三十路おばちゃん、誕生日に異世界転移したら即プロポーズされて、家族ごと国を救って死後も一緒でした ――燕の傭兵団と、ある家族の物語――

いぬぬっこ

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本拠突入

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結論から言う。

敵の本拠、想像の三倍は嫌な場所やった。

なんやねんこれ。
湿ってて、暗くて、寒くて、
空気が「帰れ」って言うてくる。

「なあエドウィン」

「なんだ」

「ここ、絶対ろくな思い出作られへん場所やで」

「同意する」

即答やめて。



影の傭兵団の本拠は、
山の腹をくり抜いた地下要塞。

入口一つ。
逃げ道なし。

「……ほんま、覚悟決めさせに来てるな」

「そういう場所だ」

せやろな。



燕の傭兵団、総員二十名弱。

全員、無言。

笑顔なし。
軽口なし。

あ、これ本気のやつや。



「突入後、散開」

エドウィンの指示は短い。

「俺が前に出る」

「はいはい、また主人公ムーブ」

「……任せる」

あ、今一瞬、
ちょっとだけ笑ったやろ。



合図。

扉、破壊。

ドンッ!!!!

音、でかすぎ。
もう隠密とかない。



中、戦場。

松明の火。
剣の反射。
怒号。

「敵だ!!」

「侵入者!!」

はい始まりました。



影の傭兵団、
数が多い。

そして、
強い。

「くっ……!」

前衛が押される。

「レミ!」

「了解!!」

魔術展開。

床、凍結。

「うわああ!?」

滑る敵。

転ぶ敵。

最高。



でも。

奥から出てきた。

黒い外套。
仮面。

……さっきのやつより、圧が違う。

「直属、また来たで!!」

「ちっ……」

エドウィンが前に出る。

剣、交錯。

金属音。

速い。
重い。

「……強いな」

「そっちもな」

仮面の男、笑った。

嫌な予感しかしない。



その瞬間。

奥の扉が、
ゆっくりと開いた。

ギィ……。

空気、変わる。

本気で。



出てきた男。

仮面なし。
白髪交じり。
立ってるだけで、重い。

「……やっと来たか」

低い声。

ぞわっとした。



エドウィンの動きが、止まる。

「……団長」

その一言で、確信。

影の傭兵団団長。

元・英雄。
元・王国騎士団長。

全部の元凶。



「久しいな、副団長」

……え。

え?

ちょ、今なんて???

「副団長……?」

団長、口角上げる。

「まだ、生きていたとはな」

エドウィン、答えない。

剣、構えたまま。

空気、張り詰める。



「……話は後だ」

エドウィンが言う。

「ここで終わらせる」

団長、笑った。

「それは――こちらの台詞だ」



その瞬間。

影の傭兵団、
全軍動いた。

「総力戦や!!」

誰かの叫び。

はい来た。

最悪イベント確定。



剣。
魔術。
血。

全部が、ぶつかる。

後退なし。

逃げ道なし。



そして私は思う。

……これ。

絶対、
誰か死ぬ流れやん。

嫌な予感が、
胸に貼り付いて離れへん。
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