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【完結】頭が痛いと言ってくれ!【閲覧注意/催眠】
15*
しおりを挟む「ぅん…ッ」
同意なのか嬌声なのか、どちらかわからない声が鼻から漏れた。
同時に込み上げてきた甘い快感と多幸感とは裏腹に、内腿がぎくんっと強張って、下腹から性器に向かって暴力的な排出感が迸る。
「ひッ!…ぃく…!!」
身体への刺激なんて一切ないのに突然認識させられた快感に、脳が誤作動を起こしてぱちぱちとショートする。
身体に返って来た反応で、ダメ元で我慢、なんて気持ちも一瞬で攫われた。
じょぱっ!ぷぢゅ!と性器から水音が零れて、空が白んで弱い電気を流されたみたいに身体が小さく痙攣する。頭の中ではいつの間にかざぁざぁと雨が降っていた。
「は、あ…、ひ…くぅ…っ」
性器から断続的に薄い液体が噴き出すたびに鋭い快感が腹から駆け上がり、脳が雨粒に晒されてくすぐったいような快感が全身を包む。
あまりに非常識な絶頂に、思考が考えることを手放した。
「あッ、ひっ、いぅ…ッ、ひもちぃい…」
さぞだらしない顔をしてるだろう。
開いているのか閉じているのかすらわからない視界はとろとろにぼやけて、ただ白い光がちかちかと弾けているのだけを捉えている。緩んだ口の端から涎が溢れる感触がやけに生々しく感じられた。
「はぅ…は、ふ…ッ」
やがて絶頂と排出は治まって、甘やかな快感と多幸感だけを残したまま思考と視界がぼんやりと戻って来る。
目は開けていたらしいと気付いたのは、いつの間にか傍に立っていた佐倉さんが俺を見下ろしてるのが見えたからだ。
あまり温度を感じないと思っていた視線に今ははっきりと熱を乗せて、じっと俺を見下ろしている。
「指一本触れないなんて約束、しなきゃよかったな。ね、高坂くん…」
薄い微笑みを浮かべたまま、ちろりと覗かせた舌で見せつけるように湿らせた唇がゆっくりと耳元に寄せられて、低く、一言
「抱いていい?」
と零した。
「えぁ…」
瞬間、何故だか江國課長の苦し気に寄った眉根だとか、心配げに下がった目尻だとか、もどかし気に苦笑する口元が過った。「高坂」と俺を呼ぶ涼し気な声がリフレインする。
「ふふ、誰のこと思い出したのかな?」
途端に先ほどまでの熱っぽさなんて嘘だったみたいに佐倉さんは楽し気に笑って、すっと身体を離した。そのままの動きでデスクを回ってまたゆったりと椅子に腰かける。
「さぁ、疲れたね。少し眠ろう」
まだうすらぼやけた思考に佐倉さんの声が深く沁み込んでくる。
私が数を数えたら君は段々こちら側に戻ってきて、「0」になったら深い眠りに落ちる。
次に目が覚めた時には自分の気持ちに少しだけ素直になってるよ。
10…9…8…
ぼやけていた輪郭が徐々にはっきりしていくみたいに意識が整っていく。
それと比例するみたいに強烈な睡魔が襲ってきて、目が開けていられなくなってきた。
それでもずっと頭の中には江國課長が居て、高坂、高坂、と心配げだったり少し意地悪気だったり色んな声で俺を呼んでいるのが聞こえる気がして、なんでかなぁなんて考えてるうちに、佐倉さんの「0」の声が俺の意識を強制終了させた。
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