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十三
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試験三日前の今日もいつも通りノアと屋上に居る。残り二日は休日でノアに会えないので今日が試験前にノアに会える最後の日だ。
昨日は魔力譲渡をノアに怖いと拒否されたので話題に出し辛く、無言でいつもよりゆっくりパンを食べてたところだ。
最後の一口をよく噛んで無くなってから話しかける。
「魔力譲渡しますか」
やっとのことで口を開いたのにも関わらず返事は案外簡単で、
「いいよ、今日は大丈夫だ」
と言われたので、理由を聞いたら気が変わってしまうということを心配しつつ質問する。
「昨日みたいに怖さは無いんですか?」
「あぁ、昨日は、というより今までは、アルの魔力を貰う度に感傷的になって何となく寂しくなってたんだよ。そんなメンタルの状態だから、自分の魔力量がもう九分目くらいかな、って考えたときに、このままアルの魔力で空っぽだった容器がいっぱいになったら俺、もう空の状態に耐えられない気がして、しかもアル以外の魔力を拒絶するようになるからアルがいなくなったら生きられ無いんじゃないかななんて思ったんだけど、よく考えなくても今回の試験が終わったら俺死ぬじゃんって。だから怖くない。今日は8秒にするか?」
そういうことか。なら、
「僕の魔力で十分目までいっぱいになって死ぬことなんか考えられなくなれば良いんだ。手、出して下さい」
きっと僕はこの人が本気で死にたいって、もう生きられないって、そんな悲しいことを言ったとき、僕には止める権利なんて無いし許されないだろうからそんなことは出来ないけど、死にたいって思えなくなれば止めなくても良いんだ。僕がいなきゃ生きられないならそれを口実に死ぬまで一緒に居れば良いんだ。
仄暗い感情を抱えて俯きながらノアに近付くと、ノアが手を後ろに隠したので、ノアを見上げると
「8秒!だから!」
と焦った様に言われたので安心させるように分かってますよとにっこり笑って言った。まだ不安そうな顔をしていたので大丈夫だから大丈夫といつか聞いた言葉を口に出して手を握る。
1、2、3、4、5、6、7、8
「どうですか?」
手を離して声を掛けるとノアがゆっくり目を開けた。
そしてびっくりして固まってしまった。だってノアの目が
「夕焼けみたいで綺麗……」
思わず感傷に浸っていまいそうな寂しくなる夕焼けの赤に染まっていたからだ。
でも、当然本人は気付かないのでその目に困惑が混じった。
「あなたの黒かった目が赤くなってます!これ見て下さい」
そう言って魔術を使って鏡を出して、ほら、と見せるとノアもびっくりして固まってしまった。
「魔力譲渡の影響ですかね?」
「あ、確かに。十分だって合図かもしれないな」
と話していると
「あー黒に戻っちゃいましたね、もう一回やってみます?」
「使ってないからまだいっぱいに決まってんだろ、それに練習しなくて良いのか、魔術。アルの魔力が無くなるだろ」
「そうですよね……。今日は空中に魔法陣を描いて発動させる練習にします」
「お、やってみろ。魔法陣を発動させるまでは描いた線が消えないから焦らず丁寧に、を忘れずにな」
「了解です!描きますね」
何の魔法陣にしようかなと少し考えて思い付いた魔法陣を描く。
「これは何の魔法陣だ?」
と聞かれすかさず答える。
「勇気が出るように、打ち勝てるようにするための魔法陣です」
「しっかり分かってるみたいで良かったよ。完璧だな?学年一位取れよ、期待してるから」
言葉の裏に隠された意味を考えると気持ちに迷いが出てしまいそうなので、成功しろ、と思いながら魔法陣に魔力を流す。
上手くいったかな。絶対に学年一位を取るんだ。復讐のために。よし。大丈夫だから大丈夫。
「じゃ、頑張れよ、試験前だからって勉強にばっか気を取られてないで睡眠もしっかり取れよ。あと、三日前だからって飯も疎かにするなよ。一緒には食べれないけど」
「分かってますよ。人のことより自分の心配もして下さい。あ、ちょっと待って下さいね」
試験一週間前だから部屋の行き来が、というより部屋から出歩くことが禁止されているので晩御飯を一緒に食べれないのが悲しい。杖を取り出してよく眠れますようにとノアに魔術をかける。今回は上手くいったかな。
