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【完結】部屋とワセリンと鋏【甘め/鏡】
19*
しおりを挟む腹が勝手に動いて味わうみたいに及川を締め付けてる。
「は…入れられて、イった?えっろ…」
揶揄うような声色に反抗する余裕もない。
とにかく全身が感電したみたいにざわざわと痺れていて、それがどうしようもなく気持ち良くて、胸の前に回された及川の腕にしがみ付く。
「…っ、く…ッ、ん…っ」
少し遅れてやってきた圧迫感に息を詰めれば、腹の奥で及川がひくんと跳ねた。
「…いたく、ないか?」
熱い呼吸と一緒に耳元に吹き込まれる声すら気持ち良くて背中が跳ねる。
まともに受け答えなんてできるわけなくて必死でこくこくと頷いて肯定してやると、及川はまた耳元に「ふ」と少し嬉し気な吐息を浴びせてきた。そのまま宥めるみたいに耳や首筋に唇が落ちてくる。
「んッ、あ…ッ、おい、かわ…ッ」
待って。それもすっごいぞくぞく来る…っ
唇が触れた所から緩い痺れがふわふわ広がって全身が粟立つ。ぞわりと背筋を振るわせれば、身動ぎで意識してしまった奥がきゅんと疼いた。
「…ひくついてる…。感じてるんだな…」
笑みを含んだ声でそう言われてしまうと気付かないふりもできない。かといって肯定するのも恥ずかしくて小さく首を振る。
俺のささやかな抵抗を受けて、及川は「ふふ」と楽し気に笑った。
「また、素直じゃない」
ぐっ、と身体を後ろに引き起こされて、下から掬い上げるように顔を上げさせられる。
腹の奥がぐりっと抉られて、そこから込み上げてきた快感に全身が嬲られる。
「はぅ…っ、な、あ…っ?」
及川の膝に腰かけるような体勢にまで身体を引き起こされて、ずりずりと角度を変えながら中を抉られる快感に震える腹に手を沿えるようにして、ぐっとベッドサイド側に向けられた。
「見ろよ。見えるだろ?」
ちかちかと白む焦点を必死で凝らして合わせた先には、とろとろに蕩けた俺の顔があった。
すっかり赤らんだ頬。潤んだ視線はふらふらと左右に揺れて、仰け反らされて開きっぱなしの口元からは光る雫がとろりと溢れている。上気した肌はしっとりと汗ばんで、その胸の中心では濃い色に染まった乳首がぴんと存在を主張している。腹の中心には…
「…ッ!!」
慌てて顔を逸らす。
全身鏡に映された蕩け切った自分の姿を見せつけられて、全身が羞恥心に包まれた。
それと同時に、腹の奥からむず痒いような痺れが駆け巡ってぎくんっと首筋が強張る。
「はぅ…ぅうう…ッ」
背筋を這い回る緩い電気にぞわぞわと肌が粟立つ。
貫かれた深い所がきゅうぅと切なく疼いて勝手に収縮して及川を締め付けた。その締め付けで跳ねた及川の性器に奥を緩く抉られて身体が跳ねる。身体が跳ねれば中の具合が変わってまた奥が切なくなる。
「あんな顔して、あれだけ出したのにまだぎんぎんに勃ってて、それ見て興奮して中ヒクつかせて勝手に腰が動いてるのに、感じてないってよく言えるな」
揶揄い半分、意地悪半分。悪戯っぽい及川の声に耳がかぁっと熱くなる。
俺だって…こんな、意味わかんないんだよ!
くそでかちんこ突っ込まれてどくどく脈打ってるのが分かるくらいみちみちで苦しいのに、押し込まれっぱなしになってる気持ちいい所と、奥の、さきっぽにぐりぐりされてる所が切なくて気持ち良くて、勝手に腹がひくひくしちゃうんだよ…ッ!
頭の中をぐるぐると巡る言い訳の代わりに俺の口から出てきたのは「ばかぁ…」という馬鹿みたいな悪態だけだった。その声は信じられないくらい甘ったれてて、耳を塞ぎたくなった。
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