三十路おばちゃん、誕生日に異世界転移したら即プロポーズされて死後も一緒でした

いぬぬっこ

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おばちゃん、異世界で人生クリアしました

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……えーと。

まず一言、言わせて。

死ぬ瞬間、思ってたより静か。

もっとこう、
走馬灯ドーン!
感情バーン!
みたいなん想像してたんやけど。

実際は、
ふわぁ……って感じ。

拍子抜けするくらい、穏やか。



気がついたら、
私は、どこでもない場所に立ってた。

地面あるのに、踏んでない感覚。
空あるのに、色がない。

上下も、前後も、
正直あやふや。

「……ここ、どこやねん」

ツッコミ入れたら、
ちゃんと声出た。

お、まだ喋れる。



「ようこそ」

後ろから、声。

振り向くと、
人……っぽいけど、人ちゃう。

光の輪郭だけでできた存在。

顔はぼんやり。

性別も年齢も不明。

要するに――
いかにもそれっぽいやつ。



「あなたは命を燃やし、禁忌を行使しました」

「あー……はい」

知ってる。

自覚ある。

めっちゃある。



「後悔は?」

即答。

「ないです」

ほんまに。



「未練は?」

……ちょっと、間。

「……家族に、直接さよなら言えてへんのは、惜しい」

それくらい。



光の存在、
少しだけ、柔らいだ気がした。

「珍しい魂ですね」

「そう?」

「恐怖より、納得が勝っている」

そらそうや。

私、
ちゃんと生き切ったからな。



「では、次の段階へ」

「次?」

「死後の世界です」

あ、やっぱあるんや。

異世界のさらに向こう。

二段構えかい。



歩き出す。

……いや、歩いてへん。

流れてる。

空気に。



途中で、
ふと、気配を感じた。

知ってる気配。

めちゃくちゃ、知ってる。



「……遅かったな」

この声。

この言い方。

振り向く前から、分かる。



「エドウィン」

いた。

ちゃんと。

剣も、傷もない。

若い頃みたいな姿で。

……ずるい。



「……お前」

一歩、近づいてきて。

次の瞬間。

抱きしめられた。

力、強い。

離す気、ゼロ。



「……心臓、止まるかと思った」

「もう止まってるやろ」

「黙れ」

ちょっと笑った。



「すまなかった」

「何が?」

「守ると、言ったのに」

あー。

それ。



「聞いて」

エドウィンの胸、押して、距離作る。

「守ったやろ。私ら、ちゃんと」

村は焼かれた。

でも。

家族は、
最後まで一緒やった。



「私が勝手に選んだんや」

「それでも――」

「それでも、や」

遮る。

強めに。

「私、後悔してへん」



エドウィン、目、伏せる。

「……強いな、お前は」

「今さら?」



その時。

小さな足音。

……来た。



「ママ!」

ユリウス。

走ってきて、
そのまま、私に飛び込んできた。

「……ごめんな、怖い思いさせて」

「ううん!」

即答。

強い。

ほんまに。



「ママ、また一緒?」

「うん」

即答。

今度は、私が。



光が、満ちる。

「では――旅立ちの準備を」

あ、これ最終段階や。



私は、二人の手を取る。

「行こか」

「どこへ?」

エドウィンが聞く。



少し考えて、答えた。

「次の人生」

「……また異世界?」

「どうやろな」

笑う。



でも、一つだけ確信ある。

今度も、家族や。
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