「よく眠れるように魔術かけときました!」
「ありがとう、また今度な」
「はい、また今度」
昨日は魔力譲渡をノアに怖いと拒否されたので話題に出し辛く、無言でいつもよりゆっくりパンを食べてたところだ。
最後の一口をよく噛んで無くなってから話しかける。
「魔力譲渡しますか」
やっとのことで口を開いたのにも関わらず返事は案外簡単で、
「いいよ、今日は大丈夫だ」
と言われたので、理由を聞いたら気が変わってしまうということを心配しつつ質問する。
「昨日みたいに怖さは無いんですか?」
「あぁ、昨日は、というより今までは、アルの魔力を貰う度に感傷的になって何となく寂しくなってたんだよ。そんなメンタルの状態だから、自分の魔力量がもう九分目くらいかな、って考えたときに、このままアルの魔力で空っぽだった容器がいっぱいになったら俺、もう空の状態に耐えられない気がして、しかもアル以外の魔力を拒絶するようになるからアルがいなくなったら生きられ無いんじゃないかななんて思ったんだけど、よく考えなくても今回の試験が終わったら俺死ぬじゃんって。だから怖くない。今日は8秒にするか?」
そういうことか。なら、
「僕の魔力で十分目までいっぱいになって死ぬことなんか考えられなくなれば良いんだ。手、出して下さい」
きっと僕はこの人が本気で死にたいって、もう生きられないって、そんな悲しいことを言ったとき、僕には止める権利なんて無いし許されないだろうからそんなことは出来ないけど、死にたいって思えなくなれば止めなくても良いんだ。僕がいなきゃ生きられないならそれを口実に死ぬまで一緒に居れば良いんだ。
仄暗い感情を抱えて俯きながらノアに近付くと、ノアが手を後ろに隠したので、ノアを見上げると
「8秒!だから!」
と焦った様に言われたので安心させるように分かってますよとにっこり笑って言った。まだ不安そうな顔をしていたので大丈夫だから大丈夫といつか聞いた言葉を口に出して手を握る。
1、2、3、4、5、6、7、8
「どうですか?」
手を離して声を掛けるとノアがゆっくり目を開けた。
そしてびっくりして固まってしまった。だってノアの目が
「夕焼けみたいで綺麗……」
思わず感傷に浸っていまいそうな寂しくなる夕焼けの赤に染まっていたからだ。
でも、当然本人は気付かないのでその目に困惑が混じった。
「あなたの黒かった目が赤くなってます!これ見て下さい」
そう言って魔術を使って鏡を出して、ほら、と見せるとノアもびっくりして固まってしまった。
「魔力譲渡の影響ですかね?」
「あ、確かに。十分だって合図かもしれないな」
と話していると
「あー黒に戻っちゃいましたね、もう一回やってみます?」
「使ってないからまだいっぱいに決まってんだろ、それに練習しなくて良いのか、魔術。アルの魔力が無くなるだろ」
「そうですよね……。今日は空中に魔法陣を描いて発動させる練習にします」
「お、やってみろ。魔法陣を発動させるまでは描いた線が消えないから焦らず丁寧に、を忘れずにな」
「了解です!描きますね」
何の魔法陣にしようかなと少し考えて思い付いた魔法陣を描く。
「これは何の魔法陣だ?」
と聞かれすかさず答える。
「勇気が出るように、打ち勝てるようにするための魔法陣です」
「しっかり分かってるみたいで良かったよ。完璧だな?学年一位取れよ、期待してるから」
言葉の裏に隠された意味を考えると気持ちに迷いが出てしまいそうなので、成功しろ、と思いながら魔法陣に魔力を流す。
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「じゃ、頑張れよ、試験前だからって勉強にばっか気を取られてないで睡眠もしっかり取れよ。あと、三日前だからって飯も疎かにするなよ。一緒には食べれないけど」
「分かってますよ。人のことより自分の心配もして下さい。あ、ちょっと待って下さいね」
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「よく眠れるように魔術かけときました!」
「ありがとう、また今度な」
「はい、また今度」
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