笑みをたたえてる目尻は余裕なさげにちょっと鋭く細められて、ほんのり赤く染まって興奮をありありと俺に伝えてきている。
緩く開いて少し荒い吐息を漏らす口元にさっきされたキスを思い出して、口の中にとろとろと涎が溢れ出してきた。
中を一層割り開かれて感じるだろう快感への期待と、フィードバックしたキスの快感にぞくりと背筋が痺れて思わず身を捩ってしまう。
口端から零れそうなくらい込み上げてきた涎を飲み下して、言葉にできない代わりに腰を少しだけ上げた。
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