ある日、友達とキスをした

Kokonuca.

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まこと side

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 きっとそこには恨みとかなんか色々詰まっていたんだろうけれど、昔の僕に言ってくれないと! 今の僕に言われたって責任なんてとれない。

「そ……そうだったんですか……」
「とりでも天野でも、好きな方で呼んだらいい」
 
 くすぐるように指先で手の甲を弄られて、なんとなく恥ずかしくなって布団を口元まで引き上げる。

「じゃあ、天野先輩って呼びます」
「ぷはっ! 変わってないし! そこは昔の呼び方に変えるところだろ?」

 昔はともかく、今は間違いなく先輩なんだから先輩って呼んでおかしいことはないだろう。

「あれ? これってなんでピンクの浴衣着てるんだ?」
「えっ⁉︎ あっああっ!」

 それは夏の思い出の中の一ページに並んでいた夏祭りの写真だった。
 アルバムの中にあるそれをいつか隙を見て処分しようと思って忘れたままで……四角く切り取られた記憶の中で、僕はピンクと白の花柄の浴衣を着て頭には絞り染めのリボンまでつけている。
 可愛らしい服装とは裏腹に、今にも誰彼構わず喧嘩を売りそうな目つきでカメラを睨んでいるのが印象的だった。

「これ……これは……おばあちゃんの趣味、です」
「趣味?」
「なんか、この地方? 古くから? 体の弱い男の子に女の子の格好をさせるといいとかなんとかっておまじないがあるんですよ」

 むかーしむかし、子供の生存率が低かった頃の話なんだろうけど……
 さすがに日頃から女の子の格好をさせられていたわけじゃなかったけれど、お祭りみたいな行事の時にはこうして女の子の服を着せられたのは、黒歴史だ。

 おばあちゃんはおばあちゃんで、何かあるとすぐに熱を出す僕を心配してくれていたって知っているから、はっきりと断れなかったんだけど。

「恥ずかしいからじっと見ないでくださいよ」
「大事にしてもらってるっていう証拠だな」
「そう……なんですけど……」

 だからって、恥ずかしくないわけじゃない。
 じっと見られちゃうと恥ずかしい。

 ――――ピロン

「へ⁉︎ ちょ……なんて写真撮るんですか⁉︎」

 洸平は早業で携帯電話を取り出すと、断りもなくあのピンクと白の浴衣を着ている僕の写真をパシャリと写していた。

「可愛いから?」
「か わいい、わけないじゃないですか」

 自画自賛が入ってもいいなら、にっこり微笑んでいたらそんなふうに見えなくもないだろうけど、あいにく幼い僕はカメラを睨みつけている。

「俺は可愛いって思う」
「可愛くないです!」
「かーわーいーいー」
「可愛いは誉めてないですよ」

 ちょっとうざい感じに返されて、ムッと拗ねようとしたところで洸平は笑い出し、僕の頭をヨシヨシと撫でた。



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