三十路おばちゃん、誕生日に異世界転移したら即プロポーズされて死後も一緒でした

いぬぬっこ

文字の大きさ
19 / 20

エンドロール前の寄り道

しおりを挟む
……旅立ち言うてもな。

いきなり転生ガチャ回されるとか、
白いトンネル一直線とか、
そういうんちゃうかった。

まず通されたのが――

草原。

めっちゃ広い。
めっちゃ静か。
風が気持ちいい。

……え、ここ天国?

「思ってたより地味やな」

私が言うと、

「派手さは生者の娯楽だ」

横から声。

さっきの光の存在や。

まだおったんかい。



「ここは“魂の待合”」

「待合!?」

「正式な旅立ちの前に、整理を行う場所です」

整理て。

引っ越しか。



エドウィンとユリウスも、きょろきょろしてる。

「ママ、ここ寒くないね」

「せやな。暑くもない」

「……妙だな」

エドウィン、警戒心仕事しすぎ。



草原の奥に、ぽつぽつと人影。

近づくと分かる。

……知ってる顔。



村のおばちゃん。

焼けた家の隣の、パン屋のおっちゃん。

途中の街で助けた旅人。

影の傭兵団との戦いで倒れた、名も知らん人たち。

みんな、穏やかな顔してる。



「……あ」

ユリウスが声を上げる。

「村長さん」

立ってた。

あの、頑固で優しい人。

目が合った瞬間、笑ってくれた。



「よう、坊主」

「……村長さん」

ユリウス、泣かん。
強なったな。



村長さんは私らを見る。

「ええ顔しとる」

「そらもう」

私、胸張る。

「全力で生き切りましたから」



光の存在が告げる。

「ここにいる者たちは、全て“やり残しを持たない魂”です」

「……へぇ」

「戦い、守り、選び、納得して終えた」

それ、私らのことやな。



「選択肢は三つ」

突然、光が増える。

一つ目。

「完全なる消滅」

静かに、終わる。

二つ目。

「転生」

別の人生。

別の世界。

記憶は基本、リセット。

三つ目。

「同行」

……ん?



「同行?」

私が聞き返す。

「魂の旅を、家族単位で続けることです」

「……それ、アリなん?」

「極めて稀です」

でしょうね!!



エドウィンが、私を見る。

「どうする」

即答。

「同行一択やろ」



「また一緒におるん?」

ユリウス、目キラッキラ。

「当たり前や」



光の存在、しばらく黙る。

……判定中か?



「条件があります」

きた。

「何?」

「次の世界では、平穏は保証されません」

「はいはい」

「再び、戦う可能性もあります」

「知ってる」

「苦難も――」

「セットやろ」

遮る。



「でもな」

私は三人分の手を握る。

「それでも、家族一緒なら、だいたい何とかなる」



……長い沈黙。

そして。

「承認します」

光が、柔らかくなる。



草原が、ゆっくり溶ける。

風が、流れを変える。



「……エドウィン」

「何だ」

「次も、結婚しよな」

一瞬、固まる。

「……当然だ」

真顔。

ほんま、こういうとこやぞ。



「ママ!」

ユリウスが手をぎゅっと。

「今度はどこ?」

「さあな」

笑う。

「でも」



「どこ行っても、
 おばちゃんはおばちゃんや」



光が、弾ける。

意識が、遠のく。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】人前で話せない陰キャな僕がVtuberを始めた結果、クラスにいる国民的美少女のアイドルにガチ恋されてた件

中島健一
恋愛
織原朔真16歳は人前で話せない。息が詰まり、頭が真っ白になる。そんな悩みを抱えていたある日、妹の織原萌にVチューバーになって喋る練習をしたらどうかと持ち掛けられた。 織原朔真の扮するキャラクター、エドヴァルド・ブレインは次第に人気を博していく。そんな中、チャンネル登録者数が1桁の時から応援してくれていた視聴者が、織原朔真と同じ高校に通う国民的アイドル、椎名町45に属する音咲華多莉だったことに気が付く。 彼女に自分がエドヴァルドだとバレたら落胆させてしまうかもしれない。彼女には勿論、学校の生徒達や視聴者達に自分の正体がバレないよう、Vチューバー活動をするのだが、織原朔真は自分の中に異変を感じる。 ネットの中だけの人格であるエドヴァルドが現実世界にも顔を覗かせ始めたのだ。 学校とアルバイトだけの生活から一変、視聴者や同じVチューバー達との交流、eスポーツを経て変わっていく自分の心情や価値観。 これは織原朔真や彼に関わる者達が成長していく物語である。 カクヨム、小説家になろうにも掲載しております。

学年一可愛いS級の美少女の令嬢三姉妹が、何故かやたらと俺の部屋に入り浸ってくる件について

マカロニ
恋愛
名門・雄幸高校で目立たず生きる一年生、神谷悠真。 クラスでは影が薄く、青春とは無縁の平凡な日々を送っていた。だがある放課後、街で不良に絡まれていた女子生徒を助けたことで、その日常は一変する。救った相手は、学年一の美少女三姉妹として知られる西園寺家の次女・優里だった。さらに家に帰れば、三姉妹の長女・龍華がなぜか当然のように悠真の部屋に入り浸っている。名門令嬢三姉妹に振り回されながら、静かだったはずの悠真の青春は少しずつ騒がしく揺れ始める。

両隣の幼馴染が交代で家に来る

みらいつりびと
恋愛
両親がタイへ行く。 父親が3月上旬に上司から命じられた。4月1日からバンコクで勤務する。 うちの父と母はいわゆるおしどり夫婦というやつで、離れては生きていけない……。 ひとり暮らしの高校2年生森川冬樹の世話をするため、両隣の美しい幼馴染浅香空と天乃灯が1日交代で通ってくる。 冬樹は夢のような春休み期間を過ごし、空と灯は火花を散らす。 幼馴染三角関係ラブストーリー。全47回。

うちの幼馴染がデレすぎてて俺の理性はもう限界。でも毎日が最高に甘いからもうどうでもいいや

静内燕
恋愛
相沢悠太の日常は、規格外の美少女である幼馴染、白石葵によって完全に支配されている。 朝のモーニングコール(ベッドへのダイブ付き)から始まり、登校中の腕組み、そして「あーん」が義務付けられた手作り弁当。誰もが羨むラブラブっぷりだが、悠太はこれを「家族愛」だと頑なに誤解(無視)している。 「ゆーたは私の運命の相手なんだもん!」と、葵のデレデレは今日も過剰の一途。周囲の冷やかしや、葵を狙う男子生徒のプレッシャーが高まる中、悠太の**「幼馴染フィルター」**はついに限界を迎える。 この溺愛っぷり、いつまで「家族」で通せるのか? 甘すぎる日常が、悠太の鈍感な理性を溶かし尽くす――最初からクライマックスの、超高濃度イチャイチャ・ラブコメ、開幕!

ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~

cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。 同棲はかれこれもう7年目。 お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。 合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。 焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。 何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。 美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。 私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな? そしてわたしの30歳の誕生日。 「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」 「なに言ってるの?」 優しかったはずの隼人が豹変。 「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」 彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。 「絶対に逃がさないよ?」

英雄の番が名乗るまで

長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。 大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。 ※小説家になろうにも投稿

羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。

泉野あおい
恋愛
人の気持ちに重い軽いがあるなんて変だと思ってた。 でも今、確かに思ってる。 ―――この愛は、重い。 ------------------------------------------ 羽柴健人(30) 羽柴法律事務所所長 鳳凰グループ法律顧問 座右の銘『危ない橋ほど渡りたい。』 好き:柊みゆ 嫌い:褒められること × 柊 みゆ(28) 弱小飲料メーカー→鳳凰グループ・ホウオウ総務部 座右の銘『石橋は叩いて渡りたい。』 好き:走ること 苦手:羽柴健人 ------------------------------------------

俺が宝くじで10億円当選してから、幼馴染の様子がおかしい

沢尻夏芽
恋愛
 自他共に認める陰キャ・真城健康(まき・けんこう)は、高校入学前に宝くじで10億円を当てた。  それを知る、陽キャ幼馴染の白駒綾菜(しらこま・あやな)はどうも最近……。 『様子がおかしい』 ※誤字脱字、設定上のミス等があれば、ぜひ教えてください。  現時点で1話に繋がる話は全て書き切っています。  他サイトでも掲載中。

処理中です...