260 / 300
【完結】部屋とワセリンと鋏【甘め/鏡】
20*
しおりを挟む耳元に口を寄せていた及川が焦ったように首筋に顔を埋めて「ぐ…」と鈍く呻く。背中…正確には尻に近い辺りで触れた腹がびくっと緊張して、抱き込むように胸と腹に回っている腕に力が入った。
ぎゅうっと抱きしめられて、耳元にふぅふぅと荒い及川の呼吸だけが響く。
「お、まえな…、ホント…」
中で及川の性器がびく、びくん、と何度も跳ねている。男だからわかる。イきそうなのめっちゃ我慢してるんだろう。
でも、腹の中びくびくさせられる方としては堪ったもんじゃない。
入ってるだけでも気持ちいいのに予測のつかない動きで揺すられて、突き当りの所を緩く捏ねられて、脈動にあわせてぞくぞくと腹の奥が痺れる。身体がぴったり密着しているせいでちょっとの身動ぎでも気持ちいいのがせり上ってくる。
「んっ、ぅう…っ、も、おま…っ、びくびく、させんなぁ…っ」
それされるたびに奥がきゅんってなってちんこの内側がじわじわするんだよ…っ
及川は俺をぎゅうぎゅう抱きしめて首筋でふぅふぅ言いながら、俺はその腕に爪を立てて必死で意識をそらしながら、お互い下手に身動きが取れずに硬直したまま暫く、波が引くのを待った。
「……だめだ。かわいすぎる」
及川が首筋に唇を埋めたまま囁く。熱っぽい吐息と一緒に「我慢できない」と聞こえたのと同時に、背中を押さえつけるように四つん這いの体勢に押し倒された。
「ンっ!んぁア!」
突然の動きに、締め付けないように意識を逸らしていた奥を擦られて背筋を一気に電流が駆け上がって来る。
その快感が処理しきれていないうちに、腰を強く引き寄せられた。
「あ゛う!!」
もうぎちぎちまで入っていると思っていた深い所の、もう少し深い所が暴かれる。咄嗟に強張った身体を宥めるように及川の大きな手のひらが背中をするすると撫で上げて、そのまま肩甲骨の辺りをベッドに押し付けた。
「いぬづか…、も、…動くぞ…っ」
ぐち、ぐち、と奥を捏ねられて、込み上げてくる快感に思わず腹の奥が収縮する。締め付けてしまって形がはっきりわかるようになった性器がずるりと内壁を擦りながら引き抜かれて、引きずり出された快感に仰け反ることも許されないまままた奥まで貫かれた。
「~~~っ!!」
声…っ、声が、出ない…!
背中を押さえつけられているから、上半身が自由にならない。
待って!これ、ダメ!!
自由にならない所に無理やり押し込められた快感が全身を暴れまわっている。
咄嗟に逃げようとした腰が前に出るのを及川の手が無理矢理引き戻して、また深い所を突き上げられる。
「ひぐぅ…っ!!」
少し擽られただけで余裕がなくなってしまうような所を無遠慮に突き上げられて、まともでいれるわけがない。
「……ッ!!!」
腹の奥から込み上げてくる快感の奔流に、頭のてっぺんがぱちんと弾けた。ただでさえ朧気なままだった視界がまたちかちかと白む。
背中を押さえつけていた手が腰に戻り、俺の腰を逃げられないように引きつけて奥をぐりぐりとねちっこく抉りまわす。
「ん゛!んぅ゛う゛…!!」
ぞぞぞっと渦を巻きながら込み上げてくる快感が背筋を駆け上がる。その快感が額の辺りでぱちんぱちんと弾けて、脳全体を捏ねられているような危うい錯覚に危機感を覚えた。
「そ、れ…っ、だめ…!!」
やっとのことで絞り出した声は届いたのか届いてないのか、及川は腰をがっしりと抱えたまま激しく抽挿を始めた。
内壁をずりずり擦られる快感と、気を失うほど泣かされた場所を抉られる快感と、奥を突き上げられる快感がごちゃごちゃになって全身を襲う。
「ひぃ゛!あァ!いっ、お…!だ…ッ!!ああぁ!!」
もう、ひたすら快感を逃すことしか考えられなくて、身体の自由になる所を滅茶苦茶に捩って暴れるのに、固定されたように押さえつけられた腰はふらふらと小さく左右に揺するくらいのことしかできない。そんな可愛らしい抵抗すら封じ込めようとするかのように及川の指先に力が入って、一層強く、水も通さないとばかりに肌と肌が密着した。
「ひっ……!!!」
腹の奥で、ぐぶんっ、と鈍い音がした。
44
あなたにおすすめの小説
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる