三十路おばちゃん、誕生日に異世界転移したら即プロポーズされて死後も一緒でした

いぬぬっこ

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エンディング

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目を開けたら、風の音がした。

さっきまでの草原とも、
燃えた村とも、
血と剣の戦場とも違う。

ただ――
「始まり」の匂いだけがした。



「……なあ」

私が声を出す。

「これ、ほんまに次の世界?」

「おそらく」

隣でエドウィンが答える。

相変わらず落ち着きすぎや。



足元は、白い光。
空はまだ色が決まってない。
キャンバスみたいな世界。

「ママ、なんもないね!」

ユリウスがはしゃぐ。

「せやな」

私は笑う。

「せやけど――」



「ここから、また作るんや」



遠くで、何かが芽吹く音がした。

世界が、息を吸う。



「記憶はどうなる?」

エドウィンが光の存在に問う。

「完全には消えません」

「……そうか」

彼は、ほんの少しだけ、安心した顔をした。



「じゃあさ」

私が言う。

「また剣振って、魔法覚えて、
 ご飯作って、喧嘩して、笑って――」

ユリウスを見る。

「また“家族”やな?」



「うん!!」

即答。

元気すぎ。



光の存在が告げる。

「これより、魂の定着を開始します」

「定着て」

ほんま単語だけ聞くと事務的やな。



体が、少しずつ重くなる。

でも、不安はない。

だって――



エドウィンの手が、そこにある。
ユリウスの体温が、そこにある。



「なあ」

私、小声で言う。

「最後に一つだけ言わせて」



「異世界転移して、
 即結婚して、
 即出産して、
 村焼かれて、
 戦って、
 死んで、
 魂で旅立つ人生――」

一拍。



「情報量、多すぎやろ!!!!」



ユリウス、爆笑。

「ママ、うるさい!」

エドウィン、肩を揺らす。

……あ、今、笑ったな?



光が、世界を包む。

「では――」



「行ってらっしゃい」



落ちていく感覚。

でも、怖くない。



次は、どんな世界か。

どんな名前で生まれるか。

また剣と魔法の世界か。

それとも、平和すぎて退屈な場所か。



でも、一つだけ確かなことがある。



どの世界でも、
私たちは、きっと――
全力で生きる。



――END

(※この物語は、どこかの世界で、たぶんまだ続いている)
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